2013/03/10(日) - 09:40
コンタドール、フルーム、ニーバリらエース級がぶつかり合うバトルが展開されたプラーティ・ディ・ティーボ山頂ゴールの第4ステージ。クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が制した。
ナルニ〜プラーティ・ディ・ティーボ 173kmで争われたティレーノ〜アドリアティコ第4ステージ。
この日の山場は2つ。ステージ後半にパッソ・カパネッレ(距離13.8km、平均勾配4.5%)、そして山頂ゴールのプラーティ・ディ・ティーボ(距離14.6km、平均勾配7.1%)へと上り詰める、今大会中の最難関ステージだ。
4日目にしてようやく晴れ。マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)が出走せず。
スタートフラッグが落とされるとすぐにフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)、アントニー・ルー(フランス、FDJ)、フランチェスコ・ファイッリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)、 トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ)がアタック。集団との差をみるみる広げる。
ファイッリ(ヴィーニファンティーニ)はフォルカ・アローネの山岳ポイントをトップ通過。30km地点で集団と逃げグループは6分差に。
ステージ後半、パッソ・カパネッレもファイッリがトップ通過し、山岳ジャージへの意欲を見せる。ここではリーダージャージのマーク・カヴェンディッシュが集団から脱落。
パッソ・カパネッレ下ってからラスト14.6kmが勝負どころ、プラーティ・ディ・ティーボへの上りだ。集団はBMCのコントロールによりみるみる差を詰め、1分25秒差で上りに入った。
逃げる4人も分解。マルチンスキー(ヴァカンソレイユ)がひとり先頭を行くなか、次々と遅れ始めた。ラスト9kmからはメイン集団での勝負だ。チームスカイが5人を戦闘に集め、ペースを上げてフルームを援護するなか、ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・メリダ)、トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)ら有力選手が早々に脱落。
3人のアシストを残すスカイとフルームの後ろで、アルベルト・コンタドール(サクソ・ティンコフ)が睨みを効かせる。ゴールまで6.2km、コンタドールが早めのアタックを開始した。
スカイとフルーム、昨年のこの頂上ゴールを制したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)、クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)、マウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)らが追走、先頭集団は分解し、みるみる絞られていく。
コンタドールのアタックはチームスカイのアシストたちがペースアップして一度収束。
しかしこの動きに対応できなかったカデル・エヴァンス(BMC)とホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)は15秒ほどおいての第2集団に取り残される。
リゴベルト・ウラン、セルジオルイス・エナオモントーヤのスカイのコロンビア人2人が引くグループで、フルームは落ち着いてペースを刻む。
そしてラスト2.7kmで再びコンタドールのアタックがかかる。しかし絶好調時の爆発力には足りないこのアタックはニーバリ、サンタンブロージオに追いつかれる。
3人の逃げに後方から追いつく数人。スカイがふたり、そしてホーナーと新人賞ジャージのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)。牽制状態に入りかけたその時、ラスト1kmのフラムルージュをくぐった後にフルームが後方から一気に仕掛けた。
フルームは力強いペダリングでピッチを刻み、みるみる差をつける。追いすがるサンタンブロージオに6秒差でゴールに飛び込み、雄叫びを上げるガッツポーズ。
ニーバリは11秒差、コンタドールは11秒差を喫してしまう。
4位にはクヴィアトコウスキーが食い込み、フルームに対し4秒差ながら総合リーダーをものにした。マリアアッズーラはチームメイトのマーク・カヴェンディッシュから受け継ぐことになった。
ツール・ド・フランスで見せたような鉄壁のチームワークを披露したチームスカイ。パリ〜ニースでも現在リーダーのリッチー・ポルトをアシスト勢が手厚く守っている。スカイはこの日、今シーズンもステージレースの最強チームであることを証明した。
フルームは言う「チームは素晴らしい働きをしてくれた。彼らは全員で僕が最後の勝負どころまで助けてくれた。おかげで僕は他の誰よりもフレッシュだった。リゴ(ウラン)、セルジオ(エナオモントーヤ)、ダリオ(カタルド)に感謝したい。彼らがこれほどまでにすごい仕事をすると、僕の仕事はずっと楽になる」。
ティレーノ〜アドリアティコ2013第4ステージ結果
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)4h41’31”
2位 マウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)+06”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)+11”
4位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +13”
5位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)+15”
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) +20”
8位 ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ)+43”
9位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)+58”
個人総合成績
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) 16h04’59”
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)+04”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)+16”
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)+30”
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)+33”
6位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)+40”
7位 マウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
8位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)+1’04”
9位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ) +1’16”
10位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
山岳賞
フランチェスコ・ファイッリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
新人賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
text:Makoto.AYANO
photo:Riccardo Scanferla、CorVos
ナルニ〜プラーティ・ディ・ティーボ 173kmで争われたティレーノ〜アドリアティコ第4ステージ。
この日の山場は2つ。ステージ後半にパッソ・カパネッレ(距離13.8km、平均勾配4.5%)、そして山頂ゴールのプラーティ・ディ・ティーボ(距離14.6km、平均勾配7.1%)へと上り詰める、今大会中の最難関ステージだ。
4日目にしてようやく晴れ。マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)が出走せず。
スタートフラッグが落とされるとすぐにフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)、アントニー・ルー(フランス、FDJ)、フランチェスコ・ファイッリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)、 トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ)がアタック。集団との差をみるみる広げる。
ファイッリ(ヴィーニファンティーニ)はフォルカ・アローネの山岳ポイントをトップ通過。30km地点で集団と逃げグループは6分差に。
ステージ後半、パッソ・カパネッレもファイッリがトップ通過し、山岳ジャージへの意欲を見せる。ここではリーダージャージのマーク・カヴェンディッシュが集団から脱落。
パッソ・カパネッレ下ってからラスト14.6kmが勝負どころ、プラーティ・ディ・ティーボへの上りだ。集団はBMCのコントロールによりみるみる差を詰め、1分25秒差で上りに入った。
逃げる4人も分解。マルチンスキー(ヴァカンソレイユ)がひとり先頭を行くなか、次々と遅れ始めた。ラスト9kmからはメイン集団での勝負だ。チームスカイが5人を戦闘に集め、ペースを上げてフルームを援護するなか、ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・メリダ)、トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)ら有力選手が早々に脱落。
3人のアシストを残すスカイとフルームの後ろで、アルベルト・コンタドール(サクソ・ティンコフ)が睨みを効かせる。ゴールまで6.2km、コンタドールが早めのアタックを開始した。
スカイとフルーム、昨年のこの頂上ゴールを制したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)、クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)、マウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)らが追走、先頭集団は分解し、みるみる絞られていく。
コンタドールのアタックはチームスカイのアシストたちがペースアップして一度収束。
しかしこの動きに対応できなかったカデル・エヴァンス(BMC)とホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)は15秒ほどおいての第2集団に取り残される。
リゴベルト・ウラン、セルジオルイス・エナオモントーヤのスカイのコロンビア人2人が引くグループで、フルームは落ち着いてペースを刻む。
そしてラスト2.7kmで再びコンタドールのアタックがかかる。しかし絶好調時の爆発力には足りないこのアタックはニーバリ、サンタンブロージオに追いつかれる。
3人の逃げに後方から追いつく数人。スカイがふたり、そしてホーナーと新人賞ジャージのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)。牽制状態に入りかけたその時、ラスト1kmのフラムルージュをくぐった後にフルームが後方から一気に仕掛けた。
フルームは力強いペダリングでピッチを刻み、みるみる差をつける。追いすがるサンタンブロージオに6秒差でゴールに飛び込み、雄叫びを上げるガッツポーズ。
ニーバリは11秒差、コンタドールは11秒差を喫してしまう。
4位にはクヴィアトコウスキーが食い込み、フルームに対し4秒差ながら総合リーダーをものにした。マリアアッズーラはチームメイトのマーク・カヴェンディッシュから受け継ぐことになった。
ツール・ド・フランスで見せたような鉄壁のチームワークを披露したチームスカイ。パリ〜ニースでも現在リーダーのリッチー・ポルトをアシスト勢が手厚く守っている。スカイはこの日、今シーズンもステージレースの最強チームであることを証明した。
フルームは言う「チームは素晴らしい働きをしてくれた。彼らは全員で僕が最後の勝負どころまで助けてくれた。おかげで僕は他の誰よりもフレッシュだった。リゴ(ウラン)、セルジオ(エナオモントーヤ)、ダリオ(カタルド)に感謝したい。彼らがこれほどまでにすごい仕事をすると、僕の仕事はずっと楽になる」。
ティレーノ〜アドリアティコ2013第4ステージ結果
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)4h41’31”
2位 マウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)+06”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)+11”
4位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +13”
5位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)+15”
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) +20”
8位 ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ)+43”
9位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)+58”
個人総合成績
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) 16h04’59”
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)+04”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)+16”
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)+30”
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)+33”
6位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)+40”
7位 マウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
8位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)+1’04”
9位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ) +1’16”
10位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
山岳賞
フランチェスコ・ファイッリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
新人賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
text:Makoto.AYANO
photo:Riccardo Scanferla、CorVos
フォトギャラリー
Amazon.co.jp