2013/04/24(水) - 12:44
スイスの山岳地帯を舞台にした6日間のステージレース、ツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)が開幕。豪華メンバーが集ったこのレースの初日プロローグをクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が制し、リーダージャージを獲得した。
ツール・ド・ロマンディ2013 レースの見どころ
その名の通りスイス西部のロマンディ地方で開催される、ツール・ド・ロマンディ。67回目を数える伝統のステージレースが、今年も4月23日から28日までの期間で開幕した。
ロマンディ地方を駆け巡るこのレースの特徴は、一帯に広がるジュラ山脈の峠が多く登場すること。スイスアルプスの本格的な難関山岳こそ登場しないもののレースのレベルは高く、開催を目前に控えるジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスに照準を合わせる選手が毎年多く出場する。
2013年度大会は昨年に引き続き、初日にはプロローグが、最終日には個人タイムトライアルが設けられ、その他の4ステージは中級山岳コースが続く。昨年との違いは、プロローグが3級山岳頂上を目指す、距離7.4kmの上り個人タイムトライアルとなったこと。この変更により、総合争いは初日からふるいに掛けられる。
このロマンディ閉幕から、ジロ・デ・イタリアの開幕まではわずか1週間ほど。そのため、ほとんどのチームはオールラウンダーをエースに立てた1軍編成をラインナップしてきた。
昨年覇者ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)は出場を見送ったものの、スカイプロサイクリングはツールを見据えるクリス・フルーム(イギリス)をエースに。さらに今季好調のリッチー・ポルト(オーストラリア)をアシストに添え、鉄壁の布陣で2連覇を狙う。
ガーミン・シャープのエースは、リエージュ~バストーニュ~リエージュでダニエル・マーティン(アイルランド)の勝利を強力にサポートしたライダー・ヘジダル(カナダ)やトム・ダニエルソン(アメリカ)をエースに据える。
更にクリスティアン・ヴァンデヴェルデや期待のアンドリュー・タランスキー、ピーター・ステティナ(いずれもアメリカ)などを揃え、山岳での力は出場チーム中随一といって良いだろう。
初日プロローグのコースとなったのは、ロマンディ地方の山間に位置する街・ル・シャーブルをスタートし、ブルゾンの山肌をジグザグに駆け上がって高度を稼ぐ7.45km。ゴール地点は標高1110m、3級山岳にカテゴライズされるもので、コース全体での獲得標高は294mだ。
この山岳プロローグで、オールラウンダー・クライマーによる総合争いに早くも火が点いた。
14時21分に、第一走者であるマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)がスタート。その後から1分おきに、続々と選手がコースに飛び出していく。
まず序盤に好タイムを記録したのは、ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)。そしてその後、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソ・ティンコフ)がブライコヴィッチを1秒上回る。しかし後半に有力勢がスタートしていくと、このタイムも次々と上書きされていく。
残り5人のゴールを待つ時点で、トップタイムはパリ~ニースで新人賞を獲得して波に乗るアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)。ロバート・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード)の好走も7秒届かなかったが、最終走者・フルームがこれらのタイムを全て上回った。
「クリテリウム・アンテルナシオナル以来、ステージレースを走っていなかった。だから自分のコンディションがどうなのか、把握できずにいたんだ。」と後に語ったフルーム。ウィギンズに代わりエースを担うフルームは、最終的にタランスキーを6秒上回る、13分15秒のタイムで圧倒。平均勾配3.9%のコースで、33.86km/hのアベレージスピードをマークした。
「僕らはとても良いチーム編成で望んでいる。リッチー(ポルト)が4位に入ったことはとても重要なことで、つまり何枚かのカードを切ることができるということ。一週間、良いレースができるはずだ。」
「僕らは挑戦して、ジャージを守るつもり。他の総合陣に比べて、大きなアドバンテージを持っているとは思わない。今週末は一番ハードなステージとなるだろう。厳しい山岳があって、翌日はタイムトライアル。できることを可能な限り行っていくつもりだ。悪いことが何も起こらないことを願っているよ。」と語った。
なお、新城幸也は2分1秒遅れのステージ150位でゴールしている。
翌日第1ステージは、サン・モーリスからルナンにかけての176.8km。人数の絞られた集団によるスプリントとなる見込みだ。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、スカイプロサイクリング)やマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らの走りに期待が掛かる。
ツール・ド・ロマンディ2013プロローグ結果
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 13′15″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +6″
3位 ロバート・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +13″
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +15″
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +16″
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
7位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ) +17″
10位 ウィルコ・ケルデマン(オランダ、ブランコプロサイクリング) +18″
150位 新城幸也(ユーロップカー) +2′01″
個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 13′15″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +6″
3位 ロバート・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +13″
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +15″
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +16″
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
7位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ) +17″
10位 ウィルコ・ケルデマン(オランダ、ブランコプロサイクリング) +18″
新人賞
ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie
ツール・ド・ロマンディ2013 レースの見どころ
その名の通りスイス西部のロマンディ地方で開催される、ツール・ド・ロマンディ。67回目を数える伝統のステージレースが、今年も4月23日から28日までの期間で開幕した。
ロマンディ地方を駆け巡るこのレースの特徴は、一帯に広がるジュラ山脈の峠が多く登場すること。スイスアルプスの本格的な難関山岳こそ登場しないもののレースのレベルは高く、開催を目前に控えるジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスに照準を合わせる選手が毎年多く出場する。
2013年度大会は昨年に引き続き、初日にはプロローグが、最終日には個人タイムトライアルが設けられ、その他の4ステージは中級山岳コースが続く。昨年との違いは、プロローグが3級山岳頂上を目指す、距離7.4kmの上り個人タイムトライアルとなったこと。この変更により、総合争いは初日からふるいに掛けられる。
このロマンディ閉幕から、ジロ・デ・イタリアの開幕まではわずか1週間ほど。そのため、ほとんどのチームはオールラウンダーをエースに立てた1軍編成をラインナップしてきた。
昨年覇者ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)は出場を見送ったものの、スカイプロサイクリングはツールを見据えるクリス・フルーム(イギリス)をエースに。さらに今季好調のリッチー・ポルト(オーストラリア)をアシストに添え、鉄壁の布陣で2連覇を狙う。
ガーミン・シャープのエースは、リエージュ~バストーニュ~リエージュでダニエル・マーティン(アイルランド)の勝利を強力にサポートしたライダー・ヘジダル(カナダ)やトム・ダニエルソン(アメリカ)をエースに据える。
更にクリスティアン・ヴァンデヴェルデや期待のアンドリュー・タランスキー、ピーター・ステティナ(いずれもアメリカ)などを揃え、山岳での力は出場チーム中随一といって良いだろう。
初日プロローグのコースとなったのは、ロマンディ地方の山間に位置する街・ル・シャーブルをスタートし、ブルゾンの山肌をジグザグに駆け上がって高度を稼ぐ7.45km。ゴール地点は標高1110m、3級山岳にカテゴライズされるもので、コース全体での獲得標高は294mだ。
この山岳プロローグで、オールラウンダー・クライマーによる総合争いに早くも火が点いた。
14時21分に、第一走者であるマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)がスタート。その後から1分おきに、続々と選手がコースに飛び出していく。
まず序盤に好タイムを記録したのは、ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)。そしてその後、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソ・ティンコフ)がブライコヴィッチを1秒上回る。しかし後半に有力勢がスタートしていくと、このタイムも次々と上書きされていく。
残り5人のゴールを待つ時点で、トップタイムはパリ~ニースで新人賞を獲得して波に乗るアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)。ロバート・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード)の好走も7秒届かなかったが、最終走者・フルームがこれらのタイムを全て上回った。
「クリテリウム・アンテルナシオナル以来、ステージレースを走っていなかった。だから自分のコンディションがどうなのか、把握できずにいたんだ。」と後に語ったフルーム。ウィギンズに代わりエースを担うフルームは、最終的にタランスキーを6秒上回る、13分15秒のタイムで圧倒。平均勾配3.9%のコースで、33.86km/hのアベレージスピードをマークした。
「僕らはとても良いチーム編成で望んでいる。リッチー(ポルト)が4位に入ったことはとても重要なことで、つまり何枚かのカードを切ることができるということ。一週間、良いレースができるはずだ。」
「僕らは挑戦して、ジャージを守るつもり。他の総合陣に比べて、大きなアドバンテージを持っているとは思わない。今週末は一番ハードなステージとなるだろう。厳しい山岳があって、翌日はタイムトライアル。できることを可能な限り行っていくつもりだ。悪いことが何も起こらないことを願っているよ。」と語った。
なお、新城幸也は2分1秒遅れのステージ150位でゴールしている。
翌日第1ステージは、サン・モーリスからルナンにかけての176.8km。人数の絞られた集団によるスプリントとなる見込みだ。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、スカイプロサイクリング)やマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らの走りに期待が掛かる。
ツール・ド・ロマンディ2013プロローグ結果
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 13′15″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +6″
3位 ロバート・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +13″
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +15″
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +16″
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
7位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ) +17″
10位 ウィルコ・ケルデマン(オランダ、ブランコプロサイクリング) +18″
150位 新城幸也(ユーロップカー) +2′01″
個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) 13′15″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +6″
3位 ロバート・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +13″
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +15″
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +16″
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
7位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ) +17″
10位 ウィルコ・ケルデマン(オランダ、ブランコプロサイクリング) +18″
新人賞
ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
チーム総合成績
スカイプロサイクリング
text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie
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