2013/05/10(金) - 06:46
低い弾道のミサイルがゴールに向けて一直線に加速。アドリア海沿いの街マルゲリータ・ディ・サヴォイアのゴールに先頭に飛び込んで来たのは、チームメイトに発射されたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)だった。
アドリア海に沿って北を目指す photo:Kei Tsujiここまで悪天候と落車、山岳によってチャンスを奪われてきたスプリンターに再びスポットライトが当てられる。
観客が詰めかけた街中を走るプロトン photo:Kei Tsuji5月9日、ジロ・デ・イタリア第6ステージは、イタリア半島の東岸モーラ・ディ・バーリをスタート。アドリア海に沿ってひたすら北上する。ほぼ真っ平らな169kmの先に、広大な塩田で名を馳せるマルゲリータ・ディ・サヴォイアのゴールが待つ。
逃げるジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ブランコプロサイクリング)とキャメロン・ウルフ(オーストラリア、キャノンデールプロサイクリング) photo:Riccardo Scanferla逃げ切りが決まりにくく、よほどのトラブルがない限り100%大集団スプリントに持ち込まれる平坦ステージ。それだけに連日アタックを打っていた選手たちはみな消極的。ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ブランコプロサイクリング)とキャメロン・ウルフ(オーストラリア、キャノンデールプロサイクリング)の2人が飛び出すと、メイン集団はすぐにこの動きを見送った。
個人追い抜きで世界記録をもつボブリッジと、今大会2回目の逃げとなるウルフ。2人のオージーは最大6分のリードを得たが、レース後半に入るとオメガファーマ・クイックステップやFDJが牽引するメイン集団が捕まえにかかる。ゴールを起点とした16.6kmの周回コース突入を前にボブリッジとウルフの2人は吸収。スプリンターチームの他、横風や落車を警戒する総合系のチームがメイン集団の先頭に上がる。
メカトラと落車の影響で遅れたブラドレー・ウィギンズ(イギリス)のためにスカイプロサイクリングが総力を挙げて追走 photo:Kei Tsujiメカトラでバイクを交換したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)が集団復帰を目指すころ、ゴールまで30kmを残して集団内で大落車が発生。幸いケガ人は出なかったが、ウィギンズを始めとする多くの選手が足止めを食ってしまう。
ヴィヴィアーニとゴスを振り切ってゴールに向かうマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji合計2周するマルゲリータ・ディ・サヴォイアの周回コースを走っていたメイン集団は、道を完全に塞ぐこの落車によって2つに分断。スカイプロサイクリングは総力を挙げてウィギンズをメイン集団まで引き上げる。
しかし、不可抗力で遅れたマリアローザ候補の集団復帰を阻害するためにスピードアップするチームはおらず、ウィギンズらは問題なく集団に復帰。落ち着きを取り戻したメイン集団は、再びスピードを上げて最終周回へと入った。
オメガファーマ・クイックステップやFDJ、アルゴス・シマノが競り合いながらスプリンターを集団前方に引き上げる。危険回避のため前方に位置していたウィギンズがメイン集団を牽引する光景も。
人数を揃えてトレインを組むチームは現れず、ラスト1kmからポジション争いはさらに激化。ヘルト・ステーグマン(ベルギー)に連れられて、カヴェンディッシュが好位置からスプリントを開始させた。
他の選手よりも頭を低い位置に保ってのゴールスプリント。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)やマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)が追い上げる。しかしカヴェンディッシュは誰にも先頭を譲らなかった。
2年前のジロ期間中に落車事故で亡くなったワウテル・ウェイラント(ベルギー)を追悼するため、ウェイラントのゼッケン「108」をもってステージに上がるカヴェンディッシュ。キャリア99勝目、そして今シーズン9勝目(5月9日現在、世界最多)をマークした。
今大会ステージ2勝目をマークしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
ウェイラントをしのぶ108番のゼッケンをもって登場したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji「レース序盤からリードアウトまでずっとチームメイトが集団を引いてくれたんだ。この勝利に100%満足している。落車の影響で集団がナーバスになり、総合を狙うチームまで集団の前方に出て来たので、本当に混沌とした状態だった。向かい風が強かったので、チームとして忍耐強くタイミングを待って、ばっちりのタイミングで前に出た。ステーグマンのリードアウトは最高だったよ」。
ステージ2勝目を飾ったカヴェンディッシュはポイント賞トップに返り咲き。翌日から再び真っ赤なマリアロッサを着る。マリアローザはルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)がキープしており、総合上位陣の順位とタイム差に変動は無い。
ジロ・デ・イタリア2013第6ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) 3h56'03"
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
3位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)
5位 マッティア・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
6位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
7位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、アージェードゥーゼル)
8位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)
9位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
10位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
個人総合成績
1位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ) 23h52'42"
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング) +17"
3位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +26"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +31"
5位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +34"
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)
7位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ) +36"
8位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +37"
9位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) +39"
10位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +42"
ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
山岳賞
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
新人賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
チーム総合成績
カチューシャ
text&photo:Kei Tsuji in Margherita di Savoia, Italy
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個人追い抜きで世界記録をもつボブリッジと、今大会2回目の逃げとなるウルフ。2人のオージーは最大6分のリードを得たが、レース後半に入るとオメガファーマ・クイックステップやFDJが牽引するメイン集団が捕まえにかかる。ゴールを起点とした16.6kmの周回コース突入を前にボブリッジとウルフの2人は吸収。スプリンターチームの他、横風や落車を警戒する総合系のチームがメイン集団の先頭に上がる。
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しかし、不可抗力で遅れたマリアローザ候補の集団復帰を阻害するためにスピードアップするチームはおらず、ウィギンズらは問題なく集団に復帰。落ち着きを取り戻したメイン集団は、再びスピードを上げて最終周回へと入った。
オメガファーマ・クイックステップやFDJ、アルゴス・シマノが競り合いながらスプリンターを集団前方に引き上げる。危険回避のため前方に位置していたウィギンズがメイン集団を牽引する光景も。
人数を揃えてトレインを組むチームは現れず、ラスト1kmからポジション争いはさらに激化。ヘルト・ステーグマン(ベルギー)に連れられて、カヴェンディッシュが好位置からスプリントを開始させた。
他の選手よりも頭を低い位置に保ってのゴールスプリント。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)やマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)が追い上げる。しかしカヴェンディッシュは誰にも先頭を譲らなかった。
2年前のジロ期間中に落車事故で亡くなったワウテル・ウェイラント(ベルギー)を追悼するため、ウェイラントのゼッケン「108」をもってステージに上がるカヴェンディッシュ。キャリア99勝目、そして今シーズン9勝目(5月9日現在、世界最多)をマークした。
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ステージ2勝目を飾ったカヴェンディッシュはポイント賞トップに返り咲き。翌日から再び真っ赤なマリアロッサを着る。マリアローザはルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)がキープしており、総合上位陣の順位とタイム差に変動は無い。
ジロ・デ・イタリア2013第6ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) 3h56'03"
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
3位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)
5位 マッティア・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
6位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
7位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、アージェードゥーゼル)
8位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)
9位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
10位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
個人総合成績
1位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ) 23h52'42"
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング) +17"
3位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +26"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +31"
5位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ) +34"
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)
7位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ) +36"
8位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +37"
9位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) +39"
10位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +42"
ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
山岳賞
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
新人賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
チーム総合成績
カチューシャ
text&photo:Kei Tsuji in Margherita di Savoia, Italy
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