2013/04/05(金) - 10:22
雨に濡れた1級山岳ウサルツァ峠で総合上位陣によるバトルが勃発。ゴール手前で抜け出したナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)がブエルタ・アル・パイスバスコ(UCIワールドツアー)第4ステージを制した。
バスク一周第4ステージは、同州最大の都市ビルバオ近郊のトラパガランから内陸部を進み、エイバル・アラーテにゴールする。レース前半からアップダウンの繰り返しで、カテゴリー1級と2級の山岳を合計5つ越える。最後に待つのは平均勾配6.7%・登坂距離7.3kmの1級山岳ウサルツァ峠だ。
朝から雨が降り続いたこの日、リーダージャージ擁するスカイプロサイクリングにとって厄介な選手が逃げに乗った。総合39位・1分49秒遅れのペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)を含む5名が、最大5分のリードを得てエスケープ。スカイはアシストを総動員してメイン集団をコントロールした。
しかし逃げグループは粘り強い走りを見せ、タイム差は4分を推移し続ける。スカイが多くのアシストを失うと、ゴール21km手前の2級山岳でモビスターが集団牽引を開始。すると逃げグループとのタイム差が急速に縮まり始めた。
モビスターが牽引するメイン集団は、1分遅れで最後の1級山岳ウサルツァ峠に突入。先頭ではベリトスとマッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)が霧に包まれた登りを進むが、メイン集団とのタイム差は縮まって行く。
コンスタントに勾配が7%を超えるこの登りで最初に動いたのはモビスター。総合9位ホセ・エラーダ(スペイン、モビスター)がアタックすると、総合8位ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)と総合6位サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)が反応。ラスト5kmを切ると、スピラックが単独でベリトスとモンタグーティを抜いて先頭に立った。
人数を減らしながら進むメイン集団ではカウンターアタックが連発。カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)らが攻撃を仕掛けたが、スカイのエナオモントーヤとポルトが交互に反応して封じ込める。
ポルトが献身的にペースを作り、6名に絞られた精鋭グループ(コンタドール、エナオモントーヤ、ポルト、クインターナ、ベタンクール、ペロー)は、ラスト2kmでスピラックを吸収。スカイの2人がハイペースを刻んだまま、決定的なアタックが生まれないまま、7名がゴール前にやってきた。
勾配が緩んだところでスパートを仕掛けたクインターナが先行。リーダージャージのエナオモントーヤら6名を2秒振り切って、クインターナが先頭でゴールに飛び込んだ。
「UCIワールドツアーでの勝利はいつだって特別。今日のような気象条件の中で、最も厳しいステージを制したことは大きな自信に繋がるよ。ゴール前のどのタイミングで仕掛けるべきか、下見で確認していたんだ」と、クイーンステージを制したクインターナ。エナオモントーヤとのタイム差を2秒詰めることに成功している。
1級山岳での闘いを終え、エナオモントーヤが総合首位をキープ。クインターナやポルト、コンタドール、スピラックが10秒以内で続く展開に大きな変化は見られなかった。最終日の個人タイムトライアルで逆転を狙うクインターナは「明日は力をセーブしながら走り、明後日のタイムトライアルに良い状態で挑みたい。登りも含まれているコースなので、悪い結果にはならないと思っている」とコメント。現状では、タイムトライアルに秀でたポルトやコンタドールに有利な状態だと言っていいだろう。
選手コメントはモビスター公式サイトより。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2013第4ステージ結果
1位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) 3h58'52"
2位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +02"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
4位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
6位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +16"
9位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +23"
10位 アルベルト・ロサダ(スペイン、カチューシャ) +24"
個人総合成績
1位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) 16h23'20"
2位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) +06"
3位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +10"
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
6位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) +21"
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル) +26"
8位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +35"
9位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
10位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +47"
ポイント賞
セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング)
山岳賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
スプリント賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com
バスク一周第4ステージは、同州最大の都市ビルバオ近郊のトラパガランから内陸部を進み、エイバル・アラーテにゴールする。レース前半からアップダウンの繰り返しで、カテゴリー1級と2級の山岳を合計5つ越える。最後に待つのは平均勾配6.7%・登坂距離7.3kmの1級山岳ウサルツァ峠だ。
朝から雨が降り続いたこの日、リーダージャージ擁するスカイプロサイクリングにとって厄介な選手が逃げに乗った。総合39位・1分49秒遅れのペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)を含む5名が、最大5分のリードを得てエスケープ。スカイはアシストを総動員してメイン集団をコントロールした。
しかし逃げグループは粘り強い走りを見せ、タイム差は4分を推移し続ける。スカイが多くのアシストを失うと、ゴール21km手前の2級山岳でモビスターが集団牽引を開始。すると逃げグループとのタイム差が急速に縮まり始めた。
モビスターが牽引するメイン集団は、1分遅れで最後の1級山岳ウサルツァ峠に突入。先頭ではベリトスとマッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)が霧に包まれた登りを進むが、メイン集団とのタイム差は縮まって行く。
コンスタントに勾配が7%を超えるこの登りで最初に動いたのはモビスター。総合9位ホセ・エラーダ(スペイン、モビスター)がアタックすると、総合8位ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)と総合6位サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)が反応。ラスト5kmを切ると、スピラックが単独でベリトスとモンタグーティを抜いて先頭に立った。
人数を減らしながら進むメイン集団ではカウンターアタックが連発。カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)らが攻撃を仕掛けたが、スカイのエナオモントーヤとポルトが交互に反応して封じ込める。
ポルトが献身的にペースを作り、6名に絞られた精鋭グループ(コンタドール、エナオモントーヤ、ポルト、クインターナ、ベタンクール、ペロー)は、ラスト2kmでスピラックを吸収。スカイの2人がハイペースを刻んだまま、決定的なアタックが生まれないまま、7名がゴール前にやってきた。
勾配が緩んだところでスパートを仕掛けたクインターナが先行。リーダージャージのエナオモントーヤら6名を2秒振り切って、クインターナが先頭でゴールに飛び込んだ。
「UCIワールドツアーでの勝利はいつだって特別。今日のような気象条件の中で、最も厳しいステージを制したことは大きな自信に繋がるよ。ゴール前のどのタイミングで仕掛けるべきか、下見で確認していたんだ」と、クイーンステージを制したクインターナ。エナオモントーヤとのタイム差を2秒詰めることに成功している。
1級山岳での闘いを終え、エナオモントーヤが総合首位をキープ。クインターナやポルト、コンタドール、スピラックが10秒以内で続く展開に大きな変化は見られなかった。最終日の個人タイムトライアルで逆転を狙うクインターナは「明日は力をセーブしながら走り、明後日のタイムトライアルに良い状態で挑みたい。登りも含まれているコースなので、悪い結果にはならないと思っている」とコメント。現状では、タイムトライアルに秀でたポルトやコンタドールに有利な状態だと言っていいだろう。
選手コメントはモビスター公式サイトより。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2013第4ステージ結果
1位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) 3h58'52"
2位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) +02"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
4位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
6位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +16"
9位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +23"
10位 アルベルト・ロサダ(スペイン、カチューシャ) +24"
個人総合成績
1位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング) 16h23'20"
2位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) +06"
3位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +10"
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
6位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル) +21"
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル) +26"
8位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ) +35"
9位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
10位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +47"
ポイント賞
セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング)
山岳賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
スプリント賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com
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