アメリカ西部に位置するユタ州にて、アメリカで最も過酷なステージレースと呼ばれるツアー・オブ・ユタ(UCI2.1)が開幕。第1ステージをフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)が制した。

オプタムp/bやジェリーベリーなど地元アメリカのチームが多数参戦オプタムp/bやジェリーベリーなど地元アメリカのチームが多数参戦 photo:Tour of Utahツアー・オブ・ユタの舞台となったのは、砂丘のある乾燥した砂漠から松の森林に覆われた山岳地帯まで、多種多様な顔を見せるアメリカ西部の州、ユタ。2002年に冬季オリンピックが開催されたソルトレイクシティが有ることでも有名だ。

レース終盤まで逃げ続けたクリス・ジョーンズ(左、アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)とマイケル・トルッケラー(右  、ニュージーランド、ビッセルプロサイクリング)レース終盤まで逃げ続けたクリス・ジョーンズ(左、アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)とマイケル・トルッケラー(右 、ニュージーランド、ビッセルプロサイクリング) photo:Tour of Utah初開催は2004年で、2010年よりUCIアメリカツアーに組み込まれたというまだ新しいステージレース。しかし「America's Toughest Stage Race」と標榜するように、ユタの雄大な山岳を駆け巡る非常にタフなコースが設定されることで有名だ。

2013年度大会は6つのステージから成り、第1、2、3、6ステージが山岳ステージ、第5ステージが超級山岳、第4ステージが山岳タイムトライアルという、平坦ステージはいっさい設定されていない。

それを象徴するように、歴代の優勝者リストにはリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)やフランシスコ・マンセボ(スペイン、5アワーエナジー)など、クライマー系オールラウンダーが名を連ねる。

レディオシャック・レオパードやガーミン・シャープ、BMCレーシングチーム、オリカ・グリーンエッジ、キャノンデール・プロサイクリングの5つのプロツアーチームに加え、チャンピオンシステム・プロサイクリングを含むプロコンチネンタル3チーム、コンチネンタルチーム8チームという16チームから計125名が出走。

荒涼としたユタの大自然の中を行くメイン集団荒涼としたユタの大自然の中を行くメイン集団 photo:Tour of Utah

集団はオリカ・グリーンエッジやBMCレーシングチームがコントロール集団はオリカ・グリーンエッジやBMCレーシングチームがコントロール photo:Tour of Utahライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)を筆頭に、久々のレース出場となるクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)、5月のツアー・オブ・カリフォルニアで活躍したアレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)やフランシスコ・マンセボ(スペイン、5アワーエナジー)らが優勝候補。

ゴール地点の周回コースに入るとBMCが集団を牽引ゴール地点の周回コースに入るとBMCが集団を牽引 photo:Tour of Utah日本からは西薗良太(チャンピオンシステム・プロサイクリングチーム)と増田成幸(キャノンデール・プロサイクリング)の2名が出場を果たした。

僅差で集団を振り切ったフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)がステージ優勝僅差で集団を振り切ったフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)がステージ優勝 photo:Tour of Utah第1ステージは標高が3000mを越えるブライアンヘッドからシダーシティへと至179.1km。早々に逃げを決めたのはクリス・ジョーンズ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)とマイケル・トルッケラー(ニュージーランド、ビッセルプロサイクリング)の2人。これを容認したメイン集団とのタイム差を最大10分まで広がった。

ステージ優勝のファンアフェルマートがリーダージャージを獲得ステージ優勝のファンアフェルマートがリーダージャージを獲得 photo:Tour of Utah逃げる2人は協調しながら、ジョーンズが2つの中間スプリントポイント、トルッケラーが2つの山岳ポイントをそれぞれ分け合った。しかし2人のリードも後半になるつれて減少し、1周4.3kmのシダーシティ周回コースに入るとBMCレーシングチームが牽引するメイン集団に吸収された。

残り5km、ゴール目指してスピードを上げるメイン集団からはアメリカのレースと相性の良いイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャックレオパード)やスイスチャンピオンのミヒャエル・シェアー(スイス、BMCレーシングチーム)がアタックを仕掛けたが決まらない。

最終周回に入り5アワーエナジーなど地元アメリカチームがレースをコントロールする中、一瞬の隙を突いたのはファンアフェルマート。残り600mの最終コーナーで追走に50mの差をつけると、そのままの勢いをキープし僅差で集団を振り切った。

2位にはマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、3位はタイラー・マグナー(アメリカ、ヒンカピースポーツウェア)。

「昨日下見をした際に下り基調のゴールだったので自分向きではないと感じた。マイケル・マシューズの様な選手が狙ってくるだろうから、他の選手とは異なる動きに挑戦してみようと思った。とてもハードだったけど最後の1kmで飛び出してみたんだ。すると最終コーナーで少し差が開いたから、とにかくペダルを踏み続けたら勝つことが出来た。」と語ったファンアフェルマート。7月に行われたツール・ド・ワロニーで総合優勝した勢いそのままにツアー・オブ・ユタに乗り込んできた。

結果、ステージ優勝のファンアフェルマートがリーダージャージとスプリントジャージを獲得。逃げに乗ったマイケル・トルッケラーは山岳賞を手にした。もう一人の逃げ、クリス・ジョーンズは敢闘賞を獲得し、ボーナスタイムによって総合3位につけている。新人賞はステージ3位のタイラー・マグナー。日本の西薗良太(チャンピオンシステム)と増田成幸(キャノンデールプロサイクリング)はそれぞれ88位と89位と二人揃ってゴールしている。

2013 TOU Stage1 Highlight from Tour of Utah on Vimeo.



ツアー・オブ・ユタ2013第1ステージ結果
1位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) 4h11′00"
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 タイラー・マグナー(アメリカ、ヒンカピースポーツウェア)
4位 エリック・ヤング(アメリカ、オプタムp/b)
5位 キール・レイヘン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
6位 ジョセフ・ルイス(アメリカ、ヒンカピースポーツウェア)
7位 ジャスパー・ステイヴェン(ベルギー、ボントレガー)
8位 クリストファー・バルドウィン(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)
9位 フレッド・ロドリゲス(アメリカ、ジェリーベリー)
10位 ジェフリー・ラウダー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
88位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)
89位 増田成幸(日本、キャノンデール・プロサイクリング)

個人総合成績
1位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) 4h10'50"
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)  +4″
3位 クリス・ジョーンズ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
4位 タイラー・マグナー(アメリカ、ヒンカピースポーツウェア)     +6″
5位 マックス・ジェンキンス(アメリカ、5アワーエナジー)        +9″
6位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック・レオパード)
7位 エリック・ヤング(アメリカ、オプタムp/b)             +10″
8位 キール・レイヘン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
9位 ジョセフ・ルイス(アメリカ、ヒンカピースポーツウェア)
10位 ジャスパー・ステイヴェン(ベルギー、ボントレガー)
88位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)
89位 増田成幸(日本、キャノンデール・プロサイクリング)

ポイント賞
フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)

山岳賞
マイケル・トルッケラー(ニュージーランド、ビッセルプロサイクリング)

新人賞
タイラー・マグナー(アメリカ、ヒンカピースポーツウェア)

敢闘賞
クリス・ジョーンズ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)

チーム総合成績
オプタムp/b

text:Yuya.Yamamoto
photo:Tour of Utah
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