2013/06/06(木) - 10:43
32.5kmの個人タイムトライアルが、マイヨジョーヌ候補の明暗を分けた。好タイムをマークしたフルームに対し、コンタドールは61位に沈む。世界チャンピオンのマルティンの走りはこの日も冴え渡っていた。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第4ステージはリヨン近郊のヴィラール・デ・ドンブを発着する32.5kmの個人タイムトライアル。登りを含まない真っ平ら&直線基調のコースが選手たちの脚を試す。
アルカンシェルを着るトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)は中間計測ポイントでトップタイムを連発。食あたりによって数日間苦しんでいたマルティンが「100%の状態ではなかった」と語りながらも、貫禄のステージ優勝を飾ってみせた。
マルティンの平均スピードは52.8km/h。今シーズンのタイムトライアルでは負け無しの強さを見せている。「このタイムトライアルで勝つことが最大の目標だった。数日間調子を崩していたけど、何とか今日までに回復することが出来てよかったよ。久々に距離の長いタイムトライアルで、コースを楽しみながら走ることが出来た。ツールのタイムトライアルでライバルになるフルームからリードを奪うことが出来てハッピーだ」。
47秒差のステージ2位に入ったのは、23歳になったばかりのローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)。トラック世界選手権の団体追い抜きで2度世界チャンピオンに輝いているデニスが、ステージ76位に沈んだダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)から総合首位の座を奪うことに成功する。プロ1年目のルーキーがマイヨジョーヌに袖を通した。
「ホワイトジャージ(新人賞ジャージ)が目標だったのに、イエロージャージが手元にやってきた。ワールドツアーレースでリーダージャージを着るなんて夢のようだ。マルティンに匹敵するようなタイムでゴールしたことに驚いている。今日は一定ペースで走り続けることに専念した。後半にかけてパワーを落とすことなく、更に上げて行ける感触を得た。このジャージを出来る限り長く着たい」。
昨年ツアー・ダウンアンダーで総合5位、新人賞、山岳賞を獲得し、トラック世界選手権とロンドン五輪の団体追い抜きで銀メダル、ロード世界選手権U23タイムトライアルで銀メダルを獲得している若きオージーがドーフィネの総合争いをリードする。
しかしデニスの総合リードは僅かだと言っていい。ステージ3位に入ったクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が僅か5秒差の総合2位につける。ライバルたちに対し総合リードを奪うことに成功したフルーム。この日、スカイプロサイクリングはエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)、リッチー・ポルト(オーストラリア)、ゲラント・トーマス(イギリス)をトップ10に送り込んだ。
スカイが盤石な体制を誇示した一方で、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)をはじめとするスパニッシュオールラウンダーたちは軒並みタイムを失った。
2分差でスタートしたポルトに抜かれてゴールしたコンタドールは「こんな悪い日もある。(花粉症と推測される)アレルギーに苦しめられた。7月のツールまでにはアレルギーが改善されていることを望むよ」とコメントしているが、明らかにバイクフィッティングの悪さを感じさせる走りだった。
32.5kmコースでついたフルームとコンタドールのタイム差は2分45秒。なお、ツール・ド・フランスには33kmと32kmの個人タイムトライアルが設定されている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第4ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) 36'54"
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +47"
3位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) +52"
4位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) +1'08"
5位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)+1'13"
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) +1'19"
7位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +1'20"
8位 ヤン・バルタ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ) +1'36"
9位 マルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム) +1'38"
10位 ゲラント・トーマス(イギリス、スカイプロサイクリング) +1'42"
25位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +2'43"
45位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +3'22"
46位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +3'23"
53位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +3'29"
54位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +3'29"
61位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) +3'37"
70位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +3'48"
76位 ダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー) +3'53"
138位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) +5'30"
個人総合成績
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ) 12h40'00"
2位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) +05"
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +26"
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) +32"
5位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +33"
6位 ゲラント・トーマス(イギリス、スカイプロサイクリング) +55"
7位 ダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー) +1'09"
8位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ) +1'11"
9位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング) +1'14"
10位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ) +1'26"
ポイント賞
ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
山岳賞
トマ・ダムソー(フランス、アルゴス・シマノ)
新人賞
ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第4ステージはリヨン近郊のヴィラール・デ・ドンブを発着する32.5kmの個人タイムトライアル。登りを含まない真っ平ら&直線基調のコースが選手たちの脚を試す。
アルカンシェルを着るトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)は中間計測ポイントでトップタイムを連発。食あたりによって数日間苦しんでいたマルティンが「100%の状態ではなかった」と語りながらも、貫禄のステージ優勝を飾ってみせた。
マルティンの平均スピードは52.8km/h。今シーズンのタイムトライアルでは負け無しの強さを見せている。「このタイムトライアルで勝つことが最大の目標だった。数日間調子を崩していたけど、何とか今日までに回復することが出来てよかったよ。久々に距離の長いタイムトライアルで、コースを楽しみながら走ることが出来た。ツールのタイムトライアルでライバルになるフルームからリードを奪うことが出来てハッピーだ」。
47秒差のステージ2位に入ったのは、23歳になったばかりのローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)。トラック世界選手権の団体追い抜きで2度世界チャンピオンに輝いているデニスが、ステージ76位に沈んだダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)から総合首位の座を奪うことに成功する。プロ1年目のルーキーがマイヨジョーヌに袖を通した。
「ホワイトジャージ(新人賞ジャージ)が目標だったのに、イエロージャージが手元にやってきた。ワールドツアーレースでリーダージャージを着るなんて夢のようだ。マルティンに匹敵するようなタイムでゴールしたことに驚いている。今日は一定ペースで走り続けることに専念した。後半にかけてパワーを落とすことなく、更に上げて行ける感触を得た。このジャージを出来る限り長く着たい」。
昨年ツアー・ダウンアンダーで総合5位、新人賞、山岳賞を獲得し、トラック世界選手権とロンドン五輪の団体追い抜きで銀メダル、ロード世界選手権U23タイムトライアルで銀メダルを獲得している若きオージーがドーフィネの総合争いをリードする。
しかしデニスの総合リードは僅かだと言っていい。ステージ3位に入ったクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が僅か5秒差の総合2位につける。ライバルたちに対し総合リードを奪うことに成功したフルーム。この日、スカイプロサイクリングはエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)、リッチー・ポルト(オーストラリア)、ゲラント・トーマス(イギリス)をトップ10に送り込んだ。
スカイが盤石な体制を誇示した一方で、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)をはじめとするスパニッシュオールラウンダーたちは軒並みタイムを失った。
2分差でスタートしたポルトに抜かれてゴールしたコンタドールは「こんな悪い日もある。(花粉症と推測される)アレルギーに苦しめられた。7月のツールまでにはアレルギーが改善されていることを望むよ」とコメントしているが、明らかにバイクフィッティングの悪さを感じさせる走りだった。
32.5kmコースでついたフルームとコンタドールのタイム差は2分45秒。なお、ツール・ド・フランスには33kmと32kmの個人タイムトライアルが設定されている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第4ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) 36'54"
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +47"
3位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) +52"
4位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) +1'08"
5位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)+1'13"
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) +1'19"
7位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +1'20"
8位 ヤン・バルタ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ) +1'36"
9位 マルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム) +1'38"
10位 ゲラント・トーマス(イギリス、スカイプロサイクリング) +1'42"
25位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +2'43"
45位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +3'22"
46位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +3'23"
53位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +3'29"
54位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +3'29"
61位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) +3'37"
70位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +3'48"
76位 ダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー) +3'53"
138位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) +5'30"
個人総合成績
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ) 12h40'00"
2位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) +05"
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +26"
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) +32"
5位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +33"
6位 ゲラント・トーマス(イギリス、スカイプロサイクリング) +55"
7位 ダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー) +1'09"
8位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ) +1'11"
9位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング) +1'14"
10位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ) +1'26"
ポイント賞
ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
山岳賞
トマ・ダムソー(フランス、アルゴス・シマノ)
新人賞
ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos
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