2月13日に、ツアー・オブ・オマーン(UCI2.HC)第3ステージで畑中勇介(日本ナショナルチーム)が逃げに乗る。第1ステージの内間康平、第2ステージの木下智裕と同様、畑中は最後の最後まで単独で逃げ続けた。

プロトンがオマーンの内陸部を走るプロトンがオマーンの内陸部を走る photo:A.S.O.オマーン第3ステージは、ナハルフォートからワディダイカダムまでの190km。首都マスカットをかすめて東進し、マスカットに給水するオマーン最大規模のダムであるワディダイカダムにゴールする。ゴール手前には細かなアップダウンが続き、登り基調のゴールが激しいアタックを誘発する。

この日、スタート直後にメイン集団を抜け出したのはクリスティアン・デッレステッレ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)、チャンジェ・ジャン(韓国、チャンピオンシステム)、そして畑中勇介(日本ナショナルチーム)の3名。

ラクダを横目に逃げる畑中勇介(日本ナショナルチーム)らラクダを横目に逃げる畑中勇介(日本ナショナルチーム)ら photo:A.S.O.ここに、すでに2日連続で逃げている総合敢闘賞ジャージのボビー・トラクセル(オランダ、チャンピオンシステム)が加わった。

最大9分10秒のリードを得たデッレステッレ、ジャン、トラクセル、畑中の4名に対し、リーダージャージ擁するキャノンデールプロサイクリングが集団牽引。タイム差を抑え込む。

スピードが上がり、縦に長く伸びるプロトンスピードが上がり、縦に長く伸びるプロトン photo:A.S.O.ゴールまでちょうど100kmを残したKOMボーシェルアラムラット(平均勾配10%・登坂距離3.6km)で逃げグループは分裂。急勾配の登りで飛び出したデッレステッレが頂上を先頭通過し、1分10秒遅れでジャンとトラクセルと畑中、そして2分25秒遅れでメイン集団という位置関係に。

3日連続逃げのトラクセルはここでペダルを止めてメイン集団に戻る。ジャンと畑中の2人は先頭デッレステッレに追いつき、3名での逃げを再開。ゴールまで80kmを残し、先頭3名とメイン集団のタイム差は4分10秒。

メイン集団をコントロールするキャノンデールプロサイクリングメイン集団をコントロールするキャノンデールプロサイクリング photo:A.S.O.やがて脚の痙攣によってジャンが先頭から脱落。畑中とデッレステッレの2人が粘り、畑中が単独でメイン集団に抵抗し続けたが、ゴール18km手前で吸収された。

ゴールまで続く断続的なアップダウン。ラスト7kmでブレット・ランカスター(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が単独エスケープを試みたが、スカイプロサイクリングやキャノンデールプロサイクリングが牽引するメイン集団がこれを許さない。フルームのために、ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)も集団牽引に加わった。

レース終盤のアップダウン区間に差し掛かるレース終盤のアップダウン区間に差し掛かる photo:A.S.O.徐々に人数を減らしながら進むメイン集団の中から、ラスト1kmを切ったところでリーダージャージがアタック。狙いすましたタイミングで爆発的に飛び出したサガンが、そのままリードを保ってゴールに飛び込んだ。

リーダージャージを着るペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)が勝利リーダージャージを着るペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)が勝利 photo:A.S.O.サガンは同じゴールが設定された昨年大会の第2ステージで勝利しており、その経験を活かして連勝を掴んだ。「昨年勝ったゴール前のレイアウトを覚えていたので、最後の登りでアタックしようと決めていた。このツアー・オブ・オマーンには様々な脚質のチャンピオンたちが出場しているので、いつどこで誰が早めに仕掛けてくるのかが分かりにくい。アタックを許さないゴールに向けてのハイテンポが自分に味方したと思う。今日は勝ち方にも満足している」。

サガンはボーナスタイムによって総合リードを広げることにも成功したが、翌日の第4ステージはグリーンマウンテンの頂上ゴールが設定されたクイーンステージ。グランツールで総合争いを繰り広げるようなオールラウンダーたちのアタックが予想される。サガンは「最後の厳しい登りで、総合狙いの選手たちがアタックするのを見守りたい。リーダージャージを守るのはかなり難しいミッションになるけど、自分のコンディションを知るための良いテストになるのは間違いない」と、前向きなコメントを残した。

西薗良太(チャンピオンシステム)は、別府史之(オリカ・グリーンエッジ)とともに25秒遅れでゴール。「最後のアップダウンに勝負をかける。昨年よりはかなり成長を感じることができましたが、勝負には絡めず。特等席で色々みれましたが…」と、チーム内最高位をマークしながら悔しいツイートを残している。

選手コメントはチーム公式サイトより。




ツアー・オブ・オマーン2013第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)          5h06'38"
2位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)            +01"
3位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
5位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
6位 アンドレア・パスクアロン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)  +04"
7位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)
8位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)
9位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)

36位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)                       +25"
37位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)
39位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)                       +33"
42位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)
64位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム)                        +58"
127位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム)                      +5'06"
128位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム)                       +5'33"
137位 木下智裕(日本、日本ナショナルチーム)                      +6'41"
141位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム)                      +8'20"

個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)          12h59'43"
2位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)             +16"
3位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)            +26"
4位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)                   +30"
5位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)                            +31"
6位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)                +32"
7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)                   +33"
9位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)          +35"
10位 アンドレア・パスクアロン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)

新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)

総合敢闘賞
ボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)

チーム総合成績
BMCレーシングチーム

text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.