2013/05/22(水) - 16:05
大会2回目の休息日、選手たちはフランスのヴァロワールとイタリアのバルドネッキアのホテルに分かれて過ごした。地形的にどこに行っても登りと下りしかないため、多くの選手たちがホテルでローラー台に乗って汗をかく。すっきりと晴れ渡る山間の街で、選手たちは3週目に向けて身体を休めた。
雪に包まれた1級山岳モンセニスを走るプロトン photo:Kei Tsuji
1級山岳モンセニスのダウンヒル photo:Kei Tsuji
ダニーロ・ディルーカ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)とモンセニスの石碑 photo:Kei Tsuji
第16ステージは標高2081mの1級山岳モンセニスを登り返してイタリアに戻る。フランスからイタリアに戻ると、ポリースがポリツィーア(警察)に、ジャンダルマリーがカラビニエーリ(憲兵)にバトンタッチ。国境付近の人々は二カ国語を話すので、交通整理の引き継ぎ作業はスムーズに行なわれる。
2日前は通行も危ぶまれたほどの積雪に見舞われたモンセニス。頂上付近はまだまだ真っ白な状態だが、2日間好天が続いたためコース脇の雪は随分と解けた。
「5月にこんなに雪が降るなんて本当に珍しい」と宿のオーナーが目を丸くして驚くほど、今年は平均を大きく下回る気温と天候にジロは苦しめられている。第16ステージは基本的に晴れの陽気に包まれたが、モンセニスの下りで雨が降った。気温が6度まで下がったと思ったら、今度は太陽が出て20度まで上がる。選手をサポートするスタッフも天候に振り回されている。
モンセニスを連なって下るプロトン photo:Kei Tsuji
今年からマリアローザのメインスポンサーがエスタテ社からバロッコ社に変更された。同社は2010年から2012年までセリエAユベントスFCのスポンサーを務めるなど、イタリアの中ではかなり大手のお菓子メーカー。マリアローザの胸元には堂々とBALOCCOのロゴが入る。
ツール・ド・フランスではマイヨジョーヌのスポンサーであるLCL(クレディ・リヨネ)のライオンのぬいぐるみが表彰台で渡されるのが通例。マイヨジョーヌ着用数が長ければ長いほど、ぬいぐるみでチームバスのフロントガラスが埋め尽くされるようになる。
今年のジロでもその慣習が踏襲された。表彰台では、BALOCCOのロゴ入りマリアローザ枕が表彰台で渡されている。アスタナのチームバスのフロントガラスには第16ステージのスタート時点で8個のマリアローザ枕が並ぶ。つまりニーバリはもう8日間もマリアローザを着ている。
アスタナのチームバスのフロントガラスが賑やかになって来た(写真は第14ステージ) photo:Kei Tsuji
イタリアに入り、ピエモンテ州を北に向かう photo:Riccardo Scanferla
ガゼッタ紙によると、イタリア国内におけるガリビエステージの視聴率は28%で、視聴者数は390万人。ニーバリの活躍に加え、ヴィスコンティが独走したこと、パンターニ所縁の地がジロに初登場したこと、季節外れの吹雪に見舞われたことがイタリア人の視聴者を刺激した。
やはりイタリア人の活躍はイタリアでの関心度を多いに上げる。レースに合わせて移動する際、ジロでは宿泊ホテルに余裕がある場合が多いが(ツール比)、ニーバリの活躍を受け、ステルヴィオ近辺のホテルはここ数日で完全に埋まった。ニーバリ効果は絶大だ。
ゴール地点イヴレアの街を駆け抜ける photo:Kei Tsuji
ジロ観戦に訪れた4人組 photo:Kei Tsuji
ピナレロの応援グッズがあちこちに photo:Kei Tsuji
かつてジロでは総合最下位の証として「マリアネーラ(黒いジャージ)」が存在した。現在では姿を消したものの、「マリアネーラ」という言葉は一般的に使われている。名誉であって、名誉ではないような。今年のマリアネーラ争いで独走していたのは、ジロ初出場のマッティア・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニジョカトリ)。2009年のツール・ド・ランカウイでステージ4勝を飾っているスプリンターだ。
山岳ステージではいつもグルペットの最後尾、もしくはグルペットからも遅れてゴールしていたガヴァッツィ。特に勾配の有る登りが苦手で、第16ステージ終盤の3級山岳アンドラーテでも案の定グルペットから遅れてしまう。そこでガヴァッツィはチームカーに捕まって登りをクリア。グルペットでゴールに辿り着いたガヴァッツィを待っていたのは失格処分だった。
実際は、決して認められることではないが、他の選手も同様の行為を行なっている。グルペットから大きく遅れていた選手が、何事もなかったかのようにグルペットでゴールしているケースもある。それがステージ成績や総合成績に関係のない場合は、不問に付されていることが多い。今回のガヴァッツィの場合、コミッセール(審判)からの再三の注意を無視して複数回チームカーに捕まったことが失格に繋がった。
2分24秒遅れでゴールするマウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji
マリアローザはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がキープ photo:Kei Tsuji
積極的な走りを見せるカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)がマリアビアンカを守る photo:Kei Tsuji
ゴール地点イヴレアは、毎年2月にオレンジを投げつけあう「オレンジ戦争(battaglia delle arance)」の舞台としても有名。3週目の初日、マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)、ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)はこのオレンジの街に辿り着けなかった。第16ステージを終えた時点でレースに残っているのは173名。悪天候の影響もあり、すでに34名がレースを去っている。
ジロは残り5ステージ。天気予報によると、勝負のかかる第18ステージ&第19ステージの天気は思わしくない。気温も低く、山間部は雪になる。再びコース変更を強いられる可能性が高くなって来た。
text&photo:Kei Tsuji in Ivrea, Italy
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第16ステージは標高2081mの1級山岳モンセニスを登り返してイタリアに戻る。フランスからイタリアに戻ると、ポリースがポリツィーア(警察)に、ジャンダルマリーがカラビニエーリ(憲兵)にバトンタッチ。国境付近の人々は二カ国語を話すので、交通整理の引き継ぎ作業はスムーズに行なわれる。
2日前は通行も危ぶまれたほどの積雪に見舞われたモンセニス。頂上付近はまだまだ真っ白な状態だが、2日間好天が続いたためコース脇の雪は随分と解けた。
「5月にこんなに雪が降るなんて本当に珍しい」と宿のオーナーが目を丸くして驚くほど、今年は平均を大きく下回る気温と天候にジロは苦しめられている。第16ステージは基本的に晴れの陽気に包まれたが、モンセニスの下りで雨が降った。気温が6度まで下がったと思ったら、今度は太陽が出て20度まで上がる。選手をサポートするスタッフも天候に振り回されている。
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今年からマリアローザのメインスポンサーがエスタテ社からバロッコ社に変更された。同社は2010年から2012年までセリエAユベントスFCのスポンサーを務めるなど、イタリアの中ではかなり大手のお菓子メーカー。マリアローザの胸元には堂々とBALOCCOのロゴが入る。
ツール・ド・フランスではマイヨジョーヌのスポンサーであるLCL(クレディ・リヨネ)のライオンのぬいぐるみが表彰台で渡されるのが通例。マイヨジョーヌ着用数が長ければ長いほど、ぬいぐるみでチームバスのフロントガラスが埋め尽くされるようになる。
今年のジロでもその慣習が踏襲された。表彰台では、BALOCCOのロゴ入りマリアローザ枕が表彰台で渡されている。アスタナのチームバスのフロントガラスには第16ステージのスタート時点で8個のマリアローザ枕が並ぶ。つまりニーバリはもう8日間もマリアローザを着ている。
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やはりイタリア人の活躍はイタリアでの関心度を多いに上げる。レースに合わせて移動する際、ジロでは宿泊ホテルに余裕がある場合が多いが(ツール比)、ニーバリの活躍を受け、ステルヴィオ近辺のホテルはここ数日で完全に埋まった。ニーバリ効果は絶大だ。
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かつてジロでは総合最下位の証として「マリアネーラ(黒いジャージ)」が存在した。現在では姿を消したものの、「マリアネーラ」という言葉は一般的に使われている。名誉であって、名誉ではないような。今年のマリアネーラ争いで独走していたのは、ジロ初出場のマッティア・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニジョカトリ)。2009年のツール・ド・ランカウイでステージ4勝を飾っているスプリンターだ。
山岳ステージではいつもグルペットの最後尾、もしくはグルペットからも遅れてゴールしていたガヴァッツィ。特に勾配の有る登りが苦手で、第16ステージ終盤の3級山岳アンドラーテでも案の定グルペットから遅れてしまう。そこでガヴァッツィはチームカーに捕まって登りをクリア。グルペットでゴールに辿り着いたガヴァッツィを待っていたのは失格処分だった。
実際は、決して認められることではないが、他の選手も同様の行為を行なっている。グルペットから大きく遅れていた選手が、何事もなかったかのようにグルペットでゴールしているケースもある。それがステージ成績や総合成績に関係のない場合は、不問に付されていることが多い。今回のガヴァッツィの場合、コミッセール(審判)からの再三の注意を無視して複数回チームカーに捕まったことが失格に繋がった。
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ジロは残り5ステージ。天気予報によると、勝負のかかる第18ステージ&第19ステージの天気は思わしくない。気温も低く、山間部は雪になる。再びコース変更を強いられる可能性が高くなって来た。
text&photo:Kei Tsuji in Ivrea, Italy
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