2013/05/15(水) - 14:51
大会初の集団スプリントを迎えたツアー・オブ・カリフォルニア第3ステージ。最速でゴールラインを切ったのは、昨年度大会で5勝を飾ったペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)。ピュアスプリンターとの真っ向勝負を制し、余裕のガッツポーズを決めた。
高温の続くカリフォルニア州で開催中のツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)。5月14日に開催された第3ステージは、航空宇宙産業で賑わう州南部のパームデールを出発し、周回コースを経てサンタ・クラリアへと至る177.5kmで争われた。
内陸部の丘陵・山岳地帯を走るため、コースはテゴリー4級の山岳ポイントが計4ヶ所設けられる設定に。144km地点に控える最後の山岳ポイント「ブーケット・キャニオン」(獲得標高138m)をクリアすると、およそ30kmに渡る下りを経てゴールへと到達する。
全体的に山がちながら難易度は低め。勝負は上りをクリアしたスプリンターによるゴールスプリント、もしくは小集団による逃げ切りになるという予想に。この日はピーター・セリー(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)やマウロ・ダダルト(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)がスタートを取りやめた。
スタート直後からアタックが頻発する展開に持ち込まれ、幾つかのグループが先行するものの、決定的なリードを奪うには至らない。
21kmを経過すると、アンディ・シュレク(ルクセンブルク)やイェンス・フォイクト(ドイツ、共にレディオシャック・レオパード)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)、ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)らを含む超強力な23名が45秒ほど先行していく。
しかし有力勢がこぞって逃げたため集団はこれを逃さず、最初の4級山岳・マンズランチへと至る上りで全て吸収し、レースは振り出しに戻される。すると山頂通過後、シュレクが再びアタック。ここには第1ステージ勝者リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)やチャド・ベイヤー(アメリカ、チャンピオンシステム・プロサイクリング)、ギャビン・マニオン(アメリカ、ボントレガー)が加わり、この日の逃げが成立した。
終始テンポの早い展開が続いたため、集団は逃げを見送ると一気にペースダウンし、逃げる4名は80km地点でこの日の最大タイム差4分30秒をマーク。これ以降はリーダージャージ擁するジェーミス・ハーゲンが牽引を開始したことで、4名のリードは徐々に削り取られていく。
そんな中で連続する第2、第3山岳ポイントはベイヤーが連続で先頭通過。中盤に2つ設定された中間スプリントは、争わずしてヴェストラがどちらも1位で通過した。
乾いた大地を風が強く吹き付ける中、残り40kmを切ってからはタイラー・ファラー(アメリカ)での勝利を目論むガーミン・シャープ勢が集団コントロールを開始したことで、タイム差は徐々に減少の一途を辿る。第4山岳通過後の下りではベイヤーが抜けだして先行したものの、残り13km地点で集団へと吸収。メイン集団は人数を残したまま、集団スプリントに向けての体制を徐々に築き上げていく。
ガーミン・シャープに加えてキャノンデール・プロサイクリングやユナイテッドヘルスケアが前方でハイペースを刻む中、残り6kmからマルケル・イリサール(スペイン、レディオシャック・レオパード)がアタックするも十分なリードを奪えない。
人数を揃えるキャノンデール・プロサイクリングやサクソ・ティンコフらが主導権を奪い合うが、激しく先頭をかぶせ合う展開の中でリードアウトトレインを組めるチームは現れない。混沌とした状態のまま最終コーナーをクリアすると、オリカ・グリーンエッジ優勢の状態でスプリントが始まった。
トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)やボーイ・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)らが一斉に掛ける一方で、サガンがタイミングを待って踏み始める。競り合うファラーやマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)を尻目に、一人桁違いの爆発力を披露したサガンがガッツポーズを繰り出した。
マシューズは2位、ファラーは3位。アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)はタイム差無しの同集団でゴールを果たし、リーダージャージを守りきった。
「残り3kmからはクレイジーな展開だった。全てのスプリンターが勝ちたがっていたんだ。」と語るのは、昨年の同大会で無敵のスプリント5勝を上げたサガン。「勝った時、今日のステージは僕に向いていたんだと分かった。」と非凡さを見せつけた。
ツアー・オブ・カリフォルニア2013第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング) 4h20′31″
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
4位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
6位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
7位 アレックス・キャンデラリオ(オプタムp/b)
8位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ザッカリ・デンプスター(オーストラリア、ネットアップ・エンデューラ)
10位 ミカエル・モルコフ(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
個人総合成績
1位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン) 13h59′50″
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +12″
3位 フィリップ・ダイグナン(アイルランド、ユナイテッドヘルスケア) +27″
4位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) +45″
5位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) +55″
6位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、5アワーエナジー) +1′03″
7位 チャド・ハーガ(アメリカ、オプタムp/b) +1′13″
8位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、レディオシャック・レオパード) +1′15″
9位 ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー) +1′32″
10位 キャメロン・メイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)+1′40″
ポイント賞
リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
山岳賞
カーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)
新人賞
ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)
チーム総合成績
ユナイテッドヘルスケア
text:So.Isobe
photo:Tour Of California/Brian Hodes
高温の続くカリフォルニア州で開催中のツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)。5月14日に開催された第3ステージは、航空宇宙産業で賑わう州南部のパームデールを出発し、周回コースを経てサンタ・クラリアへと至る177.5kmで争われた。
内陸部の丘陵・山岳地帯を走るため、コースはテゴリー4級の山岳ポイントが計4ヶ所設けられる設定に。144km地点に控える最後の山岳ポイント「ブーケット・キャニオン」(獲得標高138m)をクリアすると、およそ30kmに渡る下りを経てゴールへと到達する。
全体的に山がちながら難易度は低め。勝負は上りをクリアしたスプリンターによるゴールスプリント、もしくは小集団による逃げ切りになるという予想に。この日はピーター・セリー(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)やマウロ・ダダルト(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)がスタートを取りやめた。
スタート直後からアタックが頻発する展開に持ち込まれ、幾つかのグループが先行するものの、決定的なリードを奪うには至らない。
21kmを経過すると、アンディ・シュレク(ルクセンブルク)やイェンス・フォイクト(ドイツ、共にレディオシャック・レオパード)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)、ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング)らを含む超強力な23名が45秒ほど先行していく。
しかし有力勢がこぞって逃げたため集団はこれを逃さず、最初の4級山岳・マンズランチへと至る上りで全て吸収し、レースは振り出しに戻される。すると山頂通過後、シュレクが再びアタック。ここには第1ステージ勝者リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)やチャド・ベイヤー(アメリカ、チャンピオンシステム・プロサイクリング)、ギャビン・マニオン(アメリカ、ボントレガー)が加わり、この日の逃げが成立した。
終始テンポの早い展開が続いたため、集団は逃げを見送ると一気にペースダウンし、逃げる4名は80km地点でこの日の最大タイム差4分30秒をマーク。これ以降はリーダージャージ擁するジェーミス・ハーゲンが牽引を開始したことで、4名のリードは徐々に削り取られていく。
そんな中で連続する第2、第3山岳ポイントはベイヤーが連続で先頭通過。中盤に2つ設定された中間スプリントは、争わずしてヴェストラがどちらも1位で通過した。
乾いた大地を風が強く吹き付ける中、残り40kmを切ってからはタイラー・ファラー(アメリカ)での勝利を目論むガーミン・シャープ勢が集団コントロールを開始したことで、タイム差は徐々に減少の一途を辿る。第4山岳通過後の下りではベイヤーが抜けだして先行したものの、残り13km地点で集団へと吸収。メイン集団は人数を残したまま、集団スプリントに向けての体制を徐々に築き上げていく。
ガーミン・シャープに加えてキャノンデール・プロサイクリングやユナイテッドヘルスケアが前方でハイペースを刻む中、残り6kmからマルケル・イリサール(スペイン、レディオシャック・レオパード)がアタックするも十分なリードを奪えない。
人数を揃えるキャノンデール・プロサイクリングやサクソ・ティンコフらが主導権を奪い合うが、激しく先頭をかぶせ合う展開の中でリードアウトトレインを組めるチームは現れない。混沌とした状態のまま最終コーナーをクリアすると、オリカ・グリーンエッジ優勢の状態でスプリントが始まった。
トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)やボーイ・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)らが一斉に掛ける一方で、サガンがタイミングを待って踏み始める。競り合うファラーやマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)を尻目に、一人桁違いの爆発力を披露したサガンがガッツポーズを繰り出した。
マシューズは2位、ファラーは3位。アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)はタイム差無しの同集団でゴールを果たし、リーダージャージを守りきった。
「残り3kmからはクレイジーな展開だった。全てのスプリンターが勝ちたがっていたんだ。」と語るのは、昨年の同大会で無敵のスプリント5勝を上げたサガン。「勝った時、今日のステージは僕に向いていたんだと分かった。」と非凡さを見せつけた。
ツアー・オブ・カリフォルニア2013第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール・プロサイクリング) 4h20′31″
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
4位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
6位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
7位 アレックス・キャンデラリオ(オプタムp/b)
8位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ザッカリ・デンプスター(オーストラリア、ネットアップ・エンデューラ)
10位 ミカエル・モルコフ(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
個人総合成績
1位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン) 13h59′50″
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +12″
3位 フィリップ・ダイグナン(アイルランド、ユナイテッドヘルスケア) +27″
4位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) +45″
5位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) +55″
6位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、5アワーエナジー) +1′03″
7位 チャド・ハーガ(アメリカ、オプタムp/b) +1′13″
8位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、レディオシャック・レオパード) +1′15″
9位 ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー) +1′32″
10位 キャメロン・メイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)+1′40″
ポイント賞
リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
山岳賞
カーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)
新人賞
ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)
チーム総合成績
ユナイテッドヘルスケア
text:So.Isobe
photo:Tour Of California/Brian Hodes
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