2013/07/19(金) - 11:20
ラルプ・デュエズを2回登る過酷な第18ステージを制したのは、クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)。今大会としては初めてのフランス人選手によるステージ優勝が、100回記念大会の伝説的なステージに花を添えた。総合ではナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)が3位にジャンプアップした。
ステージ優勝・敢闘賞のクリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
8歳のときにテレビで自転車選手がラルプ・デュエズで勝利するのを見てから、ぼくもそうなりたいと思っていた。山岳の登り口でティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)がアタックしたときに、自分が彼に付いていけないことがわかった。それで「畜生。これじゃ2日前と同じ2位じゃないか……」と自分に言い聞かせた。
その後、残り3kmで彼の姿が見え、それほど好調じゃないこともわかった。そこで自分の運の良さを信じることにした。スプリントをすると、大勢の観客たちが応援もあって、ぼくは頂上に到達できた。
終盤は本当に厳しかった。残り5kmでは、勝てるとはまったく思っていなかった。だけどチームカーの中のジュリアン監督は、ぼくの可能性をまだ信じていて「あいつ(ヴァンガーデレン)はもうダメだ。追いつける!」とずっと激励するのを止めなかった。そのときは2位で走っていて、もう登るのを諦める気持ちになっていた。
ちょうど目の前にヴァンガーデレンの姿が見えて、彼に追いついた。そこではまったく彼を置いていくつもりはなくて、彼なら付いてくるだろうと思っていた……それで、すぐに遠慮なくアタックした。レースが大逆転して、自分でも震えていた。
ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)が前回、このラルプ・デュエズで勝ったことを覚えている[訳注:2011年の第19ステージ]。あのときはちょっとした喪失感を覚えた。今回はぼくがこのラルプ・デュエズで両腕を掲げることができて、とてもうれしい。
今大会のツールでぼくたちのチームはハードに戦ってきたが、すでに2名の選手が大会を去っている。マキシム・ブエ(フランス)と、昨日のジャンクリストフ・ペロー(フランス)だ。今朝のミーティングで話し合ったのは、もうこれ以上、不運は続かない、頭を上げ前を向いて、このツールを終えようということだった。
総合1位・山岳賞・ステージ7位のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
リッチー・ポルト(オーストラリア)は本当に偉大な選手だ。彼はこのレースでの自分の望みのすべてを犠牲にして、ぼくが着用しているジャージのキープに尽力してくれる。今日も素晴らしい仕事だ——本当に見事だった。今日の登り全体の基本的なペースは彼が作ってくれた。
あの登りは言葉にするのも難しい。大勢の人々が密集して大量の騒音だらけだったので、お互いに会話するためには本当に近づかなければ無理だった。そうやって、このステージを終えるためのペースについて話し合った。
今日は本当に厳しい日だった。でも、結局のところ、ぼくたちにとっては良いステージになった——総合成績のリードを広げることができた。それから今日は、ネルソン・マンデラ・デーという特別な日でもあった。だから、自分なりに、大勢の若いアフリカ人たちに、自分たちの夢を叶えることが出来ると示したかった。
(20秒の)ペナルティを受けることについては、専門的なことはわからない——リッチーがペナルティを受けるべきなのか、ぼくが受けるべきなのか——ただ、ペナルティについては理解できる。あの終盤では、ぼくは本当に糖分が必要だと感じていた。だから、20秒のペナルティを受けることになっても、ぼくはそれを受け入れるつもりだ。
今日は、今回のツールでも最大級にハードな日だった。ハードになるとは予想はしていた。ラルプ・デュエズを2回登るのだから。レースの終盤としても厳しい日になるだろうし、翌日にも響くだろうとも思っている。チームカーが少し離れたところで、ちょっとしたメカトラブルがあって遅れてしまった。それで、チームカーから補給を受けることなく、登りに入ってしまった。
「仕方ない。今は他に選択肢がない……」と思って、残り5kmの時点で、そのまま行くことに決めた。でも、そのおかげで20秒ほど失ってしまった。ただ、今日1日と自分たちの成績を全体的に捉えると、ぼくたちはリードを広げたことになる。これがバッド・デイというなら、それほど悪くはないと思う。
新人賞・総合3位のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
今朝の段階で疲労を感じていたので、気温が高くならずに快適な気温のステージになったので助かった——このくらいの温度が自分には向いている。今日は、終盤にフルームをアタックするだけの脚はないと思っていた。
表彰台に乗るという目的はまだ持っている。それを達成するのが、ぼくの夢だ。両方を達成すること——つまり山岳賞と総合成績については、まだできていない。たしかに現実的じゃないと思う。
今日の結果ほど満足するものはない。総合成績が6位から3位にアップしたし、フルームとの差を1分以上詰めることができた……フルームにトラブルがあったことはわからなかった。(先に行ったのは)自分にとって、ちょうどよいタイミングだった。少し運が良かったのだと思う。
明日とその次の日は、かなりハードなステージになる。だから、素早く回復して、待ち受ける試練に備える必要がある……でも、フルームとのタイム差がここまで開いてしまっては、このツールでの総合優勝はまったく無謀な目標であることは自分でも理解している。
ポイント賞のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
中間スプリントポイントでは、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)がアタックして、ぼくに勝った。彼がまだ数字の上でもポイント賞を獲得するチャンスがあるかはわからない。でも、どんな場合であれ、ぼくは自分の目的にしっかり焦点を合わせて、確実に進むつもりだ。
つまりパリでポイント賞の緑のジャージを着ることだ。だから、すべての中間スプリントポイントは重要だ。なにが起きるかわからないからだ。それと、今日はラルプ・デュエズを見物して、しっかり走った。とても楽しかった! 本当に多くの観客がいた。
総合2位・ステージ11位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
今日はチーム全員が苦しかった。序盤から脚の調子があまり良くなかったし、終盤には少し脱水症状になっていた。予想してはいたが、序盤はペースがとても速かった。それから天候は思っていたのと違って悪くはならなかった。雨天になることを期待して、モチベーションも高まっていたが、そうはならなかった。
チームメイトたちはしっかり仕事をしてくれた。アタック合戦が始まってからは、登りの長さを考えて自分のペースで走ることにした。今日の終盤は、不調のときにどこまでタイム差のロスを抑えられるかについてを考えていた。(2級山岳の)サレンヌからの下りは、アタックというわけではない。単純にグループから先行しようとしただけで、リスクを取らずに慎重に走りたかっただけだ。
たしかに、あそこで少しタイム差を稼いだ。でも、(差を付けるなら)もっと人数が必要なこともわかっていたし、誰も来ることは無かった。だから、モビスターが後ろでコントロールしていたこともあって、グループがやって来るまで待つことにした。
明日はなにが起きるかわからない。タフなステージだし、ぼくたちとしては天候の成り行きも見守りたい。序盤から(超級山岳の)グランドン峠とマドレーヌ峠が控えているので明日は最初から厳しい。それに土曜日(の第20ステージ)は本当に険しい山頂ゴールだ。今日は大きなチャンスがあったけど、単純に脚が反応しなかった。いまは明日に備えてしっかり休んで回復することを最優先としたい。
ステージ3位のモレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
今日は、序盤から好調さを感じた初めての日だった。今朝の段階では、逃げに入るにはあまり適した日だとは思えなかった。総合成績を争う選手たちの戦いが繰り広げられると思っていたからだ。集団から最初の逃げ集団が出たときは、衝動的に彼らに付いていった。今日の成績と自分の走りについては、満足している。
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)がアタックしたときは、自分はクライマーとして強い選手ではないことを自覚していたので、自分のペースで走ることに決めた。だから戦略的なレースができたと思う。彼やリブロンに付いていくのは、ぼくにはハード過ぎた。
ラルプ・デュエズは本当に素晴らしいショーで、自分のキャリアの一部にできたことがうれしい。明日はグルペットで走るつもりだ。さすがに、今日の消耗のツケが出てくるだろう。でも、自分としてはまったく後悔していない。
ステージ2位のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
負けてしまって、とてもつらい。同時に、あと少しで勝利できそうだったという事実に少し驚いている。
最初のラルプ・デュエズでの登りでアタックしたときはタイム差が7分しかなかったので、その時点ではあそこまで長く逃げられるとは思っていなかった。だから、このレースで自分の存在感を示すことだけを考えて走っていた。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
ステージ優勝・敢闘賞のクリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
8歳のときにテレビで自転車選手がラルプ・デュエズで勝利するのを見てから、ぼくもそうなりたいと思っていた。山岳の登り口でティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)がアタックしたときに、自分が彼に付いていけないことがわかった。それで「畜生。これじゃ2日前と同じ2位じゃないか……」と自分に言い聞かせた。
その後、残り3kmで彼の姿が見え、それほど好調じゃないこともわかった。そこで自分の運の良さを信じることにした。スプリントをすると、大勢の観客たちが応援もあって、ぼくは頂上に到達できた。
終盤は本当に厳しかった。残り5kmでは、勝てるとはまったく思っていなかった。だけどチームカーの中のジュリアン監督は、ぼくの可能性をまだ信じていて「あいつ(ヴァンガーデレン)はもうダメだ。追いつける!」とずっと激励するのを止めなかった。そのときは2位で走っていて、もう登るのを諦める気持ちになっていた。
ちょうど目の前にヴァンガーデレンの姿が見えて、彼に追いついた。そこではまったく彼を置いていくつもりはなくて、彼なら付いてくるだろうと思っていた……それで、すぐに遠慮なくアタックした。レースが大逆転して、自分でも震えていた。
ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)が前回、このラルプ・デュエズで勝ったことを覚えている[訳注:2011年の第19ステージ]。あのときはちょっとした喪失感を覚えた。今回はぼくがこのラルプ・デュエズで両腕を掲げることができて、とてもうれしい。
今大会のツールでぼくたちのチームはハードに戦ってきたが、すでに2名の選手が大会を去っている。マキシム・ブエ(フランス)と、昨日のジャンクリストフ・ペロー(フランス)だ。今朝のミーティングで話し合ったのは、もうこれ以上、不運は続かない、頭を上げ前を向いて、このツールを終えようということだった。
総合1位・山岳賞・ステージ7位のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
リッチー・ポルト(オーストラリア)は本当に偉大な選手だ。彼はこのレースでの自分の望みのすべてを犠牲にして、ぼくが着用しているジャージのキープに尽力してくれる。今日も素晴らしい仕事だ——本当に見事だった。今日の登り全体の基本的なペースは彼が作ってくれた。
あの登りは言葉にするのも難しい。大勢の人々が密集して大量の騒音だらけだったので、お互いに会話するためには本当に近づかなければ無理だった。そうやって、このステージを終えるためのペースについて話し合った。
今日は本当に厳しい日だった。でも、結局のところ、ぼくたちにとっては良いステージになった——総合成績のリードを広げることができた。それから今日は、ネルソン・マンデラ・デーという特別な日でもあった。だから、自分なりに、大勢の若いアフリカ人たちに、自分たちの夢を叶えることが出来ると示したかった。
(20秒の)ペナルティを受けることについては、専門的なことはわからない——リッチーがペナルティを受けるべきなのか、ぼくが受けるべきなのか——ただ、ペナルティについては理解できる。あの終盤では、ぼくは本当に糖分が必要だと感じていた。だから、20秒のペナルティを受けることになっても、ぼくはそれを受け入れるつもりだ。
今日は、今回のツールでも最大級にハードな日だった。ハードになるとは予想はしていた。ラルプ・デュエズを2回登るのだから。レースの終盤としても厳しい日になるだろうし、翌日にも響くだろうとも思っている。チームカーが少し離れたところで、ちょっとしたメカトラブルがあって遅れてしまった。それで、チームカーから補給を受けることなく、登りに入ってしまった。
「仕方ない。今は他に選択肢がない……」と思って、残り5kmの時点で、そのまま行くことに決めた。でも、そのおかげで20秒ほど失ってしまった。ただ、今日1日と自分たちの成績を全体的に捉えると、ぼくたちはリードを広げたことになる。これがバッド・デイというなら、それほど悪くはないと思う。
新人賞・総合3位のナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
今朝の段階で疲労を感じていたので、気温が高くならずに快適な気温のステージになったので助かった——このくらいの温度が自分には向いている。今日は、終盤にフルームをアタックするだけの脚はないと思っていた。
表彰台に乗るという目的はまだ持っている。それを達成するのが、ぼくの夢だ。両方を達成すること——つまり山岳賞と総合成績については、まだできていない。たしかに現実的じゃないと思う。
今日の結果ほど満足するものはない。総合成績が6位から3位にアップしたし、フルームとの差を1分以上詰めることができた……フルームにトラブルがあったことはわからなかった。(先に行ったのは)自分にとって、ちょうどよいタイミングだった。少し運が良かったのだと思う。
明日とその次の日は、かなりハードなステージになる。だから、素早く回復して、待ち受ける試練に備える必要がある……でも、フルームとのタイム差がここまで開いてしまっては、このツールでの総合優勝はまったく無謀な目標であることは自分でも理解している。
ポイント賞のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
中間スプリントポイントでは、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)がアタックして、ぼくに勝った。彼がまだ数字の上でもポイント賞を獲得するチャンスがあるかはわからない。でも、どんな場合であれ、ぼくは自分の目的にしっかり焦点を合わせて、確実に進むつもりだ。
つまりパリでポイント賞の緑のジャージを着ることだ。だから、すべての中間スプリントポイントは重要だ。なにが起きるかわからないからだ。それと、今日はラルプ・デュエズを見物して、しっかり走った。とても楽しかった! 本当に多くの観客がいた。
総合2位・ステージ11位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
今日はチーム全員が苦しかった。序盤から脚の調子があまり良くなかったし、終盤には少し脱水症状になっていた。予想してはいたが、序盤はペースがとても速かった。それから天候は思っていたのと違って悪くはならなかった。雨天になることを期待して、モチベーションも高まっていたが、そうはならなかった。
チームメイトたちはしっかり仕事をしてくれた。アタック合戦が始まってからは、登りの長さを考えて自分のペースで走ることにした。今日の終盤は、不調のときにどこまでタイム差のロスを抑えられるかについてを考えていた。(2級山岳の)サレンヌからの下りは、アタックというわけではない。単純にグループから先行しようとしただけで、リスクを取らずに慎重に走りたかっただけだ。
たしかに、あそこで少しタイム差を稼いだ。でも、(差を付けるなら)もっと人数が必要なこともわかっていたし、誰も来ることは無かった。だから、モビスターが後ろでコントロールしていたこともあって、グループがやって来るまで待つことにした。
明日はなにが起きるかわからない。タフなステージだし、ぼくたちとしては天候の成り行きも見守りたい。序盤から(超級山岳の)グランドン峠とマドレーヌ峠が控えているので明日は最初から厳しい。それに土曜日(の第20ステージ)は本当に険しい山頂ゴールだ。今日は大きなチャンスがあったけど、単純に脚が反応しなかった。いまは明日に備えてしっかり休んで回復することを最優先としたい。
ステージ3位のモレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
今日は、序盤から好調さを感じた初めての日だった。今朝の段階では、逃げに入るにはあまり適した日だとは思えなかった。総合成績を争う選手たちの戦いが繰り広げられると思っていたからだ。集団から最初の逃げ集団が出たときは、衝動的に彼らに付いていった。今日の成績と自分の走りについては、満足している。
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)がアタックしたときは、自分はクライマーとして強い選手ではないことを自覚していたので、自分のペースで走ることに決めた。だから戦略的なレースができたと思う。彼やリブロンに付いていくのは、ぼくにはハード過ぎた。
ラルプ・デュエズは本当に素晴らしいショーで、自分のキャリアの一部にできたことがうれしい。明日はグルペットで走るつもりだ。さすがに、今日の消耗のツケが出てくるだろう。でも、自分としてはまったく後悔していない。
ステージ2位のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
負けてしまって、とてもつらい。同時に、あと少しで勝利できそうだったという事実に少し驚いている。
最初のラルプ・デュエズでの登りでアタックしたときはタイム差が7分しかなかったので、その時点ではあそこまで長く逃げられるとは思っていなかった。だから、このレースで自分の存在感を示すことだけを考えて走っていた。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Seiya.YAMASAKI
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