2009年2月8日、関西シクロクロス最終戦が京都府福知山市の由良川河川敷で行なわれ、世界選手権から帰国した竹之内悠(TREK)が優勝を飾り、全10戦の総合成績でトップに輝いた。正真正銘ラストレースとなった三船雅彦は2位。関西シクロクロス通算36勝を飾っている三船が、この日を最後に現役を退いた。

スタートダッシュを決めた松井正史(シマノドリンキング)スタートダッシュを決めた松井正史(シマノドリンキング) photo:Kei Tsuji全10戦で行なわれた08〜09年度の関西シクロクロス。その最後を締めくくる第10戦が、京都府福知山市の由良川河川敷で開催された。

川沿いのコースは大半がフラットな直線路で、通称「シマノステップ」と呼ばれる低い障害物や、シクロクロス名物のシケイン、そしてテクニカルな急坂が設定されている。

カテゴリー1には35名がエントリー。1月31日にオランダで開催されたシクロクロス世界選手権U23を36位で完走した竹之内悠(TREK)や、現役最後のレースとなる三船雅彦らが顔を揃えた。

通称「シマノステップ」をクリアするた竹之内悠(TREK)や三船雅彦通称「シマノステップ」をクリアするた竹之内悠(TREK)や三船雅彦 photo:Kei Tsujiシクロクロス世界選手権にメカニックとして帯同した松井正史(シマノドリンキング)がリードする形でレースはスタート。しばらく松井がレースをリードしたが、半周で竹之内に先頭を明け渡した。

ハイペースを刻む竹之内は1周目から独走を開始する。しかし風が強いコンディションのため、土手の上を走る平坦区間では単独より複数名が有利なのは明らか。やがて竹之内には、後方から三船雅彦のダレン・リード(O-TRICK RIDLEYBIKE JAPAN)の2名が合流。好スタートを切った松井が徐々に後退する一方で、先頭では竹之内、三船、リードの3名がパックを形成した。

独走でゴールする竹之内悠(TREK)独走でゴールする竹之内悠(TREK) photo:Kei Tsuji時折アタックを交えながらも、先頭3名はパックのままハイペースで周回を重ねていく。池本真也(和光機器タムラクラブ)や合田啓祐(Teamクルーズ)らがそれぞれ単独で追走したが、誰も先頭3名に追いつくことは無かった。

レースが動いたのはラスト2周。先頭3名の中で突如ペースを上げた竹之内は、三船とリードを置き去りにして再び独走を開始する。ライバルたちを引き離した竹之内は、最後までハイペースを維持し、そのままゴール。第4・5・6戦に続くシリーズ4勝目を飾った。

全10戦の総合成績でトップに輝いた竹之内は、「風が強かったから、中盤は3名での走行を余儀なくされたけど、最後はペースを取り戻せて気持ちよく走れた」と語る。

関西シクロクロスには小学生の頃から参戦しており、「この関西シクロクロスに育てられたようなもの」とは20歳の王者の言葉。今や関西の、いや日本を背負って立つライダーへと成長した。


カテゴリー1の表彰台、左から2位三船雅彦、優勝竹之内悠、3位ダレン・リードカテゴリー1の表彰台、左から2位三船雅彦、優勝竹之内悠、3位ダレン・リード photo:Kei Tsuji前日までの海外業務の影響で「ここ3日間はバイクに触れていない」と語っていた三船だが、存在感ある走りで2位に。ロードレースのラストレースはツアー・オブ・サウスチャイナシーだが、この日が正真正銘のラストレース。最後は目を閉じ、両手を挙げてゴールに飛び込んだ。

ラストレースを走り終えた三船は「もうこれからはプロ選手としてゼッケンを背中につけることは無い」と述べながらも、「お世話になったこの関西シクロクロスに、これからは何らかの形で貢献していきたい」と、今後も関わっていく意向を示している。

カテゴリー2、序盤からレースをリードする辻善光(MATRIX-POWERTAG)カテゴリー2、序盤からレースをリードする辻善光(MATRIX-POWERTAG) photo:Kei Tsujiカテゴリー2は、来シーズンの全日本選手権出場を目指す辻善光(MATRIX-POWERTAG)がエントリーし、他を寄せ付けない走りで勝利。2位に東畠信行(ナカガワA.S.K'デザイン)、3位に松村孝一(チーム泥んこプロレス)が入った。同時スタートのカテゴリーL2は酒井真清(Testach-Racing)が独走で勝利を飾り、シリーズ総合成績トップに輝いている。


最後はみんなで記念撮影、合い言葉は「まった来年〜!」最後はみんなで記念撮影、合い言葉は「まった来年〜!」 photo:Kei Tsuji
カテゴリー1(12周回)
1位 竹之内悠(TREK)1h05'10"
2位 三船雅彦+34"
3位 ダレン・リード(O-TRICK RIDLEYBIKE JAPAN)+37"
4位 池本真也(和光機器タムラクラブ)+3'13"
5位 合田啓祐(Teamクルーズ)+4'25"
6位 船岡洋(Testach-Racing)+4'50"
7位 菊池健一(JMS by AMB-ツイン)
8位 笹井秀治(masahikomifune.com cycling team)+4'54"
9位 國吉正紀(BRIDLER HIRO)+6'02"
10位 松本哲(グランデパール播磨)-1LAP

カテゴリー2(7周回)
1位 辻善光(MATRIX-POWERTAG)41'02"
2位 東畠信行(ナカガワA.S.K'デザイン)+1'01"
3位 松村孝一(チーム泥んこプロレス)+1'22"
4位 赤塚剛司(Mt・Hase321)+1'30"
5位 福田高志(大阪経済大学)+1'46"

カテゴリーL1(6周回)
1位 酒井真清(Testach-Racing)40'17"
2位 中村由香里(ナカガワAS.K'デザイン)+3'09"
3位 福本千佳(クラブシルベスト)+4'41"
4位 山口博子(パワーキック)+7'09"
5位 上田順子(クラブシルベスト)-1LAP

カテゴリーM1(7周回)
1位 岩本雅秀(チーム泥んこプロレス)43'52"
2位 元井和彦(シャカリキ自転車部)+26"
3位 前川圭助(White Jack)+56"
4位 高野芳映(高野建具)+1'42"
5位 木村治(まほろばRC)+1'56"

シリーズ総合成績
1位 竹之内悠(TREK) 132pts
2位 入江克典(シマノドリンキング)111pts
3位 三船雅彦 105pts
4位 ダレン・リード(O-TRICK RIDLEYBIKE JAPAN)95pts
5位 伊澤優大(Bee Club) 80pts
6位 岡崎和也(梅丹本舗・GDR) 73pts
7位 合田啓祐(Teamクルーズ) 55pts
8位 松井正史(シマノドリンキング) 50pts
9位 バリー・ウィックス(KONA FSA) 48pts
10位 小坂正則(スワコレーシングチーム) 42pts

photo&text:辻啓

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