2023/05/06(土) - 17:00
誰もがその走りを認めるヴィットリアのロード用フラッグシップモデル「CORSA」がフルモデルチェンジ。最新テクノロジーを盛り込み、既にプロレース界で幾多の勝利を挙げる「CORSA PRO」を、インタビューや国内外プロ選手のインプレッションを含めて紹介していく。
1953年の創業以来、プロアマ問わずスポーツサイクリングを愛するユーザーから厚い信頼を得るタイヤブランドがヴィットリアだ。最新テクノロジーを惜しみなく投入した製品群は各性能に秀で、ロードではツール・ド・フランスや世界選手権を筆頭に数々の勝利に貢献。MTBからシクロクロス、そして近年のグラベルムーブメントまでを網羅するスポーツ自転車用タイヤのリーディングブランドとしてその名を轟かせている。
中でもロードカテゴリーのハイエンドモデルであるCORSA(コルサ)は、2016年に最新鋭のナノ素材「Graphene(グラフェン)」を手に入れたことで飛躍的な進化を見た。2019年には「グラフェン2.0」と銘打った進化版の第2世代コンパウンドを投入し、さらに昨2022年にはナイロンケーシングモデル「CORSA N.EXT(コルサ・ネクスト)」をローンチ。チューブレス化にもいち早く対応して業界をリードするなど、まさに世界中に開発・製造拠点を置くグローバル企業のフラッグシップモデルにふさわしい進化を遂げてきた。
そんなCORSAの最新作となる「CORSA PRO」は、その名の通り、プロ選手を支えるために開発された次世代モデル。コンパウンドをはじめ、タイヤの製造工程までを見直すことで転がり性能は+12%、対パンク性能は+18%(先代CORSA TLRとの比較/平均値)と大幅な性能向上を叶えている。
CORSAシリーズにおいて「PRO」の名を冠するのは、チューブレスレディ(TLR)モデルとチューブラーモデル、そして悪路でのグリップや対パンク性能に秀でる「CORSA PRO CONTROL」の3モデル。クリンチャーモデルは現時点で従来品が継続となり、SPEED(タイムトライアル用)のPROバージョンは来年半ばの発表となる見込みだ。
CORSA PROの大幅な性能向上を握るカギ、それはTLRモデルのコットンケーシングとトレッドを接着剤で貼り付ける伝統的な構造を止め、新しい加硫工程によってケーシングとコンパウンドをシームレスに一体成形したことにある。
ヴィットリア本社のアジアマーケティングマネージャーを務めるグレッグ・ヴェーラナンダ氏によれば、従来はごく僅かにケーシングとコンパウンドが別々の動きをしていたものの、一体構造にすることでロスを解消し、通じてしなやかさを向上。これをメインに、さまざまな部分を改善したことでTLRで+12%、チューブラーで+18%という転がり性能向上に繋げているというのだ。
CORSA N.EXTのようなナイロンケーシングタイヤでは一般的な構造だが、コットンケーシングタイヤでは他に類を見ず、ヴィットリアが誇る320TPIのコットンケーシングの長所をより引き出している。これはヴィットリアが自社ファクトリーに低温成形を可能とした専用の電気釜(従来は高温の蒸気釜)を新規開発・導入したことで実現したものであり、ヴェーラナンダ氏は「今まで以上に安心してコーナリングできるタイヤに仕上がっている」と胸を張る。なおチューブラーモデルに関しては、従来通りトレッドゴムをケーシングに接着する工法を継承している。
もちろんグリップ力の要であるコンパウンドも先代CORSAから大きく進化した。従来は「グラフェン2.0」コンパウンドをトレッド全面に渡って使用していたが、トレッドのセンターにシリカを、両サイド部分にグラフェンを配置するダブル構造を採用している。
これはコーナリング時のグリップ性能(グラフェン)と耐摩耗性(シリカ)を両立するべくCORSA N.EXTで初採用された構造だが、そっくりそのまま同じではなく、ナイロンケーシングのCORSA N.EXTとはタイヤ全体の柔軟性が違うことを踏まえ、コンパウンドの配合をイチから見直している。CORSA PROは全てパラサイド(いわゆるスキンサイド)のみの設定だ
トレッドとケーシングの間に仕込まれる耐パンクベルトも高密度なものに改善され、今まで以上に小石などからの突き刺しに耐える。さらにビード部分には強化したプロテクションを追加し、エア漏れの可能性を極限までカットするとともに、フロアーポンプでのビード上げを容易にしたという。重量自体も先代から平均4%の軽量化を実現し、総合力の高さは随一といえるだろう。
CORSA PROはTLRモデルが24、26、28、30、そして32mmという5サイズ、チューブラーモデルが23、25、28、そして30という4サイズ。TLRの28以上はフックレスリムにも対応するなど次世代を見据えたラインナップとなっている。
過酷なパヴェ(石畳)が登場するパリ〜ルーベや、ロンド・ファン・フラーンデレンのようなクラシックレースで、あるいは日々のトレーニングで更なる安心感をもたらすタイヤが「CORSA PRO CONTROL」だ。
耐久性を上げるために通常盤のCORSA PROよりもトレッド面に厚みを持たせ、さらに耐パンクベルトも厚さ1.7mmのものを投入し、タフコンディションでの信頼感を増している。先代モデル比の耐パンク性能向上は+19%にも及び、長寿命化も達成。日々のトレーニングライドや険しい山岳路を織り交ぜたロングライドでの信頼を今まで以上に高めている。
CORSA PROとの見た目上の大きな違いであるトレッドパターンもコーナリング時のハンドリングを向上させるよう進歩。新しい加硫工程によるトレッド/ケーシングの一体成形によって転がり性能を増し(先代比+2%)、トレッドのセンターにシリカを、両サイド部分にグラフェンを配置するダブルコンパウンド構造もスペックイン。高耐久モデルながらCORSA PRO同様の贅沢な仕様に仕上げられた。
CORSA PRO CONTROLはTLRモデルのみとなり、26と28mmの2サイズ展開。28mmはフックレスリムへの互換性を持つ。
ヴェーラナンダ氏がプレゼンで推したのが、ヴィットリアの一歩進んだTLRシステムだ。シーラントとの組み合わせでパンク時の安全性を高めるAir-Liner(エアライナー)をはじめ、新型のマルチウェイバルブとタイヤレバーを組み合わせることでストレスフリーなTLR運用を可能にする。
中でも走行抵抗なく、わずか30gの重量増でパンク時のリスクを減らすAir-Linerは、その有効性を評価したEFエデュケーション・イージーポストとロット・ディステニーが100%運用しており、他にサポート外チームからの購入希望も多いのだそう。一般ユーザーであっても、たとえばシーラントで塞ぎきれない穴を開けてしまった場合など、有効な場面は少なくないはずだ。
CORSA PRO TLRには純正の「ユニバーサルチューブレスタイヤシーラント」を強くおすすめする。コットンケーシングにダメージを与えるアンモニアを配合せず、ヴェーラナンダ氏によれば35psiからパンクさせても約3秒で穴を塞ぎ、平均3psiだけのロスでパンク穴を塞いでくれる。そのまま放置しても24時間後は1psi、72時間後でも+2psi、結果的に6psi減だけで済む、非常に優れたシーラントだ。
そこでは開発者のアイディアをすぐ形にすることができ、幾多ものプロトタイプが作られては試験機や実走でテストされ、そのフィードバックをもとに次のプロトタイプ製造を...という、地道なR&D活動が、素早く繰り返されたという。当然各メーカーのリムに対するマッチングも研究し尽くされたといい、その部分においても信頼度はお墨付きだ。
CORSA PROは先代モデルのアップデートではなく、各種素材はもちろんのこと、製造面からも完璧に異なるアプローチから高みを目指したヴィットリアの自信作。その走りは、既に幾多のトップチームが採用し、実績を挙げていることからも推して測るべきだろう。
ヴィットリア CORSA:幾多の戦績に裏打ちされたロードタイヤの金字塔
1953年の創業以来、プロアマ問わずスポーツサイクリングを愛するユーザーから厚い信頼を得るタイヤブランドがヴィットリアだ。最新テクノロジーを惜しみなく投入した製品群は各性能に秀で、ロードではツール・ド・フランスや世界選手権を筆頭に数々の勝利に貢献。MTBからシクロクロス、そして近年のグラベルムーブメントまでを網羅するスポーツ自転車用タイヤのリーディングブランドとしてその名を轟かせている。
中でもロードカテゴリーのハイエンドモデルであるCORSA(コルサ)は、2016年に最新鋭のナノ素材「Graphene(グラフェン)」を手に入れたことで飛躍的な進化を見た。2019年には「グラフェン2.0」と銘打った進化版の第2世代コンパウンドを投入し、さらに昨2022年にはナイロンケーシングモデル「CORSA N.EXT(コルサ・ネクスト)」をローンチ。チューブレス化にもいち早く対応して業界をリードするなど、まさに世界中に開発・製造拠点を置くグローバル企業のフラッグシップモデルにふさわしい進化を遂げてきた。
そんなCORSAの最新作となる「CORSA PRO」は、その名の通り、プロ選手を支えるために開発された次世代モデル。コンパウンドをはじめ、タイヤの製造工程までを見直すことで転がり性能は+12%、対パンク性能は+18%(先代CORSA TLRとの比較/平均値)と大幅な性能向上を叶えている。
CORSAシリーズにおいて「PRO」の名を冠するのは、チューブレスレディ(TLR)モデルとチューブラーモデル、そして悪路でのグリップや対パンク性能に秀でる「CORSA PRO CONTROL」の3モデル。クリンチャーモデルは現時点で従来品が継続となり、SPEED(タイムトライアル用)のPROバージョンは来年半ばの発表となる見込みだ。
世界のトップ選手を支える新スタンダード:CORSA PRO
CORSA PROの大幅な性能向上を握るカギ、それはTLRモデルのコットンケーシングとトレッドを接着剤で貼り付ける伝統的な構造を止め、新しい加硫工程によってケーシングとコンパウンドをシームレスに一体成形したことにある。
ヴィットリア本社のアジアマーケティングマネージャーを務めるグレッグ・ヴェーラナンダ氏によれば、従来はごく僅かにケーシングとコンパウンドが別々の動きをしていたものの、一体構造にすることでロスを解消し、通じてしなやかさを向上。これをメインに、さまざまな部分を改善したことでTLRで+12%、チューブラーで+18%という転がり性能向上に繋げているというのだ。
CORSA N.EXTのようなナイロンケーシングタイヤでは一般的な構造だが、コットンケーシングタイヤでは他に類を見ず、ヴィットリアが誇る320TPIのコットンケーシングの長所をより引き出している。これはヴィットリアが自社ファクトリーに低温成形を可能とした専用の電気釜(従来は高温の蒸気釜)を新規開発・導入したことで実現したものであり、ヴェーラナンダ氏は「今まで以上に安心してコーナリングできるタイヤに仕上がっている」と胸を張る。なおチューブラーモデルに関しては、従来通りトレッドゴムをケーシングに接着する工法を継承している。
もちろんグリップ力の要であるコンパウンドも先代CORSAから大きく進化した。従来は「グラフェン2.0」コンパウンドをトレッド全面に渡って使用していたが、トレッドのセンターにシリカを、両サイド部分にグラフェンを配置するダブル構造を採用している。
これはコーナリング時のグリップ性能(グラフェン)と耐摩耗性(シリカ)を両立するべくCORSA N.EXTで初採用された構造だが、そっくりそのまま同じではなく、ナイロンケーシングのCORSA N.EXTとはタイヤ全体の柔軟性が違うことを踏まえ、コンパウンドの配合をイチから見直している。CORSA PROは全てパラサイド(いわゆるスキンサイド)のみの設定だ
トレッドとケーシングの間に仕込まれる耐パンクベルトも高密度なものに改善され、今まで以上に小石などからの突き刺しに耐える。さらにビード部分には強化したプロテクションを追加し、エア漏れの可能性を極限までカットするとともに、フロアーポンプでのビード上げを容易にしたという。重量自体も先代から平均4%の軽量化を実現し、総合力の高さは随一といえるだろう。
CORSA PROはTLRモデルが24、26、28、30、そして32mmという5サイズ、チューブラーモデルが23、25、28、そして30という4サイズ。TLRの28以上はフックレスリムにも対応するなど次世代を見据えたラインナップとなっている。
ノーマルモデルの高性能に安心感をプラス:CORSA PRO CONTROL
過酷なパヴェ(石畳)が登場するパリ〜ルーベや、ロンド・ファン・フラーンデレンのようなクラシックレースで、あるいは日々のトレーニングで更なる安心感をもたらすタイヤが「CORSA PRO CONTROL」だ。
耐久性を上げるために通常盤のCORSA PROよりもトレッド面に厚みを持たせ、さらに耐パンクベルトも厚さ1.7mmのものを投入し、タフコンディションでの信頼感を増している。先代モデル比の耐パンク性能向上は+19%にも及び、長寿命化も達成。日々のトレーニングライドや険しい山岳路を織り交ぜたロングライドでの信頼を今まで以上に高めている。
CORSA PROとの見た目上の大きな違いであるトレッドパターンもコーナリング時のハンドリングを向上させるよう進歩。新しい加硫工程によるトレッド/ケーシングの一体成形によって転がり性能を増し(先代比+2%)、トレッドのセンターにシリカを、両サイド部分にグラフェンを配置するダブルコンパウンド構造もスペックイン。高耐久モデルながらCORSA PRO同様の贅沢な仕様に仕上げられた。
CORSA PRO CONTROLはTLRモデルのみとなり、26と28mmの2サイズ展開。28mmはフックレスリムへの互換性を持つ。
Air-Linerとの組み合わせをレコメン 先進パッケージで一歩進んだTLRユースを
ヴェーラナンダ氏がプレゼンで推したのが、ヴィットリアの一歩進んだTLRシステムだ。シーラントとの組み合わせでパンク時の安全性を高めるAir-Liner(エアライナー)をはじめ、新型のマルチウェイバルブとタイヤレバーを組み合わせることでストレスフリーなTLR運用を可能にする。
中でも走行抵抗なく、わずか30gの重量増でパンク時のリスクを減らすAir-Linerは、その有効性を評価したEFエデュケーション・イージーポストとロット・ディステニーが100%運用しており、他にサポート外チームからの購入希望も多いのだそう。一般ユーザーであっても、たとえばシーラントで塞ぎきれない穴を開けてしまった場合など、有効な場面は少なくないはずだ。
CORSA PRO TLRには純正の「ユニバーサルチューブレスタイヤシーラント」を強くおすすめする。コットンケーシングにダメージを与えるアンモニアを配合せず、ヴェーラナンダ氏によれば35psiからパンクさせても約3秒で穴を塞ぎ、平均3psiだけのロスでパンク穴を塞いでくれる。そのまま放置しても24時間後は1psi、72時間後でも+2psi、結果的に6psi減だけで済む、非常に優れたシーラントだ。
その仕上がりに自信アリ。ヴィットリアの威信をかけた新フラッグシップ
非公開前提だったものの、プレゼンテーションではライバル製品との性能チャートが共有され、CORSA PROがいかに優れているかがアピールされた。そしてヴェーラナンダ氏曰く、それを叶えた理由の一つに、本社内にコンパウンドの配合から製造、仕上げまで、メインファクトリーと全く同じ工程を再現できる「ミニ・ファクトリー」が存在していることが挙げられた。そこでは開発者のアイディアをすぐ形にすることができ、幾多ものプロトタイプが作られては試験機や実走でテストされ、そのフィードバックをもとに次のプロトタイプ製造を...という、地道なR&D活動が、素早く繰り返されたという。当然各メーカーのリムに対するマッチングも研究し尽くされたといい、その部分においても信頼度はお墨付きだ。
CORSA PROは先代モデルのアップデートではなく、各種素材はもちろんのこと、製造面からも完璧に異なるアプローチから高みを目指したヴィットリアの自信作。その走りは、既に幾多のトップチームが採用し、実績を挙げていることからも推して測るべきだろう。
ヴィットリア CORSA PROシリーズ 仕様・スペック一覧
Corsa Pro TLR / Tubular
タイプ | サイズ | 重量 | 税込価格 |
TLR | 700x24c | 265 g | 13,900円 |
TLR | 700x26c | 275 g | 13,900円 |
TLR | 700x28c | 295 g | 13,900円 |
TLR | 700x30c | 300 g | 13,900円 |
TLR | 700x32c | 320 g | 13,900円 |
Tubular | 23-28 | 285 g | 20,900円 |
Tubular | 25-28 | 295 g | 20,900円 |
Tubular | 28-28 | 340 g | 20,900円 |
Tubular | 30-28 | 365 g | 20,900円 |
Corsa Pro Control TLR
タイプ | サイズ | 重量 | 税込価格 |
TLR | 700x26c | 295 g | 13,900円 |
TLR | 700x28c | 320 g | 13,900円 |
提供:VTJ 制作:シクロワイアード編集部