2019/09/20(金) - 14:30
発表されたばかりのRailとPowerfly、そしてAllant+やDual Sport+など、国内E-BIKEラインナップを牽引する存在となったトレック。本章ではそれらに搭載される、ボッシュのパワーユニットに着目しながら、トレックのE-BIKEラインナップを紹介していきたい。
E-BIKEラインナップの強化を推し進めるトレック。現地プレゼンテーションでもその意気込みが語られた photo:So.Isobe
E-スポーツバイク元年と呼ばれる2020年ラインナップの中でも、トレックは最もE-BIKEのラインナップ拡充に力を注いでいるブランドと言える。ブランド第一号のE-BIKEであるVerve+を筆頭に、発表されたばかりのAllant+やDual Sport+など高級シティラインが一気に拡充。さらに本格スポーツモデルの第一陣として、フルカーボンフルサスペンションモデルの「Rail(レイル)」とアルミハードテールの「Powerfly(パワーフライ)」がデビューを果たした。春先に発表されたE-MTBの国内投入決定の一報から半年。RailとPowerflyの情報解禁を待ちわびていた方も少なくないことだろう。
スポーツE-BIKEラインナップの中核に据わるRail photo:TREK
シティコミューターとして最上級の走りを叶えるAllant+ photo:TREK
スポーツバイクらしい走り味をプラスしたDual Sport+ photo:So.Isobe
トレックが掲げるグローバルスローガン「Ride bikes. Have fun. Feel good.」の中心に据わるE-BIKEたち。それらに共通するのはヨーロッパで絶大な信頼感を得るボッシュのドライブユニットを搭載していること。中でもRailとPowerfly、そしてAllant+という高級グレード3モデルは、2019年7月にモデルチェンジしたばかりのハイエンドユニット「Performance CX」を奢っていることが大きな特徴だ。
E-BIKEがノーマルバイクの売上高を上回る”ターンオーバー”を数年前に達成し、先進国ドイツでは98万台を売り上げるなど、目を見張るものがあるヨーロッパのE-BIKE事情。実際に先日閉幕したユーロバイクでは展示ブース約7割がE-BIKEであり、そのムーブメントの引き金と言われるのがボッシュのPerformance CXなのだ。
大幅な小型化とパワーアップを果たしたPerformance CX photo:So.Isobe
今夏のフルモデルチェンジで第2世代となったPerformance CX。「駆け上がる楽しみ」をモットーに開発された本製品は、現在国内市場で最も強力な最大トルク75Nmを発揮しながら、内部機構のブラッシュアップや軽量なマグネシウム材を使うことで、25%の軽量化と48%の小型化を成し遂げたことが最たる特徴だ。ユニット重量2.9kgはライバルのシマノSTEPS E8080に匹敵する軽さで、小型化に成功したことでフレーム設計の自由度も上げている。チェーンステー長やホイールベースを短くでき、反応性やハンドリング性能向上にも寄与するというメリットがあるのだ。
Performance CXは日本版、欧州版共に共通のドライブユニットで、日本版では最高時速24kmまでアシストを行う、国内法規に則ったプログラミングが施される。そしてそのどちらにも「eMTB」と呼ばれる、MTBでフィールドを走るために最適化されたアシストモードが設定されたことが大きな特徴だ。
例えばウェットコンディションや乾ききったルーズ路面など、スリッピーな路面では時として「Turbo」モードのパワーを持て余してしまう場合がある。そこで強く踏み込めばTurboに近く、弱く踏み込む際はTourモードに近いという懐の広いアシストしてくれる。
「徹底的に納得いくまで努力を重ねた自信作です」(ボッシュ・ジャパン 高橋さん) photo:So.Isobe
筆者は日本版のPerformance CXの開発にも深く携わった、ボッシュ・ジャパン テクニカルマネージャーの高橋さんに話を聞くことができた。開発に当たっては本国の開発陣とフィールドで乗り込みを重ね、アシスト量の調整など徹底的に満足いく仕上がりになるまで煮詰めていったのだという。
「開発時にこだわったのは"ダイナミックフィーリング"。絶対的には200%しか出ませんが、使いやすくてなおエキサイティングなものを作ろうと頑張りました」と高橋さん。「アクティブラインプラスと比べると反応がとにかく早く、50Nmから75Nmに最大トルクが上がったのもありすごく良い製品に仕上げることができました。その最たる例がeMTBモードで、日本仕様を作るために日本とドイツで3日間ずつ乗り込みブラッシュアップを重ねました。自信作ですね」と胸を張る。
ダウンチューブ内蔵式のバッテリーシステム「RIB」はトレックE-BIKEラインのポイントだ photo:TREK
「EMTB」はフィールドを走ることに特化したアシストモードだ photo:TREK
2.6インチのワイドタイヤがE-BIKEの走りを支える photo:TREK
ドライブユニットメーカーからトレックのE-BIKE作りをどう見るか、という質問に対しては「とにかく素晴らしい。普通の方が気づかないような部分にトレックのE-BIKEに対する理解度を感じますね」と太鼓判を押す。「例えば急坂を登る時。普通のMTBだったら勾配変化や路面の凹凸に合わせてペダリングしますが、E-MTBの場合はアシストが掛かっているので、常に後輪に荷重を掛けながら一定ペースで踏んでいく走りが求められます。だから人力のMTBと同じ設計をE-MTBに持ち込むと、非常にピーキー、もしくはダルいバイクになってしまうんです」。
「中でもRailでは2.6インチという、普通だったらXCでもファットでもない、一見中途半端なタイヤ幅を選択しているのが素晴らしいな、と思うんです。重量があって、強いトラクションを持つE-MTBにはある程度エアボリュームがあって、トレッドもダウンヒル用に近いものが良い。そうした条件のタイヤをボントレガーブランドで自社製造できるのはやはり総合ブランドの優位性でしょうね。車重に合わせた若干長めのストローク量を持つサスペンション、一定ペースで凹凸の上をペダリングできるジオメトリーなど、すごく良く考えられているなと感じます」(ボッシュ・ジャパン高橋さん)。
そんなボッシュのPerformance CXを搭載する、トレックのRailとPowerfly、そしてAllant+。Active Line Plusユニットを搭載するVerve+とDual Sportも加えれば合計5種類のEバイクラインナップがトレック2020モデルの屋台骨を支えることとなる。
トレック Rail 9.7 (c)TREK
2020モデルの目玉の一つがこのRail。FUELシリーズと同じ設計のカーボンフレームや前160/後150mmトラベルのサスペンションを備え、コアなマウンテンバイカーの走りを更に飛躍させるるトレイルバイクだ。詳細は前章を確認してほしい。
トレック Powerfly 5 (c)TREK
Railと同じくボッシュのPerformance CXを搭載するハードテールE-MTB。アルミフレームでコストを抑えつつ、パワフルなアシストとスマートな見た目のインチューブバッテリー、遊ぶフィールドを広げてくれる120mmトラベルのサスペンションを搭載する。
トレック Allant+ (c)TREK
従来好評を博してきたVerve+の上級グレードとして新規に加わったコミューターE-BIKE。Railと同じボッシュのPerformance CXを搭載し、坂道や信号が多い場所でもパワフルな走りを約束してくれる。内蔵式前後ライトやフェンダー、ラックなど完成されたパッケージも魅力。
トレック DualSport+ (c)TREK
最大250wアシストのボッシュActive Line Plusを装備する、オフロードにも対応するE-BIKE。スマートなルックスのインチューブバッテリーやフロントサスペンション、ワイドなギア比の10速ドライブトレインなど、通勤から週末アドベンチャーまで対応する。
トレック Verve+ Mens (c)TREK
2017年にトレックのE-BIKEとして初登場し、現在も大好評を博しているコミューターE-BIKE。Active Line Plusを装備し、フレーム埋め込みの前後ライトやフェンダー、スタンドなど即街乗りに支えるパッケージが魅力。2020モデルでより洗練されたデザインにマイナーチェンジしたほか、スモールサイズのスタッガード版も登場した。
E-BIKEラインナップ強化を推し進めるトレック
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E-スポーツバイク元年と呼ばれる2020年ラインナップの中でも、トレックは最もE-BIKEのラインナップ拡充に力を注いでいるブランドと言える。ブランド第一号のE-BIKEであるVerve+を筆頭に、発表されたばかりのAllant+やDual Sport+など高級シティラインが一気に拡充。さらに本格スポーツモデルの第一陣として、フルカーボンフルサスペンションモデルの「Rail(レイル)」とアルミハードテールの「Powerfly(パワーフライ)」がデビューを果たした。春先に発表されたE-MTBの国内投入決定の一報から半年。RailとPowerflyの情報解禁を待ちわびていた方も少なくないことだろう。
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トレックが掲げるグローバルスローガン「Ride bikes. Have fun. Feel good.」の中心に据わるE-BIKEたち。それらに共通するのはヨーロッパで絶大な信頼感を得るボッシュのドライブユニットを搭載していること。中でもRailとPowerfly、そしてAllant+という高級グレード3モデルは、2019年7月にモデルチェンジしたばかりのハイエンドユニット「Performance CX」を奢っていることが大きな特徴だ。
E-BIKEがノーマルバイクの売上高を上回る”ターンオーバー”を数年前に達成し、先進国ドイツでは98万台を売り上げるなど、目を見張るものがあるヨーロッパのE-BIKE事情。実際に先日閉幕したユーロバイクでは展示ブース約7割がE-BIKEであり、そのムーブメントの引き金と言われるのがボッシュのPerformance CXなのだ。
最大トルク75Nmを誇るボッシュのPerformance CXを搭載
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今夏のフルモデルチェンジで第2世代となったPerformance CX。「駆け上がる楽しみ」をモットーに開発された本製品は、現在国内市場で最も強力な最大トルク75Nmを発揮しながら、内部機構のブラッシュアップや軽量なマグネシウム材を使うことで、25%の軽量化と48%の小型化を成し遂げたことが最たる特徴だ。ユニット重量2.9kgはライバルのシマノSTEPS E8080に匹敵する軽さで、小型化に成功したことでフレーム設計の自由度も上げている。チェーンステー長やホイールベースを短くでき、反応性やハンドリング性能向上にも寄与するというメリットがあるのだ。
Performance CXは日本版、欧州版共に共通のドライブユニットで、日本版では最高時速24kmまでアシストを行う、国内法規に則ったプログラミングが施される。そしてそのどちらにも「eMTB」と呼ばれる、MTBでフィールドを走るために最適化されたアシストモードが設定されたことが大きな特徴だ。
例えばウェットコンディションや乾ききったルーズ路面など、スリッピーな路面では時として「Turbo」モードのパワーを持て余してしまう場合がある。そこで強く踏み込めばTurboに近く、弱く踏み込む際はTourモードに近いという懐の広いアシストしてくれる。
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筆者は日本版のPerformance CXの開発にも深く携わった、ボッシュ・ジャパン テクニカルマネージャーの高橋さんに話を聞くことができた。開発に当たっては本国の開発陣とフィールドで乗り込みを重ね、アシスト量の調整など徹底的に満足いく仕上がりになるまで煮詰めていったのだという。
「開発時にこだわったのは"ダイナミックフィーリング"。絶対的には200%しか出ませんが、使いやすくてなおエキサイティングなものを作ろうと頑張りました」と高橋さん。「アクティブラインプラスと比べると反応がとにかく早く、50Nmから75Nmに最大トルクが上がったのもありすごく良い製品に仕上げることができました。その最たる例がeMTBモードで、日本仕様を作るために日本とドイツで3日間ずつ乗り込みブラッシュアップを重ねました。自信作ですね」と胸を張る。
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ドライブユニットメーカーからトレックのE-BIKE作りをどう見るか、という質問に対しては「とにかく素晴らしい。普通の方が気づかないような部分にトレックのE-BIKEに対する理解度を感じますね」と太鼓判を押す。「例えば急坂を登る時。普通のMTBだったら勾配変化や路面の凹凸に合わせてペダリングしますが、E-MTBの場合はアシストが掛かっているので、常に後輪に荷重を掛けながら一定ペースで踏んでいく走りが求められます。だから人力のMTBと同じ設計をE-MTBに持ち込むと、非常にピーキー、もしくはダルいバイクになってしまうんです」。
「中でもRailでは2.6インチという、普通だったらXCでもファットでもない、一見中途半端なタイヤ幅を選択しているのが素晴らしいな、と思うんです。重量があって、強いトラクションを持つE-MTBにはある程度エアボリュームがあって、トレッドもダウンヒル用に近いものが良い。そうした条件のタイヤをボントレガーブランドで自社製造できるのはやはり総合ブランドの優位性でしょうね。車重に合わせた若干長めのストローク量を持つサスペンション、一定ペースで凹凸の上をペダリングできるジオメトリーなど、すごく良く考えられているなと感じます」(ボッシュ・ジャパン高橋さん)。
そんなボッシュのPerformance CXを搭載する、トレックのRailとPowerfly、そしてAllant+。Active Line Plusユニットを搭載するVerve+とDual Sportも加えれば合計5種類のEバイクラインナップがトレック2020モデルの屋台骨を支えることとなる。
トレック 2020E-BIKEコレクション
Rail 9.7:トレック初の本格カーボンフルサスE-MTB
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2020モデルの目玉の一つがこのRail。FUELシリーズと同じ設計のカーボンフレームや前160/後150mmトラベルのサスペンションを備え、コアなマウンテンバイカーの走りを更に飛躍させるるトレイルバイクだ。詳細は前章を確認してほしい。
フレーム | OCLV Mountain Carbon main frame |
モーター | Bosch Performance Line CX |
バッテリー | Bosch PowerTube, vertical, 500wh |
サイズ | S, M, L, XL |
税抜価格 | 790,000円 |
Powerfly 5:フィールドを広げるアルミハードテールE-MTB
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Railと同じくボッシュのPerformance CXを搭載するハードテールE-MTB。アルミフレームでコストを抑えつつ、パワフルなアシストとスマートな見た目のインチューブバッテリー、遊ぶフィールドを広げてくれる120mmトラベルのサスペンションを搭載する。
フレーム | Alpha Platinum Aluminum |
モーター | Bosch Performance Line CX |
バッテリー | Bosch PowerTube, vertical, 500wh |
サイズ | S, M, L, XL |
税抜価格 | 460,000円 |
Allant+:Performance CX搭載の快速コミューター
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従来好評を博してきたVerve+の上級グレードとして新規に加わったコミューターE-BIKE。Railと同じボッシュのPerformance CXを搭載し、坂道や信号が多い場所でもパワフルな走りを約束してくれる。内蔵式前後ライトやフェンダー、ラックなど完成されたパッケージも魅力。
フレーム | High-performance hydroformed e-bike frame |
モーター | Bosch Performance Line CX |
バッテリー | Bosch PowerTube, vertical, 500wh |
サイズ | S(スタッガードフレーム), M, L, XL |
税抜価格 | 318,000円 |
Dual Sport+:週末アドベンチャーにも対応する本格派
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最大250wアシストのボッシュActive Line Plusを装備する、オフロードにも対応するE-BIKE。スマートなルックスのインチューブバッテリーやフロントサスペンション、ワイドなギア比の10速ドライブトレインなど、通勤から週末アドベンチャーまで対応する。
フレーム | Alpha Gold Aluminum |
モーター | Bosch Active Line Plus |
バッテリー | Bosch PowerTube, vertical, 500wh |
サイズ | M, L, XL |
税抜価格 | 430,000円 |
Verve+:トレックのE-BIKE草分け的存在
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2017年にトレックのE-BIKEとして初登場し、現在も大好評を博しているコミューターE-BIKE。Active Line Plusを装備し、フレーム埋め込みの前後ライトやフェンダー、スタンドなど即街乗りに支えるパッケージが魅力。2020モデルでより洗練されたデザインにマイナーチェンジしたほか、スモールサイズのスタッガード版も登場した。
フレーム | Alpha Gold Aluminum |
モーター | Bosch Active Line Plus |
バッテリー | Bosch PowerPack 300wh |
サイズ | S(スタッガードフレーム), M, L, XL |
税抜価格 | 269,000円(2020モデル)、231,000円(2019モデル) |
提供:トレック・ジャパン text&photo:So.Isobe