2012/07/09(月) - 16:22
6月30日にベルギー・リエージュで開幕した第99回ツール・ド・フランス。約3週間、3496.9 kmにわたる長く熱い戦いの火ぶたが切って落とされた。今年はプロローグ+20ステージという構成でコース難易度はやや控えめとなったが、ライダーの実力が問われる厳しい展開になることが予想される。
ツール・ド・フランスは、シマノにとって選手たちの活躍とともに華々しく脚光を浴びるステージであり、新製品の実践テストの舞台でもある。シマノはこの世界最高峰のレースで、妥協なき高性能の追求によって進化を続けてきた。今大会もシマノやPROを使用した選手達が、ここまで大きな躍進を見せている。
その中には、ツールでもおなじみの強豪チームや最近活躍がめざましく勢いのあるチームが名を連ねる。特に注目したいのは、チームスカイ、FDJビッグマット、アルゴス・シマノ、ラボバンク、エウスカルテル、オリカ・グリーンエッジ、レディオシャック・ニッサンだ。
個人総合争いは、チームスカイのエース、ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)と、連覇を狙うカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)の一騎討ちと予想されている。2つの個人TTとチームTTの合計距離が100kmを超えるコースレイアウトは、優勝をねらえるオールラウンダーの中でもタイムトライアルを得意とする二人にとって有利な条件といえる。
そんな中、今大会最初にマイヨジョーヌに袖を通したのはレディオシャック・ニッサン。TTスペシャリストのファビアン・カンチェラーラ(スイス)が鎖骨骨折から復帰。いきなりプロローグを圧巻の復活劇で制しマイヨジョーヌを着ると、これを第6ステージまで守り、存在感を見せつけた。チームのエースを務めるフランク・シュレク(ルクセンブルク)も、総合では現在首位のウィギンズらまで少々差がついたものの、まだ1週目を終えたところ。今後のステージでの活躍に期待が集まる。
そして、マイヨジョーヌ争いが本格化したのは第7ステージ。チームスカイのブラドレー・ウィギンズがチームメイトの強力なアシストを受け、マイヨジョーヌを獲得。レース最後のアシストを担ったクリス・フルーム(イギリス)も、先に仕掛けたエヴァンスを振り切り、その日のステージ優勝を飾った。
一方、スプリントステージでは、過去3年間でツールのステージ16勝と圧倒的な強さを見せた、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)が今年も主役の一角を担う。今ツールでもすでに第2ステージで勝利を挙げている。彼のパワフルなスプリント支えるのは、おなじみのPROのハンドルバーやステム、そしてシマノのコンポーネントだ。
また、ステージ優勝を目指す争いにおいては、長年パートナーとしてシマノを使い続けているFDJビッグマットの活躍が光る。アントニー・ルー(フランス)が第2ステージで逃げを決め敢闘賞を獲得すると、第7ステージでは逃げグループにいた22歳のティボー・ピノ(フランス)が上りで単独アタックを決め、そのままステージ優勝。フランス期待の新星が勝ち名乗りをあげた。
シマノの製品は、ツール・ド・フランスの歴史を作り上げてきた名選手たちの活躍を支えてきた。今年も世界最高峰のステージレースを戦う機材として、多くのチームや選手から絶対的な信頼を集めている。
次に選手たちの活躍を支えるシマノ・プロダクツの数々を紹介していく。このFILE.1では、DURA-ACEシリーズをピックアップする。
シマノの電動変速システムDi2は、変速に革命をもたらしたといって間違いない。ボタンを押すように軽いタッチで確実に変速できるため、過酷なレースシーンにおけるそのアドバンテージははかりしれない。
TTでは、従来のようにエアロバー先端だけでなく、ブレーキ付近でも変速が可能となり、最小限の動作で確実に変速できる。そのメリットは確実にタイムに反映される。
山岳ステージでもオプションのサテライトスイッチをハンドルバーのアップバー部分に仕込み、上りでアップバーを握ったまま変速できるように工夫する選手もいた。また、カヴェンディッシュがサテライトスイッチの一種・通称“スプリンタースイッチ”を装着し、下ハンを持ちながらでも変速できるようにしていたのは有名な話。その動きはほかのスプリンターたちにも広がっている。
電動変速はレースの世界ではもはやスタンダードになった。これはシマノのDi2がもたらした現象であり、それだけDi2の性能と信頼性が高いことの裏返しといえるだろう。
今年も多くのチームが採用しているDURA-ACEホイール。そのチームの多くが現行のホイールを使用する中、アルゴス・シマノ、オリカ・グリーンエッジ、ラボバンク、チームスカイの4チームが、先日発表されたWH-9000シリーズのプロトタイプを使用し、最終実戦テストを行っていた。
この新しいDURA-ACEホイールでは、従来からレースでテストされていた75mmハイトのC75も正式に製品化が発表され市販予定だ。山岳から平坦まであらゆるステージで使われるC35、平坦基調のハイスピードレースでの使用率が高いC50、主に山岳ステージで使用されるC24と、地形に応じて使い分けられる4種類がラインナップされている。前記の4チームは、これらのうちC35、C50、C75のホイールセットをツール・ド・フランスで使用している。
テクニカル面での新しい特徴は、ディープリムの空気抵抗を大幅に抑える新設計の形状だ。また、後輪のスポークをフリー側2:反フリー側1という比率にしたことで(C24除く)、ホイールバランスを最適化した。多段化に伴ってハブフランジのワイド化も行い、スポークバランスを取りながら横剛性の強化も実現している。
今ツールではニュートラルサポートの関係から、メインコンポの搭載は見送られているが、レディオシャック・ニッサンが直付けタイプのNEWブレーキを使用。WH-9000ホイールについては、先述の通り4チームが使用している。
また、これまで行われたワールドツアーレースでは、コンポーネント一式を使用したチームもあり、高い評価を得ている。実際のDURA-ACE 9000搭載バイクの写真からも、その進化したシステムとデザインが実感出来る。
2012.07.10 チームスカイのDA 9000搭載バイクの写真が新しく入ってきましたので、本文と写真の一部を差し替えさせていただきました
次回は、ツール出場選手の活躍を追いながら、PROを中心とした使用機材をクローズアップしてお届けする。プロトタイプや未発表の機材もピックアップする予定だ。
ツール・ド・フランスは、シマノにとって選手たちの活躍とともに華々しく脚光を浴びるステージであり、新製品の実践テストの舞台でもある。シマノはこの世界最高峰のレースで、妥協なき高性能の追求によって進化を続けてきた。今大会もシマノやPROを使用した選手達が、ここまで大きな躍進を見せている。
シマノ、PROを駆ってツールに挑む選手達
今回のツールでは、実に参加22チーム中13チームがシマノコンポを、そして5チームがPROを使用。半数以上のチームがシマノコンポを選んだこの事実からも、その性能と信頼性の高さがうかがえる。その中には、ツールでもおなじみの強豪チームや最近活躍がめざましく勢いのあるチームが名を連ねる。特に注目したいのは、チームスカイ、FDJビッグマット、アルゴス・シマノ、ラボバンク、エウスカルテル、オリカ・グリーンエッジ、レディオシャック・ニッサンだ。
個人総合争いは、チームスカイのエース、ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)と、連覇を狙うカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)の一騎討ちと予想されている。2つの個人TTとチームTTの合計距離が100kmを超えるコースレイアウトは、優勝をねらえるオールラウンダーの中でもタイムトライアルを得意とする二人にとって有利な条件といえる。
そんな中、今大会最初にマイヨジョーヌに袖を通したのはレディオシャック・ニッサン。TTスペシャリストのファビアン・カンチェラーラ(スイス)が鎖骨骨折から復帰。いきなりプロローグを圧巻の復活劇で制しマイヨジョーヌを着ると、これを第6ステージまで守り、存在感を見せつけた。チームのエースを務めるフランク・シュレク(ルクセンブルク)も、総合では現在首位のウィギンズらまで少々差がついたものの、まだ1週目を終えたところ。今後のステージでの活躍に期待が集まる。
そして、マイヨジョーヌ争いが本格化したのは第7ステージ。チームスカイのブラドレー・ウィギンズがチームメイトの強力なアシストを受け、マイヨジョーヌを獲得。レース最後のアシストを担ったクリス・フルーム(イギリス)も、先に仕掛けたエヴァンスを振り切り、その日のステージ優勝を飾った。
一方、スプリントステージでは、過去3年間でツールのステージ16勝と圧倒的な強さを見せた、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)が今年も主役の一角を担う。今ツールでもすでに第2ステージで勝利を挙げている。彼のパワフルなスプリント支えるのは、おなじみのPROのハンドルバーやステム、そしてシマノのコンポーネントだ。
また、ステージ優勝を目指す争いにおいては、長年パートナーとしてシマノを使い続けているFDJビッグマットの活躍が光る。アントニー・ルー(フランス)が第2ステージで逃げを決め敢闘賞を獲得すると、第7ステージでは逃げグループにいた22歳のティボー・ピノ(フランス)が上りで単独アタックを決め、そのままステージ優勝。フランス期待の新星が勝ち名乗りをあげた。
シマノの製品は、ツール・ド・フランスの歴史を作り上げてきた名選手たちの活躍を支えてきた。今年も世界最高峰のステージレースを戦う機材として、多くのチームや選手から絶対的な信頼を集めている。
次に選手たちの活躍を支えるシマノ・プロダクツの数々を紹介していく。このFILE.1では、DURA-ACEシリーズをピックアップする。
シマノ使用全チームが採用 電動変速システム Di2
今回のツールで注目すべきトピックの1つは、出場全22チームの内、実に11チームがシマノの電動変速DURA-ACE Di2を使っていることだ。平地はもちろん、スプリント、山岳、タイムトライアル、全てのシーンでその性能を発揮し選ばれている。シマノの電動変速システムDi2は、変速に革命をもたらしたといって間違いない。ボタンを押すように軽いタッチで確実に変速できるため、過酷なレースシーンにおけるそのアドバンテージははかりしれない。
TTでは、従来のようにエアロバー先端だけでなく、ブレーキ付近でも変速が可能となり、最小限の動作で確実に変速できる。そのメリットは確実にタイムに反映される。
山岳ステージでもオプションのサテライトスイッチをハンドルバーのアップバー部分に仕込み、上りでアップバーを握ったまま変速できるように工夫する選手もいた。また、カヴェンディッシュがサテライトスイッチの一種・通称“スプリンタースイッチ”を装着し、下ハンを持ちながらでも変速できるようにしていたのは有名な話。その動きはほかのスプリンターたちにも広がっている。
電動変速はレースの世界ではもはやスタンダードになった。これはシマノのDi2がもたらした現象であり、それだけDi2の性能と信頼性が高いことの裏返しといえるだろう。
走りを支える DURA-ACEホイール
今年も多くのチームが採用しているDURA-ACEホイール。そのチームの多くが現行のホイールを使用する中、アルゴス・シマノ、オリカ・グリーンエッジ、ラボバンク、チームスカイの4チームが、先日発表されたWH-9000シリーズのプロトタイプを使用し、最終実戦テストを行っていた。
この新しいDURA-ACEホイールでは、従来からレースでテストされていた75mmハイトのC75も正式に製品化が発表され市販予定だ。山岳から平坦まであらゆるステージで使われるC35、平坦基調のハイスピードレースでの使用率が高いC50、主に山岳ステージで使用されるC24と、地形に応じて使い分けられる4種類がラインナップされている。前記の4チームは、これらのうちC35、C50、C75のホイールセットをツール・ド・フランスで使用している。
テクニカル面での新しい特徴は、ディープリムの空気抵抗を大幅に抑える新設計の形状だ。また、後輪のスポークをフリー側2:反フリー側1という比率にしたことで(C24除く)、ホイールバランスを最適化した。多段化に伴ってハブフランジのワイド化も行い、スポークバランスを取りながら横剛性の強化も実現している。
DURA-ACE WH-9000ホイール
DURA-ACE WH-9000-C75
リムハイト75mmとDURA-ACE史上最もリムハイトの高いディープリムホイールがDURA-ACE9000シリーズで新登場。主にTTステージで使われることが多い。新開発の24mm幅のワイドリム、D2リムを採用。優れたエアロ効果を発揮し、横風の条件下でも高い直進性とハンドリング性能を発揮する。チューブラーモデルのみ。DURA-ACE WH-9000-C50
プロツアーライダーに高い人気を誇る超軽量ハイスピードレースモデルがD2リム、2:1スポークという新テクノロジーをまとってリニューアル。リムハイト 50mmにより推進力のある走りを実現。クリンチャー用(WH-7900-C50-CL)もある。DURA-ACE WH-9000-C35
35mmハイトのWH-9000-C35は、加速性と高速巡航性のバランスを高い次元で両立しているのが特徴。新テクノロジーの2:1スポークを採用。平地、上りを問わずオールラウンドに使え、あらゆる脚質のライダーにメリットをもたらしてくれる。チューブラー・クリンチャーの両仕様を展開。DURA-ACE WH-9000-C24
ヒルクライムセクションでの圧倒的な踏み出しの軽さで大きなアドバンテージをもたらす24mmハイトモデル。多段化に伴い、ハブフランジのワイド化に加え、リムのスポーク穴を反フリー側にオフセットすることで、ホイールバランスの強化と高剛性化を実現。クリンチャー用(CL)とチューブレス用(TL)がある。ベールを脱いだDURA-ACE 9000コンポーネント
ツール・ド・フランス2012開幕に先立ち、シマノはDURA-ACE 9000シリーズを発表。ドライブトレインはついに11スピード化し、変速系やブレーキも基本性能をさらに高めながら、操作性の追求によってさらなるストレスフリーを実現した。シフトケーブルも新開発され、さらに軽く確実な変速が可能になっている。今ツールではニュートラルサポートの関係から、メインコンポの搭載は見送られているが、レディオシャック・ニッサンが直付けタイプのNEWブレーキを使用。WH-9000ホイールについては、先述の通り4チームが使用している。
また、これまで行われたワールドツアーレースでは、コンポーネント一式を使用したチームもあり、高い評価を得ている。実際のDURA-ACE 9000搭載バイクの写真からも、その進化したシステムとデザインが実感出来る。
2012.07.10 チームスカイのDA 9000搭載バイクの写真が新しく入ってきましたので、本文と写真の一部を差し替えさせていただきました
次回は、ツール出場選手の活躍を追いながら、PROを中心とした使用機材をクローズアップしてお届けする。プロトタイプや未発表の機材もピックアップする予定だ。
提供:シマノ 企画/制作:シクロワイアード