2019/01/07(月) - 12:49
ジャパンカップという大一番で宇都宮ブリッツェンが着用したレイザーのエントリーグレードヘルメット「Blade AF(アジアンフィット)」。あえてハイエンドを使用しなかった理由、率直なインプレッションをブリッツェンの鈴木譲と阿部嵩之に伺った。プロから見るエントリーグレードの真価とは如何に。
ここまでフラッグシップモデルを深掘りしてきたが、ここからは一転しエントリーグレードのBlade AFにフォーカスを当てる。AFとはアジアンフィットの略称であり、帽体が日本人にフィットする帽体にアレンジされているモデルを指す。レイザーではアジアンフィットモデルを積極的にラインアップしている。
また、Blade AFはレイザーのラインアップにおいて最も低価格に設定されており、ヘルメット選びについて明確な基準を持たない初心者や、少ない予算で高性能モデルを探している方が選びやすいモデルとして位置づけられている。
入門用ながら宇都宮ブリッツェンの選手は、Blade AFとZ1を個人の好みやシチュエーションによって使い分けており、2018年のジャパンカップでは出場メンバー全員がBlade AFを着用。フラッグシップのZ1を選んだロットNLユンボの選手をエントリーグレードで揃えたブリッツェンが牽引するという光景が全世界に発信されている。
UCI1クラスで存在感を放つことができるブリッツェンがあえてエントリーグレードも選択肢に含めていることからも、Blade AFには光る部分があることがわかるはずだ。シェルのデザイン、用いられるテクノロジーを掘り下げよう。
同時に計22個のベンチレーションホールも設けられており、優れた通気性を実現している。特にシェル内部は頭部の空気の流れを意識した作りとなっている。前頭部分から入った空気は頭頂部に流れていくような溝が設けられた。特に、頭頂部分のベンチレーションホールはサイズが大きく、ヘルメット内の熱はここから排出されるはずだ。
フィッティングシステムもZ1と同じくアドバンスド・ロールシスを採用。後頭部をサポートするアジャスタブルヘッドバスケットと合わせ、エントリーグレードながらレイザー特有のフィット感を実現している。重量はSサイズで225g。
具体的にはMサイズのヨーロピアンフィットの縦幅214.15mmから、アジアンフィットでは208.21mmに、横幅は168.04mmから173.83mmに調整が行われている。この帽体の形状変更により、いわゆる丸型頭にフィットする形状を実現した。
身につけるギアで最も大切なことは体にフィットしたものを身につけること。特にヘルメットの場合は、命や健康な生活を守るために必要なものであり、適切なサイズや帽体を見つける必要がある。Blade AFがエントリーグレードながらプロである宇都宮ブリッツェンの選手に選ばれる理由は、Z1に近い性能を有しつつフィット感が高いことにあるはずだ。実際に何故Blade AFを使用しているのか、優れている点はどこにあるのかを引き続き鈴木譲と阿部嵩之に語っていただいた。
鈴木:ジャパンカップはジャージが特別仕様だったということもありますし、いつもとは違うレースに挑む気持ちでヘルメットも全員で変えようという話になり、Blade AFを使用しました。
―集団をコントロールしている隊列のメンバー全員がエントリーグレードのBlade AFというのは非常に新鮮な光景でした。普段のレースではZ1がメインということですが、実際にBlade AFを使用する機会というのはありますか。
鈴木:僕はヘルメットを受け取ってからは練習で使用しています。ヨーロピアンフィットとは被った時の印象は非常に違いますよね。冬場の練習では耳あてや帽子を着用する機会が多いので、着ぶくれみたいになってしまいますが、アジアンフィットのBlade AFではフィット感良好の状態で被ることができます。
阿部:僕は欧米型の頭なので、正直言ってしまうとZ1の方を好んで使っています。とはいえ、Blade AFは悪いわけではありません。ジャパンカップ・クリテリウムで着用した時は帽体が深く作られているように感じました。それだけ守られているという感覚もありました。チームでは増田さんもそうですけど、半分くらいはアジアンフィットを好んでいますね。
鈴木:アジアンフィットはやっぱりヘルメットの内側に角がなくて、被りやすいんだよね。
阿部:僕らが使用していたのはMサイズでしたけど、お店でSサイズも試したことが実はあるんですよ。もし「来年はこれを使ってね」とSサイズを渡されたら、それはそれで良いので使おうと思いますね。
鈴木:確かに。それぐらいこのヘルメットに不満はありません。
―ジャパンカップという大一番で着用してみて、性能について感じるところはありましたか。
鈴木:僕の場合はそれほどストレスを感じなかったですね。ヨーロピアンフィットと比較するとコメカミ部分の角が取れているため、帽子ような自然な感覚で着用することができました。僕はこのヘルメット好きです。確かにレースでは重量は重要ですが、それと並んでフィット感もストレスを減らすという面では大切です。なのでレースで使用していても重量が気になるということは無かったですね。
鈴木:最初このBlade AFが渡されるという話を聞いた時は、Z1が素晴らしいヘルメットだけあり、正直どうなのかなと思っていた所もありましたが、実際に着用したら「意外に良いじゃん」という感想に変わりましたね。Z1はSサイズで、Blade AFはMサイズという大きさの違いはあるものの、しっかりとフィットしてくれる良いヘルメットです。チームのみんなも最初は値段などを見て訝しげでしたが、被ってみたらその良さに気がついたみたいですね。
阿部:通気性という面ではZ1と比べても大きな違いを感じ取ることはできませんでした。これは悪い意味ではなく、むしろBlade AFの性能が優れているということだと思います。着用時にストレスは感じませんでしたし、重さが気になることも無く、空気の抜けも良かったです。なので「なんだこのヘルメットは?」とネガティブな印象は一切ありません。
鈴木:デザインも艶ありグラデーション塗装が高級感あって良いですよね。
阿部:昔のクイックステップがレイザーを使っていた時代はこんなデザインだったかな。丁度、自転車を見始めた時期で、こんなヘルメットを被っていたイメージが強いです。当時は高くて買えなかったので、憧れのブランドでしたね。
鈴木:そうそう。僕も買えなかった。あの時のベッティーニはカッコ良かったなあ。ボーネンとかビランクとかもいて。その時期のハイエンドモデルかな?と思わせるデザインに近い。それでいて重くも無く性能もZ1に近く、1万円という値段。すごい羨ましいですね。
阿部:昔の1万円程度のヘルメットだと、後頭部部分がボテッとしたデザインに、発泡スチロールがむき出しになった作りがよくありましたけど、Blade AFに関してはそのような安っぽい感じは無いので、そこが魅力。実際にヘルメットを買うならBlade AFを選ぶかな。ユーザーも大半はアジアンフィットが合うはずですよね。重さは意外と感じにくい部分でもありますし、本当に選ぶだけの理由はありますよ。今から始める人にとっては良い選択肢になるでしょうね。
鈴木:でも自転車で40gも軽くしようとすると、かなり大きな投資になって大変。ヘルメットの場合は重心も高い位置にあるので、ヒルクライムとか一発勝負でレースを狙う人にはZ1が良いかもしれない。
阿部:なるほど軽量性を求める人はZ1を選ぶことになって、そうではない場合はBlade AFで良いわけですね。それとヘルメットに関しては、信頼できるブランドを選ぶことは大切だと伝えたいです。
鈴木:落車した時に被っていて助かったと思うんですよね。
阿部:被っていて良かったなと思うことしか無いです。被らなくて良いというのは、もうありえない。被らずに走りに行くのは怖くてできないし、それは僕の中で普通じゃない。あたり前のことになっています。ヘルメットが真っ二つに割れる落車は数少ないですけど、無いわけではない。そういう万が一があるので、確かなメーカーの物を選び、信頼性を買うということは重要かもしれません。
宇都宮ブリッツェンも使用するエントリーグレード Blade AF
ここまでフラッグシップモデルを深掘りしてきたが、ここからは一転しエントリーグレードのBlade AFにフォーカスを当てる。AFとはアジアンフィットの略称であり、帽体が日本人にフィットする帽体にアレンジされているモデルを指す。レイザーではアジアンフィットモデルを積極的にラインアップしている。
また、Blade AFはレイザーのラインアップにおいて最も低価格に設定されており、ヘルメット選びについて明確な基準を持たない初心者や、少ない予算で高性能モデルを探している方が選びやすいモデルとして位置づけられている。
入門用ながら宇都宮ブリッツェンの選手は、Blade AFとZ1を個人の好みやシチュエーションによって使い分けており、2018年のジャパンカップでは出場メンバー全員がBlade AFを着用。フラッグシップのZ1を選んだロットNLユンボの選手をエントリーグレードで揃えたブリッツェンが牽引するという光景が全世界に発信されている。
UCI1クラスで存在感を放つことができるブリッツェンがあえてエントリーグレードも選択肢に含めていることからも、Blade AFには光る部分があることがわかるはずだ。シェルのデザイン、用いられるテクノロジーを掘り下げよう。
Z1のテクノロジーを受け継ぐオールラウンドヘルメット
Blade AFはZ1のR&Dで培ったノウハウとテクノロジーを駆使して開発されたモデル。開発コンセプトはZ1を踏襲しており、非常に数が多いベンチレーションと前頭部から後頭部まで流れるようなシェルデザインをエントリーグレードに落とし込んでいる。頭頂部のブリッジや丸みを帯びた帽体はZ1のような雰囲気を演出しており、フラッグシップ同様に優れたエアロダイナミクスを期待できるだろう。同時に計22個のベンチレーションホールも設けられており、優れた通気性を実現している。特にシェル内部は頭部の空気の流れを意識した作りとなっている。前頭部分から入った空気は頭頂部に流れていくような溝が設けられた。特に、頭頂部分のベンチレーションホールはサイズが大きく、ヘルメット内の熱はここから排出されるはずだ。
フィッティングシステムもZ1と同じくアドバンスド・ロールシスを採用。後頭部をサポートするアジャスタブルヘッドバスケットと合わせ、エントリーグレードながらレイザー特有のフィット感を実現している。重量はSサイズで225g。
レイザー初、日本人の救いとなるアジアンフィットを採用
日本で扱われるBlade AFは、レイザー初のアジアンフィットモデルということも大きなトピックだ。レイザーのアジアンフィットはヨーロッパモデルと比較し、縦幅が-2.8%、横幅が+3.4%とサイズに変更が加えられている。具体的にはMサイズのヨーロピアンフィットの縦幅214.15mmから、アジアンフィットでは208.21mmに、横幅は168.04mmから173.83mmに調整が行われている。この帽体の形状変更により、いわゆる丸型頭にフィットする形状を実現した。
身につけるギアで最も大切なことは体にフィットしたものを身につけること。特にヘルメットの場合は、命や健康な生活を守るために必要なものであり、適切なサイズや帽体を見つける必要がある。Blade AFがエントリーグレードながらプロである宇都宮ブリッツェンの選手に選ばれる理由は、Z1に近い性能を有しつつフィット感が高いことにあるはずだ。実際に何故Blade AFを使用しているのか、優れている点はどこにあるのかを引き続き鈴木譲と阿部嵩之に語っていただいた。
プロ目線で見るエントリーグレードとは
―2018年のジャパンカップでは全員が揃ってBlade AFを使用されていました。Z1ではなく、あえてエントリーグレードを選んだのは何故でしょうか。鈴木:ジャパンカップはジャージが特別仕様だったということもありますし、いつもとは違うレースに挑む気持ちでヘルメットも全員で変えようという話になり、Blade AFを使用しました。
―集団をコントロールしている隊列のメンバー全員がエントリーグレードのBlade AFというのは非常に新鮮な光景でした。普段のレースではZ1がメインということですが、実際にBlade AFを使用する機会というのはありますか。
鈴木:僕はヘルメットを受け取ってからは練習で使用しています。ヨーロピアンフィットとは被った時の印象は非常に違いますよね。冬場の練習では耳あてや帽子を着用する機会が多いので、着ぶくれみたいになってしまいますが、アジアンフィットのBlade AFではフィット感良好の状態で被ることができます。
阿部:僕は欧米型の頭なので、正直言ってしまうとZ1の方を好んで使っています。とはいえ、Blade AFは悪いわけではありません。ジャパンカップ・クリテリウムで着用した時は帽体が深く作られているように感じました。それだけ守られているという感覚もありました。チームでは増田さんもそうですけど、半分くらいはアジアンフィットを好んでいますね。
鈴木:アジアンフィットはやっぱりヘルメットの内側に角がなくて、被りやすいんだよね。
阿部:僕らが使用していたのはMサイズでしたけど、お店でSサイズも試したことが実はあるんですよ。もし「来年はこれを使ってね」とSサイズを渡されたら、それはそれで良いので使おうと思いますね。
鈴木:確かに。それぐらいこのヘルメットに不満はありません。
―ジャパンカップという大一番で着用してみて、性能について感じるところはありましたか。
鈴木:僕の場合はそれほどストレスを感じなかったですね。ヨーロピアンフィットと比較するとコメカミ部分の角が取れているため、帽子ような自然な感覚で着用することができました。僕はこのヘルメット好きです。確かにレースでは重量は重要ですが、それと並んでフィット感もストレスを減らすという面では大切です。なのでレースで使用していても重量が気になるということは無かったですね。
鈴木:最初このBlade AFが渡されるという話を聞いた時は、Z1が素晴らしいヘルメットだけあり、正直どうなのかなと思っていた所もありましたが、実際に着用したら「意外に良いじゃん」という感想に変わりましたね。Z1はSサイズで、Blade AFはMサイズという大きさの違いはあるものの、しっかりとフィットしてくれる良いヘルメットです。チームのみんなも最初は値段などを見て訝しげでしたが、被ってみたらその良さに気がついたみたいですね。
阿部:通気性という面ではZ1と比べても大きな違いを感じ取ることはできませんでした。これは悪い意味ではなく、むしろBlade AFの性能が優れているということだと思います。着用時にストレスは感じませんでしたし、重さが気になることも無く、空気の抜けも良かったです。なので「なんだこのヘルメットは?」とネガティブな印象は一切ありません。
鈴木:デザインも艶ありグラデーション塗装が高級感あって良いですよね。
阿部:昔のクイックステップがレイザーを使っていた時代はこんなデザインだったかな。丁度、自転車を見始めた時期で、こんなヘルメットを被っていたイメージが強いです。当時は高くて買えなかったので、憧れのブランドでしたね。
鈴木:そうそう。僕も買えなかった。あの時のベッティーニはカッコ良かったなあ。ボーネンとかビランクとかもいて。その時期のハイエンドモデルかな?と思わせるデザインに近い。それでいて重くも無く性能もZ1に近く、1万円という値段。すごい羨ましいですね。
阿部:昔の1万円程度のヘルメットだと、後頭部部分がボテッとしたデザインに、発泡スチロールがむき出しになった作りがよくありましたけど、Blade AFに関してはそのような安っぽい感じは無いので、そこが魅力。実際にヘルメットを買うならBlade AFを選ぶかな。ユーザーも大半はアジアンフィットが合うはずですよね。重さは意外と感じにくい部分でもありますし、本当に選ぶだけの理由はありますよ。今から始める人にとっては良い選択肢になるでしょうね。
鈴木:でも自転車で40gも軽くしようとすると、かなり大きな投資になって大変。ヘルメットの場合は重心も高い位置にあるので、ヒルクライムとか一発勝負でレースを狙う人にはZ1が良いかもしれない。
阿部:なるほど軽量性を求める人はZ1を選ぶことになって、そうではない場合はBlade AFで良いわけですね。それとヘルメットに関しては、信頼できるブランドを選ぶことは大切だと伝えたいです。
鈴木:落車した時に被っていて助かったと思うんですよね。
阿部:被っていて良かったなと思うことしか無いです。被らなくて良いというのは、もうありえない。被らずに走りに行くのは怖くてできないし、それは僕の中で普通じゃない。あたり前のことになっています。ヘルメットが真っ二つに割れる落車は数少ないですけど、無いわけではない。そういう万が一があるので、確かなメーカーの物を選び、信頼性を買うということは重要かもしれません。
インプレッションライダー
阿部嵩之
6歳からクロスカントリースキーを始め20歳の時、リハビリをきっかけにロードレースを始める。積極的な走りが目に止まり、シマノレーシングチームでデビュー。1年間のJツアー、オランダ派遣を3年間経験。後にチームUKYOに移籍。再度、Jプロツアーに主戦場を移す。2014年より宇都宮ブリッツェンに在籍。鈴木譲
2007年、チームミヤタでプロデビュー。愛三工業レーシングを経て、シマノレーシングに加入。ツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・熊野、ツール・ド・北海道では総合トップ10入りを経験。2014年から宇都宮ブリッツェンに加入し、Jプロツアーで数多くの勝利を挙げる。Blade AF Z1のテクノロジーを受け継ぐエントリーグレード
サイズ | S、M、L |
重量 | 225g(Sサイズ) |
カラー | マットブラック、ホワイト、マットチタニウム、マットブルー/ブラック、レッド/ブラック、マットブラック/ピンク |
価格 | 10,000円(税抜) |
提供:シマノセールス 制作:シクロワイアード編集部