2012/07/10(火) - 17:16
マヴィックが3年間にも及ぶ開発期間を経て登場した次世代のエアロホイールが「コスミック CXR80」だ。風洞実験を重ね最高の空力性能を獲得し、グランツールでの勝利を生み出したCXR80の全貌を紐解いていこう。
この付近に本社を持つマヴィックによる招待を受けて、ヨーロッパ・アメリカを中心とした世界各国から代表的サイクリングメディアのジャーナリスト20名ほどがこの地に集まったのだ。
事前に各メディアに伝えられていた情報は、「マヴィックが"CXR80"という新型エアロホイールを発表する」と云うことのみで、特徴やディティールなど、それ以上の詳しい情報は知らされていなかった。
しかし世界中からメディアを招くのだから、相当に気合の入ったプロダクトであることは簡単に予想ができる。個人的にはヨーロッパのトッププロレースで試験的に供給が続けられてきたモデルの完成版ではないか、と想像していた。
翌朝、朝食を摂ったわれわれメディア一同は車に乗り込み、いよいよそのCXR80のお披露目の舞台へ。国境を越えてスイスへと入り、第2の都市であるジュネーブへと向かう。出発から1時間ほどでレ・マン湖から続くローヌ川にかかる1920年代製の古橋、ビュタン橋の袂へと案内された。
この橋は2重構造になっており、幹線道路が走るその下は鉄道線路が敷設される予定だったが実現せず、近年になってそのスペースに大学の風洞研究施設が設けられたという。そしてこの古いアーチ橋内部の風洞実験場こそ、CXR80の実験開発が長きにおいて行われてきた場所なのである。
メディア陣はローヌ川の真上で供されたランチを済ませると、3つのグループへと分散し、私のグループは先ずプレゼンテーションを受けることに。その幕開けと同時に、マヴィックが誇る次世代エアロホイールが公開されたのだ。そこには80mmリムハイトという迫力のフォルムを持つ、「コスミック CXR80」の姿があった。
中でもタイムトライアルに強いスピードマンを多く擁するガーミンチームに特に愛用され、2011年のツール・ド・フランス第2ステージ、そして2012年ジロ・デ・イタリア第4ステージという、グランツールでの2つのチームタイムトライアル優勝をもたらした。その他の平坦ステージでも愛用され、文字通りトップチームを足元から支えたアイテムだ。
23cのタイヤを使用することを前提とし、エアロダイナミクスを踏まえてリム幅は最大で28mmとワイド化され、その断面形状はブレーキパッド面までもが曲線を描く形状をしている。ハブはプロトタイプで採用されていた新型が正式に採用された。ハブ本体は軽量化のためにカーボン製で、フランジは高い剛性を得るためにワイド形状のアルミ製とされた。
スポークはダブルバテッドのステンレス製だ。前16、後20Hとされ、外出しのニップルとともに一般的な方式といえる。このあたりは整備性を重要視し、レース現場メカニックからの評価が高いマヴィックらしさが現れている部分ということができる。
しかし、ホイールそのものはただ単にパズルの1ピースにしか留まらない。
マヴィックは現在、同じ80mmのリムハイトを持つディープリムホイール、コスミックカーボン80(CC80)をラインナップしている。しかし今回発表されたCXR80は、同じリムハイトながら単なるマイナーチェンジにとどまらず、全く新しいホイールシステムとして生まれた。
その核を成すのが、専用タイヤ「イクシオンCX01」と、ホイールとタイヤの段差を埋め、表面をフラット化するラバー製のカバー「CX01ブレード」の存在である。CXR80は、ホイールとブレード、そしてタイヤという3つのアイテムを組み合わせることで構築される、"ホイールシステム"として開発された製品なのである。
次のページでは図解を交えて、CXR80のテクノロジーとディティールへと迫っていく。
フランスで行われたプレスローンチ CXR80のデビュー
接戦、そして大逆転劇に幕を閉じた2012年のジロ・デ・イタリアから約1週間半、シクロワイアード編集部はツール・ド・フランス開幕まで1ヶ月を切ったフランスへと飛んだ。目指すのはスイスとの国境にほど近い、サヴォワ県の温泉保養地、エクス・レ・バン。この付近に本社を持つマヴィックによる招待を受けて、ヨーロッパ・アメリカを中心とした世界各国から代表的サイクリングメディアのジャーナリスト20名ほどがこの地に集まったのだ。
事前に各メディアに伝えられていた情報は、「マヴィックが"CXR80"という新型エアロホイールを発表する」と云うことのみで、特徴やディティールなど、それ以上の詳しい情報は知らされていなかった。
しかし世界中からメディアを招くのだから、相当に気合の入ったプロダクトであることは簡単に予想ができる。個人的にはヨーロッパのトッププロレースで試験的に供給が続けられてきたモデルの完成版ではないか、と想像していた。
翌朝、朝食を摂ったわれわれメディア一同は車に乗り込み、いよいよそのCXR80のお披露目の舞台へ。国境を越えてスイスへと入り、第2の都市であるジュネーブへと向かう。出発から1時間ほどでレ・マン湖から続くローヌ川にかかる1920年代製の古橋、ビュタン橋の袂へと案内された。
この橋は2重構造になっており、幹線道路が走るその下は鉄道線路が敷設される予定だったが実現せず、近年になってそのスペースに大学の風洞研究施設が設けられたという。そしてこの古いアーチ橋内部の風洞実験場こそ、CXR80の実験開発が長きにおいて行われてきた場所なのである。
メディア陣はローヌ川の真上で供されたランチを済ませると、3つのグループへと分散し、私のグループは先ずプレゼンテーションを受けることに。その幕開けと同時に、マヴィックが誇る次世代エアロホイールが公開されたのだ。そこには80mmリムハイトという迫力のフォルムを持つ、「コスミック CXR80」の姿があった。
ガーミンチームによる、ジロとツール2回のチームTTの勝利に貢献
CXR80は開発段階から、マヴィックがサポートをするガーミンや、リクイガスなどトップチームにへと供給が行われ、厳しい実戦でのテストが長らく続けられてきた。中でもタイムトライアルに強いスピードマンを多く擁するガーミンチームに特に愛用され、2011年のツール・ド・フランス第2ステージ、そして2012年ジロ・デ・イタリア第4ステージという、グランツールでの2つのチームタイムトライアル優勝をもたらした。その他の平坦ステージでも愛用され、文字通りトップチームを足元から支えたアイテムだ。
CXR80 そのディティール
CXR80の外観上は、80mmのリムハイトと28mmのリム幅を持つ、マッシブかつインパクトの強いルックスだ。しかしながら重量は1630gに抑えられており、実際に手に持ってみるとイメージよりもずっと軽い印象を受けた。23cのタイヤを使用することを前提とし、エアロダイナミクスを踏まえてリム幅は最大で28mmとワイド化され、その断面形状はブレーキパッド面までもが曲線を描く形状をしている。ハブはプロトタイプで採用されていた新型が正式に採用された。ハブ本体は軽量化のためにカーボン製で、フランジは高い剛性を得るためにワイド形状のアルミ製とされた。
スポークはダブルバテッドのステンレス製だ。前16、後20Hとされ、外出しのニップルとともに一般的な方式といえる。このあたりは整備性を重要視し、レース現場メカニックからの評価が高いマヴィックらしさが現れている部分ということができる。
しかし、ホイールそのものはただ単にパズルの1ピースにしか留まらない。
マヴィックは現在、同じ80mmのリムハイトを持つディープリムホイール、コスミックカーボン80(CC80)をラインナップしている。しかし今回発表されたCXR80は、同じリムハイトながら単なるマイナーチェンジにとどまらず、全く新しいホイールシステムとして生まれた。
その核を成すのが、専用タイヤ「イクシオンCX01」と、ホイールとタイヤの段差を埋め、表面をフラット化するラバー製のカバー「CX01ブレード」の存在である。CXR80は、ホイールとブレード、そしてタイヤという3つのアイテムを組み合わせることで構築される、"ホイールシステム"として開発された製品なのである。
次のページでは図解を交えて、CXR80のテクノロジーとディティールへと迫っていく。
提供:アメアスポーツジャパン 編集/取材:シクロワイアード/So.Isobe