2018/07/10(火) - 11:55
新型SYSTEMSIXを試す地は、多くのプロ選手が拠点を置くスペインはジローナ。ロードバイクに最高の環境で、アップダウンのある80kmのコースを思う存分に駆け抜ける。最速を突き詰めたエアロロードの実力を、ラボデータとともに実走インプレッションを通してお伝えしよう。
キャノンデール初のエアロロード「SYSTEMSIX」のキャッチコピーは”Faster everywhere”。その言葉が示すように、あらゆるシーンでスピードを追求したマシンに仕上がる。優れたエアロダイナミクスがもたらす速度への優位性は、キャノンデールのSUPERSIX EVOに代表される軽量バイクのメリットを大きく上回るのだという。
単純に重量のみを比較すると、SUPERSIX EVO Hi-MODがフレーム単体777g(ペイント込み、56サイズ)に対し、SYSTEMSIX Hi-MODは981g(ペイント抜き、56サイズ)と約200gほど重い数値が公表されている。剛性値はSUPERSIX EVOを基準に調整し、かつサイズごとに最適化。より身長の高いライダーほど体重が重くパワーが大きい傾向にあるため、フレームサイズが大きくなるほどヘッドチューブ剛性値を高く設定している。
またいずれのサイズにおいても理想値を上回る剛性に仕上げており、硬さに不足のないパフォーマンスを獲得している他、Hi-MODモデルとカーボングレードを落としたCarbonモデルで同一の剛性になるよう、カーボンレイアップを調整している。
反応性の高いステアリング性能を実現するため、ジオメトリーはSUPERSIX EVOを参考にレーシングな味付けに。サイズ展開がSYSTEMSIXでは変更されているため全く同じとはいかないが、共通サイズの56で比較した際、各所ほぼ同じ数値に仕上がっている。対してブレーキキャリパーがフォークエンドに移動したことでヘッドチューブとのインテグレート化が進み、ヘッドチューブ長がやや短くなったことで、スタックはSUPERSIX EVOよりも小さい値に仕上がる。
フォークオフセットもフレームサイズに合わせて45mmと55mmの2種類用意した他、専用のコックピットパーツは高さや角度の調整幅も広く、あらゆるサイズで、かつレーサーからサンデーライダーまでマッチするポジションとジオメトリーによって扱いやすい乗り味を生み出している。
その上で、空気抵抗を減らすフレームフォルムやハンドル・ステムの専用デザイン、各種インテグレートシステムとエアロ特化のホイールなど、バイク全体で空力性能を徹底的に追求することで、数値上UCI認可のあらゆるロードバイクに対しアドバンテージを持った機材に仕上がるのが今作のSYSTEMSIXである。
プレゼンテーションにてR&D担当者がエアロダイナミクスの優位性を示すのに最初に説明したのがクライミング性能だ。体重75kgのライダーがSUPERSIX EVOに乗り、300Wつまり4.0W/kgで漕いだ時の速度で比較した際、SYSTEMSIXで同じ速度で走るのに勾配0%の平坦であれば約30W低い出力で済むのだという。
そこから勾配を上げていった時に、計算上6%の登りまではエアロが有利に働き、SYSTEMSIXの方が速く走れるというのがキャノンデールの見解である。速度で言えば約20km/h以上が出る登坂であれば、オーソドックスな軽量バイクよりもSYSTEMSIXの方が速いとのこと。よりパワーウェイトレシオが高いライダーであれば7,8%の登りでもその優位性が発揮される。重量増によりエアロロードが不得手とする登坂性能を、高いエアロ効果が解決しているのだ。
もちろんグランツールの勝負は勾配10%を超える急坂で決まることも珍しくなく、そういったクリティカルなシーンを考慮してプロライダーがSUPERSIX EVOを選択することは往々にしてあるだろう。ただ、一般サイクリストのライドシーンを考えれば、この空力性能がどれほどメリットになるかは想像に難くない。
同じくSUPERSIX EVOと比較したデータで、ラスト200mを60km/hで駆け抜けるゴールスプリントのシーンにおいて、SUPERSIX EVO使用時と同等のパワー出力ではSYSTEMSIXが7.2m、4車身分前にいるほどの速度差を生み出す。そして5%の下りで60km/hのスピードを出すのにSYSTEMSIXでは約100Wも低く抑えることができるのだという。
また48km/hのレースペースで集団先頭を走った時に50W、集団内のドラフティングが効く状況で30Wのパワー節約を実現。レースの逃げペースでは1km当たり3秒の短縮が叶うと言い、例えばラスト10kmを逃げ切るようなシーンでは30秒のアドバンテージを従来型のバイクから得ることができる。加えて30km/hを目安とするトレーニングペースでは10%のパワー節約に繋がるのだとか。
これら優れたエアロダイナミクスは、スピードやタイムを競うプロライダーのためだと思われがちだが、新型SYSTEMSIXの開発意図はそこにはない。シリアスレーサーからホビーライダーまで、あらゆるレベルのサイクリストがハイスピード、そしてパワーセーブの恩恵を受けられるバイクだと言うことをキャノンデールは強調している。
ローンチ会場のテント下には各国ジャーナリストに充てがわれたSYSTEMSIXがズラリ。その中でも今回筆者が駆るのはシマノUltegra Di2組みの完成車仕様SYSTEMSIX Hi-MODだ。Dura-Ace Di2組みのトップモデルがブラックとグレーのカラーリングに対し、こちらは蛍光イエローの差し色が入る。プライベートでも1世代前のSUPERSIX EVOを愛車とする私CW編集部員・村田。身長171cmで普段のバイクは50サイズ、今回はそれに近い51サイズでテストした。
10名弱のローンチ参加者とともにキャノンデールスタッフもライドに帯同。グループを率いてペーシングしてくれたのは、地元ジローナに住むEFエデュケーションファースト・ドラパックのブレンダン・カンティ(オーストラリア)だ。すでにチームに投入されていたグリーンロゴのフレームに、ヴィジョンのハンドル・ホイールをアセンブルした自前のSYSTEMSIXを持ち込んだ。
完成車にはパワーメータークランクが標準装備とあって、手持ちのガーミンと同期させ早速走り出す。今やホビーライダーでも積極的にパワーメーターを導入するこの時代、初めから付いてきて買い足す必要がないのは嬉しいところ。加えてエアロロードにマッチするディープリムホイールも、性能はもちろん所有欲を大いに満たしてくれ、そのパッケージの魅力たるや素晴らしいの一言に尽きる。
ジローナからスタートし、比較的平坦基調の道が多い地中海方面に進む北東へ進路を切る。ジローナの街なかは石畳が引かれ、7気圧入れたタイヤではすこぶる跳ねるし振動も大きい。手の感覚で6気圧前半まで空気を抜いて走ってみるが、それでもホイールの転がり感は上々。ワイドリムによって低圧での運用を可能にしており、現地のメカニックに確認したところ5気圧以下を推奨するとのこと。
道の広い幹線道路に出ると一気にスピードは上がる。ディープリム特有のゴォーっと響く走行音が、いかにもエアロロード感があって気持ちが良い。カンティが先頭でおしゃべりをしながら軽く走っているが、トレインの速度は40km/hに迫るほど。緩いアップダウンがあるものの明らかに速度の減衰が少なく、一定ペースで足を回していれば巡航速度の維持に苦労はない。SUPERSIX EVOとは全く異なる、まさにエアロロードとしての走りがそこにはあった。
その上で驚いたのがスピードを出すための出力が際立って小さいこと。普段のライドでは35km/h前後の巡航と言うと集団内にいてもやや踏まないといけないイメージだが、今回後ろに付いている時のパワーは50~100Wほどの、いわゆる軽く流して回している程度のペダリングで十分に速度が出る。出力が小さくて済むのは楽に走れる証拠だ。
そこからパワーをかけていけばタメもなくリニアな加速を見せてくれる。基本的にフレームは硬めでリアバックやBBが踏力によって動くような挙動はなく、パワーロスなく推進力に繋がっている感覚は大きい。体重が軽いクライマー体型の筆者からすると、緩いスピードから鋭いキレのある加速をするにはその車重をものともしない大パワーのあるライダーの方がマッチしそう。
ただ一旦スピードに乗ってしまえば持ち前のエアロダイナミクスが効いてきて高速巡航はお手の物だ。速度の上げ下げよりも、一定ペースで走る気持ちよさがSYSTEMSIXの醍醐味と言えるだろう。完成車にアセンブルされるプロロゴのショートノーズサドル「ディメンション」もその走り方を助長するもので、心憎いパーツチョイスではないだろうか。
その中でSUPERSIX EVOにも通づる素直でナチュラルな操舵感や乗り心地、エアロロードながらクセのない挙動などはキャノンデールらしさが押し出た味付けだと感じた。ブランドの処女作ながら、一昔前のエアロロードのようにひたすら縦に硬く横に振りづらいいわゆる”立ち”の強いバイクではなく、オールラウンドバイクにも近い現代的な乗り味をすでに実現している。
もちろんディスクブレーキの制動力に負けるようなフレームの弱さは微塵もない。スルスルと勝手にスピードが伸びていく下りもディスクブレーキの当て効きは速度の調整もしやすく、かつ高速でコーナーに進入してもスルーアクスルのカッチリとしたエンド剛性によって思った通りのラインをトレースしやすい。ハイスピードマシンであるエアロロードとディスクブレーキの相性は抜群に良いのだ。
勾配がきつくなって速度が落ちてからの加速はさすがに軽量バイクには劣る。またエアロフォルムのフレーム+ディープリムホイールとあって、がむしゃらにダンシングしたり斜めから踏み込んだりすると推進力が損なわれる印象だ。エアロロードらしく縦方向にキレイに回していくペダリングを心がけると、バイクの性能を十分に引き出せるだろう。
専用ハンドルやホイールを含めた全体のパッケージがすべてエアロのためのものであり、快適性という点に置いては二の次感は否めないが、そもそもそこはこのバイクが狙うところではないだろう。圧倒的なエアロダイナミクス、ハイスピードへのいざない、どこでも速く走れるという単純明快な性能こそSYSTEMSIXの答えなのだと感じた。全てのサイクリストが一度は思う”ロードバイクで速く駆けたい”を叶える走りがここにはある。
ラボデータから解き明かす新型SYSTEMSIX
SUPERSIX EVOを基準にしたフレーム設計、重量・剛性・ジオメトリーに着目
キャノンデール初のエアロロード「SYSTEMSIX」のキャッチコピーは”Faster everywhere”。その言葉が示すように、あらゆるシーンでスピードを追求したマシンに仕上がる。優れたエアロダイナミクスがもたらす速度への優位性は、キャノンデールのSUPERSIX EVOに代表される軽量バイクのメリットを大きく上回るのだという。
単純に重量のみを比較すると、SUPERSIX EVO Hi-MODがフレーム単体777g(ペイント込み、56サイズ)に対し、SYSTEMSIX Hi-MODは981g(ペイント抜き、56サイズ)と約200gほど重い数値が公表されている。剛性値はSUPERSIX EVOを基準に調整し、かつサイズごとに最適化。より身長の高いライダーほど体重が重くパワーが大きい傾向にあるため、フレームサイズが大きくなるほどヘッドチューブ剛性値を高く設定している。
またいずれのサイズにおいても理想値を上回る剛性に仕上げており、硬さに不足のないパフォーマンスを獲得している他、Hi-MODモデルとカーボングレードを落としたCarbonモデルで同一の剛性になるよう、カーボンレイアップを調整している。
反応性の高いステアリング性能を実現するため、ジオメトリーはSUPERSIX EVOを参考にレーシングな味付けに。サイズ展開がSYSTEMSIXでは変更されているため全く同じとはいかないが、共通サイズの56で比較した際、各所ほぼ同じ数値に仕上がっている。対してブレーキキャリパーがフォークエンドに移動したことでヘッドチューブとのインテグレート化が進み、ヘッドチューブ長がやや短くなったことで、スタックはSUPERSIX EVOよりも小さい値に仕上がる。
フォークオフセットもフレームサイズに合わせて45mmと55mmの2種類用意した他、専用のコックピットパーツは高さや角度の調整幅も広く、あらゆるサイズで、かつレーサーからサンデーライダーまでマッチするポジションとジオメトリーによって扱いやすい乗り味を生み出している。
その上で、空気抵抗を減らすフレームフォルムやハンドル・ステムの専用デザイン、各種インテグレートシステムとエアロ特化のホイールなど、バイク全体で空力性能を徹底的に追求することで、数値上UCI認可のあらゆるロードバイクに対しアドバンテージを持った機材に仕上がるのが今作のSYSTEMSIXである。
あらゆるシーンで最速 実験データが示すライドパフォーマンス
プレゼンテーションにてR&D担当者がエアロダイナミクスの優位性を示すのに最初に説明したのがクライミング性能だ。体重75kgのライダーがSUPERSIX EVOに乗り、300Wつまり4.0W/kgで漕いだ時の速度で比較した際、SYSTEMSIXで同じ速度で走るのに勾配0%の平坦であれば約30W低い出力で済むのだという。
そこから勾配を上げていった時に、計算上6%の登りまではエアロが有利に働き、SYSTEMSIXの方が速く走れるというのがキャノンデールの見解である。速度で言えば約20km/h以上が出る登坂であれば、オーソドックスな軽量バイクよりもSYSTEMSIXの方が速いとのこと。よりパワーウェイトレシオが高いライダーであれば7,8%の登りでもその優位性が発揮される。重量増によりエアロロードが不得手とする登坂性能を、高いエアロ効果が解決しているのだ。
もちろんグランツールの勝負は勾配10%を超える急坂で決まることも珍しくなく、そういったクリティカルなシーンを考慮してプロライダーがSUPERSIX EVOを選択することは往々にしてあるだろう。ただ、一般サイクリストのライドシーンを考えれば、この空力性能がどれほどメリットになるかは想像に難くない。
同じくSUPERSIX EVOと比較したデータで、ラスト200mを60km/hで駆け抜けるゴールスプリントのシーンにおいて、SUPERSIX EVO使用時と同等のパワー出力ではSYSTEMSIXが7.2m、4車身分前にいるほどの速度差を生み出す。そして5%の下りで60km/hのスピードを出すのにSYSTEMSIXでは約100Wも低く抑えることができるのだという。
また48km/hのレースペースで集団先頭を走った時に50W、集団内のドラフティングが効く状況で30Wのパワー節約を実現。レースの逃げペースでは1km当たり3秒の短縮が叶うと言い、例えばラスト10kmを逃げ切るようなシーンでは30秒のアドバンテージを従来型のバイクから得ることができる。加えて30km/hを目安とするトレーニングペースでは10%のパワー節約に繋がるのだとか。
これら優れたエアロダイナミクスは、スピードやタイムを競うプロライダーのためだと思われがちだが、新型SYSTEMSIXの開発意図はそこにはない。シリアスレーサーからホビーライダーまで、あらゆるレベルのサイクリストがハイスピード、そしてパワーセーブの恩恵を受けられるバイクだと言うことをキャノンデールは強調している。
流れるようなライドフィール SYSTEMSIXインプレッション
ローンチ会場のテント下には各国ジャーナリストに充てがわれたSYSTEMSIXがズラリ。その中でも今回筆者が駆るのはシマノUltegra Di2組みの完成車仕様SYSTEMSIX Hi-MODだ。Dura-Ace Di2組みのトップモデルがブラックとグレーのカラーリングに対し、こちらは蛍光イエローの差し色が入る。プライベートでも1世代前のSUPERSIX EVOを愛車とする私CW編集部員・村田。身長171cmで普段のバイクは50サイズ、今回はそれに近い51サイズでテストした。
10名弱のローンチ参加者とともにキャノンデールスタッフもライドに帯同。グループを率いてペーシングしてくれたのは、地元ジローナに住むEFエデュケーションファースト・ドラパックのブレンダン・カンティ(オーストラリア)だ。すでにチームに投入されていたグリーンロゴのフレームに、ヴィジョンのハンドル・ホイールをアセンブルした自前のSYSTEMSIXを持ち込んだ。
完成車にはパワーメータークランクが標準装備とあって、手持ちのガーミンと同期させ早速走り出す。今やホビーライダーでも積極的にパワーメーターを導入するこの時代、初めから付いてきて買い足す必要がないのは嬉しいところ。加えてエアロロードにマッチするディープリムホイールも、性能はもちろん所有欲を大いに満たしてくれ、そのパッケージの魅力たるや素晴らしいの一言に尽きる。
ジローナからスタートし、比較的平坦基調の道が多い地中海方面に進む北東へ進路を切る。ジローナの街なかは石畳が引かれ、7気圧入れたタイヤではすこぶる跳ねるし振動も大きい。手の感覚で6気圧前半まで空気を抜いて走ってみるが、それでもホイールの転がり感は上々。ワイドリムによって低圧での運用を可能にしており、現地のメカニックに確認したところ5気圧以下を推奨するとのこと。
道の広い幹線道路に出ると一気にスピードは上がる。ディープリム特有のゴォーっと響く走行音が、いかにもエアロロード感があって気持ちが良い。カンティが先頭でおしゃべりをしながら軽く走っているが、トレインの速度は40km/hに迫るほど。緩いアップダウンがあるものの明らかに速度の減衰が少なく、一定ペースで足を回していれば巡航速度の維持に苦労はない。SUPERSIX EVOとは全く異なる、まさにエアロロードとしての走りがそこにはあった。
その上で驚いたのがスピードを出すための出力が際立って小さいこと。普段のライドでは35km/h前後の巡航と言うと集団内にいてもやや踏まないといけないイメージだが、今回後ろに付いている時のパワーは50~100Wほどの、いわゆる軽く流して回している程度のペダリングで十分に速度が出る。出力が小さくて済むのは楽に走れる証拠だ。
そこからパワーをかけていけばタメもなくリニアな加速を見せてくれる。基本的にフレームは硬めでリアバックやBBが踏力によって動くような挙動はなく、パワーロスなく推進力に繋がっている感覚は大きい。体重が軽いクライマー体型の筆者からすると、緩いスピードから鋭いキレのある加速をするにはその車重をものともしない大パワーのあるライダーの方がマッチしそう。
ただ一旦スピードに乗ってしまえば持ち前のエアロダイナミクスが効いてきて高速巡航はお手の物だ。速度の上げ下げよりも、一定ペースで走る気持ちよさがSYSTEMSIXの醍醐味と言えるだろう。完成車にアセンブルされるプロロゴのショートノーズサドル「ディメンション」もその走り方を助長するもので、心憎いパーツチョイスではないだろうか。
その中でSUPERSIX EVOにも通づる素直でナチュラルな操舵感や乗り心地、エアロロードながらクセのない挙動などはキャノンデールらしさが押し出た味付けだと感じた。ブランドの処女作ながら、一昔前のエアロロードのようにひたすら縦に硬く横に振りづらいいわゆる”立ち”の強いバイクではなく、オールラウンドバイクにも近い現代的な乗り味をすでに実現している。
もちろんディスクブレーキの制動力に負けるようなフレームの弱さは微塵もない。スルスルと勝手にスピードが伸びていく下りもディスクブレーキの当て効きは速度の調整もしやすく、かつ高速でコーナーに進入してもスルーアクスルのカッチリとしたエンド剛性によって思った通りのラインをトレースしやすい。ハイスピードマシンであるエアロロードとディスクブレーキの相性は抜群に良いのだ。
勾配がきつくなって速度が落ちてからの加速はさすがに軽量バイクには劣る。またエアロフォルムのフレーム+ディープリムホイールとあって、がむしゃらにダンシングしたり斜めから踏み込んだりすると推進力が損なわれる印象だ。エアロロードらしく縦方向にキレイに回していくペダリングを心がけると、バイクの性能を十分に引き出せるだろう。
専用ハンドルやホイールを含めた全体のパッケージがすべてエアロのためのものであり、快適性という点に置いては二の次感は否めないが、そもそもそこはこのバイクが狙うところではないだろう。圧倒的なエアロダイナミクス、ハイスピードへのいざない、どこでも速く走れるという単純明快な性能こそSYSTEMSIXの答えなのだと感じた。全てのサイクリストが一度は思う”ロードバイクで速く駆けたい”を叶える走りがここにはある。
提供:キャノンデール・ジャパン 制作:シクロワイアード編集部