2013/04/07(日) - 02:06
マウンテンバイクのガイドツアー団体「日本マウンテンバイクガイド協会」が主催する交流イベント「MTBガイドツアー RIDE & MEET 2013」が、3月23日にさがみ湖プレジャーフォレストで開催された。本格コースでMTBの乗り方を学び、各地で活動するMTBガイドたちと出会うきっかけとなるイベントだった。MTBライターの墨崎大輔がレポートする。
RIDE&MEET 2013にはMTB初体験者も参加 マヴィックのホイール試乗もできた
MTBガイドツアーRIDE &MEET 2013に参加してくれた皆さんと
日本マウンテンバイクガイド協会(以下JAMGA)主催のこのイベントは、MTBガイドとユーザーとの交流を深めるためのもの。開催地のさがみ湖プレジャーフォレストは、MTB常設コースやレンタルMTBを用意している。イベントにはMTBに乗ったことがなく、MTBを持っていない人でも手ぶらで参加していた。
トレイルガイドによって2010年に設立されたのが日本マウンテンバイクガイド協会(JAMGA)。その精鋭たちが集まった
日本全国で活動するMTBガイドの皆さん。山を知り尽くし、地元のトレイルを整備しながら一般のマウンテンバイカーたちを案内してくれる。そのガイドのプロたちが設立したのが日本マウンテンバイクガイド協会。登録ガイドさんが、日本各地から(北は北海道から!)集結し、ここ相模湖プレジャーフォレストのコースで走りを楽しむのがこのイベントだ。
グループに分かれて、トレイルライドやスクールを開催
インストラクター資格の世界標準認定に基づくスクールを開催
まず午前の部は、テクニックのレベルごとにグループに分かれてMTBスクール&ライドを楽しんだ。
MTBはオンロード走行とは異なり、ただペダルを踏むだけではうまく走れない。一言で言えば、難易度が高い。スクールでも主眼は「漕ぐ」ことよりも「操る」ことを主に取り上げ、MTB初体験者にも分かりやすいように実演と練習を繰り返しながら解説していた。
一本橋やラダーでスキルアップ!
MTBテクニックの基礎を覚えるのに最適なパンプトラック
自転車には乗れても、「ペダルの上に立つ」ことや、「ペダルに立ったまま、バイクを前に投げ出すような動作」や「ペダルに立ったまま、ハンドルに覆いかぶさるような動作」の繰り返しなど、およそ一般的な自転車の乗り方とは異なる動きに戸惑う参加者たち。しかし、こういった動きがMTBでオフロードを楽しむうえでは欠かせない。安全のためにも必須と言える。
「ライディングの基礎を磨くことで、トレイルを楽しく走れるようになりますよ」とは、SWEETRIDERSの丸山八智代さん。
MTB大会でも使用される“フリフリ”ショートダウンヒルコース
参加者と一緒につくるタコスランチ
高低差のないコースであれば、ライディングテクニックが低くても大丈夫だろう。しかし、ある程度の高低差があると(例えば土手の法面を上り下りするような数メートルの急斜面でも)、ある程度のテクニックが必要になる。こういったテクニックを教えてくれるのがMTBガイドでもある。
アフリカンドラムバンド“たまゆら”によるライブ
グラファイトデザインは最新カーボンMTBの“DOKKE”を試乗車として用意
手作りのタコスランチを楽しんだあとは、アフリカンドラムバンド“たまゆら”によるライブ演奏に聴き惚れる。そして午後もグループにわかれて、さがみ湖プレジャーフォレストのコースに出発した。MAVICやグラファイトデザインによる試乗会なども開催された。
プレジャーフォレストのMTBコースはかなりゴキゲンだ
参加者によると「MTBコースを走ったのは初めてで、難しいけど楽しかった」という声が多かった。また、「さがみ湖プレジャーフォレストのコースはバリエーションが豊富!」と、コース自体も皆から高評価。このMTBコースはここを拠点に活動するMTBガイドであるB.C.porterの河内仙陽さんが中心となって育ててきたコースであり、上級者からも高く評価されている。
プレジャーフォレストのコースを走るトレイルライドでは本格的なセクションもたっぷり
MTB専用コースだから思いっきり走れる!
細く荒れたオフロードはMTB初体験ではかなり難しく感じるはずだ。それゆえに日常では味わえない乗車感が楽しめたことだろう。距離10mに満たない上り坂でも路面は凸凹していて斜度もきつく、オンロードと同じようには上れない。段差でタイヤが浮き上がるジャンプ感も街中では得られない感触だ。MTBは全てがチャレンジングなのである。いままで経験したことがない自転車の新たな楽しみかたに、どのグループでも参加者の笑顔が絶えなかった。
BEAR BACK(熊の背中)と呼ばれる超激坂セクション
午後は各コースに分かれてのトレイルライドや試乗会を開催。下りメインのトレイル入り口まで自走で上る。普段はトランポで搬送してくれるオプションもある
JAMGAで広報も担当している岩瀬信彦さん(BLSS)は言う。
「普段はお客さんたちと一緒に走っているんだけど、他のガイドツアーを利用しているお客さんとの交流が少ない。それにガイド同士もなかなか会う機会がない。MTBが好きな人が年に一回どこかで集まれるようにと始めたのがこのイベントです。初めてMTBでオフロードを走るという人から、普段はトレイルの下りメインに走っていてさがみ湖のMTBコースは初めてという人まで、今回はいろんな人と一緒に走れました。普段ではあり得ないような幅広い交流が楽しかったですね」。
会場のさがみ湖プレジャーフォレストは入り口からMTBコースまで無料のシャトルバスが運行している
MTB大会でも使用される“フリフリ”ショートダウンヒルコース
MTBガイドには主に2つのことが期待されているように思う。まずは、MTBで走って楽しめる、自然豊かなオフロードへと「安全に」案内してくれること。そしてもう一つが、その自然を楽しむために必要なライディングテクニックを教えてくれることだ。
さがみ湖プレジャーフォレストのMTBコースではレンタルMTBも完備 特に「MTBで走って楽しめるオフロードっていったいどこにあるの?」というのが初級者にとって最初の難関になる。そこで、まずひとつ目の解決案が、今回のイベント会場になったさがみ湖プレジャーフォレストのようなMTB専用コース。そして、もうひとつの解決策がMTBガイドによるツアーである。
ガイドは好き勝手に山を自分のテリトリーにしているわけではなく、地元のあらゆる関係方面に許可を得て案内している。
自ら地主や自治体と交渉して伊那市でトレイルガイドをはじめたTrail Cutterの名取将さんは「MTBってどこを走ったらいいか分からないとか、トレイルの許可の問題とか、いろいろある。積極的に地域に働きかけているガイドもいるので、のびのびと走れるような環境を作りたい」と語る。
今日のメニューを伝えるボード レベルや目的に合わせて様々なメニューが用意された また山に入れば転倒によるケガ、虫や動物の毒、アレルギーなど突発的な傷病トラブルも可能性としては大いにあり得る。ガイドは一定のトレーニングを積んだ野外救急法の資格を持っているので、そういったバックアップもしてくれる。それにパンクや故障などの機材トラブルへの対処法も心得ている。街中であれば走行不能になってもタクシーを捕まえれば済むことだが、山中ではそうもいかない。初級者ほどガイドの存在は頼りになるものだ。
ガイドツアーの場合は、苦しい上りはトランスポーターでパスできるのも魅力。楽しい下りに時間を集中できるという利点もあるのだ(ただし、ガイド内容は各団体によって異なるので、詳細はお問い合わせを)。
難しい話しで恐縮だが、いままで許可を得ずに走ってきたトレイルとはなんだったのか、と思う。単純にライダーの数が少ないゆえに目立たなかったのか、とくに問題視されなかっただけかもしれない。
あるいは、地元のライダーたちが時間をかけて築いてきた信頼関係のお目こぼしにあずかっているのかもしれない。里山整備や地域活動などのボランティア活動など、より積極的に地域との関わりを深めて信頼関係を積み上げている場合もある。
これからMTBを始める人に最低限言いたいことは、トレイルに勝手に手を加えたり、むやみに荒らしたりしないこと。問題無く下山できる安全性を確保すること。地元住民やハイカーなど他者から問題視されるような振る舞い(挨拶しない、駐車場などを一部グループのみで占有、ゴミや火の不始末、乗ったまま歩行者のすぐ脇をすりぬける、道の路肩を崩す、など)をしないことだろうか。
そういった諸々の規範となる存在がアウトドアガイドだ。MTBライドを楽しみつつ、MTBライドにまつわる様々なノウハウが得られるのもガイドツアーの利点だといえる。
4月から5月にかけて山間部も雪が融けてMTBシーズンが訪れる。オフロード未体験という人も、各地のMTBガイドツアーに参加してみてはいかがだろうか? 気持ち良いアウトドア体験へいざなってくれるはずだ。
フィールドでの走りをサポートしてくれる、日本各地で活躍する MTBガイドたちを紹介
バイクライフサポートシステム(BLSS)の岩瀬信彦さん
「アロハバイクトリップ」の河村健一さん
「B.C.porter」の河内仙陽さん
埼玉・長瀞 バイクライフサポートシステム(BLSS)の岩瀬信彦さん
「埼玉県の長瀞を中心にガイドしています。一年中、初級者から中級者を中心にどんな人でも楽しめるようにレベルを分けています。比較的下り中心のトレイルに案内しているので、下りだけ楽しみたいという人がちょうどいいという感じかな」
BLSSホームページ
伊豆・下田を中心に活動する「アロハバイクトリップ」の河村健一さん
「スロースタイルでゆったり走ってゆったり楽しむスタイルです。伊豆・下田がベースですが、最近は河口湖でMTBキャンプもしていますよ。また、地元のオーガニックの素材を使ったおやつも用意しています」
アロハバイクトリップホームページ
神奈川県・さがみ湖 プレジャーフォレストのMTBコースでトレイルビルダー&ガイドとして活動する「B.C.porter」の河内仙陽さん
「さがみ湖プレジャーフォレストのMTBコースはオールシーズン乗れます。コースがどんどん良くなってくるねって言ってくださるお客さんが増えてきています。でもいろんな人が走ってくれるから、コースも良くなっていくんです。コースを自ら整備していますのでフィールドを知り尽くしています。お一人様からでもスクールが可能ですよ」
B.C.porterホームページ
「Trail Cutter」の名取将さん(右)と西脇仁哉さん
「SWEETRIDERS」のキャリー・リーさん(左)と丸山八智代さん
長野県伊那市でトレイルビルド&ガイドをしている「Trail Cutter」の名取将さん(右)と、今年から一緒にガイドするクロマグサポートライダーの西脇仁哉さん
「南アルプス山麓で10kmぐらいのトレイルを1日数本案内しています。ガッツリ下って楽しめるトレイルがあります。標高差1000mぐらいを下れる気持ちいいトレイルは日本一だと思っていますのでぜひ遊びに来てください」(名取さん)
Trail Cutterホームページ
長野県白馬を中心に松本や池田町などをガイドする「SWEETRIDERS」のキャリー・リーさん(左)と丸山八智代さん
「白馬には大自然を感じられるトレイルがたくさんあります。またツアーだけじゃなく、ライディングクリニックにも取り組んでいます。レッスン内容が確立されているIMICの内容に沿って行い、クリニックからライディングまで濃い内容でできるので、もっとスキルアップできてライドも沢山たのしめますよ」(丸山さん)
SWEETRIDERSホームページ
「NORTHSTAR outdoor adventures」の吉田力也さん
「知床サイクリングサポート」の西原重雄さん
「房総TRAIL HEAD CLUB」の中里卓也さん
ヒルクライム聖地・乗鞍高原にあるロッジ併設の「NORTHSTAR outdoor adventures」の吉田力也さん
「地域の方にご協力いただき、日本でもまれな国立公園内でのガイドが特徴です。高所なので夏場は比較的涼しく過ごせます。そのため、5〜10月がMTBシーズンで、他と比べてMTBシーズンは少し短いですね。そのぶん、濃縮したツアーを行っています。またノーススターのスタッフ全員、IMICというインストラクター資格を持っています。初心者対象のスクールにも力を入れています」
NORTHSTAR outdoor adventuresホームページ
世界自然遺産の知床・ウトロが拠点 「知床サイクリングサポート」の西原重雄さん
「世界自然遺産の知床でトレイルを走れます。動物や野鳥、運が悪ければクマさんに出逢うこともあります(笑)。もちろんクマ対処もしっかりできるようにしています。僕はネイチャーガイドから初めて、そのあとからサイクリングを始めました。ですからトレイルライド中にネイチャーガイドもできます。また、屈斜路湖や摩周湖周辺のトレイルもご案内できますよ」
知床サイクリングサポートホームページ
千葉県の房総半島でガイドする「房総TRAIL HEAD CLUB」の中里卓也さん
「房総でMTBガイドを初めて4年になります。私たちは自分たちで道を作るのではなくて、生活道として昔からあった廃道を主に使っています。ガイド団体として里山保全をしています。里山保全にはお金がかかりますので、ツアー代金の一部から資金として活用しています。傾斜が緩やかで荷車が移動するにも最適な道です。ですから初心者の方でも走りやすいトレイルになっています」
房総TRAIL HEAD CLUBホームページ
兵庫県のショップ「okid’oki lifestyle」の沖コースケさんたちも関西を中心にMTBガイドやコース作りに携わる。今回はメカニックとして駆けつけた
アフリカンドラムのリズムにのってティピーを中心に輪になってライドを締めくくった
ほかにも日本全国・各地で地元地域と共生しながらMTBの楽しみを提供してくれるMTBガイドたちがたくさんいる。どこかに走りに行きたくなったら、ぜひ日本マウンテンバイクガイド協会のホームページをチェックして最寄りのガイドさんを訪ねてみよう。
photo:綾野 真
text:墨崎大輔
フォトギャラリー(FaceBookアルバム)


日本マウンテンバイクガイド協会(以下JAMGA)主催のこのイベントは、MTBガイドとユーザーとの交流を深めるためのもの。開催地のさがみ湖プレジャーフォレストは、MTB常設コースやレンタルMTBを用意している。イベントにはMTBに乗ったことがなく、MTBを持っていない人でも手ぶらで参加していた。

日本全国で活動するMTBガイドの皆さん。山を知り尽くし、地元のトレイルを整備しながら一般のマウンテンバイカーたちを案内してくれる。そのガイドのプロたちが設立したのが日本マウンテンバイクガイド協会。登録ガイドさんが、日本各地から(北は北海道から!)集結し、ここ相模湖プレジャーフォレストのコースで走りを楽しむのがこのイベントだ。


まず午前の部は、テクニックのレベルごとにグループに分かれてMTBスクール&ライドを楽しんだ。
MTBはオンロード走行とは異なり、ただペダルを踏むだけではうまく走れない。一言で言えば、難易度が高い。スクールでも主眼は「漕ぐ」ことよりも「操る」ことを主に取り上げ、MTB初体験者にも分かりやすいように実演と練習を繰り返しながら解説していた。


自転車には乗れても、「ペダルの上に立つ」ことや、「ペダルに立ったまま、バイクを前に投げ出すような動作」や「ペダルに立ったまま、ハンドルに覆いかぶさるような動作」の繰り返しなど、およそ一般的な自転車の乗り方とは異なる動きに戸惑う参加者たち。しかし、こういった動きがMTBでオフロードを楽しむうえでは欠かせない。安全のためにも必須と言える。
「ライディングの基礎を磨くことで、トレイルを楽しく走れるようになりますよ」とは、SWEETRIDERSの丸山八智代さん。


高低差のないコースであれば、ライディングテクニックが低くても大丈夫だろう。しかし、ある程度の高低差があると(例えば土手の法面を上り下りするような数メートルの急斜面でも)、ある程度のテクニックが必要になる。こういったテクニックを教えてくれるのがMTBガイドでもある。


手作りのタコスランチを楽しんだあとは、アフリカンドラムバンド“たまゆら”によるライブ演奏に聴き惚れる。そして午後もグループにわかれて、さがみ湖プレジャーフォレストのコースに出発した。MAVICやグラファイトデザインによる試乗会なども開催された。

参加者によると「MTBコースを走ったのは初めてで、難しいけど楽しかった」という声が多かった。また、「さがみ湖プレジャーフォレストのコースはバリエーションが豊富!」と、コース自体も皆から高評価。このMTBコースはここを拠点に活動するMTBガイドであるB.C.porterの河内仙陽さんが中心となって育ててきたコースであり、上級者からも高く評価されている。


細く荒れたオフロードはMTB初体験ではかなり難しく感じるはずだ。それゆえに日常では味わえない乗車感が楽しめたことだろう。距離10mに満たない上り坂でも路面は凸凹していて斜度もきつく、オンロードと同じようには上れない。段差でタイヤが浮き上がるジャンプ感も街中では得られない感触だ。MTBは全てがチャレンジングなのである。いままで経験したことがない自転車の新たな楽しみかたに、どのグループでも参加者の笑顔が絶えなかった。


JAMGAで広報も担当している岩瀬信彦さん(BLSS)は言う。
「普段はお客さんたちと一緒に走っているんだけど、他のガイドツアーを利用しているお客さんとの交流が少ない。それにガイド同士もなかなか会う機会がない。MTBが好きな人が年に一回どこかで集まれるようにと始めたのがこのイベントです。初めてMTBでオフロードを走るという人から、普段はトレイルの下りメインに走っていてさがみ湖のMTBコースは初めてという人まで、今回はいろんな人と一緒に走れました。普段ではあり得ないような幅広い交流が楽しかったですね」。


MTBガイドには主に2つのことが期待されているように思う。まずは、MTBで走って楽しめる、自然豊かなオフロードへと「安全に」案内してくれること。そしてもう一つが、その自然を楽しむために必要なライディングテクニックを教えてくれることだ。

ガイドは好き勝手に山を自分のテリトリーにしているわけではなく、地元のあらゆる関係方面に許可を得て案内している。
自ら地主や自治体と交渉して伊那市でトレイルガイドをはじめたTrail Cutterの名取将さんは「MTBってどこを走ったらいいか分からないとか、トレイルの許可の問題とか、いろいろある。積極的に地域に働きかけているガイドもいるので、のびのびと走れるような環境を作りたい」と語る。

ガイドツアーの場合は、苦しい上りはトランスポーターでパスできるのも魅力。楽しい下りに時間を集中できるという利点もあるのだ(ただし、ガイド内容は各団体によって異なるので、詳細はお問い合わせを)。
難しい話しで恐縮だが、いままで許可を得ずに走ってきたトレイルとはなんだったのか、と思う。単純にライダーの数が少ないゆえに目立たなかったのか、とくに問題視されなかっただけかもしれない。
あるいは、地元のライダーたちが時間をかけて築いてきた信頼関係のお目こぼしにあずかっているのかもしれない。里山整備や地域活動などのボランティア活動など、より積極的に地域との関わりを深めて信頼関係を積み上げている場合もある。
これからMTBを始める人に最低限言いたいことは、トレイルに勝手に手を加えたり、むやみに荒らしたりしないこと。問題無く下山できる安全性を確保すること。地元住民やハイカーなど他者から問題視されるような振る舞い(挨拶しない、駐車場などを一部グループのみで占有、ゴミや火の不始末、乗ったまま歩行者のすぐ脇をすりぬける、道の路肩を崩す、など)をしないことだろうか。
そういった諸々の規範となる存在がアウトドアガイドだ。MTBライドを楽しみつつ、MTBライドにまつわる様々なノウハウが得られるのもガイドツアーの利点だといえる。
4月から5月にかけて山間部も雪が融けてMTBシーズンが訪れる。オフロード未体験という人も、各地のMTBガイドツアーに参加してみてはいかがだろうか? 気持ち良いアウトドア体験へいざなってくれるはずだ。
フィールドでの走りをサポートしてくれる、日本各地で活躍する MTBガイドたちを紹介



埼玉・長瀞 バイクライフサポートシステム(BLSS)の岩瀬信彦さん
「埼玉県の長瀞を中心にガイドしています。一年中、初級者から中級者を中心にどんな人でも楽しめるようにレベルを分けています。比較的下り中心のトレイルに案内しているので、下りだけ楽しみたいという人がちょうどいいという感じかな」
BLSSホームページ
伊豆・下田を中心に活動する「アロハバイクトリップ」の河村健一さん
「スロースタイルでゆったり走ってゆったり楽しむスタイルです。伊豆・下田がベースですが、最近は河口湖でMTBキャンプもしていますよ。また、地元のオーガニックの素材を使ったおやつも用意しています」
アロハバイクトリップホームページ
神奈川県・さがみ湖 プレジャーフォレストのMTBコースでトレイルビルダー&ガイドとして活動する「B.C.porter」の河内仙陽さん
「さがみ湖プレジャーフォレストのMTBコースはオールシーズン乗れます。コースがどんどん良くなってくるねって言ってくださるお客さんが増えてきています。でもいろんな人が走ってくれるから、コースも良くなっていくんです。コースを自ら整備していますのでフィールドを知り尽くしています。お一人様からでもスクールが可能ですよ」
B.C.porterホームページ


長野県伊那市でトレイルビルド&ガイドをしている「Trail Cutter」の名取将さん(右)と、今年から一緒にガイドするクロマグサポートライダーの西脇仁哉さん
「南アルプス山麓で10kmぐらいのトレイルを1日数本案内しています。ガッツリ下って楽しめるトレイルがあります。標高差1000mぐらいを下れる気持ちいいトレイルは日本一だと思っていますのでぜひ遊びに来てください」(名取さん)
Trail Cutterホームページ
長野県白馬を中心に松本や池田町などをガイドする「SWEETRIDERS」のキャリー・リーさん(左)と丸山八智代さん
「白馬には大自然を感じられるトレイルがたくさんあります。またツアーだけじゃなく、ライディングクリニックにも取り組んでいます。レッスン内容が確立されているIMICの内容に沿って行い、クリニックからライディングまで濃い内容でできるので、もっとスキルアップできてライドも沢山たのしめますよ」(丸山さん)
SWEETRIDERSホームページ



ヒルクライム聖地・乗鞍高原にあるロッジ併設の「NORTHSTAR outdoor adventures」の吉田力也さん
「地域の方にご協力いただき、日本でもまれな国立公園内でのガイドが特徴です。高所なので夏場は比較的涼しく過ごせます。そのため、5〜10月がMTBシーズンで、他と比べてMTBシーズンは少し短いですね。そのぶん、濃縮したツアーを行っています。またノーススターのスタッフ全員、IMICというインストラクター資格を持っています。初心者対象のスクールにも力を入れています」
NORTHSTAR outdoor adventuresホームページ
世界自然遺産の知床・ウトロが拠点 「知床サイクリングサポート」の西原重雄さん
「世界自然遺産の知床でトレイルを走れます。動物や野鳥、運が悪ければクマさんに出逢うこともあります(笑)。もちろんクマ対処もしっかりできるようにしています。僕はネイチャーガイドから初めて、そのあとからサイクリングを始めました。ですからトレイルライド中にネイチャーガイドもできます。また、屈斜路湖や摩周湖周辺のトレイルもご案内できますよ」
知床サイクリングサポートホームページ
千葉県の房総半島でガイドする「房総TRAIL HEAD CLUB」の中里卓也さん
「房総でMTBガイドを初めて4年になります。私たちは自分たちで道を作るのではなくて、生活道として昔からあった廃道を主に使っています。ガイド団体として里山保全をしています。里山保全にはお金がかかりますので、ツアー代金の一部から資金として活用しています。傾斜が緩やかで荷車が移動するにも最適な道です。ですから初心者の方でも走りやすいトレイルになっています」
房総TRAIL HEAD CLUBホームページ


ほかにも日本全国・各地で地元地域と共生しながらMTBの楽しみを提供してくれるMTBガイドたちがたくさんいる。どこかに走りに行きたくなったら、ぜひ日本マウンテンバイクガイド協会のホームページをチェックして最寄りのガイドさんを訪ねてみよう。
photo:綾野 真
text:墨崎大輔
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