満を持してメリダがリリースした新型REACTO。メリダが誇る最新エアロロードは、スペインのアップダウンコースでどんな走りを見せてくれたのか?CW取材班、そして、現地に赴いた4名のショップ店長によるファーストインプレをお届けします。

テストバイクとして用意されたREACTO ONE。290mmの「TEAM CW 1P」コックピットと、クラシファイドの内装変速ハブを投入した完成車パッケージだ(日本では展開なし) photo:MERIDA BIKES
前章で紹介した通り、新型REACTOの発表会が開催されたのはスペイン東部、カステリョン州の海沿いに位置するベニカシム。地中海から吹き付ける乾いた風と穏やかな太陽は、まさに「ビーチリゾート」そのものだ。フランス期待の星、レニー・マルティネスが昨年のツール・ド・フランスで山岳賞を争い、ジャパンカップで独走勝利を飾った新型REACTOは、いわば「公然の秘密」であり、そのデビューは世界中から待ち望まれるものだった。
今回用意されたテストバイクは、日本では発売されない超エアロ仕様の「REACTO ONE(54サイズ)」である。ブラケット幅わずか290mmという驚愕のナローハンドル「TEAM CW 1P」コックピットに、シマノDURA-ACEとローターのエアロチェーンリングを組み合わせたフロントシングル仕様。しかしながらクラシファイドの内装変速ハブを投入して2×12速を実現するという、メカマニアな筆者の心を激しく揺さぶる、とてもメーカー純正とは思えないほどニッチなセットアップだ(個人的にはこのまま日本導入されてほしいのだが...)。

290mmのTEAM CW 1Pコックピット。異様なほどに狭い photo:So Isobe

ハンドルの狭さに慄いたものの、車体側の性格か、あまりナーバスになることはなかった photo:MERIDA BIKES 
クラシファイドの内装変速ハブで2x12sを実現している photo:So Isobe
290mmという、おそらくマスプロメーカーの純正仕様としては世界最狭のハンドルに目を奪われるが、フレームそのもののアグレッシブな造形も際立っている。UCIルールの規制緩和を追い風にしつつ、一目でREACTOと分かる直線基調のデザインアイデンティティを維持したその姿は、スペインの強烈な太陽の下でシャープなエッジをより鮮明に際立たせていた。

REACTOのプロダクトマネージャーを務めたイェンス氏が牽引。登りもさることながら、彼の下りのスピードに息を巻いた photo:MERIDA BIKES
幸運なことに、筆者はここ数ヶ月のうちにキャノンデール・SuperSix EVOやファクター・ONE、ウィリエール・Filante SLRといった最新鋭機に触れる機会が多かった。その経験に照らし合わせても、新型REACTOの乗り味は極めて「ザ・エアロロード」だ。
走行フィールの中心にあるのは、ドッシリと大股で構えているような安定感。フレームの「立ち」が強く、ペダルへの入力を逃さず推進力へと変換する感覚が極めて濃厚だ。ヘッドチューブからボトムブラケットにかけて一本の芯が通ったような剛性感、フレームそのものが放つ強い存在感が強く、その存在感を主張してくる。昨今はホイールとのトータルパッケージでライドフィールをチューニングするバイクが増えているが、新型REACTOはあくまでも車体が主役だ。

車体の軽さゆえに登りも全く不得意じゃない。あまりバイクを振らず、脚を真下に下ろすように踏むと調子が良かった photo:MERIDA BIKES

流して走ってもスルスルとスピードが乗る。ただしペダリングは意識すべし photo:MERIDA BIKES 
メンテナンス性も引き上げたという新型REACTO。メカニックに聞いても組み付けに不満は一切なかったという photo:MERIDA BIKES
トップグレードの「CF5」フレームは、ライダーに綺麗なペダリングを要求する。低出力域ではガチャ踏みや斜め方向への入力を拒み、体感的に300Wを超えたあたりから、戻りの速いしなりを伴って爆発的に加速していく。「こうやって踏んでください」という、バイク側からの明確な意思表示を感じるのだ。
そして、その指示通りに引き足を意識して綺麗に回してあげると不思議と硬さは感じることなく、軽やかな伸びを見せてくれる。車体の軽さと剛性感、空力性能が相まって、スピードを求める者をどこまでも気持ちよくさせてくれるし、それは街中をゆるく流している時にも感じることだ。現代の高速化を極めたレースでプロ選手たちが本当に求めているのは、万人に好まれるシルキーな乗り味ではなく、こういうソリッドな踏み味なのかもしれないと、この新型REACTOに乗って思わされる。
驚いたのはハンドリングだ。290mmという激狭ハンドルは、なんならUCIルールに真っ向勝負する選手としてお馴染みのヤンウィレム・ファンシップが作ったSPEECOのエアロハンドルバー(トップ320mm)よりも遥かに狭く最初は途方に暮れてしまったのだが、それにも関わらずハンドリング自体は非常にニュートラル。路面を掴んでしなやかに曲がるというよりは「オンザレール感」が強く、ダンシングの振りもなかなかどうして悪くない。なんなら340mmハンドルで試したSuperSix EVO Hi-Mod(LAB71では印象が違うはず)よりも車体を振る慣性モーメントは低い気がする。おそらくは先述したヘッド周りの高剛性が良い影響を与えていると推測できる。

ヘッド周りの剛性ゆえか、幅狭ハンドルの割にダウンヒルも具合がいい。「オンザレール」という言葉がマッチする photo:MERIDA BIKES
車体はあまり振らずに、真っ直ぐストンストンと足を下ろし、引き足を使っていくと、トルク感溢れる走りでスルスルと登る。勾配がキツくなるタイミングで重さを感じることもないし、集団のまま2,3%ほどの緩斜面を走った時は、開発者の「5%以下の勾配なら絶対的にSCLUTURAよりもREACTOが速い」という言葉をよく理解できるほど速い。何よりレニー・マルティネスが山岳賞を争った昨年ツールでSCULTURAではなくREACTOを選んでいたことからも、その登坂性能は推して知るべしだ。
乗り心地の担当はシートポストとタイヤであり、フレーム側には積極的に衝撃を吸収しようとする意図は読み取れなかった。よく言えば路面の状況が手に取るようにわかるが、悪く言えばコンフォートではない。テストバイクが今となっては細身のコンチネンタルのAERO111(フロント/29c)とGRANDPRIX 5000 TT TR(リア/28c)の組み合わせということもあるが、もしこのバイクを自分のものにするならば、できるだけ太いタイヤを履かせたいと思わされた。できる限り軽いリムのエアロホイールにワイドタイヤ。それがベストな選択だと感じる。

シマノ デュラエースとヴィジョンのMetron RSホイールとハンドルで武装した「REACTO TEAM」完成車にも短時間試乗できた photo:So Isobe
第5世代REACTO(のCF5グレードは)乗り手を甘やかすのではなく、「自分こそがこの自転車を速く走らせてやる」と乗りこなす覚悟を求める純然たるレーシングバイク。しかし、そのマシンと気持ちを合わせれば、REACTOはライダーの思う以上に走ってくれる。乗りやすさをを重視したエアロロードが増えている中で、世界最大規模を誇るメリダのレーシングバイクがこうも尖った乗り味であることは非常に興味深い。

メディアプログラムと入れ替わりに世界各地のメリダディーラーを招いたプログラムも開催。日本からも4名が参加した photo:Yosuke Suga
今回の発表会ではメディア陣と入れ替わりに世界中のメリダ正規ショップを招いたディーラーミーティングも開催。日本からも4名のショップ店長たちがベニカシムに集い、いち早く新型REACTOの乗り味を堪能していた。CW取材班も初日のイージーライドを終えた店長たちに話を聞く機会を得たので、彼らのファーストインプレッションをここに紹介しておきたい。

三浦茂雄さん(中島サイクル/神奈川) photo:Yosuke Suga
「私自身、先代REACTOをマイバイクとして乗り込んでいますが、それと比べても圧倒的に軽くて軽快です。一方で取り回しの良さが増して、ダウンヒルも純粋に楽しいんです。驚いたのは平坦での伸び。前を走るライダーとの距離を詰める時に省エネ走行のままスルスルと近づけるんです。登りを含めた総合力が底上げされていますから、速さを求める人にとって最高の相棒になるでしょうね」

三沢昌樹さん(三沢自転車商会/長野) photo:Yosuke Suga
「これまでのREACTOにあった、どこかもっさりとした感触が完全に消えています。とにかくライドフィールが軽くなったことが一番の衝撃で、軽さゆえに加速が鋭く、緩斜面ならそのまま踏み切れてしまう。単に軽快という言葉だけではなく、どこまでも加速し続けていけるような、レーシングバイクとしての純粋な進化を強く感じました」

「硬さの上にある、緻密な剛性バランス」:平山裕章さん(hirabikes/福岡) photo:Yosuke Suga
「剛性の高さから、明確にレーシングバイクであるという主張を感じました。反応が極めて良く、スピードの伸びが素晴らしいですね。フレームはもちろん、フロントフォークの剛性が緻密に計算されている印象です。私が以前乗っていた2世代前と比べても硬さの中にあるバランスが整っており、不安感ががありません。ただ、のんびり走るのが好きな私にはこのCF5は少し硬すぎるかもしれない(笑)。それだけに、弟分であるCF3グレードがどこまでしなやかに味付けされているのか、非常に興味が湧いています」

「SCULTURA乗りが驚くほどの登坂性能」:津末浩平さん(津末サイクル/大分) photo:Yosuke Suga
「とにかく加速感が軽いですね。現在SCULTURAに乗っている私ですら登りの軽さには驚かされました。7%ほどの勾配を走っていても、体感的には4〜5%程度にしか感じていなくてびっくりしました。ダンシングでの進みも良く、踏み込んだ瞬間の反応も素晴らしい。これだけの剛性がありながら、脚にガツンとくるような嫌な反発もなかった。従来のREACTOから文字通り次元の違う進化を遂げていますね」
新型REACTOをスペインの丘陵コースで試す

前章で紹介した通り、新型REACTOの発表会が開催されたのはスペイン東部、カステリョン州の海沿いに位置するベニカシム。地中海から吹き付ける乾いた風と穏やかな太陽は、まさに「ビーチリゾート」そのものだ。フランス期待の星、レニー・マルティネスが昨年のツール・ド・フランスで山岳賞を争い、ジャパンカップで独走勝利を飾った新型REACTOは、いわば「公然の秘密」であり、そのデビューは世界中から待ち望まれるものだった。
今回用意されたテストバイクは、日本では発売されない超エアロ仕様の「REACTO ONE(54サイズ)」である。ブラケット幅わずか290mmという驚愕のナローハンドル「TEAM CW 1P」コックピットに、シマノDURA-ACEとローターのエアロチェーンリングを組み合わせたフロントシングル仕様。しかしながらクラシファイドの内装変速ハブを投入して2×12速を実現するという、メカマニアな筆者の心を激しく揺さぶる、とてもメーカー純正とは思えないほどニッチなセットアップだ(個人的にはこのまま日本導入されてほしいのだが...)。



290mmという、おそらくマスプロメーカーの純正仕様としては世界最狭のハンドルに目を奪われるが、フレームそのもののアグレッシブな造形も際立っている。UCIルールの規制緩和を追い風にしつつ、一目でREACTOと分かる直線基調のデザインアイデンティティを維持したその姿は、スペインの強烈な太陽の下でシャープなエッジをより鮮明に際立たせていた。
「エアロロード」の矜持を感じる走り

幸運なことに、筆者はここ数ヶ月のうちにキャノンデール・SuperSix EVOやファクター・ONE、ウィリエール・Filante SLRといった最新鋭機に触れる機会が多かった。その経験に照らし合わせても、新型REACTOの乗り味は極めて「ザ・エアロロード」だ。
走行フィールの中心にあるのは、ドッシリと大股で構えているような安定感。フレームの「立ち」が強く、ペダルへの入力を逃さず推進力へと変換する感覚が極めて濃厚だ。ヘッドチューブからボトムブラケットにかけて一本の芯が通ったような剛性感、フレームそのものが放つ強い存在感が強く、その存在感を主張してくる。昨今はホイールとのトータルパッケージでライドフィールをチューニングするバイクが増えているが、新型REACTOはあくまでも車体が主役だ。



トップグレードの「CF5」フレームは、ライダーに綺麗なペダリングを要求する。低出力域ではガチャ踏みや斜め方向への入力を拒み、体感的に300Wを超えたあたりから、戻りの速いしなりを伴って爆発的に加速していく。「こうやって踏んでください」という、バイク側からの明確な意思表示を感じるのだ。
そして、その指示通りに引き足を意識して綺麗に回してあげると不思議と硬さは感じることなく、軽やかな伸びを見せてくれる。車体の軽さと剛性感、空力性能が相まって、スピードを求める者をどこまでも気持ちよくさせてくれるし、それは街中をゆるく流している時にも感じることだ。現代の高速化を極めたレースでプロ選手たちが本当に求めているのは、万人に好まれるシルキーな乗り味ではなく、こういうソリッドな踏み味なのかもしれないと、この新型REACTOに乗って思わされる。
驚いたのはハンドリングだ。290mmという激狭ハンドルは、なんならUCIルールに真っ向勝負する選手としてお馴染みのヤンウィレム・ファンシップが作ったSPEECOのエアロハンドルバー(トップ320mm)よりも遥かに狭く最初は途方に暮れてしまったのだが、それにも関わらずハンドリング自体は非常にニュートラル。路面を掴んでしなやかに曲がるというよりは「オンザレール感」が強く、ダンシングの振りもなかなかどうして悪くない。なんなら340mmハンドルで試したSuperSix EVO Hi-Mod(LAB71では印象が違うはず)よりも車体を振る慣性モーメントは低い気がする。おそらくは先述したヘッド周りの高剛性が良い影響を与えていると推測できる。

車体はあまり振らずに、真っ直ぐストンストンと足を下ろし、引き足を使っていくと、トルク感溢れる走りでスルスルと登る。勾配がキツくなるタイミングで重さを感じることもないし、集団のまま2,3%ほどの緩斜面を走った時は、開発者の「5%以下の勾配なら絶対的にSCLUTURAよりもREACTOが速い」という言葉をよく理解できるほど速い。何よりレニー・マルティネスが山岳賞を争った昨年ツールでSCULTURAではなくREACTOを選んでいたことからも、その登坂性能は推して知るべしだ。
乗り心地の担当はシートポストとタイヤであり、フレーム側には積極的に衝撃を吸収しようとする意図は読み取れなかった。よく言えば路面の状況が手に取るようにわかるが、悪く言えばコンフォートではない。テストバイクが今となっては細身のコンチネンタルのAERO111(フロント/29c)とGRANDPRIX 5000 TT TR(リア/28c)の組み合わせということもあるが、もしこのバイクを自分のものにするならば、できるだけ太いタイヤを履かせたいと思わされた。できる限り軽いリムのエアロホイールにワイドタイヤ。それがベストな選択だと感じる。

第5世代REACTO(のCF5グレードは)乗り手を甘やかすのではなく、「自分こそがこの自転車を速く走らせてやる」と乗りこなす覚悟を求める純然たるレーシングバイク。しかし、そのマシンと気持ちを合わせれば、REACTOはライダーの思う以上に走ってくれる。乗りやすさをを重視したエアロロードが増えている中で、世界最大規模を誇るメリダのレーシングバイクがこうも尖った乗り味であることは非常に興味深い。
新型REACTOを試したショップ店長の声

今回の発表会ではメディア陣と入れ替わりに世界中のメリダ正規ショップを招いたディーラーミーティングも開催。日本からも4名のショップ店長たちがベニカシムに集い、いち早く新型REACTOの乗り味を堪能していた。CW取材班も初日のイージーライドを終えた店長たちに話を聞く機会を得たので、彼らのファーストインプレッションをここに紹介しておきたい。
「圧倒的な軽快さと平坦での伸び感」:三浦茂雄さん(中島サイクル/神奈川)

「私自身、先代REACTOをマイバイクとして乗り込んでいますが、それと比べても圧倒的に軽くて軽快です。一方で取り回しの良さが増して、ダウンヒルも純粋に楽しいんです。驚いたのは平坦での伸び。前を走るライダーとの距離を詰める時に省エネ走行のままスルスルと近づけるんです。登りを含めた総合力が底上げされていますから、速さを求める人にとって最高の相棒になるでしょうね」
「とにかくライドフィールが軽くなった」:三沢昌樹さん(三沢自転車商会/長野)

「これまでのREACTOにあった、どこかもっさりとした感触が完全に消えています。とにかくライドフィールが軽くなったことが一番の衝撃で、軽さゆえに加速が鋭く、緩斜面ならそのまま踏み切れてしまう。単に軽快という言葉だけではなく、どこまでも加速し続けていけるような、レーシングバイクとしての純粋な進化を強く感じました」
「硬さの上にある、緻密な剛性バランス」:平山裕章さん(hirabikes/福岡)

「剛性の高さから、明確にレーシングバイクであるという主張を感じました。反応が極めて良く、スピードの伸びが素晴らしいですね。フレームはもちろん、フロントフォークの剛性が緻密に計算されている印象です。私が以前乗っていた2世代前と比べても硬さの中にあるバランスが整っており、不安感ががありません。ただ、のんびり走るのが好きな私にはこのCF5は少し硬すぎるかもしれない(笑)。それだけに、弟分であるCF3グレードがどこまでしなやかに味付けされているのか、非常に興味が湧いています」
「SCULTURA乗りが驚くほどの登坂性能」:津末浩平さん(津末サイクル/大分)

「とにかく加速感が軽いですね。現在SCULTURAに乗っている私ですら登りの軽さには驚かされました。7%ほどの勾配を走っていても、体感的には4〜5%程度にしか感じていなくてびっくりしました。ダンシングでの進みも良く、踏み込んだ瞬間の反応も素晴らしい。これだけの剛性がありながら、脚にガツンとくるような嫌な反発もなかった。従来のREACTOから文字通り次元の違う進化を遂げていますね」
提供:メリダ | text&photo:So Isobe