2009/07/01(水) - 10:44
7月4日に開幕する第96回ツール・ド・フランス。モナコ公国の個人タイムトライアルで幕開け、ピレネー山脈を越えてアルプスに向かうツール前半ステージ(第1〜11ステージ)を紹介します!
7月4日(土)第1ステージ モナコ 15.5km 個人TT
開催96回目を迎えるツール・ド・フランスが、グランデパール(スタート地点)に選んだのは、コートダジュールに位置するモナコ公国。世界で二番目に小さなこの小国を、15.5kmかけて駆け回る。街中のテクニカルなコーナーが連続するコースは、前半上りで後半下り。モナコ港をスタートし、カジノを経て一旦標高205mまで駆け上がると、海まで一気にダウンヒル。F1グランプリと同じく、モナコ港にゴールする。前半部の上りの厳しさから、重厚なTTスペシャリストばかりでなく、登坂力のあるオールラウンダーにもチャンスがある。最終的な総合優勝候補の選手たちが、早くも総合上位に名前を並べることになるだろう。
7月5日(日)第2ステージ モナコ〜ブリニョル 187km
ツールの序盤ステージはスプリンター向きの平坦コースと相場が決まっている。過去10年のツールを振り返っても、マスドスタート初日のステージでスプリントに持ち込まれなかったのは1回だけ(2002年・ベルトリアーティが逃げ切り)だ。第2ステージはコートダジュールのモナコから西へ。3級山岳を含む急峻な海岸線のアップダウンやニースを経て内陸部に入り、終着地ブリニョルに向かって比較的平坦なコースを進む。逃げ切りを狙う選手たちvsスプリンターチームのハイスピードバトルが繰り広げられるだろう。大集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性は高い。
7月6日(月)第3ステージ マルセイユ〜ラ・グラン・モット 196.5km
今大会、スプリンター向きと思われるのは9ステージ。その中でも第3ステージはかなり平坦な部類に入る。大都市マルセイユから平野部ラ・グラン・モットまでの196kmに設定された山岳ポイントは2つ。しかも低難易度でゴールまで距離があるため、勝負には直接影響しない。特にラスト90kmは真っ平らで、追い上げる大集団に有利なのは明らかだ。十中八九スプリンターによる争いに持ち込まれるだろう。しかしここで注意したいのが、南フランス特有の「ミストラル(アルプスからの季節風)」。平野を吹き抜けるこの横風が集団の隊列を乱し、総合成績にダメージを与えるような波乱が起こる可能性も。
7月7日(火)第4ステージ モンペリエ 39km チームTT
ツールにチームタイムトライアル(以下TT)が登場するのは2005年ぶり。2005年当時のチームTTとは異なり、実際のタイム(5人目の選手のタイム)がそのまま総合成績に反映される方式のため、比較的距離は短い。39kmのコースは中盤に高低差100mほどの上りが待ち構えているが、上りの難易度はそれほど厳しくない。それよりも、いかに秩序あるローテーションを組み、平坦路をハイスピードで駆け抜けるかが勝負の鍵を握る。チーム力がそのままタイムに反映されるため、総合成績は大きく動く。チームコロンビアやガーミン、サクソバンク、アスタナがリードを広げる走りを見せるはずだ。
7月8日(水)第5ステージ ル・キャップ・ダグド〜ペルピニャン 196.5km
再びスプリンターに目が向けられる第5ステージ。中盤に2つの4級山岳が設定されている以外は真っ平らで、地中海に沿ってフランス南部の平原を南下する。前日のチームTTでマイヨジョーヌを獲得したチームが、たとえジャージキープに興味を示さず集団コントロールを放棄した場合でも、スプリンターチームが周到にペースをコントロールして逃げを飲み込むだろう。翌日からチャンスが遠ざかるだけに、スプリンターたちの士気は高いハズ。スペイン国境に近いペルピニャンのゴール地点は、幅広い直線路。横風で集団が分裂するトラブルが無い限り、大迫力のスプリント勝負に持ち込まれるだろう。
7月9日(木)第6ステージ ジローナ〜バルセロナ 181.5km
多くの北米出身選手のヨーロッパ拠点として知られるジローナをスタートする第6ステージは、隣国スペインを大都市バルセロナに向かって駆け抜ける。一見難易度の低い平坦ステージだが、ゴール地点が上りのためピュアスプリンターには苦戦が予想される。この日の主役はスプリンターではなく、パンチャーなど上りでのアタック力に長けた選手たちだ。標高96mのモンジュイックの丘に設置されたゴール地点に向かって、ラスト2kmから登坂開始。500mに渡って続く勾配6.6%の上りで、マッチョなスプリンターたちは足止めを食らう。集団がバラけた場合は総合成績に変動が起こる可能性も。
7月10日(金)第7ステージ バルセロナ〜アンドラ・アルカリス 224km
3日間連続するピレネー山脈シリーズ。バルセロナをスタートするピレネー初日の第7ステージは、早速超級山岳の頂上ゴールが登場する。コース全長は大会最長の224kmで、1級山岳を含む4つの山岳ポイントを越えてからアンドラ公国に入国。そこから標高2240mに位置するスキーリゾートのアルカリスまで延々と上りが続く。本格的な上りの距離は10.6kmで、平均勾配は7.1%。12年前に若きウルリッヒ(ドイツ)がパンターニ(イタリア)を振り切ってステージ優勝(最終的に総合優勝)を飾ったこの難関山岳で、大会最初の山岳バトルが繰り広げられる。総合成績の変動必至のステージだ。
7月11日(土)第8ステージ アンドラ・ラ・ヴィエイユ〜サン・ジロン 176.5km
アンドラをスタートした一行は、ピレネー山脈で最も標高のある1級山岳アンバリラ峠に向かって早速登坂を開始。今大会2番目に標高のあるこの峠(標高2408m)を越えてフランスに入国すると、標高400m台まで長い長いダウンヒルが続く。レース後半にかけて2級山岳ポルト峠と1級山岳アニエス峠を越え、ピレネー麓のサン・ジロンにゴールする。登坂距離は合計46kmに達するが、前日の頂上ゴールのようなインパクトは無い。ゴール手前は下り&平坦路が長く続くため、アニエス峠で単独で飛び出してもゴールまでは届かない。上りで縮小した集団によるスプリント勝負に持ち込まれるだろう。
7月12日(日)第9ステージ サン・ゴダン〜タルブ 160.5km
ピレネー最終日のこの日は、2つのツール名物峠が登場する。まずは今年70回目の登場となるアスパン峠をクリア。登坂距離12.3km・平均勾配6.4%のこの1級山岳を越えると、次に待っているのはツール77回目の登場、標高2115mのトゥールマレー峠だ。7.4%の上りが17.1kmに渡って続くこの名物峠は、日曜日だけに大観衆に包まれるだろう。トゥールマレーを越えると超高速のダウンヒル。聖地ルルドを通過して、集団はハイスピードのままタルブに飛び込む。山岳からゴールまで距離があるため、遅れたスプリンターが集団に復帰する可能性も。翌日は大会最初の休息日だ。
7月13日(月)休息日
7月14日(火)第10ステージ リモージュ〜イスーダン 194.5km
休息日明けの選手たちを待っているのは、比較的平坦なスプリンター向きの3連続ステージ。スタート地点のリモージュは1995年、アームストロング(アメリカ)がレース中の落車事故で亡くなったカザルテッリ(イタリア)に捧げる独走勝利を飾った地だ。前日に空路でフランス中部に移動した選手たちは、リモージュからツール初登場のイスーダンに向かって平野部をひたすら駆け抜ける。序盤に4級山岳が3つ登場するだけで、圧倒的にスプリンター有利のコースレイアウトだが、この日はフランス革命記念日。フランス人選手は序盤から血気盛んにアタックを繰り出すだろう。
7月15日(水)第11ステージ ヴァタン〜サン・ファルジョー 192km
今大会有数の難易度の“低さ”を誇る平坦な第11ステージ。登場する山岳ポイントはたった2つ、しかもカテゴリー4級だ。ツール初登場のヴァタンからサン・ファルジョーまでの192kmは、土地柄追い風が吹く可能性が高く、ハイスピードな展開に持ち込まれるだろう。ゴール前1kmは上り基調だが、ピュアスプリンターでも難なくこなせるほどの緩斜面(平均3%ほど)だ。この日、ツールは中間地点を通過し、後半戦へと突入する。この時点ですでに集団スプリントは5〜6回繰り広げられていると予想されている。マイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)争いは熱を帯びていることだろう。
7月4日(土)第1ステージ モナコ 15.5km 個人TT
開催96回目を迎えるツール・ド・フランスが、グランデパール(スタート地点)に選んだのは、コートダジュールに位置するモナコ公国。世界で二番目に小さなこの小国を、15.5kmかけて駆け回る。街中のテクニカルなコーナーが連続するコースは、前半上りで後半下り。モナコ港をスタートし、カジノを経て一旦標高205mまで駆け上がると、海まで一気にダウンヒル。F1グランプリと同じく、モナコ港にゴールする。前半部の上りの厳しさから、重厚なTTスペシャリストばかりでなく、登坂力のあるオールラウンダーにもチャンスがある。最終的な総合優勝候補の選手たちが、早くも総合上位に名前を並べることになるだろう。
7月5日(日)第2ステージ モナコ〜ブリニョル 187km
ツールの序盤ステージはスプリンター向きの平坦コースと相場が決まっている。過去10年のツールを振り返っても、マスドスタート初日のステージでスプリントに持ち込まれなかったのは1回だけ(2002年・ベルトリアーティが逃げ切り)だ。第2ステージはコートダジュールのモナコから西へ。3級山岳を含む急峻な海岸線のアップダウンやニースを経て内陸部に入り、終着地ブリニョルに向かって比較的平坦なコースを進む。逃げ切りを狙う選手たちvsスプリンターチームのハイスピードバトルが繰り広げられるだろう。大集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性は高い。
7月6日(月)第3ステージ マルセイユ〜ラ・グラン・モット 196.5km
今大会、スプリンター向きと思われるのは9ステージ。その中でも第3ステージはかなり平坦な部類に入る。大都市マルセイユから平野部ラ・グラン・モットまでの196kmに設定された山岳ポイントは2つ。しかも低難易度でゴールまで距離があるため、勝負には直接影響しない。特にラスト90kmは真っ平らで、追い上げる大集団に有利なのは明らかだ。十中八九スプリンターによる争いに持ち込まれるだろう。しかしここで注意したいのが、南フランス特有の「ミストラル(アルプスからの季節風)」。平野を吹き抜けるこの横風が集団の隊列を乱し、総合成績にダメージを与えるような波乱が起こる可能性も。
7月7日(火)第4ステージ モンペリエ 39km チームTT
ツールにチームタイムトライアル(以下TT)が登場するのは2005年ぶり。2005年当時のチームTTとは異なり、実際のタイム(5人目の選手のタイム)がそのまま総合成績に反映される方式のため、比較的距離は短い。39kmのコースは中盤に高低差100mほどの上りが待ち構えているが、上りの難易度はそれほど厳しくない。それよりも、いかに秩序あるローテーションを組み、平坦路をハイスピードで駆け抜けるかが勝負の鍵を握る。チーム力がそのままタイムに反映されるため、総合成績は大きく動く。チームコロンビアやガーミン、サクソバンク、アスタナがリードを広げる走りを見せるはずだ。
7月8日(水)第5ステージ ル・キャップ・ダグド〜ペルピニャン 196.5km
再びスプリンターに目が向けられる第5ステージ。中盤に2つの4級山岳が設定されている以外は真っ平らで、地中海に沿ってフランス南部の平原を南下する。前日のチームTTでマイヨジョーヌを獲得したチームが、たとえジャージキープに興味を示さず集団コントロールを放棄した場合でも、スプリンターチームが周到にペースをコントロールして逃げを飲み込むだろう。翌日からチャンスが遠ざかるだけに、スプリンターたちの士気は高いハズ。スペイン国境に近いペルピニャンのゴール地点は、幅広い直線路。横風で集団が分裂するトラブルが無い限り、大迫力のスプリント勝負に持ち込まれるだろう。
7月9日(木)第6ステージ ジローナ〜バルセロナ 181.5km
多くの北米出身選手のヨーロッパ拠点として知られるジローナをスタートする第6ステージは、隣国スペインを大都市バルセロナに向かって駆け抜ける。一見難易度の低い平坦ステージだが、ゴール地点が上りのためピュアスプリンターには苦戦が予想される。この日の主役はスプリンターではなく、パンチャーなど上りでのアタック力に長けた選手たちだ。標高96mのモンジュイックの丘に設置されたゴール地点に向かって、ラスト2kmから登坂開始。500mに渡って続く勾配6.6%の上りで、マッチョなスプリンターたちは足止めを食らう。集団がバラけた場合は総合成績に変動が起こる可能性も。
7月10日(金)第7ステージ バルセロナ〜アンドラ・アルカリス 224km
3日間連続するピレネー山脈シリーズ。バルセロナをスタートするピレネー初日の第7ステージは、早速超級山岳の頂上ゴールが登場する。コース全長は大会最長の224kmで、1級山岳を含む4つの山岳ポイントを越えてからアンドラ公国に入国。そこから標高2240mに位置するスキーリゾートのアルカリスまで延々と上りが続く。本格的な上りの距離は10.6kmで、平均勾配は7.1%。12年前に若きウルリッヒ(ドイツ)がパンターニ(イタリア)を振り切ってステージ優勝(最終的に総合優勝)を飾ったこの難関山岳で、大会最初の山岳バトルが繰り広げられる。総合成績の変動必至のステージだ。
7月11日(土)第8ステージ アンドラ・ラ・ヴィエイユ〜サン・ジロン 176.5km
アンドラをスタートした一行は、ピレネー山脈で最も標高のある1級山岳アンバリラ峠に向かって早速登坂を開始。今大会2番目に標高のあるこの峠(標高2408m)を越えてフランスに入国すると、標高400m台まで長い長いダウンヒルが続く。レース後半にかけて2級山岳ポルト峠と1級山岳アニエス峠を越え、ピレネー麓のサン・ジロンにゴールする。登坂距離は合計46kmに達するが、前日の頂上ゴールのようなインパクトは無い。ゴール手前は下り&平坦路が長く続くため、アニエス峠で単独で飛び出してもゴールまでは届かない。上りで縮小した集団によるスプリント勝負に持ち込まれるだろう。
7月12日(日)第9ステージ サン・ゴダン〜タルブ 160.5km
ピレネー最終日のこの日は、2つのツール名物峠が登場する。まずは今年70回目の登場となるアスパン峠をクリア。登坂距離12.3km・平均勾配6.4%のこの1級山岳を越えると、次に待っているのはツール77回目の登場、標高2115mのトゥールマレー峠だ。7.4%の上りが17.1kmに渡って続くこの名物峠は、日曜日だけに大観衆に包まれるだろう。トゥールマレーを越えると超高速のダウンヒル。聖地ルルドを通過して、集団はハイスピードのままタルブに飛び込む。山岳からゴールまで距離があるため、遅れたスプリンターが集団に復帰する可能性も。翌日は大会最初の休息日だ。
7月13日(月)休息日
7月14日(火)第10ステージ リモージュ〜イスーダン 194.5km
休息日明けの選手たちを待っているのは、比較的平坦なスプリンター向きの3連続ステージ。スタート地点のリモージュは1995年、アームストロング(アメリカ)がレース中の落車事故で亡くなったカザルテッリ(イタリア)に捧げる独走勝利を飾った地だ。前日に空路でフランス中部に移動した選手たちは、リモージュからツール初登場のイスーダンに向かって平野部をひたすら駆け抜ける。序盤に4級山岳が3つ登場するだけで、圧倒的にスプリンター有利のコースレイアウトだが、この日はフランス革命記念日。フランス人選手は序盤から血気盛んにアタックを繰り出すだろう。
7月15日(水)第11ステージ ヴァタン〜サン・ファルジョー 192km
今大会有数の難易度の“低さ”を誇る平坦な第11ステージ。登場する山岳ポイントはたった2つ、しかもカテゴリー4級だ。ツール初登場のヴァタンからサン・ファルジョーまでの192kmは、土地柄追い風が吹く可能性が高く、ハイスピードな展開に持ち込まれるだろう。ゴール前1kmは上り基調だが、ピュアスプリンターでも難なくこなせるほどの緩斜面(平均3%ほど)だ。この日、ツールは中間地点を通過し、後半戦へと突入する。この時点ですでに集団スプリントは5〜6回繰り広げられていると予想されている。マイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)争いは熱を帯びていることだろう。
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