2009/06/29(月) - 20:08
女王沖美穂引退後の全日本ロード女子。4周目に西加南子(TEAM FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS)は単独アタックして約2周を逃げ続けた。吸収後のゴールスプリントを制した西は「いろいろなものを犠牲にしてやってきた」と語った。その西のレポートを紹介しよう。
今年の全日本チャンピオンを決めるレースが昨年同様広島の森林公園で行われた。
昨年,沖選手が引退したことによって,今年は新しいチャンピオンに誰がなるかと話題になっていた。そして,どの選手もこのチャンスを当然狙って調子を合わせてきていたと思う。
私も「アラフォーで全日本チャンピオンに!」と言い続け,トレーニングを積んできた。今年は特別だった。
当日の天候は天気予報が大きく外れ,暑く,レースをするにはとても厳しい条件となった。
いつも通りアップを済ませ,スタートラインに並んだ。周りにいるいつもの選手たちは緊張感があり,顔はいつもと違っていた。
スタートしてすぐの下りは危険を避けるために先頭で入る。そこで,集団は大きくたてに伸びて,脚力とテクニックの無い選手はふるい落とすことができた。
その後3周目までは,何人かの選手がアタックを試みていたが,大きな逃げは決まらず4周目に入った。登りに入る前の下りで少し抜け出したのでペースで走っていたら,萩原選手が追いつき,すぐに小集団も追いついてきた。少し休んで,一番長い登りでスピードを上げたらまた距離が開いた。今度は少し踏んで引き離しにかかってみた。
すぐに集団は追いついてくるだろうと思い,全開一歩手前で走っていると,30秒,40秒,1分と後続との差が開いていった。その差が1分30秒まで開いたときに,このまま行けるのではないかと本気で逃げ続けることを考えた。
しかし,その時すでに両足が攣りかけていた・・・。誤魔化し,誤魔化し走っていたが,逃げ始めて2周目のゴールライン手前で本格的に足が攣ってしまった。足は一度停止に近い状態になってしまい,このまま自転車を降りなければならないかと思った。
絶望的な気持ちになりながら,後からきた7名の集団と合流した。何とか集団にはつくことができ,残り2周を集団の後をやっとの思いで走った。
ラストの周回の半ばくらいで萩原選手が突然いなくなった。どうやら彼女も足が攣って停止してしまった模様。一瞬集団がざわめきだった,優勝候補の彼女が!?その後,針谷選手も姿を消し,6名で最後の登りに差し掛かった。MTB選手の片山選手がアタックを掛け,いいペースで登りを登り始めた。ぴったり後についたのは豊岡選手。私と森本選手は少し離れ,森田選手がその後に続いていた。登りの最後に私と森本選手は2人に追いつき,森田選手も下りで追いついてきた。最後の勝負はこの5人となった。
最後の直線手前のS字コーナーでスピードアップしたときに前の選手が遅れたので慌ててパスして,片山,森本,豊岡選手に追いつく。もう力は残っていないと思ったが,ゴール手前200メートルで最後の力を振り絞って,早めのロングスプリント。ゴールライン数メートル手前で夢のような優勝を確信して,思わず雄叫びをあげてしまった。
残念ながら,ガッツポーズする余裕は無かった。
本当に嬉しかった。沖選手がいなくなっての優勝だが,単純に喜びたい。
全日本チャンピオン最高齢記録も樹立だ!
今回,最初の逃げで優勝できたら良かったのだが,足が攣ってしまったことが原因で失敗に終わった。これは改善策を考えなくてはならない。
ただ,あの状況で最後にさらにスプリントをして優勝できたことには満足している。
これから,新たなプレッシャーは増えるかもしれませんが,トレーニング続け自信を持ってレースに出られるように備えたいと思います。
使用機材
フレーム FOCUS IZALCO TEAM
タイヤ CONTINENTAL COMPETITION
ペダル LOOK KEO CARBON
レースウェア LUMA
シューズ DMT ROAD RADIAL WHT
アイウェア ADIDAS SUPERNOVA
ヘルメット OGK KABUTO MOSTRO
ドリンク MUSASHI リプレニッシュ
アフターウェア,アクセサリー PEARL IZUMI
キャリーバッグ OUTDOOR PRODUCTS
text:西加南子 photo:高木秀彰
今年の全日本チャンピオンを決めるレースが昨年同様広島の森林公園で行われた。
昨年,沖選手が引退したことによって,今年は新しいチャンピオンに誰がなるかと話題になっていた。そして,どの選手もこのチャンスを当然狙って調子を合わせてきていたと思う。
私も「アラフォーで全日本チャンピオンに!」と言い続け,トレーニングを積んできた。今年は特別だった。
当日の天候は天気予報が大きく外れ,暑く,レースをするにはとても厳しい条件となった。
いつも通りアップを済ませ,スタートラインに並んだ。周りにいるいつもの選手たちは緊張感があり,顔はいつもと違っていた。
スタートしてすぐの下りは危険を避けるために先頭で入る。そこで,集団は大きくたてに伸びて,脚力とテクニックの無い選手はふるい落とすことができた。
その後3周目までは,何人かの選手がアタックを試みていたが,大きな逃げは決まらず4周目に入った。登りに入る前の下りで少し抜け出したのでペースで走っていたら,萩原選手が追いつき,すぐに小集団も追いついてきた。少し休んで,一番長い登りでスピードを上げたらまた距離が開いた。今度は少し踏んで引き離しにかかってみた。
すぐに集団は追いついてくるだろうと思い,全開一歩手前で走っていると,30秒,40秒,1分と後続との差が開いていった。その差が1分30秒まで開いたときに,このまま行けるのではないかと本気で逃げ続けることを考えた。
しかし,その時すでに両足が攣りかけていた・・・。誤魔化し,誤魔化し走っていたが,逃げ始めて2周目のゴールライン手前で本格的に足が攣ってしまった。足は一度停止に近い状態になってしまい,このまま自転車を降りなければならないかと思った。
絶望的な気持ちになりながら,後からきた7名の集団と合流した。何とか集団にはつくことができ,残り2周を集団の後をやっとの思いで走った。
ラストの周回の半ばくらいで萩原選手が突然いなくなった。どうやら彼女も足が攣って停止してしまった模様。一瞬集団がざわめきだった,優勝候補の彼女が!?その後,針谷選手も姿を消し,6名で最後の登りに差し掛かった。MTB選手の片山選手がアタックを掛け,いいペースで登りを登り始めた。ぴったり後についたのは豊岡選手。私と森本選手は少し離れ,森田選手がその後に続いていた。登りの最後に私と森本選手は2人に追いつき,森田選手も下りで追いついてきた。最後の勝負はこの5人となった。
最後の直線手前のS字コーナーでスピードアップしたときに前の選手が遅れたので慌ててパスして,片山,森本,豊岡選手に追いつく。もう力は残っていないと思ったが,ゴール手前200メートルで最後の力を振り絞って,早めのロングスプリント。ゴールライン数メートル手前で夢のような優勝を確信して,思わず雄叫びをあげてしまった。
残念ながら,ガッツポーズする余裕は無かった。
本当に嬉しかった。沖選手がいなくなっての優勝だが,単純に喜びたい。
全日本チャンピオン最高齢記録も樹立だ!
今回,最初の逃げで優勝できたら良かったのだが,足が攣ってしまったことが原因で失敗に終わった。これは改善策を考えなくてはならない。
ただ,あの状況で最後にさらにスプリントをして優勝できたことには満足している。
これから,新たなプレッシャーは増えるかもしれませんが,トレーニング続け自信を持ってレースに出られるように備えたいと思います。
使用機材
フレーム FOCUS IZALCO TEAM
タイヤ CONTINENTAL COMPETITION
ペダル LOOK KEO CARBON
レースウェア LUMA
シューズ DMT ROAD RADIAL WHT
アイウェア ADIDAS SUPERNOVA
ヘルメット OGK KABUTO MOSTRO
ドリンク MUSASHI リプレニッシュ
アフターウェア,アクセサリー PEARL IZUMI
キャリーバッグ OUTDOOR PRODUCTS
text:西加南子 photo:高木秀彰
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