4月23日から6日間の日程で開催されたツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)も、いよいよ4月28日に行われた第6ステージの個人タイムトライアルでフィナーレを迎えた。コースはスイス西部、レマン湖の南西岸に位置するスイス第2の都市、ジュネーヴを発着する18.7km。

レマン湖の南端を沿うように走るコースは完全に平坦路で、2つの折り返し地点に配されたヘアピン以外にテクニカルポイントが無い、単純な独走力が問われるもの。2012年大会は初日に平坦のプロローグ、最終日に山岳タイムトライアルが用意されたが、今年はその逆となるコース設定となった。

リーダージャージを着るクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)は、昨日終了時点で総合2位のサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)に対して47秒、3位のルイ・コスタに1分21秒という大きな差を付けて既に総合優勝にリーチを掛けた状態でレースに臨んだ。

ポイント賞ジャージを着て走るマティアス・ブランドル(スイス、IAMサイクリング)ポイント賞ジャージを着て走るマティアス・ブランドル(スイス、IAMサイクリング) photo:Tour de Romandieポイント賞ジャージを着て走るマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)ポイント賞ジャージを着て走るマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム) photo:Tour de Romandieステージ2位に食い込んだアドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・メリダ)ステージ2位に食い込んだアドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Tour de Romandie


プロローグと同じく、午後12時13分から1分おきに選手たちがスタート。まずは2008年のタイムトライアル世界チャンピオンであるベアト・グラブシュ(ドイツ。オメガファーマ・クイックステップ)、次いでアレクサンダー・クチンスキー(ベラルーシ、カチューシャ)らが次々とスタートを切っていく。

オーストラリアナショナルチャンピオンジャージを着るルーク・ダーブリッジ(ガーミン・シャープ)を着る22分18秒のタイムを記録し、序盤の指標を出す。するとスヴェン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)やローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)らがこれを上回っていく。

しかし中盤にスタートしたアドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・メリダ)が21分23秒というそれまでのトップタイム大きく上書きする好走を見せ、一気に暫定首位に躍り出る。しかし、これを更に上回るタイムを世界王者・マルティンがマークした。

アルカンシエルを着て走るトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)アルカンシエルを着て走るトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tour de Romandie追い込んでゴールするトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)追い込んでゴールするトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tour de Romandieステージ3位に食い込んだクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)ステージ3位に食い込んだクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Tour de Romandie


第1計測ポイントからトップタイムを更新し続けたマルティンは、最終的に21分07秒というマローリの記録を16秒更新してトップタイムでゴール。後半に総合上位陣がスタートしてもなおタイムは破られず、マルティンがステージ優勝に輝いた。

昨ステージの山岳でも逃げを打つなど好調をキープしているマルティンは、これがティレーノ~アドリアティコでの2勝、ブエルタ・シクリスタ・パイスバスコでの1勝に続く今シーズン6勝目。「昨日は総合首位を狙ったが戦略的に失敗に終わり、その怒りを糧に今日は勝利することができた。コースは完全に僕向きだった。チームは3勝できたから、レース全体を見てもとても良い結果だと思う。」とコメントした。

表彰台に立つトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)表彰台に立つトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tour de Romandie総合有力勢ではリエーウェ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)がマルティンから36秒遅れと好走したものの、最終走者・フルームは総合ライバルの誰よりも速い21分41秒、マルティンから34秒遅れのステージ3位に滑りこみ、プロローグからキープするリーダージャージを誰にも渡すこと無く総合優勝に輝いた。

ツール・ド・ロマンディ2013総合表彰台ツール・ド・ロマンディ2013総合表彰台 photo:Tour de Romandieフルームは昨年のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)のように、ここまでツアー・オブ・オマーン優勝、ティレーノ~アドリアティコ2位、クリテリウム・アンテルナシオナル優勝など、出場するほとんどのレースで好成績を収める活躍ぶり。目標に据えるツール・ド・フランスに向けて上々の仕上がりと言えるだろう。

「ツールを目標にしているこの時期に好調を維持出来ていて、特にこの1週間は自分のパフォーマンスにとても満足している。でも強力なチームのサポート無しではこの結果は出すことが出来なかった。プロローグから今日まで、チームやチームメイトは僕をレースの最前線に位置取らせてくれた。僕はチームに報いることができたんだ。」

「僕が出る全てのレースは、コンディションを見極めるため、そしてどう走るかなどツールを前にして良いテストとなっている。この1週間はとても良い経験となった。間違いなく調子は良いけれど、でもツールまでは2ヶ月あるんだ。まだまだ厳しいトレーニングを重ねなければならない」と第67回ツール・ド・ロマンディ王者、フルームは語った。

6日間のレースを経て、山岳賞はマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)が、ポイント賞はマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)と積極的に逃げを打った選手が獲得。新人賞はこれまで首位につけていたティボー・ピノ(フランス、FDJ)がこの日遅れたことで、ウィルコ・ケルデマン(オランダ、ブランコプロサイクリング)が獲得した。


ツール・ド・ロマンディ2013第5ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) 21′07″
2位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・メリダ) +16″
3位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) +34″
4位 リエーウェ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +36″
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +41″
6位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング) +50″
7位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)+52″
8位 マッズ・クリステンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ) +55″
9位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +56″
10位 トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、アルゴス・シマノ) +1′01″

個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
2位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)
4位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
5位 ウィルコ・ケルデマン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
6位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)
7位 ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
8位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
9位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
10位 マルセル・ウィス(スイス、IAMサイクリング)

山岳賞
マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)

ポイント賞
マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)

新人賞
ウィルコ・ケルデマン(オランダ、ブランコプロサイクリング)

チーム総合成績
スカイプロサイクリング


text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie
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