極太のアルミメガチューブで構成されたエアロロードバイク、サーべロS1。すべてのサーベロのロードバイクの歴史の原点はここから始まる。

サーベロS1サーベロS1 photo:MakotoAYANO/cyclowired.jpソロイストシリーズの原型、すなわちSシリーズの原点であるS1は、サーベロがこだわり続けているエアロダイナミクスを最も手軽に体験できるバイクだ。

ただし、サーベロによれば「アルミモデルが廉価版」という認識は一切ない。「サーベロのバイクは全てがフラッグシップモデル」だという。

独自のスマートウォール2アルミチューブを採用したS1は、春のクラシックレースでは多くのプロ選手が好んでこのバイクを使用してきた。距離の長いステージレースではカーボンバイクのほうが優位性は高いが、ワンデーレースでは、アルミ独自の踏み出しの軽さ、アタック時の反応の良さはカーボンバイクに引けを取らないという。

BB周辺にかけて 溶接部は美しい仕上がりだBB周辺にかけて 溶接部は美しい仕上がりだ 大きく扁平したスマートウォール2アルミチューブを採用している大きく扁平したスマートウォール2アルミチューブを採用している

3T FUNDAストレートフォークを採用。PRO譲りの高性能だ3T FUNDAストレートフォークを採用。PRO譲りの高性能だ シフトケーブルは内蔵加工されるシフトケーブルは内蔵加工される 扁平シートチューブに合わせた専用シートピラー扁平シートチューブに合わせた専用シートピラー


価格設定はフレームセット価格で197,400円、完成車価格で336,000円(いずれも税込み)。サーベロでもっとも手ごろなS1はどのような位置づけなのだろうか。


インプレッション



「サーベロSシリーズならではのテイストを味わえるリアルレーサー」鈴木祐一(Rise Ride)「サーベロSシリーズならではのテイストを味わえるリアルレーサー」鈴木祐一(Rise Ride) 「サーベロSシリーズならではのテイストを味わえる」
鈴木祐一(Rise Ride)

アルミフレームということで、他のカーボンバイク2機種、S2S3とどうしても比べてしまう。それらカーボンモデル2機種とは、基本的な設計は遜色ないレベルだった。Sシリーズ3つに乗ってみて、素材がカーボンであろうがアルミであろうが、サーベロが作りたいバイクのテーマがはっきり表現できているように感じた。

サーベロが作りたいバイクのテーマである、見た目からも分かるようなエアロ効果や、反応の速さであるクイック感はかなり評価できる点だ。

ハンドリングに関しては、反応性が高すぎるというか、レーサー向けのように感じた。今の時代、一般のサイクリストが増えているが、このバイクは日本で言えば実業団や登録レースに出るようなレーサー向けだ。そして、ハンドリング性能がハイレベルのレースでの武器になってくるだろう。

振動吸収性に関しては、アルミフレームの縦につぶれた形状をしているので、さすがにいいとは感じなかった。ゴツゴツと突き上げる感じは大きい。

コーナリングに関しても、他のSシリーズと同様にかなりクイックなので、慣れやテクニックが必要だ。

加速感に関しては、僕が評価しているサーベロSシリーズ全体に言えることですが、レースシチュエーションで考えたとき、登りでペースが上がったり、誰かがアタックをかけて反応しなければならないというときに、スピードを中速〜高速へとグッと上げやすいと感じた。

ただ、それがアルミの場合、スピードが伸びるかというと、踏んだ分は進むが、自転車に助けられるプラスアルファの部分があるか?という面では、上位機種のカーボンバイクに一歩譲ると思った。ただし踏んだ分が減少して推進力になるわけではないので、悪いわけではない。ダイレクトなバイクだ。

使用用途は、やはりレースで使うレーシングバイク。気合を入れて乗って欲しい一台だ。


「サーベロ共通の上級者向けスペック。アレンジ次第で楽しめる」浅見和洋(なるしまフレンド)「サーベロ共通の上級者向けスペック。アレンジ次第で楽しめる」浅見和洋(なるしまフレンド)

「エアロ効果を生かしたスペシャルな一台にセットアップしたい」


浅見和洋(なるしまフレンド)

見た目がアルミフレームで、あれだけ扁平なデザインでボリュームがあるので、相当加速感が強い硬いバイクだと期待していた。だが、乗ると意外にマイルドな柔らかい部分も持ち、硬いイメージはそれほど無かった。

逆に、あまりにも扁平すぎて横剛性が鈍いのか、自分は走行中にダンシングする割合が多いのだが、ダンシングしたときに”よれるような違和感”を感じた。
あくまでもこのバイクはシッティング重視のライダーが乗った際に力を発揮するのではないかと感じた。

振動吸収性に関しては、細かな振動に対しては鈍いが、荒い振動に対しては比較的よく吸収してくれるので、そんなに悪い印象は受けなかった。

見た目的な部分では、S1は超扁平のダウンチューブを持っていて、いかにもエアロダイナミクス効果を発揮しそうで、一般ユーザーには購買意欲をそそると思う。
色合いも非常に鮮やかなレッドとホワイトのツートンで、とてもレーシーな感じ。形状も、アルミであれだけ斬新なデザインは他社では考えられないぐらい。これは、まさにサーベロS1ならではの魅力だと思う。

正直、乗りにくい部分はあるので、あくまで上級者スペックで、癖があり、ライダーへの負担もあるので、初心者にとっては操りやすいとは言いがたい。一番最初に購入する一台には向かないだろう。だが、上級者にとっては、TTバイクにアレンジしたり、平坦オンリーに特化したバイクにするなど、スペシャルな一台に作り上げる楽しみはあるだろう。


サーベロS1 サーベロS1  photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp

サーベロS1


フレーム Cervelo True Aero Smartwall 2 Aluminum
フォーク 3T Funda
ヘッドセット Cane Creek Integrated
シートポスト Cervelo aero carbon 2-position
サイズ 48、51、54、56
フレームセット価格 197,400円 (税抜 188,000円)

アルテグラSL完成車
メインコンポ Ultegra SL
ハンドルバー 3T Ergonova
ステム 3T Arx Pro
ホイール Easton Vista
タイヤ Vittoria Rubino Pro Slick 23mm


鈴木祐一(Rise Ride)鈴木祐一(Rise Ride)

インプレライダーのプロフィール


鈴木祐一(Rise Ride)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。
2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド


浅見和洋(なるしまフレンド)浅見和洋(なるしまフレンド) 浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド



ウェア協力:ゴールドウィン

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