プレゼンテーション、そして風洞実験でCXR80のテクノロジーについて説明を受けたその翌日、世界各地から集まったジャーナリストたちは用意されたバイクで実際にCXR80のテストを行なった。デーヴィッド・ミラーをゲストに招き、フランス東部の平坦路での高速グループライドだ。

ジャーナリストとマヴィックのメカニックがバイクの準備を進めるジャーナリストとマヴィックのメカニックがバイクの準備を進める 実戦でCXR80を使用するデーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)がアテンドしてくれた実戦でCXR80を使用するデーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン)がアテンドしてくれた

ジャーナリストにはそれぞれの体格にあったバイクが用意され、私に準備されていたのはキャニオンのエアロードで、コンポーネントはSRAM・レッド。もちろんCX01ブレードとイクシオンCXRが完全装備されたCXR80が前後でセットされている。

やはり80mmリムハイトの戦闘機的なルックスは見た目にも強く訴えるものがあり、オールブラックなロゴと相まって非常に力強さを感じるデザインだ。ワイドリムだけあって、ブレーキアーチは広めにセッティングがされている。使用したブレーキシューはスイスストップのイエローだ。

ブレーキ幅はやや広めのセッティングがされているブレーキ幅はやや広めのセッティングがされている
テストに準備されたマシン。CXR80にはもちろんイクシオンCXR、CX01ブレードが装備されるテストに準備されたマシン。CXR80にはもちろんイクシオンCXR、CX01ブレードが装備される
ジャーナリストのために用意されたマシンはいずれもCXR80が完全装備されるジャーナリストのために用意されたマシンはいずれもCXR80が完全装備される


加速の軽さ、高い横剛性に驚嘆

コースはエクス・レ・バンのホテルを出発し、山々に囲まれた湖の周りの平坦路を走る86km。山間の地形のため、眩しい日差しと雨がめまぐるしく入り交じる天候の中、20人ほどのジャーナリストと、ゲストとして招かれたガーミンチームのデーヴィッド・ミラーがコースへと繰り出した。

市街地を抜け、いよいよ湖畔の高速区間へと入っていく市街地を抜け、いよいよ湖畔の高速区間へと入っていく デーヴィッド・ミラーを先頭に郊外に向けて走る集団。ジャーナリストはいずれも脚に覚えのある猛者ばかりだデーヴィッド・ミラーを先頭に郊外に向けて走る集団。ジャーナリストはいずれも脚に覚えのある猛者ばかりだ


走りだしてすぐに気づいたのが、ペダルへの少ない入力でスッとバイクが前に進むことだった。通常このクラスのリムハイトを持つホイールは、私の中では重量が重く、踏み出しが若干モタつくイメージを持っていたのだが、CXR80は1630g(ホイールのみ)というウェイトながら最初のひと踏み目が軽い。

風光明媚な湖畔を駆け抜けるジャーナリストたち風光明媚な湖畔を駆け抜けるジャーナリストたち そしてスピード域が上がっても加速の良さはスポイルされない。あえてホイールを左右にしならせるような無理矢理なダンシングをしても、車体を思いっきり傾けたまま直進しても、私の脚力ではリアホイールがしなってブレーキシューに当たってしまうことも無かった。縦方向の剛性に加え、横方向の剛性が非常に高いのだ。

そのため大きく車体を振ってもそのまま潰れて倒れこんでいくような感覚も無い。アールの小さいロータリーを高速で抜けてもアンダーステアになることが無いため、クリテリウムのようなコーナーと加速が連続する場面でも武器になると感じた。

高速域での空力性能を体感

ジャーナリストたちは先頭を牽き続けるデーヴィッド・ミラーの後ろについて、2列の車列を組みながら風光明媚なフランス東部を駆け抜けていく。ミラーが踏みを入れた時の巡航スピードは45km/hほど。

速度をキープしたままの緩い上りは、剛性の高いCXR80の得意とするシチュエーションだ速度をキープしたままの緩い上りは、剛性の高いCXR80の得意とするシチュエーションだ
スピードの維持に関しても非常に優秀だと感じた。緩やかな下りでは普段使っているコスミックカーボンSLと比較してスピードの乗りが2段階ほど上回っているように感じる。集団の中にいる際にはイメージよりもスッと前に車体が進んでいくので、追突しないようにブレーキには気を遣っていた。集団から離れて単独走をしてみても、速度の維持は確実に楽だ。

後半は風雨が強いコンディションとなったが、テストとしてみれば絶好のチャンス。「ヨー角次第では加速していく」という性能は正直分からなかったが、横風に対するハンドリングは確実に安定している。走りながら手放しでアームカバーを着ける作業をしてみたが、ハンドルが取られて怖い思いをすることは無く、むしろバイク全体がゆっくりと動く感じだ。これはエアロチューブを使用したバイクに乗っていたからかもしれない。

横剛性が高く、ダンシングでもロスが非常に少なく感じる横剛性が高く、ダンシングでもロスが非常に少なく感じる
緩やかな丘陵区間でペースを維持したまま駆け抜ける緩やかな丘陵区間でペースを維持したまま駆け抜ける
隊列を組んで駆け抜ける。巡航速度は40km/hオーバーだ隊列を組んで駆け抜ける。巡航速度は40km/hオーバーだ


ホイール自体の乗り味としては若干硬めだ。しかしセットされた23cのイクシオンCXRタイヤが適度に細かな衝撃を緩和してくれている。このバランス感はさすがトータルで考えられたセットだ。タイヤは若干ソフトめなので、高めに空気圧をセットしたほうが良いと思う。中央部分を尖らせたエアロフォルムの断面を持つタイヤだが、終始違和感を感じることは無かった。

デーヴィッド・ミラーに話を聞く

CXR80への関わりについて
チームの合同トレーニングからレースまで、常にマヴィックのスタッフは僕らのチームと一緒に行動してくれて、僕らはCXRについて開発段階から大きく携わっている。

CXRは非常に速く、剛性の高いホイールだよ。僕は2011年のツール・ド・フランスにガーミンチームのメンバーとして出場していたけれど、チームタイムトライアルを制することができたのは、このホイールに因るところもとても大きいんだ。

タイムトライアルスペシャリスト、デーヴィッド・ミラー。「チームTT優勝は、CXR80によるところも大きい」タイムトライアルスペシャリスト、デーヴィッド・ミラー。「チームTT優勝は、CXR80によるところも大きい」 途中土砂降りに見舞われたが、イクシオンCXRタイヤのグリップは問題ない途中土砂降りに見舞われたが、イクシオンCXRタイヤのグリップは問題ない

実際の使い勝手は

CXR80は非常に扱いやすいホイールだ。80mmというリムハイトを持ちながら、50mm程度のホイールと同じように使うことができることに非常に驚かされた。風の強い海辺で行われるトライアスロンなどには最高だろう。

そしてスピードの維持が楽なのはもちろんのことながら、剛性の高さからコーナーとダッシュに強い。長い上りはコースには設定されていなかったが、スピードを活かしてクリアするような登坂にはうってつけなホイールと言って良いだろう。

コスミックCXR80は、派手なルックスとは裏腹に、幅広いシチュエーションでホイールの総合能力を体感することのできる、オールラウンドなホイールだ。

マヴィック コスミックCXR80


重 量1630g(タイヤなし)、2170g(イクシオンCXR込み)
仕 様チューブラー
リムハイト80mm
リム幅28mm(最大幅)
対応タイヤイクシオンCXR グリップリンク、パワーリンク
スポークダブルバテッドステンレス F16、R20
対応カセットカンパニョーロ、シマノ/SRAM(シマノ11s対応)
価 格336,000円
提供:アメアスポーツジャパン 編集/取材:シクロワイアード/So.Isobe