2013/04/26(金) - 04:57
誰もが「今日はスタートからゴールまでとにかくハードだった」と口を揃えたツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)第5ステージ。連続する登りとアタックをクリアした70名のスプリントでアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が連勝を飾ってみせた。
マルマリスからトゥルグトレスまで、今大会最長183kmを走る第5ステージ。登場するカテゴリー山岳は36km地点の1級山岳だけだが、実際にはカテゴリー3級に指定されたもいいレベルの山岳がいくつも続いている(ツアー・オブ・ターキーのカテゴリー山岳は1級と2級のみ)。
一日の獲得標高差は2600mオーバー。しかもスタート直後から登りが連続するため、逃げや勝負を狙う選手たちにとっては試練の一日となる。
「いきなり登りが始まるのでアップして来た」と話すのは宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)。昨年同じコースが設定されたステージではチームメイトが逃げ切っており、チームとしては総合5位につけるローリー・スザーランド(オーストラリア)をサポートしながら逃げに選手を送り込みたい考えだ。
ゆったりとした雰囲気が流れるマルマリスをスタートすると、大方の予想通り、直後からアタックに次ぐアタックが始まる。カテゴリーのついていない登りで集団は分裂。約70名が先行し、100名以上が後方で大集団を形成する展開となる。
「今日はキッキをサポートする役割を与えられたので、後方の集団で走ることになりました」と話す佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)や宮澤、そして多くのスプリンターが第2集団での走行を強いられる中、緑のポイント賞ジャージを着るグライペルはメイン集団に残った。「序盤の登りでいきなり集団が絞り込まれた。アタックが常にかかっている不安定な状態が続いたけど、何とか集団内で登りを乗り切ったんだ」とグライペル。改めて“登れている”ことを見せつけた。
1級山岳通過後も先頭ではアタックの応酬が続き、8名が先行したところでようやくレースは落ち着きを取り戻す。
遅れていた第2集団はメイン集団の3分後方にまで迫ったが、総合13位・53秒差のアンジェロ・パガーニ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)が逃げグループに入ったため、メイン集団のスピードは落ちない。結局最後までメイン集団が追いつくことはなく、第2集団は100名近いグルペットとして24分遅れでゴールを目指した。
太陽がジリジリと照らす舗装路を8名が逃げ、60名強のメイン集団が追う。路面は相変わらず荒く、小石が敷き詰められた舗装が延々と続く。細かな振動が常にバイクを揺らす。メカトラでも起こしているのではないかと疑ってしまうほど、バイクは常にガタガタと異音を発している。
やがて逃げグループとメイン集団のタイム差が縮まると、ともに逃げたパガーニやクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)、マルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)らを振り切ってマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)が独走を開始。前日のイグナチエフに続いて、カチューシャのロシア人が逃げから飛び出した。
昨年ターキッシュビューティースプリント賞を獲得したベルコフが力走。しかしロット・ベリソルやコフィディスが牽引するメイン集団にラスト8kmで吸収されてしまう。
ゴール地点トゥルグトレスに至るいくつもの短い登りでは、総合上位のケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、アスタナ)やキャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らがアタックを仕掛けるが決まらない。
ラスト2kmを切った短い登りでフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)がスパート。ポッツァートは単独で長い最終ストレートに入ったが、後方からスプリンターたちが追い上げる。早めにスプリントを仕掛け、ポッツァートを追撃したグライペルが一気に先頭へ。乗りに乗るグライペルを止める選手はこの日も現れなかった。
「毎日フレッシュになっている感じもある。自分でもこのコンディションに驚いている」。5時間近く走って来たとは思えない爽やかな表情で記者会見に臨んだグライペルはそう話す。
多くのスプリンターが脱落する中での特殊なゴールスプリントで2連勝。平地でも登りでも、グライペルはライバルスプリンターを寄せ付けない。「普段から自分でポジションをキープしてスプリントすることに慣れている。もちろん世界最強とも言えるリードアウトトレインに発射されたほうが楽。ツール・ド・フランスではハンセンやルーランズのような選手にリードアウトされることになる。でも彼らがいなくても、本能的に自分のスプリントに持ち込めるんだ」。
ツアー・オブ・ターキーもいよいよ正念場。第6ステージは1級山岳に指定されたセルチュクの「聖母マリアの家」にゴールする。距離が短いながらも急勾配のこの登りで22歳ナタナエル・ベルハネ(エリトリア、ユーロップカー)の真価が問われる。
ツアー・オブ・ターキー2013第5ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 4h41'59"
2位 マッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ニクラス・アルント(ドイツ、アルゴス・シマノ)
4位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)
5位 ステファン・ファンダイク(オランダ、アクセントジョブス)
6位 ラファエル・アンドリアート(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
7位 アルミンド・フォンセカ(フランス、ブルターニュ・セシェ)
8位 ダニエル・ショルン(オーストリア、ネットアップ・エンドゥーラ)
9位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
10位 マキリム・メドレル(フランス、ソジャサン)
144位 宮澤崇史(サクソ・ティンコフ) +24'02"
154位 佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 ナタナエル・ベルハネ(エリトリア、ユーロップカー) 19h09'13"
2位 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、アスタナ) +10"
3位 ムスタファ・サヤル(トルコ、トルクセケルスポール) +12"
4位 マキリム・メドレル(フランス、ソジャサン) +26"
5位 ローリー・スザーランド(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) +34"
6位 ヨアン・バゴ(フランス、コフィディス)
7位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 フロリアン・ギロー(フランス、ブルターニュシュレー) +38"
9位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、コロンビア) +40"
10位 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス) +43"
ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
山岳賞
セルゲイ・グレチン(ウクライナ、トルクセケルスポール)
ターキッシュビューティースプリント賞
ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)
チーム総合成績
コフィディス
text&photo:Kei Tsuji in Turgutreis, Turkey
マルマリスからトゥルグトレスまで、今大会最長183kmを走る第5ステージ。登場するカテゴリー山岳は36km地点の1級山岳だけだが、実際にはカテゴリー3級に指定されたもいいレベルの山岳がいくつも続いている(ツアー・オブ・ターキーのカテゴリー山岳は1級と2級のみ)。
一日の獲得標高差は2600mオーバー。しかもスタート直後から登りが連続するため、逃げや勝負を狙う選手たちにとっては試練の一日となる。
「いきなり登りが始まるのでアップして来た」と話すのは宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)。昨年同じコースが設定されたステージではチームメイトが逃げ切っており、チームとしては総合5位につけるローリー・スザーランド(オーストラリア)をサポートしながら逃げに選手を送り込みたい考えだ。
ゆったりとした雰囲気が流れるマルマリスをスタートすると、大方の予想通り、直後からアタックに次ぐアタックが始まる。カテゴリーのついていない登りで集団は分裂。約70名が先行し、100名以上が後方で大集団を形成する展開となる。
「今日はキッキをサポートする役割を与えられたので、後方の集団で走ることになりました」と話す佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)や宮澤、そして多くのスプリンターが第2集団での走行を強いられる中、緑のポイント賞ジャージを着るグライペルはメイン集団に残った。「序盤の登りでいきなり集団が絞り込まれた。アタックが常にかかっている不安定な状態が続いたけど、何とか集団内で登りを乗り切ったんだ」とグライペル。改めて“登れている”ことを見せつけた。
1級山岳通過後も先頭ではアタックの応酬が続き、8名が先行したところでようやくレースは落ち着きを取り戻す。
遅れていた第2集団はメイン集団の3分後方にまで迫ったが、総合13位・53秒差のアンジェロ・パガーニ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)が逃げグループに入ったため、メイン集団のスピードは落ちない。結局最後までメイン集団が追いつくことはなく、第2集団は100名近いグルペットとして24分遅れでゴールを目指した。
太陽がジリジリと照らす舗装路を8名が逃げ、60名強のメイン集団が追う。路面は相変わらず荒く、小石が敷き詰められた舗装が延々と続く。細かな振動が常にバイクを揺らす。メカトラでも起こしているのではないかと疑ってしまうほど、バイクは常にガタガタと異音を発している。
やがて逃げグループとメイン集団のタイム差が縮まると、ともに逃げたパガーニやクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)、マルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)らを振り切ってマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)が独走を開始。前日のイグナチエフに続いて、カチューシャのロシア人が逃げから飛び出した。
昨年ターキッシュビューティースプリント賞を獲得したベルコフが力走。しかしロット・ベリソルやコフィディスが牽引するメイン集団にラスト8kmで吸収されてしまう。
ゴール地点トゥルグトレスに至るいくつもの短い登りでは、総合上位のケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、アスタナ)やキャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らがアタックを仕掛けるが決まらない。
ラスト2kmを切った短い登りでフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)がスパート。ポッツァートは単独で長い最終ストレートに入ったが、後方からスプリンターたちが追い上げる。早めにスプリントを仕掛け、ポッツァートを追撃したグライペルが一気に先頭へ。乗りに乗るグライペルを止める選手はこの日も現れなかった。
「毎日フレッシュになっている感じもある。自分でもこのコンディションに驚いている」。5時間近く走って来たとは思えない爽やかな表情で記者会見に臨んだグライペルはそう話す。
多くのスプリンターが脱落する中での特殊なゴールスプリントで2連勝。平地でも登りでも、グライペルはライバルスプリンターを寄せ付けない。「普段から自分でポジションをキープしてスプリントすることに慣れている。もちろん世界最強とも言えるリードアウトトレインに発射されたほうが楽。ツール・ド・フランスではハンセンやルーランズのような選手にリードアウトされることになる。でも彼らがいなくても、本能的に自分のスプリントに持ち込めるんだ」。
ツアー・オブ・ターキーもいよいよ正念場。第6ステージは1級山岳に指定されたセルチュクの「聖母マリアの家」にゴールする。距離が短いながらも急勾配のこの登りで22歳ナタナエル・ベルハネ(エリトリア、ユーロップカー)の真価が問われる。
ツアー・オブ・ターキー2013第5ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 4h41'59"
2位 マッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ニクラス・アルント(ドイツ、アルゴス・シマノ)
4位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)
5位 ステファン・ファンダイク(オランダ、アクセントジョブス)
6位 ラファエル・アンドリアート(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
7位 アルミンド・フォンセカ(フランス、ブルターニュ・セシェ)
8位 ダニエル・ショルン(オーストリア、ネットアップ・エンドゥーラ)
9位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
10位 マキリム・メドレル(フランス、ソジャサン)
144位 宮澤崇史(サクソ・ティンコフ) +24'02"
154位 佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 ナタナエル・ベルハネ(エリトリア、ユーロップカー) 19h09'13"
2位 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、アスタナ) +10"
3位 ムスタファ・サヤル(トルコ、トルクセケルスポール) +12"
4位 マキリム・メドレル(フランス、ソジャサン) +26"
5位 ローリー・スザーランド(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) +34"
6位 ヨアン・バゴ(フランス、コフィディス)
7位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 フロリアン・ギロー(フランス、ブルターニュシュレー) +38"
9位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、コロンビア) +40"
10位 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス) +43"
ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
山岳賞
セルゲイ・グレチン(ウクライナ、トルクセケルスポール)
ターキッシュビューティースプリント賞
ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)
チーム総合成績
コフィディス
text&photo:Kei Tsuji in Turgutreis, Turkey
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