2013/03/11(月) - 16:41
英語圏出身で、スカイプロサイクリングに所属し、マイヨジョーヌを着る選手が再びパリ〜ニースの最終山岳個人タイムトライアルで勝利した。前年のブラドレー・ウィギンズ(イギリス)を彷彿とさせる、いや、それ以上の圧倒的な走りでリッチー・ポルト(オーストラリア)が勝った。
歴史的に見て、ニースからエズ峠(コル・デズ)まで登る山岳個人タイムトライアルはパリ〜ニースを締めくくる定番コースだった。1969年に初登場した際には、エディ・メルクス(ベルギー)がステージ優勝し、総合優勝している。
当時のコースは今より若干短い9.5kmで、優勝タイムは20分40秒(平均27.58km/h)。メルクスは翌年もその翌年も、同じコースで最速タイムをマークしてはパリ〜ニース総合優勝の称号を欲しいままにしている。
80年代にはコース全長が10kmに伸ばされ、90年代には12kmに。2002年からしばらく空白が続いた(ニースにゴールするロードレースが定番になっていた)が、昨年復活。9.6kmのコースでウィギンズが19分12秒(平均30.00km/h)をマークして総合優勝した。
標高32mのニース市内から標高501mのエズ峠まで、9.6kmかけて標高差469mを登る。平均勾配は4.7%で、前半は8%近い勾配が続く。ディスクホイールを使用する選手は皆無で、TTバイクに軽量ホイールを組み合わせる選手も稀にいたが、ほとんどの選手がノーマルバイクにノーマルのホイールを使用。アウターをグイグイ踏む平坦に近い区間もあるため、ノーマルバイクにDHバーを付ける選手も多数見受けられた。
総合1位リッチー・ポルト(オーストラリア)と総合2位アンドリュー・タランスキー(アメリカ)の総合タイム差は32秒。
昨年ポルトはこのタイムトライアルで20分56秒・ステージ28位という成績を残している。「去年は本当に走れていなかった」と回想するポルト。「でも今回のパリ〜ニースでは一番僕が登れている」と自信を見せる。
昨年、16kmで行なわれたツール・ド・ロマンディの山岳個人タイムトライアルでは、タランスキーがポルトを16秒上回るタイムをマークしているが、登りではポルトのほうが速かったと本人の弁。「あの時、(TTバイクに乗った)タランスキーは下りでタイムを稼いだんだ」。
20分弱のレースで32秒をひっくり返すのは現実的ではないにしても、タランスキーがどこまでポルトに迫れるか、そしてステージ優勝の行方は。28歳のポルトと24歳のタランスキー。2人は晴れ間の広がるニースを発った。
コートダジュールの美しい海を見下ろすエズ峠の頂上付近には、時間とともに海風が湿った霧を運んでくる。総合トップ10がゴールするころには辺り一面が真っ白になり、景色なんて何も見えない状態に。
暖かな太陽が遮られ、ヒンヤリとした空気を切り裂いて、マイヨジョーヌのポルトが最速タイムを叩き出してみせた。
ポルトの優勝タイムは19分16秒。パッと見ると昨年のウィギンズのタイム19分12秒よりも4秒遅いが、スタート位置が昨年よりも20m後方に設置され、一つコーナーが追加されたため、実際のタイムは両者ほぼ同じと言ってもいい。レース後にポルトと接触できなかったため、優勝コメントはレースレポートを参照していただきたい。
2010年のジロ・デ・イタリアでマリアローザを着たタジー(タスマニア島出身者)が見せた着実なステップアップ。ウィギンズとほぼ同タイムを記録したことは本人の大きな自信になるはずだ。柳葉敏郎似の謙虚な28歳は、今シーズンのジロとツールでアシストとしての役目を果たすと明言している。来年のジロではエースとしてマリアローザを狙う姿が見られるだろう。
23分19秒のステージ128位でフィニッシュした別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は、その日のうちに空路でフランスの自宅に戻った。「春先の重要なヨーロッパレースでモチベーションが高かっただけに、積極的な走りを披露できなかったのは残念でした」と、1週間のレースを振り返る。
フミのインタビューは別ページでお伝えします。
text&photo:Kei Tsuji in Nice, France
歴史的に見て、ニースからエズ峠(コル・デズ)まで登る山岳個人タイムトライアルはパリ〜ニースを締めくくる定番コースだった。1969年に初登場した際には、エディ・メルクス(ベルギー)がステージ優勝し、総合優勝している。
当時のコースは今より若干短い9.5kmで、優勝タイムは20分40秒(平均27.58km/h)。メルクスは翌年もその翌年も、同じコースで最速タイムをマークしてはパリ〜ニース総合優勝の称号を欲しいままにしている。
80年代にはコース全長が10kmに伸ばされ、90年代には12kmに。2002年からしばらく空白が続いた(ニースにゴールするロードレースが定番になっていた)が、昨年復活。9.6kmのコースでウィギンズが19分12秒(平均30.00km/h)をマークして総合優勝した。
標高32mのニース市内から標高501mのエズ峠まで、9.6kmかけて標高差469mを登る。平均勾配は4.7%で、前半は8%近い勾配が続く。ディスクホイールを使用する選手は皆無で、TTバイクに軽量ホイールを組み合わせる選手も稀にいたが、ほとんどの選手がノーマルバイクにノーマルのホイールを使用。アウターをグイグイ踏む平坦に近い区間もあるため、ノーマルバイクにDHバーを付ける選手も多数見受けられた。
総合1位リッチー・ポルト(オーストラリア)と総合2位アンドリュー・タランスキー(アメリカ)の総合タイム差は32秒。
昨年ポルトはこのタイムトライアルで20分56秒・ステージ28位という成績を残している。「去年は本当に走れていなかった」と回想するポルト。「でも今回のパリ〜ニースでは一番僕が登れている」と自信を見せる。
昨年、16kmで行なわれたツール・ド・ロマンディの山岳個人タイムトライアルでは、タランスキーがポルトを16秒上回るタイムをマークしているが、登りではポルトのほうが速かったと本人の弁。「あの時、(TTバイクに乗った)タランスキーは下りでタイムを稼いだんだ」。
20分弱のレースで32秒をひっくり返すのは現実的ではないにしても、タランスキーがどこまでポルトに迫れるか、そしてステージ優勝の行方は。28歳のポルトと24歳のタランスキー。2人は晴れ間の広がるニースを発った。
コートダジュールの美しい海を見下ろすエズ峠の頂上付近には、時間とともに海風が湿った霧を運んでくる。総合トップ10がゴールするころには辺り一面が真っ白になり、景色なんて何も見えない状態に。
暖かな太陽が遮られ、ヒンヤリとした空気を切り裂いて、マイヨジョーヌのポルトが最速タイムを叩き出してみせた。
ポルトの優勝タイムは19分16秒。パッと見ると昨年のウィギンズのタイム19分12秒よりも4秒遅いが、スタート位置が昨年よりも20m後方に設置され、一つコーナーが追加されたため、実際のタイムは両者ほぼ同じと言ってもいい。レース後にポルトと接触できなかったため、優勝コメントはレースレポートを参照していただきたい。
2010年のジロ・デ・イタリアでマリアローザを着たタジー(タスマニア島出身者)が見せた着実なステップアップ。ウィギンズとほぼ同タイムを記録したことは本人の大きな自信になるはずだ。柳葉敏郎似の謙虚な28歳は、今シーズンのジロとツールでアシストとしての役目を果たすと明言している。来年のジロではエースとしてマリアローザを狙う姿が見られるだろう。
23分19秒のステージ128位でフィニッシュした別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は、その日のうちに空路でフランスの自宅に戻った。「春先の重要なヨーロッパレースでモチベーションが高かっただけに、積極的な走りを披露できなかったのは残念でした」と、1週間のレースを振り返る。
フミのインタビューは別ページでお伝えします。
text&photo:Kei Tsuji in Nice, France