2013/07/04(木) - 08:56
228kmのロングコースで行なわれたツール・ド・フランス第5ステージ。スタート直後に飛び出した新城幸也(ユーロップカー)が長時間にわたって逃げ続けたが、ゴールまで9kmを残して集団に吸収。最後は集団によるゴールスプリントに持ち込まれ、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が勝利した。
プロヴァンスの丘陵地帯を西に向かって走る一日。フランス第二の都市マルセイユにゴールする。今大会2番目に長い228.5kmのコースには、標高400m級の難易度の低いカテゴリー山岳が合計4つ設定されている。
ゴール12km手前にカテゴリーの付かない標高326mのジネスト峠(登坂距離8km・平均勾配3.1%)が登場するなど、「平坦ステージ」ながら起伏に満ちたコースレイアウト。一日の獲得標高差は2200mに及ぶ。
逃げにも充分チャンスがあるこの日、6人がエスケープを試みた。昨年ジロ・デ・イタリアで総合3位に入ったトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)のファーストアタックを切っ掛けに、2km地点で逃げグループが形成される。ここに全日本チャンピオンジャージの新城幸也(ユーロップカー)が入った。
デヘントとユキヤと共に逃げたのは、2009年ロード世界選手権U23チャンピオンのロメン・シカール(フランス、エウスカルテル)と、2012年ロード世界選手権U23チャンピオンのアレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)、カリブ海に浮かぶフランス領グアドループ島出身の両親をもつケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)、そして2007年のフランス選手権ジュニアロード優勝のアントニー・ドゥラプラス(フランス、ソジャサン)という面々。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのはユキヤで、マイヨジョーヌを着るサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)から3分42秒遅れの総合75位。逃げグループとメイン集団のタイム差が最大12分まで広がったため、ユキヤがヴァーチャルマイヨジョーヌ(暫定総合リーダー)となる。マイヨジョーヌを失いたくないオリカ・グリーンエッジが逃げグループとのタイム差に目を光らせた。
レース中盤、ロット・ベリソルとアルゴス・シマノが集団牽引に合流すると、10kmごとにおよそ1分のペースでタイム差は縮小を開始する。タイム差が6分に差し掛かる頃、もう一段ペースを上げたい逃げグループはユキヤ、レザ、ルトセンコ、デヘントの4人に。一方、メイン集団の牽引にはオメガファーマ・クイックステップも加わった。
残り50km地点で6分、残り40km地点で5分10秒、残り30km地点の4級山岳頂上で3分、残り20km地点で2分15秒。ヴァーチャルマイヨジョーヌを失いながらもユキヤはステージ優勝目指して逃げ続けたが、ゴール12km手前に位置するジネスト峠の登りでタイム差は縮小を続ける。緩斜面&向かい風のこの登りで、メイン集団からは多くのスプリンターが脱落した。
ゴール17km手前で繰り出されたユキヤのアタックは決まらず、タイム差はついに1分を割り込む。メイン集団内でピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)やマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)、クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・シャープ)を含む大規模な落車が発生したが、追走のペースは落ちない。
ジネスト峠の頂上を通過し、マルセイユの街に向かうダウンヒルが始まったところでルトセンコとレザの先行が決まる。デヘントとユキヤの2人はラスト9km地点で吸収。最後まで粘り強く逃げたルトセンコも、オメガファーマ・クイックステップが猛烈な勢いで牽引するメイン集団にラスト4kmで吸収された。
大都市マルセイユを舞台にした、およそ150名の集団によるゴールスプリント。フラムルージュ(ラスト1kmアーチ)通過とともにロット・ベリソルのトレインが発進し、マルセル・シーベルグ(ドイツ)とグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)がアンドレ・グライペル(ドイツ)を引き上げる。
しかしロットトレインは最終コーナーで隊列を崩してしまい、代わってオメガファーマ・クイックステップが先頭へ。タイミング良くヘルト・ステーグマン(ベルギー)がマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)をスプリントに導いた。
体調不良によって、この数日にわたって抗生物質を飲んでいたというカヴが、先頭を譲らないままフィニッシュラインまでスプリント。エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)とペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)は届かず、イギリスチャンピオンジャージのカヴが勝利した。
ツールのステージ通算24勝目を飾ったカヴェンディッシュは「プレッシャーから解き放たれたよ。今日は調子が良くなかったんだけど、一日中働き続けたチームメイトたちの姿を見て、何とか彼らに報いたいと思ったんだ。彼らが見せてくれたモチベーションが、僕に更なる力を与えてくれた」とコメントする。ステーグマンとのコンビネーションにも満足している様子。
マイヨヴェールはサガンがキープしたが、カヴが35ポイント差のポイント賞2位に浮上。今後、3週間にわたってサガンとカヴがマイヨヴェール争いを繰り広げることになる。
また、この日はレース終盤にかけて落車が多発。中でもラスト15km地点と最終ストレートでの落車が多くの犠牲者を出した。胃腸のトラブルに苦しんでいた上に、最終ストレートで落車したナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)は骨折を免れながらも左脚に大きな擦過傷。アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック・レオパード)は左手を骨折している。ヴァンデヴェルデは首を痛め、過去に埋め込んだボルトが外れた可能性。橈骨を骨折したマキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)はリタイアを決めている。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2013第5ステージ
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)5h31'51"
2位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
4位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
5位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
7位 フアンホセ・ロバト(スペイン、エウスカルテル)
8位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・サーヴェロ)
9位 シリル・ルモワンヌ(フランス、ソジャサン)
10位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
65位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
敢闘賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
個人総合成績 マイヨジョーヌ
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 18h19'15"
2位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +01"
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) +03"
7位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
8位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
9位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ) +09"
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)
ポイント賞 マイヨヴェール
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 111pts
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) 76ts
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) 76pts
山岳賞 マイヨブランアポワルージュ
1位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) 10pts
2位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 5pts
3位 ブレル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル) 5pts
新人賞 マイヨブラン
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)18h19'16"
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +16"
3位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) +19"
チーム総合成績
1位 オリカ・グリーンエッジ 54h05'53"
2位 スカイプロサイクリング +03"
3位 サクソ・ティンコフ +09"
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O., Cor Vos
プロヴァンスの丘陵地帯を西に向かって走る一日。フランス第二の都市マルセイユにゴールする。今大会2番目に長い228.5kmのコースには、標高400m級の難易度の低いカテゴリー山岳が合計4つ設定されている。
ゴール12km手前にカテゴリーの付かない標高326mのジネスト峠(登坂距離8km・平均勾配3.1%)が登場するなど、「平坦ステージ」ながら起伏に満ちたコースレイアウト。一日の獲得標高差は2200mに及ぶ。
逃げにも充分チャンスがあるこの日、6人がエスケープを試みた。昨年ジロ・デ・イタリアで総合3位に入ったトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)のファーストアタックを切っ掛けに、2km地点で逃げグループが形成される。ここに全日本チャンピオンジャージの新城幸也(ユーロップカー)が入った。
デヘントとユキヤと共に逃げたのは、2009年ロード世界選手権U23チャンピオンのロメン・シカール(フランス、エウスカルテル)と、2012年ロード世界選手権U23チャンピオンのアレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)、カリブ海に浮かぶフランス領グアドループ島出身の両親をもつケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)、そして2007年のフランス選手権ジュニアロード優勝のアントニー・ドゥラプラス(フランス、ソジャサン)という面々。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのはユキヤで、マイヨジョーヌを着るサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)から3分42秒遅れの総合75位。逃げグループとメイン集団のタイム差が最大12分まで広がったため、ユキヤがヴァーチャルマイヨジョーヌ(暫定総合リーダー)となる。マイヨジョーヌを失いたくないオリカ・グリーンエッジが逃げグループとのタイム差に目を光らせた。
レース中盤、ロット・ベリソルとアルゴス・シマノが集団牽引に合流すると、10kmごとにおよそ1分のペースでタイム差は縮小を開始する。タイム差が6分に差し掛かる頃、もう一段ペースを上げたい逃げグループはユキヤ、レザ、ルトセンコ、デヘントの4人に。一方、メイン集団の牽引にはオメガファーマ・クイックステップも加わった。
残り50km地点で6分、残り40km地点で5分10秒、残り30km地点の4級山岳頂上で3分、残り20km地点で2分15秒。ヴァーチャルマイヨジョーヌを失いながらもユキヤはステージ優勝目指して逃げ続けたが、ゴール12km手前に位置するジネスト峠の登りでタイム差は縮小を続ける。緩斜面&向かい風のこの登りで、メイン集団からは多くのスプリンターが脱落した。
ゴール17km手前で繰り出されたユキヤのアタックは決まらず、タイム差はついに1分を割り込む。メイン集団内でピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)やマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)、クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・シャープ)を含む大規模な落車が発生したが、追走のペースは落ちない。
ジネスト峠の頂上を通過し、マルセイユの街に向かうダウンヒルが始まったところでルトセンコとレザの先行が決まる。デヘントとユキヤの2人はラスト9km地点で吸収。最後まで粘り強く逃げたルトセンコも、オメガファーマ・クイックステップが猛烈な勢いで牽引するメイン集団にラスト4kmで吸収された。
大都市マルセイユを舞台にした、およそ150名の集団によるゴールスプリント。フラムルージュ(ラスト1kmアーチ)通過とともにロット・ベリソルのトレインが発進し、マルセル・シーベルグ(ドイツ)とグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)がアンドレ・グライペル(ドイツ)を引き上げる。
しかしロットトレインは最終コーナーで隊列を崩してしまい、代わってオメガファーマ・クイックステップが先頭へ。タイミング良くヘルト・ステーグマン(ベルギー)がマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)をスプリントに導いた。
体調不良によって、この数日にわたって抗生物質を飲んでいたというカヴが、先頭を譲らないままフィニッシュラインまでスプリント。エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)とペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)は届かず、イギリスチャンピオンジャージのカヴが勝利した。
ツールのステージ通算24勝目を飾ったカヴェンディッシュは「プレッシャーから解き放たれたよ。今日は調子が良くなかったんだけど、一日中働き続けたチームメイトたちの姿を見て、何とか彼らに報いたいと思ったんだ。彼らが見せてくれたモチベーションが、僕に更なる力を与えてくれた」とコメントする。ステーグマンとのコンビネーションにも満足している様子。
マイヨヴェールはサガンがキープしたが、カヴが35ポイント差のポイント賞2位に浮上。今後、3週間にわたってサガンとカヴがマイヨヴェール争いを繰り広げることになる。
また、この日はレース終盤にかけて落車が多発。中でもラスト15km地点と最終ストレートでの落車が多くの犠牲者を出した。胃腸のトラブルに苦しんでいた上に、最終ストレートで落車したナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)は骨折を免れながらも左脚に大きな擦過傷。アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック・レオパード)は左手を骨折している。ヴァンデヴェルデは首を痛め、過去に埋め込んだボルトが外れた可能性。橈骨を骨折したマキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)はリタイアを決めている。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2013第5ステージ
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)5h31'51"
2位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
4位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
5位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
7位 フアンホセ・ロバト(スペイン、エウスカルテル)
8位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・サーヴェロ)
9位 シリル・ルモワンヌ(フランス、ソジャサン)
10位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
65位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
敢闘賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
個人総合成績 マイヨジョーヌ
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 18h19'15"
2位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +01"
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) +03"
7位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
8位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
9位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ) +09"
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)
ポイント賞 マイヨヴェール
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 111pts
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) 76ts
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) 76pts
山岳賞 マイヨブランアポワルージュ
1位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) 10pts
2位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 5pts
3位 ブレル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル) 5pts
新人賞 マイヨブラン
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)18h19'16"
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +16"
3位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) +19"
チーム総合成績
1位 オリカ・グリーンエッジ 54h05'53"
2位 スカイプロサイクリング +03"
3位 サクソ・ティンコフ +09"
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O., Cor Vos
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