モーターサイクルからスポーツバイクの世界へ。自由な発想がユニークな製品を生み出す
Bontragerブランド創設者キース・ボントレガー
まだ見ぬ荒野を切り開いていくフロンティアスピリッツ。アメリカンブランドには、エレガントで優美なヨーロッパブランドとは一線を画すチャレンジングな姿勢を感じ取ることができる。その中でもトレックとともに幾多の勝利を重ねてきたボントレガーには、勝利を求める貪欲さとともに、変化を厭わないたくましさが備わっている。1979年、モトクロスの選手として活躍しながら、メカニックとしても腕を振るっていたキース・ボントレガーは、ロードバイクフレームを独自に製作。ここから革新的パーツブランド、ボントレガーの歴史が始まった。
トレック傘下となってからは、アメリカ西海岸の街、サンタクルスの開放的な気候・風土の中、MTB用のタイヤや完組ホイールなどを次々と開発。2002年にはロード用の完組ホイールをリリースするに至る。
このホイールは翌2003年のツール・ド・フランスにおいて、ランス・アームストロングとともに表彰台の頂点に立ち、その後、幾多の勝利を飾ることになった。
モトクロスの選手&メカニックというバックグランドを持つキース・ボントレガー
モーターサイクルの世界からスポーツバイクのフレーム、ホイール、そしてパーツブランドへの変遷。ユニークなブランドの生い立ちが、自由で革新的な発想を産み出してきたのだ。キース・ボントレガーは言う。「より優れた製品を造り上げる唯一の方法は、テストを繰り返すこと」
レースという極限の現場でのテスト。自転車を愛する社員たちによる日常的な使用条件でのテスト。ボントレガーの製品の細かな部分に込められたこだわりは、テストをくぐり抜けたアイデアの結晶なのだ。
職人肌なレジェンド、キース・ボントレガー
ボントレガーの創始者であるキース・ボントレガーは、エンジニア、デザイナー、物理学者、メカニック、ライダーなど、様々な一面を持った「職人肌なレジェンド」である。そんなレジェンドは、マテリアルに関しても豊富な知識も持ちあわせており、70年代より始まったマウンテンバイクフレーム開発へも科学的なアプローチでフレームをデザインした。1980年代、キースは壊れたパーツやフレームをごみ箱から見つけ出しては、何故それが壊れたのかを徹底的に分析した。そして、よりクオリティーが高く、耐久性に優れたモノ造りに専念した。
工房で製作に打ち込むキース・ボントレガー
キースの格言は「高剛性、軽量、低価格のうち、2つを選べ」であり、彼は最初の2つが最も大切であると唱えている。これらがのちに、キースが開発するものは最も剛性があり、かつ最軽量であるという評価につながっていった。キースは常に定説や常識に懐疑心を持ち続けており、地球上で起こりえる科学さえも否定することから始める人物だった。しかし「パーツは剛性があり、かつ可能な限り軽量でなければならない」という考えだけは、決して変えることがなかった。モノの良さが分かる消費者が重要視するのは、価格だけでないということを信じ、理解していた。これが彼の決して妥協することのないモノ造りへのアプローチ方法である。
ガレージに眠っている壊れたパーツを解体・分析することからモノ造りを始めたキースだが、今日では非常に幅広いカテゴリーの製品を開発している。今では実際に屋外にて製品テストを自ら行い、24時間耐久MTBレースなどにも参戦しているエンスージアストなのだ。
70年代から今日に至るまでプロダクトは大きく変化したが、決して変わっていないことがある。それはボントレガーの象徴である"b"のブランドロゴだ。
このbマークが入ったボントレガー製品のすべては、キースのスタンダードである厳しい疲労度&インパクトテストをクリアし、そうでないものは決して商品として日の目を見ない。彼は今日も決して意味のないデザインや哲学を受け入れることはない。
inForm バイクと身体を結ぶソフトなハードウェア
フレームとコンポーネント以外の多くのパーツを生み出すボントレガー。トレックが開発したOCLVカーボンを駆使したカーボン製ホイールやハンドル、ステム、シートピラーなどは、アームストロングらの活躍によって世界的な評価を得てきた。
ボントレガーのホイール、ステム、ハンドルなどの製品群がランス・アームストロングのツール・ド・フランスでの勝利を支えた (c)Makoto.AYANO
そして、より身体に近い製品としての、サドルやシューズ、アパレルなどをリリースするようになるのは、ボントレガーとしてごく自然な流れだった。
2007年に発表したinFormシリーズは、まずサドルからスタート。医学的なアプローチによって、ライダーの骨盤形状に合わせた「サドルサイズ」で選ぶという革新的なアイデアは、サドル選びに悩む多くのユーザーたちに瞬く間に受け入れられた。
2009年にはアパレルとシューズを発表。サイクリストとバイクの接点であるアクセサリー類を次々と世に送り出している。
2003年ツール・ド・フランスの総合優勝を確実にし、シャンゼリゼを駆け抜けるランス・アームストロング (c)Makoto.AYANO
2007年に発表したinFormシリーズは、まずサドルからスタート。医学的なアプローチによって、ライダーの骨盤形状に合わせた「サドルサイズ」で選ぶという革新的なアイデアは、サドル選びに悩む多くのユーザーたちに瞬く間に受け入れられた。
2009年にはアパレルとシューズを発表。サイクリストとバイクの接点であるアクセサリー類を次々と世に送り出している。
2003年ツール・ド・フランスの総合優勝を確実にし、シャンゼリゼを駆け抜けるランス・アームストロング (c)Makoto.AYANO
Bontrager inFormシリーズ
inFormサドル
inFormアパレル
inFormシューズ
プロレースの世界で使われるボントレガー
2011年プロロードレースシーンで、レオパード・トレックとレディオシャックの2つのUCIワールドツアーチームがボントレガーのサドル、シューズ、ホイール、ステム、ハンドルなどのパーツ&アクセサリーを使って世界のトップレースを走っている。ツール・ド・フランス2010総合2位のアンディ・そしてフランクのシュレク兄弟(ルクセンブルグ、レオパード・トレック)と、タイムトライアルの世界チャンピオンにして2010年にロンド・ファン・フラーンデレン(フランドル一周)とパリ〜ルーベの2大クラシックを連覇したファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)が、そして日本人唯一のUCIワールドツアーレーサーとして活躍する別府史之(レディシャック)がボントレガーを使用して、トップレベルのサイクルロードレースを走る。
レディオシャックの別府史之やクリスホーナーもボントレガー製品を愛用。実戦で得られたノウハウをフィードバックしている (c)Makoto.AYANO
History of BONTRAGER
ボントレガーの歴史
| 1979年 | モトクロスの選手&メカニックというバックグランドを持つキース・ボントレガーはロードバイクフレームを独自に製作し始める |
| 1980年 | マウンテンバイクのフレームを独自に製作を開始 |
| 1980年代前半 | キース・ボントレガーが現在の母体となるバイクフレーム製作会社「Bontrager」を創立する |
| 1987年 | RockShoxの開発に協力 |
| 1992年 | 会社が成長し、カリフォルニア州サンタクルーズにオフィスを設立 |
| 1993年 | この年初めて現在の原形となるバイクコンポーネントを手掛ける(ステム) |
| 1995年 | トレックの傘下に入る |
| 1997年 | 初めてMTBタイヤをリリースする |
| 1999年 | 初めて完組MTBホイールをリリース。キースがリム、ハブ、スポークをデザインした |
| 2002年 | 完組ロードホイールをリリース |
| 2003年 | ランス・アームストロングがボントレガー製ホイールとコンポーネントでツールを制覇 |
| 2007年 | inFormサドルを発表 |
| 2009年 | inFormアパレル、シューズを発表 |
ムービー:Who is キース・ボントレガー
提供:トレックジャパン 企画/制作:シクロワイアード