ゴール手前に2つのKOM(カテゴリー山岳)が登場するツアー・オブ・オマーン(UCI2.HC)第2ステージ。2日連続逃げのボビー・トラクセル(オランダ、チャンピオンシステム)に、木下智裕(日本ナショナルチーム)が加わった。

オマーン内陸部の山岳地帯を進むオマーン内陸部の山岳地帯を進む photo:A.S.O.オマーン2日目は、内陸部のファンジャ・イン・ビドビドから首都マスカット郊外のアルブスタンまでの146km。前日の勝者マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)は「明日(第2ステージ)も集団スプリントになる可能性がある」と語っていたものの、ゴールの手前には2つのKOM(カテゴリー山岳)が置かれており、決して簡単なステージではない。

逃げる木下智裕(日本ナショナルチーム)とボビー・トラクセル(オランダ、チャンピオンシステム)逃げる木下智裕(日本ナショナルチーム)とボビー・トラクセル(オランダ、チャンピオンシステム) photo:A.S.O.スタート後すぐ、4km地点で飛び出したのは2名。前日に逃げて敢闘賞ジャージを着るトラクセルと、U23アジアチャンピオンの木下智裕。2人のリードは62km地点で最大6分25秒まで拡大する。

集団内で走るクリス・フルームとブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)集団内で走るクリス・フルームとブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O.大会開幕直前まで、タイで新城幸也(ユーロップカー)らのトレーニングキャンプに合流していた木下。トラクセルと向かい風の中を逃げ続けたが、ゴール24km手前のKOMアルハムリヤが近づくと、メイン集団とのタイム差が急速に縮まり始める。

登りに向かってメイン集団を牽引するスカイプロサイクリング登りに向かってメイン集団を牽引するスカイプロサイクリング photo:A.S.O.アルゴス・シマノやキャノンデールプロサイクリング、スカイプロサイクリング、そしてオリカ・グリーンエッジが牽引するメイン集団は、平均勾配12%・登坂距離700mというKOMアルハムリヤで、ついに逃げを視界に捉える。最後まで逃げ続けた木下も、頂上手前で吸収された。

後続を振り切ってゴールするペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)後続を振り切ってゴールするペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) photo:A.S.O.一つにまとまった集団からは断続的にアタックがかかったが、どれも決まらないまま次なるKOMアルジサーへ。ゴール6km手前に位置する、勾配8%が3kmにわたって直線的に続くこの登りでアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)やリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)がアタック。しかし決定的なギャップは生まれず、集団が50名ほどに絞られた状態でゴールまでのダウンヒルに差し掛かった。

下りきったところでアタックを仕掛けたマルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)、トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)の3名が先行してラスト2km。しかし、ラスト1500mの短い登りでカウンターアタックを仕掛けたサガンが、先頭3名を抜き去っていく。

一人で飛び出し、後続を5秒振り切ってゴールしたサガン。「ニーバリ、ギャロパン、エルミガーの3人が飛び出してから、最後の登りでカウンターアタックを仕掛けた。3人に近づいたとき(合流するのではなく)このままゴールまで突っ切ろうと決めたんだ。全てがうまく行った。コンディションは上々だ」と今シーズン初勝利を振り返る。

「チームとして念願のシーズン初勝利を飾れたことに喜びを感じている。自分が勝ったことより、チームに勝利をもたらせたことが重要。この勝利でプレッシャーから解き放たれ、1年を通して活躍したい」。サガンは個人総合成績と新人賞においてトップに立っている。

日本勢の最高位は西谷泰治(日本ナショナルチーム)の43位。登りで集団が細分化する中、西谷は11秒遅れのメイン集団内でゴールしている。

選手コメントはチーム公式サイトより。





ツアー・オブ・オマーン2013第2ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)     3h48'36"
2位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)        +05"
3位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
5位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)       +07"
6位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
7位 マルコ・バンディエラ(イタリア、IAMサイクリング)             +11"
8位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
10位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)

43位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)
57位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム)                   +1'13"
58位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)                  +1'37"
61位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)
71位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)                 +1'47"
111位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム)                   +3'23"
134位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム)                  +5'33"
136位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム)
139位 木下智裕(日本、日本ナショナルチーム)                  +7'38"

個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)     7h53'25"
2位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)        +09"
3位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)             +11"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)              +15"
5位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)                      +17"
6位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
7位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)  +21"
9位 マルコ・バンディエラ(イタリア、IAMサイクリング)
10位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)

ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) 

新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)

チーム総合成績
キャノンデールプロサイクリング

text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.

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