2012/06/28(木) - 22:22
LE MAILLOT JAUNE
マイヨジョーヌ
有名なツール・ド・フランスのリーダージャージは、1919年に初めてその姿を露にした。ツールの創始者であるアンリ・デグランジュはその色に黄色を選んだことで賞賛を受けた。多くの色で彩られたプロトンの中から、観客がレースリーダーを素早く見分けることを可能にする実用的な選択だったのだ。そしてそれは象徴的な色でもあった。アンリ・デグランジュによって編集された新聞『ロト』のページカラーが黄色だったからだ。
マイヨジョーヌ採用のニュースは当時の7月10日版『ロト』でこのように公表された。
「スポーツファンは、直ちに我らの偉大なるツール・ド・フランスの集団からリーダーを見分けることができます。我々の編集長であるアンリ・デグランジュは、今後、総合をリードする選手が特別なジャージを着ると決定したからです」
当時の報道は、黄色のジャージを単なるスポーツジャージである以上に「特別な何か」だと評した。即ち人間性と勇敢さを重んじるフランスサイクリングの偉大なる価値の象徴であり、ルコックスポルティフが愛してやまない事でもあった。
その精神は、フランス中を旅し、都市を巡り、そのジャージを追いかける地元住民やファンに出会うという行為において表現される。マイヨジョーヌは、一人の男とそのチームにおけるスポーツマンシップと精神力を象徴するものであるとともに、勝利、約束、努力の象徴でもある。競争と情熱に対するおおげさとも言える表現に見えるかもしれないが、マイヨジョーヌは今、全ての自転車競技者の聖杯になっていると言っていいだろう。
こうした伝統の精神を受け継ぎ、ルコックスポルティフは2012年、ツール・ド・フランスのパートナーシップ復活とともに新しいデザインのマイヨジョーヌを生み出した。
DESIGN
デザイン
『ルコックスポルティフ』が初めて創出したサイクリングジャージを思い起こさせる新鮮なシルエット、肘の上までの袖、柔らかくステッチを施された襟、そして1951年のツール・ド・フランスを連想させるリブのトリミングが特徴となっている。
1903年にツールを立ち上げたアンリ・デグランジュ(Henri Desgrange)を讃え、彼のイニシャルである「HD」をあしらい、敬意を表している。このイニシャルは、彼自身と切っても切れない関係にある「ツール・ド・フランス」のロゴの隣に寄り添っている。
非常に印象的なイエローは、質感ある素材によって強調されており、フランス生粋のパートナーシップへのメッセージとして、襟部分にはフランスの象徴、トリコロールのラベルがつけられている。
また、ジャージの背面には3つの大きなバックポケットが縫い付けられている。加えて、フランスの美しい道と景観が維持されるように、という願いから、ライダーが補給食の包みなどのゴミを入れるための「グリーンポケット」が側面に2つ付けられた。
TECHNICAL FEATURES
テクニカル・フィーチャー
2012年のマイヨジョーヌは高性能なポリエステルとポリウレタンで出来ており、軽量で、かつ優れた通気性を考慮した組み合わせとなっている。空気の循環は、ジップアップの襟部分と、背面上部のメッシュで出来たベンチレーションパネルによって促される。これはライダーの体力消耗を抑制するために、天候に関わらず体温を快適な状態にするという利便性を備えている。
また、優れた快適性を示すものとして、ベンチレーションパネルが圧着式となっており、無縫製であることが挙げられる。ジャージは常に平らで、身体に対して低刺激な縫い目となるよう考慮して形成されている。
空気抵抗の軽減については、身体のラインにぴったり沿ったカッティングと、ジャージの裾から袖口までに渡るシリコーン・バンドにより実現。このシリコーン・バンドがジャージと身体の間への空気の侵入を防ぎ、ジャージのバタつきが起きないように、しっかりホールドしてくれるのだ。
このマイヨジョーヌの袖は肘のすぐ近くまで伸びた特徴的なものだが、圧着無縫製式の仕上げや、柔軟なポリウレタンを配合した素材設計などにより、競技者の上腕三頭筋を圧迫しない工夫がされている。
さらに、2012年ジャージでは軽量化も実現。重量は、2011年ジャージの171gに対し、147gと約14%も削減されている(参考:XLサイズ比較)。マイヨアポワ、マイヨヴェールといった各賞ジャージも同様の素材、製法で作られている。
清廉なラインに沿った優れた技能。新しい『ルコックスポルティフ』のマイヨジョーヌは、世界で最も偉大なサイクリングレースを前にして、観客やチャンピオンに訴えかけるべく、そのルーツから生み出されたのだ。
Héritage - Le coq sportif
編集:シクロワイアード