2013/02/13(水) - 12:38
ゴール手前に2つのKOM(カテゴリー山岳)が登場するツアー・オブ・オマーン(UCI2.HC)第2ステージ。2日連続逃げのボビー・トラクセル(オランダ、チャンピオンシステム)に、木下智裕(日本ナショナルチーム)が加わった。
オマーン2日目は、内陸部のファンジャ・イン・ビドビドから首都マスカット郊外のアルブスタンまでの146km。前日の勝者マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)は「明日(第2ステージ)も集団スプリントになる可能性がある」と語っていたものの、ゴールの手前には2つのKOM(カテゴリー山岳)が置かれており、決して簡単なステージではない。
スタート後すぐ、4km地点で飛び出したのは2名。前日に逃げて敢闘賞ジャージを着るトラクセルと、U23アジアチャンピオンの木下智裕。2人のリードは62km地点で最大6分25秒まで拡大する。
大会開幕直前まで、タイで新城幸也(ユーロップカー)らのトレーニングキャンプに合流していた木下。トラクセルと向かい風の中を逃げ続けたが、ゴール24km手前のKOMアルハムリヤが近づくと、メイン集団とのタイム差が急速に縮まり始める。
アルゴス・シマノやキャノンデールプロサイクリング、スカイプロサイクリング、そしてオリカ・グリーンエッジが牽引するメイン集団は、平均勾配12%・登坂距離700mというKOMアルハムリヤで、ついに逃げを視界に捉える。最後まで逃げ続けた木下も、頂上手前で吸収された。
一つにまとまった集団からは断続的にアタックがかかったが、どれも決まらないまま次なるKOMアルジサーへ。ゴール6km手前に位置する、勾配8%が3kmにわたって直線的に続くこの登りでアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)やリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)がアタック。しかし決定的なギャップは生まれず、集団が50名ほどに絞られた状態でゴールまでのダウンヒルに差し掛かった。
下りきったところでアタックを仕掛けたマルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)、トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)の3名が先行してラスト2km。しかし、ラスト1500mの短い登りでカウンターアタックを仕掛けたサガンが、先頭3名を抜き去っていく。
一人で飛び出し、後続を5秒振り切ってゴールしたサガン。「ニーバリ、ギャロパン、エルミガーの3人が飛び出してから、最後の登りでカウンターアタックを仕掛けた。3人に近づいたとき(合流するのではなく)このままゴールまで突っ切ろうと決めたんだ。全てがうまく行った。コンディションは上々だ」と今シーズン初勝利を振り返る。
「チームとして念願のシーズン初勝利を飾れたことに喜びを感じている。自分が勝ったことより、チームに勝利をもたらせたことが重要。この勝利でプレッシャーから解き放たれ、1年を通して活躍したい」。サガンは個人総合成績と新人賞においてトップに立っている。
日本勢の最高位は西谷泰治(日本ナショナルチーム)の43位。登りで集団が細分化する中、西谷は11秒遅れのメイン集団内でゴールしている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2013第2ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 3h48'36"
2位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード) +05"
3位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
5位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) +07"
6位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
7位 マルコ・バンディエラ(イタリア、IAMサイクリング) +11"
8位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
10位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)
43位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)
57位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム) +1'13"
58位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム) +1'37"
61位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)
71位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) +1'47"
111位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム) +3'23"
134位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム) +5'33"
136位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム)
139位 木下智裕(日本、日本ナショナルチーム) +7'38"
個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 7h53'25"
2位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード) +09"
3位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング) +11"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +15"
5位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ) +17"
6位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
7位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +21"
9位 マルコ・バンディエラ(イタリア、IAMサイクリング)
10位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)
ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)
新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
チーム総合成績
キャノンデールプロサイクリング
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
オマーン2日目は、内陸部のファンジャ・イン・ビドビドから首都マスカット郊外のアルブスタンまでの146km。前日の勝者マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)は「明日(第2ステージ)も集団スプリントになる可能性がある」と語っていたものの、ゴールの手前には2つのKOM(カテゴリー山岳)が置かれており、決して簡単なステージではない。
スタート後すぐ、4km地点で飛び出したのは2名。前日に逃げて敢闘賞ジャージを着るトラクセルと、U23アジアチャンピオンの木下智裕。2人のリードは62km地点で最大6分25秒まで拡大する。
大会開幕直前まで、タイで新城幸也(ユーロップカー)らのトレーニングキャンプに合流していた木下。トラクセルと向かい風の中を逃げ続けたが、ゴール24km手前のKOMアルハムリヤが近づくと、メイン集団とのタイム差が急速に縮まり始める。
アルゴス・シマノやキャノンデールプロサイクリング、スカイプロサイクリング、そしてオリカ・グリーンエッジが牽引するメイン集団は、平均勾配12%・登坂距離700mというKOMアルハムリヤで、ついに逃げを視界に捉える。最後まで逃げ続けた木下も、頂上手前で吸収された。
一つにまとまった集団からは断続的にアタックがかかったが、どれも決まらないまま次なるKOMアルジサーへ。ゴール6km手前に位置する、勾配8%が3kmにわたって直線的に続くこの登りでアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)やリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)がアタック。しかし決定的なギャップは生まれず、集団が50名ほどに絞られた状態でゴールまでのダウンヒルに差し掛かった。
下りきったところでアタックを仕掛けたマルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)、トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)の3名が先行してラスト2km。しかし、ラスト1500mの短い登りでカウンターアタックを仕掛けたサガンが、先頭3名を抜き去っていく。
一人で飛び出し、後続を5秒振り切ってゴールしたサガン。「ニーバリ、ギャロパン、エルミガーの3人が飛び出してから、最後の登りでカウンターアタックを仕掛けた。3人に近づいたとき(合流するのではなく)このままゴールまで突っ切ろうと決めたんだ。全てがうまく行った。コンディションは上々だ」と今シーズン初勝利を振り返る。
「チームとして念願のシーズン初勝利を飾れたことに喜びを感じている。自分が勝ったことより、チームに勝利をもたらせたことが重要。この勝利でプレッシャーから解き放たれ、1年を通して活躍したい」。サガンは個人総合成績と新人賞においてトップに立っている。
日本勢の最高位は西谷泰治(日本ナショナルチーム)の43位。登りで集団が細分化する中、西谷は11秒遅れのメイン集団内でゴールしている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2013第2ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 3h48'36"
2位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード) +05"
3位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
5位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) +07"
6位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
7位 マルコ・バンディエラ(イタリア、IAMサイクリング) +11"
8位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
10位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)
43位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)
57位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム) +1'13"
58位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム) +1'37"
61位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)
71位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) +1'47"
111位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム) +3'23"
134位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム) +5'33"
136位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム)
139位 木下智裕(日本、日本ナショナルチーム) +7'38"
個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) 7h53'25"
2位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード) +09"
3位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング) +11"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +15"
5位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ) +17"
6位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
7位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +21"
9位 マルコ・バンディエラ(イタリア、IAMサイクリング)
10位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)
ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)
新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
チーム総合成績
キャノンデールプロサイクリング
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
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