ジロ・デル・ラツィオから名称を「ローマ~マキシマ」に変えて生まれ変わり5年ぶりに復活したクラシックレースで、127kmを逃げ続けたAG2Rのカドリが独走勝利。増田成幸は69位でゴールしている。

ローマ~マキシマ2013 コースプロフィールローマ~マキシマ2013 コースプロフィール photo:RCS Sportフランスでパリ~ニースが開幕した3月3日、ストラーデ・ビアンケを前日に終えたイタリアでは、伝統のクラシックレース、「ジロ・デル・ラツィオ」の流れをくむ新レース「ローマ・マキシマ」が開催された。”ラツィオ”は1933年初開催の伝統ある大会で、それまでにも幾度かの名称変更を経てきたが、2009年より財政難により中止。今回新たな名称で5年ぶりの開催を迎えた。

コロッセオ前を通過していく集団コロッセオ前を通過していく集団 photo:RCS Sportコースはローマから南下し、中盤から後半に掛けて山岳地帯を通り、再びローマへと戻る180km。
途中には97km地点にはロッカ・マッシーマ、127km地点にはロッカ・プリオーラ、142km地点にはカンピ・ディ・アンニバルと標高700m台の峠が3つ連続し、最後はおよそ40kmに渡る下りと平坦を経てゴールへとたどり着く。

集団から抜け出すヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)集団から抜け出すヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Cor.Vosイタリアンチームを中心にランプレ・メリダやキャノンデール・プロサイクリングなど9つのUCIプロツアーチームに加え、プロコンチネンタルチームとコンチネンタルチームを合わせて16チームから127名の選手がエントリー。

後半逃げ続けるビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)後半逃げ続けるビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル) photo:Cor.Vosフィリッポ・ポッツァート(ランプレ・メリダ)やヴィンツェンツォ・ニーバリ(アスタナ)、エロス・カペッキ(モビスターチーム)らイタリア勢に加え、ストラーデ・ビアンケから連戦のファンアントニオ・フレチャ(スペイン、ヴァカンソレイユ・DCM)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスターチーム)などが注目の存在だ。キャノンデール・プロサイクリングからは増田成幸が出場した。

スタート後から激しいアタックの応酬が続き、逃げ集団が形成されたのはスタートから53km地点のこと。ビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)、ピム・リヒハルト(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、アルバート・ティマー(オランダ、アルゴス・シマノ)ら5名は最大で8分のタイム差を稼ぎだす。
やがてメイン集団ではモビスター勢がペースコントロールを開始し、徐々にタイム差を詰める格好でレースは推移した。

先行する5名の中ではやがて、カドリがカンピ・ディ・アンニバルでアタック。続くカプチーニ峠の短い上りでは後続を振り払い、ゴールまで40kmを残し一人独走を開始した。

先頭を行くカドリを追うメイン集団だが、アタックと吸収を繰り返したこと、無線機を使えないことで統率が取れず、思うようにペースが上がらない。ようやく残り1kmでカドリから遅れた4名を吸収したメイン集団だったが、その先を行くカドリの存在には気づいていなかった。

127kmに渡る逃げを成功させたビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)127kmに渡る逃げを成功させたビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル) photo:Cor.Vos結果、背後に迫り来る集団を振り払ったカドリは、127kmを逃げ切ってゴールへと到達。決着が付いていたことを知らない集団はポッツァートが獲り、次にグレガ・ボーレ(スロベニア、ヴァカンソレイユ・DCM)が入った。

序盤の逃げグループから独走し、一人ゴールへとたどり着く金星を上げたカドリは、これがキャリア最大の勝利。直近の勝利は2010年、ルート・ドゥ・スッドでのステージ優勝だった。

「金曜日までこのレースに出る予定では無く、病欠が出たので代わりに出走したんだ。アタックはチームの作戦で、僕が乗った動きが逃げに繋がった。」と語るカドリ。
「山岳ではアタックしたけれど、一人になるとは思わなかったんだ。ゴールまで距離があったけれど、自分を信じて先行することにしたんだ。あまりチャンスに恵まれなかったけれど、今回はそれを活かすことができた。とても嬉しいよ」と加えた。


ローマ~マキシマ2013表彰台ローマ~マキシマ2013表彰台 photo:RCS Sport37秒遅れの集団先頭を獲ったフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)優勝と勘違いしてのポーズ37秒遅れの集団先頭を獲ったフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)優勝と勘違いしてのポーズ photo:RCS Sport


アシストを務めた増田成幸(キャノンデール・プロサイクリング)はトップから3分12秒遅れの第2集団内でゴール。69位でレースを終えている。


ローマ~マキシマ2013結果
1位 ビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)4h26′27″
2位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ) +37″
3位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ヴァカンソレイユ・DCM)
4位 エンリコ・バルビン(イタリア、ヴァルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
5位 シモーネ・ポンツィ(イタリア、アスタナ)
6位 レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コロンビア)
7位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスターチーム)
8位 サイモン・ゲスク(ドイツ、アルゴス・シマノ)
9位 セルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ・DCM)
10位 セルゲイ・シェルネスキ(ロシア、カチューシャ)
69位 増田成幸(キャノンデール・プロサイクリング)+3′12″


text:So.Isobe
photo:Cor.Vos,RCS Sport
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