2013/08/20(火) - 02:45
中盤過ぎて抜け出したのは阿部嵩之(チーム右京)、飯野智之(宇都宮ブリッツェン)そして入部正太朗(シマノレーシング)。スプリント力に優る入部がゴールを制し、実業団レース初優勝。
標高650mのみやだ
8月18日(日)に長野県上伊那郡宮田村で行われたJプロツアー第10戦みやだクリテリウム。宮田村は西端に中央アルプスの木曽駒ケ岳があり、会場周辺は標高650mほどの田園地帯。日差しは強いが気温は30度ほどで湿度が低く、日陰は過ごしやすいほど。
会場には地元の特産品や飲食コーナーが設けられ、応援用のバルーンも配布され選手たちを歓迎。ここ宮田村でクリテリウムが行われるのは今年で5回目。コースは緩斜面の公道を使った1周3.2kmで、上りは一箇所、ほかは直線と直角コーナーが組み合わさったもの。
7月14日の石川ロード以来およそ一ヶ月ぶりの実業団レースとあって、各クラスともにフルメンバーと言えるほどの参加者があり熱戦が繰り広げられた。
フランス帰りの岡篤志が制したユースクラス
優勝候補筆頭は昨年独走で優勝した岡篤志(キャノンデール・チャンピオンシステム)。全日本個人TT1位・ロード2位の岡は、実業団連盟のプログラムで今夏フランスへ滞在。カテゴリー2で3位、カテゴリー1混合のうちジュニアで1位など、成果を挙げて帰国。
さらには全日本個人TT2位の樋口峻明(横浜高校)、高校1年生ながらインターハイロード3位の石上優大(同)、全日本ロード3位の雨澤毅明(那須ブラーゼン)など強豪が参加。6周するレースは彼らが先頭でアタックを掛け合う積極的なものに。
1周目、雨澤、岡らの仕掛けで先頭は早くも6人に。2周目の坂手前で岡がアタック、これに樋口が反応する。全日本個人TTの1位と2位のアタックは強烈でここで石上が離れ、雨澤と小野寺玲(ブラウ・ブリッツェン)が追いつき4人に。
さらに3周目に入るストレートで岡が揺さぶり樋口が離れ先頭は岡、雨澤、小野寺の3人に。ここから最終周回まで岡がコーナーなどでアタックし、それを雨澤が追走、小野寺が食らいつくという構図が繰り返される。
最終周回の上りでアタックした岡が2人を離して独走、見事にみやだクリテ2連覇を達成。2位には小野寺が入った。小野寺は作新学院高で走っていたが石川ロードからチームJBCFで出場。その後にブラウ・ブリッツェンに加入し、このみやだはチーム入り後の初戦。粘りの走りで実績を挙げた。今後に期待の選手だ。
パナソニックレディースがワン・ツー
6周する女子クラスは29名のエントリーがあり、強豪選手らが一堂に会した。序盤から西加南子(LUMINARIA)や豊岡英子(パナソニックレディース)らが積極的に仕掛ける。2周目には10人ほどの集団に。全日本ロードで7位の下澤千亜紀(team anterior)がアタックするが吸収。
3周目の上りで豊岡がペースを上げると西、そして坂口聖香(パナソニックレディース)だけが残り、
先頭は3人に。ここからゴールまでこの3人で逃げ切ることに。先頭を引く時間は豊岡が長い。ゴールまで3人だったが、先行した豊岡がそのまま逃げ切って優勝。
フルメンバー参戦のP1クラス
この時期に国内にいるほぼすべてのチームが参加したP1クラス。予選2組各25人計50人が10周の決勝に上がった。スタートアタックは阿部嵩之(チーム右京)。さらに澤田賢匠(キャノンデール・チャンピオンシステム)もアタック。この2人のアタックは全体の半数を超えるほど。これに中村誠(宇都宮ブリッツェン)らが加わる。
2周目、阿部のアタックに飯野智之(宇都宮ブリッツェン)、鈴木譲(シマノレーシング)、安原大貴(マトリックスパワータグ)が反応、4人で逃げる。しかしキャノンデール・チャンピオンシステムらが追走し3周目に吸収。4周目に嶌田義明(チーム右京)が単独アタック、6周目に吸収される。
嶌田吸収のカウンターで阿部がアタック、これを飯野そして入部が追走し3人で先頭集団を作る。スピードのある3人は逃げ続けてメイン集団との差は10秒から20秒程度に。メイン集団はマトリックスパワータグと小室雅成(イナーメ信濃山形)らが引くが差は縮まらない。
3人が逃げ切ってスプリント勝負へ
先頭は阿部と飯野が多めに引くが、8周目に足の攣った阿部が遅れ気味になる。それでも阿部は2人に追いついてからも先頭交代を続ける。メイン集団はチーム右京や宇都宮ブリッツェン勢も差が開かないように引くものの、お互いのアタックを警戒して先頭を吸収するまでは詰めない。
最終周回、先頭の3人はゴールへ向かう。阿部が遅れ、飯野が先行するがこれを入部がかわして優勝。4位集団は鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)先頭でゴール。
入部はクリテリウムを得意とし、早稲田大学時代はトラックレースでも活躍したスピードマン。「ヨーロッパ遠征では平坦のレースが多く、位置取りや風の使い方など学んだつもりなので、帰ってからの初戦で存在感を示すことができたと思う。アベタカさん、飯野さんはとても強くかなり引いてもらったが、スプリントではこの3人の中では絶対に勝てると思った」と語る。
結果
P1 32.0km
1位 入部正太朗(シマノレーシング)48分46秒
2位 飯野智之(宇都宮ブリッツェン)+01秒
3位 阿部嵩之(チーム右京)+03秒
4位 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)+23秒
5位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)
6位 中村誠(宇都宮ブリッツェン)+24秒
7位 小室雅成(イナーメ信濃山形)
8位 山下貴宏(チーム右京)
9位 吉田隼人(シマノレーシング)
10位 小坂光(那須ブラーゼン)
F 19.2km
1位 豊岡英子(パナソニックレディース)35分38秒
2位 坂口聖香(パナソニックレディース)
3位 西加南子(LUMINARIA)
Y 19.2km
1位 岡篤志(キャノンデール・チャンピオンシステム)29分56秒
2位 小野寺玲(ブラウ・ブリッツェン)+02秒
3位 雨澤毅明(那須ブラーゼン)+03秒
E1 25.6km
1位 秋山悟郎(GRUPPO ACQUA TAMA)41分27秒
2位 今井雄輝(EURO-WORKS Racing)+02秒
3位 加藤司馬(湘南ベルマーレクラブ)+03秒
4位 小林涼介(オッティモ)
5位 古知屋一成(SEKIYA)
6位 兼子博昭(スワコレーシングチーム)
E2 22.4km
1位 今西禎(GRUPPO ACQUA TAMA)37分05秒
2位 元山高嶺(チームシャンテ)
3位 山崎嘉貴(VeloClub MinamiShinshu)
4位 雨澤弘機(ブラウ・ブリッツェン)
5位 松井大悟(トンデモクラブCSKAGA)
6位 中井光博(ラヴニールあづみの)+01秒
E3 19.2km
1位 佐藤秀和(サイクルフリーダムレーシング)31分03秒
2位 大島慶多(ブラウ・ブリッツェン)
3位 梶谷明直(チーム岡山)
4位 森田大理(TSU RACING)+01秒
5位 田所裕朗(GRUPPO ACQUA TAMA)+02秒
6位 山田陽一(トンデモクラブCSKAGA)
photo&text:高木秀彰
標高650mのみやだ
8月18日(日)に長野県上伊那郡宮田村で行われたJプロツアー第10戦みやだクリテリウム。宮田村は西端に中央アルプスの木曽駒ケ岳があり、会場周辺は標高650mほどの田園地帯。日差しは強いが気温は30度ほどで湿度が低く、日陰は過ごしやすいほど。
会場には地元の特産品や飲食コーナーが設けられ、応援用のバルーンも配布され選手たちを歓迎。ここ宮田村でクリテリウムが行われるのは今年で5回目。コースは緩斜面の公道を使った1周3.2kmで、上りは一箇所、ほかは直線と直角コーナーが組み合わさったもの。
7月14日の石川ロード以来およそ一ヶ月ぶりの実業団レースとあって、各クラスともにフルメンバーと言えるほどの参加者があり熱戦が繰り広げられた。
フランス帰りの岡篤志が制したユースクラス
優勝候補筆頭は昨年独走で優勝した岡篤志(キャノンデール・チャンピオンシステム)。全日本個人TT1位・ロード2位の岡は、実業団連盟のプログラムで今夏フランスへ滞在。カテゴリー2で3位、カテゴリー1混合のうちジュニアで1位など、成果を挙げて帰国。
さらには全日本個人TT2位の樋口峻明(横浜高校)、高校1年生ながらインターハイロード3位の石上優大(同)、全日本ロード3位の雨澤毅明(那須ブラーゼン)など強豪が参加。6周するレースは彼らが先頭でアタックを掛け合う積極的なものに。
1周目、雨澤、岡らの仕掛けで先頭は早くも6人に。2周目の坂手前で岡がアタック、これに樋口が反応する。全日本個人TTの1位と2位のアタックは強烈でここで石上が離れ、雨澤と小野寺玲(ブラウ・ブリッツェン)が追いつき4人に。
さらに3周目に入るストレートで岡が揺さぶり樋口が離れ先頭は岡、雨澤、小野寺の3人に。ここから最終周回まで岡がコーナーなどでアタックし、それを雨澤が追走、小野寺が食らいつくという構図が繰り返される。
最終周回の上りでアタックした岡が2人を離して独走、見事にみやだクリテ2連覇を達成。2位には小野寺が入った。小野寺は作新学院高で走っていたが石川ロードからチームJBCFで出場。その後にブラウ・ブリッツェンに加入し、このみやだはチーム入り後の初戦。粘りの走りで実績を挙げた。今後に期待の選手だ。
パナソニックレディースがワン・ツー
6周する女子クラスは29名のエントリーがあり、強豪選手らが一堂に会した。序盤から西加南子(LUMINARIA)や豊岡英子(パナソニックレディース)らが積極的に仕掛ける。2周目には10人ほどの集団に。全日本ロードで7位の下澤千亜紀(team anterior)がアタックするが吸収。
3周目の上りで豊岡がペースを上げると西、そして坂口聖香(パナソニックレディース)だけが残り、
先頭は3人に。ここからゴールまでこの3人で逃げ切ることに。先頭を引く時間は豊岡が長い。ゴールまで3人だったが、先行した豊岡がそのまま逃げ切って優勝。
フルメンバー参戦のP1クラス
この時期に国内にいるほぼすべてのチームが参加したP1クラス。予選2組各25人計50人が10周の決勝に上がった。スタートアタックは阿部嵩之(チーム右京)。さらに澤田賢匠(キャノンデール・チャンピオンシステム)もアタック。この2人のアタックは全体の半数を超えるほど。これに中村誠(宇都宮ブリッツェン)らが加わる。
2周目、阿部のアタックに飯野智之(宇都宮ブリッツェン)、鈴木譲(シマノレーシング)、安原大貴(マトリックスパワータグ)が反応、4人で逃げる。しかしキャノンデール・チャンピオンシステムらが追走し3周目に吸収。4周目に嶌田義明(チーム右京)が単独アタック、6周目に吸収される。
嶌田吸収のカウンターで阿部がアタック、これを飯野そして入部が追走し3人で先頭集団を作る。スピードのある3人は逃げ続けてメイン集団との差は10秒から20秒程度に。メイン集団はマトリックスパワータグと小室雅成(イナーメ信濃山形)らが引くが差は縮まらない。
3人が逃げ切ってスプリント勝負へ
先頭は阿部と飯野が多めに引くが、8周目に足の攣った阿部が遅れ気味になる。それでも阿部は2人に追いついてからも先頭交代を続ける。メイン集団はチーム右京や宇都宮ブリッツェン勢も差が開かないように引くものの、お互いのアタックを警戒して先頭を吸収するまでは詰めない。
最終周回、先頭の3人はゴールへ向かう。阿部が遅れ、飯野が先行するがこれを入部がかわして優勝。4位集団は鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)先頭でゴール。
入部はクリテリウムを得意とし、早稲田大学時代はトラックレースでも活躍したスピードマン。「ヨーロッパ遠征では平坦のレースが多く、位置取りや風の使い方など学んだつもりなので、帰ってからの初戦で存在感を示すことができたと思う。アベタカさん、飯野さんはとても強くかなり引いてもらったが、スプリントではこの3人の中では絶対に勝てると思った」と語る。
結果
P1 32.0km
1位 入部正太朗(シマノレーシング)48分46秒
2位 飯野智之(宇都宮ブリッツェン)+01秒
3位 阿部嵩之(チーム右京)+03秒
4位 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)+23秒
5位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)
6位 中村誠(宇都宮ブリッツェン)+24秒
7位 小室雅成(イナーメ信濃山形)
8位 山下貴宏(チーム右京)
9位 吉田隼人(シマノレーシング)
10位 小坂光(那須ブラーゼン)
F 19.2km
1位 豊岡英子(パナソニックレディース)35分38秒
2位 坂口聖香(パナソニックレディース)
3位 西加南子(LUMINARIA)
Y 19.2km
1位 岡篤志(キャノンデール・チャンピオンシステム)29分56秒
2位 小野寺玲(ブラウ・ブリッツェン)+02秒
3位 雨澤毅明(那須ブラーゼン)+03秒
E1 25.6km
1位 秋山悟郎(GRUPPO ACQUA TAMA)41分27秒
2位 今井雄輝(EURO-WORKS Racing)+02秒
3位 加藤司馬(湘南ベルマーレクラブ)+03秒
4位 小林涼介(オッティモ)
5位 古知屋一成(SEKIYA)
6位 兼子博昭(スワコレーシングチーム)
E2 22.4km
1位 今西禎(GRUPPO ACQUA TAMA)37分05秒
2位 元山高嶺(チームシャンテ)
3位 山崎嘉貴(VeloClub MinamiShinshu)
4位 雨澤弘機(ブラウ・ブリッツェン)
5位 松井大悟(トンデモクラブCSKAGA)
6位 中井光博(ラヴニールあづみの)+01秒
E3 19.2km
1位 佐藤秀和(サイクルフリーダムレーシング)31分03秒
2位 大島慶多(ブラウ・ブリッツェン)
3位 梶谷明直(チーム岡山)
4位 森田大理(TSU RACING)+01秒
5位 田所裕朗(GRUPPO ACQUA TAMA)+02秒
6位 山田陽一(トンデモクラブCSKAGA)
photo&text:高木秀彰
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