2018/10/30(火) - 16:06
カーボンと同じ設計思想をフル投入したフェルトのアルミバイク「FR30」をテストした。価格やパッケージングに惑わされがちだが、その実力はアルミロードとして超一級品。カーボンモデルと見紛うばかりの加速感に、インプレライダーたちは驚かされたのであった。
カーボン全盛期のロードバイク市場だが、ここ数年、実はひっそりと熱を帯びているのが金属フレーム、それもハイグレードのアルミモデルだ。最新テクノロジーをフル投入して生まれる昨今のアルミロードのクオリティ向上は凄まじく、カーボン台頭の影でついてしまった「安かろう」イメージを完全に覆すレベルに達している。今やフレーム重量1kgを下回るモデルも市場には存在することを読者の方々はご存知だろうか。
アルミロードの代名詞と言えるキャノンデールのCAAD12を筆頭に、トレックのEmonda ALR、スペシャライズドのALLEZ SPRINTといったマスプロメーカーのプレミアムモデル、または小規模生産のハンドメイドブランドまで、特に北米を中心としたムーブメントは今も進行中。そんなホットカテゴリーにフェルトが打ち出す一手が、アルミのFRシリーズだ。
そもそもフェルトは創業者ジム・フェルト氏がイーストン在籍中に高性能アルミチューブの開発で名を上げたことに端を発するブランドだ。それだけにアルミFRもマニアの期待を裏切らない創意工夫を多数詰め込み、かつビギナーユーザーにも買い求めやすいプライスレンジを維持していることを特徴に持つ。
アルミFRのコンセプトはカーボンモデル同様、リアセクションの路面追従性を上げて効率良い加速性能と振動吸収性を得ること。そのためシートステーとトップチューブを24〜30%細くしなやかに加工し、シートチューブを跨ぐように溶接されている。通常では破断リスクを含む工法だが、これを可能にするのは「チュービングの魔術師」と呼ばれたジム・フェルト氏のDNAを引き継ぐ同社ならではと言えるだろう。
当然開発においてはFEAによるコンピューター解析を行い、トップチューブとダウンチューブの接合箇所やヘッドチューブのテーパー角度、ダウンチューブとトップチューブのバテッド箇所、シートステーの厚み、さらにはヘッドベアリング径の変更など、全てのフレームサイズ毎にチューニング。非常にコストのかかる方法ではあるものの、実直に品質を追い求めるフェルトらしさ感じる部分だ。
アルミFRには上級モデル「FR30(税抜178,000円)」と、シマノクラリスをセットアップした弟分「FR60(税抜89,800円)」という2モデルが用意される。今回テストバイクとして用意したFR30はアルミバイクながら大口径のBB386ボトムブラケットを備える(FR60はスレッドBB)、シンプル&クリーンな日本限定カラー。サイズに合わせてヘッド径を3種類用意しているのもこのFR30のスペシャル(FR60は2種類)だ。
なおFR30は昨年から価格は据え置きながら、ブレーキをアップグレードし、待望のシマノ105フル装備になったことが特徴。前ページのFR5に引き続き、弱虫ペダルサイクリングチームの前田公平、岩崎昌雲両選手が価値あるプレミアムアルミロードを試した。
岩崎:実際の重量と走りの軽さが全然マッチしなくて驚きました。走り出す前に重量を確かめた時には「うん、まぁこんなもんだろうな」程度ですが、走ると全く重くなくて、むしろ軽いんですよ。「あれ?これレース出られるじゃん」って。特に凄いなと感じたのが加速感ですね。踏んだ時の進み方は正直カーボンのFR5と同じレベルに達していると思いますよ。
私のファーストバイクはフェルトのF85(当時のエントリーモデル)でしたが、当然ながらFR30は全ての性能が上がっています。アルミ特有の嫌な硬さも出ていないし、これは良いバイクですね。私物バイクとして欲しいな、とさえ思ってしまいました。
前田:自分のFR1で一番気に入っているハンドリングはこのFR30でもきっちりと引き継がれていますね。急な切り返しでもスムーズですし、オーバーステアもアンダーステアも無く非常に扱いやすい。アルミだけあってヘッド周りの剛性は高く、太いBBも作用してかダンシングも機敏ですね。思い通りに曲がる、あるいはコントロールできるバイクって、この価格帯ではそこまで多くないのでは?と思いますよ。
それに加えて岩崎選手が言うように加速性能も良いですね。FR5よりもフレーム自体が硬いので、特に大きな力でダンシングした時に気持ち良い。快適性を大切にしたいのであればFR5をおすすめしますが、加速感を重視するならFR30、アリだと思います。
岩崎:確かにFR5よりは硬いかもしれませんが、振動吸収性能もアルミとしてはハイレベルですよ。普通アルミロードで「うっ」となるレベルの凹凸でもスムーズにこなしてくれる。全体的に癖が無いのはFRシリーズ譲りなので、私はカーボンと遜色無くあらゆるシーンで使えると感じました。
レース距離が短いJBCFのエリートカテゴリーでは十分武器になるでしょうし、予算的に制約のある学生にとってはとてもありがたい存在。あるいはこれだけ良い走りをするので、カーボンに飽きちゃったな、という方でも満足できますよ。コンポやパーツを総とっかえしても面白そうです。
前田:自分は少し硬さを感じたので、レースに投入するなら少し柔らかめのホイールを選ぶでしょうね。デュラエースのC24だったり、ジップの202だったり。加速感ゆえにストップアンドゴーの多いクリテリウムだったらかなり良い武器になるのでは、と。
岩崎:この走りはカタログだけでは読み取れませんでした。これから試乗車が全国のショップに配置される予定と聞いているので、ぜひ一度試してほしいと思います。
FR30 カーボンモデルと同じ設計思想を取り入れた高級アルミロード
カーボン全盛期のロードバイク市場だが、ここ数年、実はひっそりと熱を帯びているのが金属フレーム、それもハイグレードのアルミモデルだ。最新テクノロジーをフル投入して生まれる昨今のアルミロードのクオリティ向上は凄まじく、カーボン台頭の影でついてしまった「安かろう」イメージを完全に覆すレベルに達している。今やフレーム重量1kgを下回るモデルも市場には存在することを読者の方々はご存知だろうか。
アルミロードの代名詞と言えるキャノンデールのCAAD12を筆頭に、トレックのEmonda ALR、スペシャライズドのALLEZ SPRINTといったマスプロメーカーのプレミアムモデル、または小規模生産のハンドメイドブランドまで、特に北米を中心としたムーブメントは今も進行中。そんなホットカテゴリーにフェルトが打ち出す一手が、アルミのFRシリーズだ。
そもそもフェルトは創業者ジム・フェルト氏がイーストン在籍中に高性能アルミチューブの開発で名を上げたことに端を発するブランドだ。それだけにアルミFRもマニアの期待を裏切らない創意工夫を多数詰め込み、かつビギナーユーザーにも買い求めやすいプライスレンジを維持していることを特徴に持つ。
アルミFRのコンセプトはカーボンモデル同様、リアセクションの路面追従性を上げて効率良い加速性能と振動吸収性を得ること。そのためシートステーとトップチューブを24〜30%細くしなやかに加工し、シートチューブを跨ぐように溶接されている。通常では破断リスクを含む工法だが、これを可能にするのは「チュービングの魔術師」と呼ばれたジム・フェルト氏のDNAを引き継ぐ同社ならではと言えるだろう。
当然開発においてはFEAによるコンピューター解析を行い、トップチューブとダウンチューブの接合箇所やヘッドチューブのテーパー角度、ダウンチューブとトップチューブのバテッド箇所、シートステーの厚み、さらにはヘッドベアリング径の変更など、全てのフレームサイズ毎にチューニング。非常にコストのかかる方法ではあるものの、実直に品質を追い求めるフェルトらしさ感じる部分だ。
アルミFRには上級モデル「FR30(税抜178,000円)」と、シマノクラリスをセットアップした弟分「FR60(税抜89,800円)」という2モデルが用意される。今回テストバイクとして用意したFR30はアルミバイクながら大口径のBB386ボトムブラケットを備える(FR60はスレッドBB)、シンプル&クリーンな日本限定カラー。サイズに合わせてヘッド径を3種類用意しているのもこのFR30のスペシャル(FR60は2種類)だ。
なおFR30は昨年から価格は据え置きながら、ブレーキをアップグレードし、待望のシマノ105フル装備になったことが特徴。前ページのFR5に引き続き、弱虫ペダルサイクリングチームの前田公平、岩崎昌雲両選手が価値あるプレミアムアルミロードを試した。
前田公平、岩崎昌雲インプレッション
岩崎:実際の重量と走りの軽さが全然マッチしなくて驚きました。走り出す前に重量を確かめた時には「うん、まぁこんなもんだろうな」程度ですが、走ると全く重くなくて、むしろ軽いんですよ。「あれ?これレース出られるじゃん」って。特に凄いなと感じたのが加速感ですね。踏んだ時の進み方は正直カーボンのFR5と同じレベルに達していると思いますよ。
私のファーストバイクはフェルトのF85(当時のエントリーモデル)でしたが、当然ながらFR30は全ての性能が上がっています。アルミ特有の嫌な硬さも出ていないし、これは良いバイクですね。私物バイクとして欲しいな、とさえ思ってしまいました。
前田:自分のFR1で一番気に入っているハンドリングはこのFR30でもきっちりと引き継がれていますね。急な切り返しでもスムーズですし、オーバーステアもアンダーステアも無く非常に扱いやすい。アルミだけあってヘッド周りの剛性は高く、太いBBも作用してかダンシングも機敏ですね。思い通りに曲がる、あるいはコントロールできるバイクって、この価格帯ではそこまで多くないのでは?と思いますよ。
それに加えて岩崎選手が言うように加速性能も良いですね。FR5よりもフレーム自体が硬いので、特に大きな力でダンシングした時に気持ち良い。快適性を大切にしたいのであればFR5をおすすめしますが、加速感を重視するならFR30、アリだと思います。
岩崎:確かにFR5よりは硬いかもしれませんが、振動吸収性能もアルミとしてはハイレベルですよ。普通アルミロードで「うっ」となるレベルの凹凸でもスムーズにこなしてくれる。全体的に癖が無いのはFRシリーズ譲りなので、私はカーボンと遜色無くあらゆるシーンで使えると感じました。
レース距離が短いJBCFのエリートカテゴリーでは十分武器になるでしょうし、予算的に制約のある学生にとってはとてもありがたい存在。あるいはこれだけ良い走りをするので、カーボンに飽きちゃったな、という方でも満足できますよ。コンポやパーツを総とっかえしても面白そうです。
前田:自分は少し硬さを感じたので、レースに投入するなら少し柔らかめのホイールを選ぶでしょうね。デュラエースのC24だったり、ジップの202だったり。加速感ゆえにストップアンドゴーの多いクリテリウムだったらかなり良い武器になるのでは、と。
岩崎:この走りはカタログだけでは読み取れませんでした。これから試乗車が全国のショップに配置される予定と聞いているので、ぜひ一度試してほしいと思います。
提供:ライトウェイプロダクツジャパン
text:So.Isobe、photo:Makoto.AYANO
text:So.Isobe、photo:Makoto.AYANO