2013/05/18(土) - 17:28
昨日134kmだったのに今日は254km。レース時間は倍以上。晴れたことが何よりもの救い。ゴール地点ケラスコからは真っ白なアルプスの山々を望むことが出来る。勝負に向けてカウントダウンが始まった。
パリ〜ルーベやロンド・ファン・フラーンデレンなどのワンデークラシックに匹敵する254kmのロングステージ。スタート地点は、オペラ作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの生誕地であるエミリア=ロマーニャ州のブッセートに置かれた。
「アイーダ」や「椿姫」を生み出したヴェルディは1813年10月10日に誕生。つまりヴェルディの生誕200周年を祝うためにジロは同地を訪れる。各地の「〜〜周年」に絡めたステージを設定することがここ数年のジロのトレンドだ。
スタート地点にブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)とライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)の姿は無かった。ウィギンズは気温の低いイギリスに戻らず、比較的気温の高いイタリアにしばらく滞在する予定。ゴール地点でサイクリングするウィギンズを目撃したのはここだけの話。
レース前半は真っ平らなロンバルディア平原で、後半はピエモンテの丘陵地帯。これまでイタリアで多くのブドウ畑を見て来たが、ピエモンテの丘陵地帯に広がるブドウ畑は圧巻。360度どこを見回しても、丘の斜面がブドウに覆われている。バルバレスコやバローロ、アスティといった世界的なワインの産地をジロは通る。幹線道路ではなく、ブドウ畑が美しく見える(フォトグラファーにしっかり撮れと言っているような)コースをわざと設定している。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)のイタリア国内の人気はますます上がっている。マリアローザよりもマリアロッサを探す観客も多い。マリアロッサのレプリカジャージを着るサイクリストも多い。
カヴェンディッシュは27歳(5月21日で28歳)の若さで、プロ6年目でキャリア100勝目を達成した。これは歴代のスプリンターと比較してもかなり早い記録。カヴェンディッシュと同じ年齢で他のスプリンターがどれだけ勝っていたかと言うと、ボーネン83勝、ツァベル75勝、チポッリーニ69勝、マキュアン38勝、ペタッキ15勝(ガゼッタ紙調べ)。
ガゼッタ紙のインタビューの中でカヴェンディッシュは「世界選手権が歴代最高の勝利」と語っている。ここまで勝ちまくっているカヴェンディッシュに足りないものは「ヘント〜ウェベルヘム。いつか勝ってみせる」。
ゴール後、表彰台に向かうように急かす大会スタッフをなだめてコースに残り、遅れてゴールするチームメイトを根気強く待って一人一人抱きしめるところも好感が持てる。レース後の記者会見でも積極的にイタリア語で話すなど、報道陣との関係も良い。
スカイプロサイクリングからオメガファーマ・クイックステップに移籍したことでリードアウトトレインが組めなくなり、ジロで勝てないのではないかと言われていたが、蓋を開けてみればスプリント4勝。チームの雰囲気はすこぶる良い。公私ともに充実していることが追い風になっている。
悪天候は引き続きジロ主催者の頭を悩ます。第14ステージのゴール地点バルドネッキアの1級山岳ジャフロー(標高1908m)は降雪があっても問題ないとされているが、翌日の第15ステージのゴール地点ガリビエ峠(標高2642m)には登らない可能性が高くなっている。
フランスメディアが伝えたところによると、ここ数日降り続いた雪によってガリビエ峠は真っ白な状態。現在ジロ主催者が懸命に除雪作業をしており、頂上までの道はなんとか確保されている。しかし、選手の安全を守れないとして、ガリビエ峠をコースから外す方向で動いているという。
大会関係者によると、ガリビエ峠に登らない可能性は「90%」。その場合はガリビエ峠の登り口にあるレ・ヴェルネイにゴールが置かれる。問題なのはガリビエ峠だけではなく、レース前半に登場する1級山岳モンセニス(標高2094m)も積雪によって通行不可になる可能性も。その場合はスタート地点がフランス国内に移される。
コースがどうなるにせよ、とにかくジロは山場に差し掛かる。取材する側としては、雪山で遭難することだけは避けたい。
text&photo:Kei Tsuji in Cherasco, Italy
パリ〜ルーベやロンド・ファン・フラーンデレンなどのワンデークラシックに匹敵する254kmのロングステージ。スタート地点は、オペラ作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの生誕地であるエミリア=ロマーニャ州のブッセートに置かれた。
「アイーダ」や「椿姫」を生み出したヴェルディは1813年10月10日に誕生。つまりヴェルディの生誕200周年を祝うためにジロは同地を訪れる。各地の「〜〜周年」に絡めたステージを設定することがここ数年のジロのトレンドだ。
スタート地点にブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)とライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)の姿は無かった。ウィギンズは気温の低いイギリスに戻らず、比較的気温の高いイタリアにしばらく滞在する予定。ゴール地点でサイクリングするウィギンズを目撃したのはここだけの話。
レース前半は真っ平らなロンバルディア平原で、後半はピエモンテの丘陵地帯。これまでイタリアで多くのブドウ畑を見て来たが、ピエモンテの丘陵地帯に広がるブドウ畑は圧巻。360度どこを見回しても、丘の斜面がブドウに覆われている。バルバレスコやバローロ、アスティといった世界的なワインの産地をジロは通る。幹線道路ではなく、ブドウ畑が美しく見える(フォトグラファーにしっかり撮れと言っているような)コースをわざと設定している。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)のイタリア国内の人気はますます上がっている。マリアローザよりもマリアロッサを探す観客も多い。マリアロッサのレプリカジャージを着るサイクリストも多い。
カヴェンディッシュは27歳(5月21日で28歳)の若さで、プロ6年目でキャリア100勝目を達成した。これは歴代のスプリンターと比較してもかなり早い記録。カヴェンディッシュと同じ年齢で他のスプリンターがどれだけ勝っていたかと言うと、ボーネン83勝、ツァベル75勝、チポッリーニ69勝、マキュアン38勝、ペタッキ15勝(ガゼッタ紙調べ)。
ガゼッタ紙のインタビューの中でカヴェンディッシュは「世界選手権が歴代最高の勝利」と語っている。ここまで勝ちまくっているカヴェンディッシュに足りないものは「ヘント〜ウェベルヘム。いつか勝ってみせる」。
ゴール後、表彰台に向かうように急かす大会スタッフをなだめてコースに残り、遅れてゴールするチームメイトを根気強く待って一人一人抱きしめるところも好感が持てる。レース後の記者会見でも積極的にイタリア語で話すなど、報道陣との関係も良い。
スカイプロサイクリングからオメガファーマ・クイックステップに移籍したことでリードアウトトレインが組めなくなり、ジロで勝てないのではないかと言われていたが、蓋を開けてみればスプリント4勝。チームの雰囲気はすこぶる良い。公私ともに充実していることが追い風になっている。
悪天候は引き続きジロ主催者の頭を悩ます。第14ステージのゴール地点バルドネッキアの1級山岳ジャフロー(標高1908m)は降雪があっても問題ないとされているが、翌日の第15ステージのゴール地点ガリビエ峠(標高2642m)には登らない可能性が高くなっている。
フランスメディアが伝えたところによると、ここ数日降り続いた雪によってガリビエ峠は真っ白な状態。現在ジロ主催者が懸命に除雪作業をしており、頂上までの道はなんとか確保されている。しかし、選手の安全を守れないとして、ガリビエ峠をコースから外す方向で動いているという。
大会関係者によると、ガリビエ峠に登らない可能性は「90%」。その場合はガリビエ峠の登り口にあるレ・ヴェルネイにゴールが置かれる。問題なのはガリビエ峠だけではなく、レース前半に登場する1級山岳モンセニス(標高2094m)も積雪によって通行不可になる可能性も。その場合はスタート地点がフランス国内に移される。
コースがどうなるにせよ、とにかくジロは山場に差し掛かる。取材する側としては、雪山で遭難することだけは避けたい。
text&photo:Kei Tsuji in Cherasco, Italy
Amazon.co.jp