2019/07/26(金) - 00:00
前後のIsoSpeedで世界を2度驚かせたトレックの「Domane」がフルモデルチェンジ。イタリアで開催されたワールドプレゼンの模様を通し、より昇華した振動吸収性やMadone譲りの空力性能、38cタイヤを飲み込むクリアランスと万能性が与えられた新世代エンデュランスロードの詳細に迫る。
トップチューブ〜ダウンチューブからシートチューブを独立させ、快適性を生み出す画期的なシステム"IsoSpeed"を引っさげた初代(2012年)、そのIsoSpeedをフロントにも搭載し世を驚かせた第2世代(2016年)から3年、第3世代(トレックの表現を使えばMK.Ⅲ)となるトレックの新型Domane(ドマーネ)が発表された。
今回のメディア発表会は、ウィスコンシンの本社で開催されていた例年と異なり、イタリアで開催されるディーラー向けショー「トレックワールド」に先駆けて開催された。Domaneはもちろん、この先順次公開されていく各種ニューバイクも一挙に同時発表されたため、世界各国からロード系/MTB系合わせて40名以上ものジャーナリストを招いた大規模なローンチイベントに。Domaneを駆った2017年のパリ〜ルーベで8位に入ったエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)、そして同女子チームのアビゲイル・ファントウィスク(イギリス)もロード班のゲストとして顔を揃えた。
フランドル地方の過酷な石畳クラシックレースを攻略するために登場し、ファビアン・カンチェラーラ(スイス)と共にその代名詞であるパリ〜ルーベ(2013年)やロンド・ファン・フラーンデレン(2013、14年)、あるいはストラーデ・ビアンケ(2012年、2016年)を制覇し、また、その類稀なる振動吸収性能から幅広い一般ライダーに愛されてきたDomane。
第3世代となる新型の開発目標は「エアロ」、「更なる快適性」、そして「バーサタイル(万能)」という3点だ。シリーズとして初めて積極的に空力を意識したフレーム設計を取り入れたため、そのルックスは2013年登場の先先代Madoneとも近い。昨年デビューした新型Madoneに採用された調整式トップチューブIsoSpeedが採用したため、前作よりも今一歩進んだ快適性を獲得。更に最大38mmという圧倒的なタイヤクリアランスを確保したことで、グラベルロードとしても使える万能性を身につけたことが大きな特徴だ。
横から見ただけ、あるいは広報用写真だけでは分かりにくいが、基本的なフォルムは先先代Madone(リアブレーキがBB下に装着されていたモデルだ)とも近い。くびれたヘッドチューブ、後端に角をつけたフロントフォークなどは昨年フルモデルチェンジを遂げたMadoneとも似通っており、先代モデルよりもレースバイク然とした佇まいだ。
整備性や汎用性を考慮してノーマルステムとハンドルを使うが、空力性能を引き上げるべくケーブルやブレーキホース類はステム下側を這わせ、ステアリングコラム後方からフレーム内部に取り込む方式を取り入れた。トレックの試験データによれば、空力的にあらゆる角度から吹き付ける風に対しても先代を下回る数値を叩き出しているという。
トレック開発陣曰く、速さに関わるもう一つの要素がワイドタイヤだ。矛盾しているように聞こえるかも知れないが、Domane標準装備の32cタイヤを低圧にして走らせることで、路面の凹凸を吸収するため、一般的なロードタイヤと比べて結果的に巡航性能が増す。
重量こそ重くなるが、時速40km/h以下であれば、荒れた路面を含むロードライドにおいて一般的なロードタイヤよりも大きなメリットがあるという。感覚的には信じられないかもしれないが、「これがエンデュランスロードの最新系」とトレック開発陣は胸を張る。なお、スムーズな路面中心で走る場合はボントレガーのR4タイヤ(28c)が推奨。空力とワイドタイヤの組み合わせによって、平均して1時間走行した場合、新型Domaneは先代に対して1分速いという結果を導き出した。
トレックファンであれば、昨年Madoneに新採用された調整式トップチューブIsoSpeedをご存知だろう。トップチューブ後ろ半分からシートポスト内部に入るL字型のシートマストを採用し、シートマストのリバウンド量を制御する小さなダンパーを組み合わせるIsoSpeedの進化版であり、当然ながらこのDomaneにもその機構が引き継がれている。
トップチューブIsoSpeedの詳細はMadone発表時の特集記事を確認して頂きたいが、スライダーを最もソフトな設定にした場合、振動吸収性は先代Domane SLRに対して27%も向上しており、スライダーを最もハードな設定にした場合でも14%の向上を叶えた。なおセカンドグレードであるDomane SLは従来と同じくシートチューブ式のIsoSpeedが継続採用された。
従来からDomaneにはOCLVカーボンに特殊なラバーコンパウンドの一種を重ねて構成する「IsoCoreハンドルバー」が採用されていたが、今回はブラケット〜上ハンドル部分にかけてバーテープ下に配置するEVAパッド「IsoZone」を導入している。調整式IsoSpeedやワイドタイヤとの相乗効果による快適性向上は計り知れず、まさに鬼に金棒というべき二重三重の振動対策が盛り込まれているのだ。
ワイドタイヤを基準としていることは先に述べた通りだが、驚くべきは、新型Domaneにはグラベルロードの標準サイズである38cまで飲み込むクリアランスが与えられたことだ。例えば内幅25mmを誇るボントレガーのグラベル用カーボンホイール「Aeolus Pro 3V TLR」に38cタイヤをセットした状態でもチェーンステーとの間隔が左右4mm以上確保され、フェンダーを取り付けた場合でも35cタイヤを取り付けることができる。
45cという圧倒的なクリアランスを誇るグラベルロードのCheckpointには及ばないものの、未舗装路ライドを楽しむには必要十分。エンデュランスロードのタイヤクリアランスは軒並み拡大傾向にあるが、これほどの余裕を持つバイクは唯一無二と言って良い。
歴代Domaneと同じくフェンダーやキャリア用のネジ穴も用意されているほか、トレック開発陣はさらなるストレージをダウンチューブ内部に作り上げた。ボトルケージマウント下側に大きな開口部を設け、ダウンチューブ内部の全てが荷物を収める空間にするシステムで、蓋の脱着はレバーを操作するだけと非常に簡単。蓋の裏側にはボントレガーのマルチツールをセットできるほか、パンク修理キットをダウンチューブ内に収納するための「BITS(Integrated Tool System)バッグ」が付属する。
どんなサドルバッグよりも圧倒的に扱いやすく、かつ荷物をフレーム下側に収納することで運動性能も向上する。サドルバッグがなくなった部分にはMadoneと共通のFlareテールライト用マウント(:サドル下のライトは自動車から最も視認されやすい)が用意される。合理的にパッケージングの完成度を追求する様はまさにトレックらしい。
Madoneのような専用内装ハンドル/ステムを採用していないことからも分かる通り、メンテナンス性を重視することが新型Domaneのテーマの一つ。それゆえボトムブラケットは長年採用してきたトレック独自のBB90ではなく、スレッド式のT47に変更したことも話題だ。
クリスキングやアルゴノートサイクルらによって共同開発されたT47は、簡単に説明すればプレスフィットBBの定番であるPF30にネジを切ったもの。PF30の弱点であるフレームとBBの締結力を高めるために生まれた規格で、トレックは2020モデルのアルミシクロクロスバイク、CrockettでT47を初採用していた。
T47にはベアリングを内装するものと外装するものの2種類があるが、トレックは内装式を選ぶことでBBシェル幅を可能な限り広げ、フレームの構造的な強化を目指した。専用工具を用意せずに済むようトレックのT47はBBシェルの両側を0.5mmずつ削り、その差は1mm以上の許容誤差を持つクランクに吸収させ、トレック以外のT47ボトムブラケットを取り付けることも可能にしている。結果としてBBシェルは89mmと1mm狭くなったが、開発者によればスレッド式によるメリットが上回っているのだという。
完成車に採用されるジオメトリーは従来のDomaneと共通で、ヘッドチューブとホイールベースが長く、BBドロップの大きい直進安定性志向のもの。
Project Oneでは、今年10月頃を目途に、プロ選手がパリ〜ルーベなどで、よりアグレッシブなポジションで乗ることを想定したH1.5フィットがオプションとして追加される。昨年のMadoneで初採用されたH1.5は従来のH1とH2の中間点をとったもので、54以上のフレームサイズで用意されるという。なお、H1.5はヘッドチューブのみの変更で、ホイールベースやBBドロップはDomaneのままだ。
先代のDomaneには「Pro Endurance」というシリアスレーサー向けフィットが存在したが、ヘッドチューブが非常に短く、一般ライダーにはややアグレッシブ過ぎるポジションだった。今回の見直しでスイートスポットのジオメトリーに変更され、より多くのユーザーをカバーすることになる。ただし、フレームサイズは54cmからということで、今後日本人に多い50cmや52cmのフレームサイズへの拡張が望まれるところだ。
Domane SLRの重量はフレーム、ダウンチューブストレージ、IsoSpeed取付金具を含めて1335g。Domane SLは同じ条件で1365g。「確かにDomaneは軽くないが、我々が目指したのは走りでの軽さと快適性。一度ペダルを踏めば、そのスムーズな走り心地に驚くはず」と開発陣の一人は語調を強める。
SLRグレードはプロジェクトワンに対応するほか、アルテグラDi2とボントレガーAeolus Pro 3 Vホイールを装備する「SLR 7」(税抜き79.2万円)が完成車パッケージとして用意される。SLはアルテグラとボントレガーParadigm Comp 25ホイールで組まれた「SL 6」(税抜き40.8万円)と、105にAffinity Discホイールで組まれた「SL 5」(税抜き31.8万円)の2種類。
従来Madone SLRに用意されていたプロジェクトワンの「ICON」カラーがDomane SLRにも適応され、現在開催中のツール・ド・フランスで選手たちが駆るのと同じスペシャルカラーも新しく加えられている。
次章ではプレゼンテーションを行ったDomane開発者のインタビューを紹介。その開発アプローチや目指したもの、選手たちの声について聞いた。
完成度を引き上げた第3世代Domaneがデビュー
トップチューブ〜ダウンチューブからシートチューブを独立させ、快適性を生み出す画期的なシステム"IsoSpeed"を引っさげた初代(2012年)、そのIsoSpeedをフロントにも搭載し世を驚かせた第2世代(2016年)から3年、第3世代(トレックの表現を使えばMK.Ⅲ)となるトレックの新型Domane(ドマーネ)が発表された。
今回のメディア発表会は、ウィスコンシンの本社で開催されていた例年と異なり、イタリアで開催されるディーラー向けショー「トレックワールド」に先駆けて開催された。Domaneはもちろん、この先順次公開されていく各種ニューバイクも一挙に同時発表されたため、世界各国からロード系/MTB系合わせて40名以上ものジャーナリストを招いた大規模なローンチイベントに。Domaneを駆った2017年のパリ〜ルーベで8位に入ったエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)、そして同女子チームのアビゲイル・ファントウィスク(イギリス)もロード班のゲストとして顔を揃えた。
フランドル地方の過酷な石畳クラシックレースを攻略するために登場し、ファビアン・カンチェラーラ(スイス)と共にその代名詞であるパリ〜ルーベ(2013年)やロンド・ファン・フラーンデレン(2013、14年)、あるいはストラーデ・ビアンケ(2012年、2016年)を制覇し、また、その類稀なる振動吸収性能から幅広い一般ライダーに愛されてきたDomane。
第3世代となる新型の開発目標は「エアロ」、「更なる快適性」、そして「バーサタイル(万能)」という3点だ。シリーズとして初めて積極的に空力を意識したフレーム設計を取り入れたため、そのルックスは2013年登場の先先代Madoneとも近い。昨年デビューした新型Madoneに採用された調整式トップチューブIsoSpeedが採用したため、前作よりも今一歩進んだ快適性を獲得。更に最大38mmという圧倒的なタイヤクリアランスを確保したことで、グラベルロードとしても使える万能性を身につけたことが大きな特徴だ。
Domane史上最速 エアロとワイドタイヤで速さを狙う
新型Domaneの実機を目の当たりにすると、特にヘッドチューブやフロントフォーク、ダウンチューブなど、特にフレーム前側がかなり空力を意識したフォルムとなっていることに気づく。横から見ただけ、あるいは広報用写真だけでは分かりにくいが、基本的なフォルムは先先代Madone(リアブレーキがBB下に装着されていたモデルだ)とも近い。くびれたヘッドチューブ、後端に角をつけたフロントフォークなどは昨年フルモデルチェンジを遂げたMadoneとも似通っており、先代モデルよりもレースバイク然とした佇まいだ。
整備性や汎用性を考慮してノーマルステムとハンドルを使うが、空力性能を引き上げるべくケーブルやブレーキホース類はステム下側を這わせ、ステアリングコラム後方からフレーム内部に取り込む方式を取り入れた。トレックの試験データによれば、空力的にあらゆる角度から吹き付ける風に対しても先代を下回る数値を叩き出しているという。
トレック開発陣曰く、速さに関わるもう一つの要素がワイドタイヤだ。矛盾しているように聞こえるかも知れないが、Domane標準装備の32cタイヤを低圧にして走らせることで、路面の凹凸を吸収するため、一般的なロードタイヤと比べて結果的に巡航性能が増す。
重量こそ重くなるが、時速40km/h以下であれば、荒れた路面を含むロードライドにおいて一般的なロードタイヤよりも大きなメリットがあるという。感覚的には信じられないかもしれないが、「これがエンデュランスロードの最新系」とトレック開発陣は胸を張る。なお、スムーズな路面中心で走る場合はボントレガーのR4タイヤ(28c)が推奨。空力とワイドタイヤの組み合わせによって、平均して1時間走行した場合、新型Domaneは先代に対して1分速いという結果を導き出した。
調整式のトップチューブIsoSpeedを搭載 より上質な乗り味を叶えるために
トレックファンであれば、昨年Madoneに新採用された調整式トップチューブIsoSpeedをご存知だろう。トップチューブ後ろ半分からシートポスト内部に入るL字型のシートマストを採用し、シートマストのリバウンド量を制御する小さなダンパーを組み合わせるIsoSpeedの進化版であり、当然ながらこのDomaneにもその機構が引き継がれている。
トップチューブIsoSpeedの詳細はMadone発表時の特集記事を確認して頂きたいが、スライダーを最もソフトな設定にした場合、振動吸収性は先代Domane SLRに対して27%も向上しており、スライダーを最もハードな設定にした場合でも14%の向上を叶えた。なおセカンドグレードであるDomane SLは従来と同じくシートチューブ式のIsoSpeedが継続採用された。
従来からDomaneにはOCLVカーボンに特殊なラバーコンパウンドの一種を重ねて構成する「IsoCoreハンドルバー」が採用されていたが、今回はブラケット〜上ハンドル部分にかけてバーテープ下に配置するEVAパッド「IsoZone」を導入している。調整式IsoSpeedやワイドタイヤとの相乗効果による快適性向上は計り知れず、まさに鬼に金棒というべき二重三重の振動対策が盛り込まれているのだ。
38cタイヤ対応 ダウンチューブ内をストレージにする新システム
ワイドタイヤを基準としていることは先に述べた通りだが、驚くべきは、新型Domaneにはグラベルロードの標準サイズである38cまで飲み込むクリアランスが与えられたことだ。例えば内幅25mmを誇るボントレガーのグラベル用カーボンホイール「Aeolus Pro 3V TLR」に38cタイヤをセットした状態でもチェーンステーとの間隔が左右4mm以上確保され、フェンダーを取り付けた場合でも35cタイヤを取り付けることができる。
45cという圧倒的なクリアランスを誇るグラベルロードのCheckpointには及ばないものの、未舗装路ライドを楽しむには必要十分。エンデュランスロードのタイヤクリアランスは軒並み拡大傾向にあるが、これほどの余裕を持つバイクは唯一無二と言って良い。
歴代Domaneと同じくフェンダーやキャリア用のネジ穴も用意されているほか、トレック開発陣はさらなるストレージをダウンチューブ内部に作り上げた。ボトルケージマウント下側に大きな開口部を設け、ダウンチューブ内部の全てが荷物を収める空間にするシステムで、蓋の脱着はレバーを操作するだけと非常に簡単。蓋の裏側にはボントレガーのマルチツールをセットできるほか、パンク修理キットをダウンチューブ内に収納するための「BITS(Integrated Tool System)バッグ」が付属する。
どんなサドルバッグよりも圧倒的に扱いやすく、かつ荷物をフレーム下側に収納することで運動性能も向上する。サドルバッグがなくなった部分にはMadoneと共通のFlareテールライト用マウント(:サドル下のライトは自動車から最も視認されやすい)が用意される。合理的にパッケージングの完成度を追求する様はまさにトレックらしい。
スレッドBB規格「T47」を採用。メンテナンス性にも配慮
Madoneのような専用内装ハンドル/ステムを採用していないことからも分かる通り、メンテナンス性を重視することが新型Domaneのテーマの一つ。それゆえボトムブラケットは長年採用してきたトレック独自のBB90ではなく、スレッド式のT47に変更したことも話題だ。
クリスキングやアルゴノートサイクルらによって共同開発されたT47は、簡単に説明すればプレスフィットBBの定番であるPF30にネジを切ったもの。PF30の弱点であるフレームとBBの締結力を高めるために生まれた規格で、トレックは2020モデルのアルミシクロクロスバイク、CrockettでT47を初採用していた。
T47にはベアリングを内装するものと外装するものの2種類があるが、トレックは内装式を選ぶことでBBシェル幅を可能な限り広げ、フレームの構造的な強化を目指した。専用工具を用意せずに済むようトレックのT47はBBシェルの両側を0.5mmずつ削り、その差は1mm以上の許容誤差を持つクランクに吸収させ、トレック以外のT47ボトムブラケットを取り付けることも可能にしている。結果としてBBシェルは89mmと1mm狭くなったが、開発者によればスレッド式によるメリットが上回っているのだという。
SLRのジオメトリーは2種類 プロジェクトワンのICONには新色追加
完成車に採用されるジオメトリーは従来のDomaneと共通で、ヘッドチューブとホイールベースが長く、BBドロップの大きい直進安定性志向のもの。
Project Oneでは、今年10月頃を目途に、プロ選手がパリ〜ルーベなどで、よりアグレッシブなポジションで乗ることを想定したH1.5フィットがオプションとして追加される。昨年のMadoneで初採用されたH1.5は従来のH1とH2の中間点をとったもので、54以上のフレームサイズで用意されるという。なお、H1.5はヘッドチューブのみの変更で、ホイールベースやBBドロップはDomaneのままだ。
先代のDomaneには「Pro Endurance」というシリアスレーサー向けフィットが存在したが、ヘッドチューブが非常に短く、一般ライダーにはややアグレッシブ過ぎるポジションだった。今回の見直しでスイートスポットのジオメトリーに変更され、より多くのユーザーをカバーすることになる。ただし、フレームサイズは54cmからということで、今後日本人に多い50cmや52cmのフレームサイズへの拡張が望まれるところだ。
Domane SLRの重量はフレーム、ダウンチューブストレージ、IsoSpeed取付金具を含めて1335g。Domane SLは同じ条件で1365g。「確かにDomaneは軽くないが、我々が目指したのは走りでの軽さと快適性。一度ペダルを踏めば、そのスムーズな走り心地に驚くはず」と開発陣の一人は語調を強める。
SLRグレードはプロジェクトワンに対応するほか、アルテグラDi2とボントレガーAeolus Pro 3 Vホイールを装備する「SLR 7」(税抜き79.2万円)が完成車パッケージとして用意される。SLはアルテグラとボントレガーParadigm Comp 25ホイールで組まれた「SL 6」(税抜き40.8万円)と、105にAffinity Discホイールで組まれた「SL 5」(税抜き31.8万円)の2種類。
従来Madone SLRに用意されていたプロジェクトワンの「ICON」カラーがDomane SLRにも適応され、現在開催中のツール・ド・フランスで選手たちが駆るのと同じスペシャルカラーも新しく加えられている。
Domane SLR完成車スペック
Domane SLR 7
フレーム | OCLV700 |
フレーム重量 | 1335g |
コンポーネント | シマノ アルテグラDi2 |
ホイール | ボントレガー Aeolus Pro 3 V |
税抜価格 | 792,000円 |
Domane SL完成車スペック
Domane SL 6
フレーム | OCLV500 |
フレーム重量 | 1365g |
コンポーネント | シマノ アルテグラ |
ホイール | ボントレガー Paradigm Comp 25 |
税抜価格 | 408,000円 |
Domane SL 5
フレーム | OCLV600 |
フレーム重量 | 1365g |
コンポーネント | シマノ 105 |
ホイール | ボントレガー Affinity Disc |
税抜価格 | 318,000円 |
次章ではプレゼンテーションを行ったDomane開発者のインタビューを紹介。その開発アプローチや目指したもの、選手たちの声について聞いた。
提供:トレック・ジャパン text&photo:So.Isobe