2017/05/23(火) - 14:15
アソス2017年春・夏モデルの新作では、ジャージのラインナップが充実したことが大きなトピックだ。この中から特にレギュラーフィットのロングライド向けモデル・SS.チェントジャージ_evo8とエントリーレベルのレーシングモデル・SS.エキップジャージ_evo8にスポットを当て、インプレッションを行う。
フロントパネルには2種類の異なる素材を使っており、iJ.ファルケンツァーンベストのように胸の下あたりで切り替えられている。胸部にはSS.ラリートレッキングジャージに採用されたしなやかなギャザー構造の高耐久素材を採用。横方向には伸びやすく、縦方向には伸びにくい独自の素材となっており、ライディング時に体の動きが安定する働きをもたらしてくれる。
また、腹部には全方向に伸縮する別素材を使用。どの方向にも生地が伸縮することで、着用時のストレスを軽減し、フィット感の向上と呼吸のしやすさを追求している。
カッティングもこのモデル専用に開発され、優れた着心地を実現。首まわりはワンピース構造、袖口は切りっぱなしとすることで縫い目を減らして肌触りをよくし、快適な着心地を実現。また、お腹まわりもふくよかな体型の人でも快適に着られるように考慮され、アップライトなフォームでの乗ってもお腹が出にくくなっている。
背面のメインファブリックは、カンピオニッシモジャージにも採用されるTYPE.220。極薄でさらっとした肌触りで、通気性に優れ、汗を効果的に発散させる。一方で、縦方向の伸縮を抑え、ポケットに荷物を入れた際にジャージが伸びるのを防ぐ。
バックポケットにはやや厚みのある新素材が使われ、重い荷物を収納しても十分に耐えられる強度と伸縮性兼ね備えている。パンチングメッシュ加工を施ことで蒸れ対策も万全。ジャケットやウォーマー類など荷物が多くなりがちなロングライドを想定し、バックポケットは従来のものより深さを増ている。これにより、十分な容量を確保しながら、重い荷物を入れたときにジャージが引っ張られるのを防いでいる。さらに走りながらアクセスすることが多い左右のポケットも十分な容量を実現している。
このほか、背面には大型のリフレクターを設けるなど、後続車からの視認性を高める対策もなされている。長時間走ることの多いロングライドや普段使いも安心だ。
フィット感についてはゆったりめで、胸回りやお腹周りは、レーシングフィットのモデルと比べると少し余裕がある。また、伸縮性の高い素材を使っているので、ふくよかな体型の人でも適度なフィット感を得られそうだ。一方、わきから腕にかけては比較的フィット感が高い。これまでのジャージより袖が数センチ長いのとも相まって、とりわけ上腕部はかなり密着感がある。とはいえ、こちらも伸縮性の高い生地が採用されているので、圧迫感なく快適に着られるだろう。
サイズ感に関しては、よほど上半身ががっしりしたタイプでなければ、通常のアソスのサイズよりワンサイズ小さいものを選ぶほうがいいように思う。自分はアソスのジャージはSサイズを着ることが多いのだが、Sサイズでは胸回りやお腹周りが若干大きいからか、乗車姿勢を取ったときにジッパーの回りが体にフィットしなかった。もちろんサイズ選びの際は、アソスのウェアに造詣の深いスタッフがいるお店で試着の上で選ぶのが理想だ。
実際にチェントジャージを着て走った印象では、長時間着続けたときのストレスがかなり少ないと感じた。特に縫い目が当たってチクチクするようなストレスとは皆無だった。首回りが胸のパネルと一体になっていたり、袖口がレーザーカットになってたりと、縫い目を減らす工夫がされているため、非常に肌あたりがよい。長めの袖も、日焼けによる疲労低減効果を期待できそうだ。
通気性も良好だ。背面にはカンピオニッシモジャージに使われる通気性の高い素材が使われており、アンダーウェアが吸い上げた汗をうまく気化し、からっとした着心地が比較的長く持続するのは印象的だった。バックポケットにもパンチ加工が施されていて、背中に荷物を満載しなければさらに通気性が高まる。今回は吸水性に優れるアソスのアンダーウェア・スキンフォイルのサマーと組み合わせたが、アンダーウェアは、吸水性の高いものと組み合わせるのが良さそうだ。
個人的に感心したのはポケットの使いやすさ。左右と中央の計3つあり、中央のポケットがやや幅広になっているが、いずれも深め。カバー付きの5.2インチディスプレイのスマートフォンが余裕を持って収まるほか、かさばるレインジャケットやアーマー類を収納する十分な容量がある。さらにカギやコインケースは左ポケットの外側に独立して設けられたジップ付きのスペースに入れられるため安心だ。
用途としてはやはりロングライドがふさわしいが、長距離のトレーニングライドにも良さそうだ。そういう意味では後述のSS.エキップジャージともかぶる部分があるが、チェントはより快適志向・ロングライドで荷物が多くなるケースを想定しているため、トレーニングに重きを置くか、ロングライドに重きを置くかによって選ぶのがよいと思う。
メインファブリックには、非常に伸縮性が高く、優れた着心地とをもたらす新素材TYPE176を採用。肌と触れる表面積を増やす立体的なハニカム構造のメッシュ地となっており、効率的に汗を吸収し走行風による速乾性を高めている。また、ボディーラインにぴったりとフィットする3D構造や、クロノスーツと同様の裾まで一体となったVシェイプデザイン、縫い目を無くした折り返しの接着構造の裾など、細部までエアロ効果を高めるデザインとなっている。
背面には、SSカンピオニッシモジャージと同じ薄くて通気性に優れた素材を配置。スキンフォイルが吸い上げた汗を効果的に発散させる。この素材は縦方向にはあまり伸縮せず、ポケットに荷物を入れた際にジャージが伸びるのを防ぐ。バックポケットは大きく深めだ。
一方、ウエスト部分には伸縮性の高い別素材を配置し、フィット感を向上。生地のだぶつきをなくしてエアロ効果を高めながら、快適な着心地も両立している。
デザインにも新鮮みがある。目を引くのは袖のアシンメトリックなデザインだ。右袖はフロントパネルと同じ色、左袖は素材は同じながらアソスロゴのモノグラムをモノクロで配し、かなり個性的なデザインになっている。フロントは首まで1枚のパネルでできており、イエローやレッドのカラーモデルではどーんと前面にカラーが押し出されて大胆なイメージだ。
フィットはレーシングフィットとなっており、適度なタイト感がある。アソスのジャージを選ぶ際のいつものサイズを選べばいいだろう。ちょっとふくよかな体型の場合は、ワンサイズ上げてこのジャージを着るよりは、レギュラーフィットのSS.チェントジャージを選ぶ方がよいと思う。
前面パネルや袖に使われているメインファブリックはTYPE176という素材。よく見ると小さな多角形のクレーターがたくさん集まったような立体的な生地で、クレーターの縁の部分が周囲よりやや高くなっている。これは生地全体の表面積を増やし、吸水性と速乾性を高めるためのもの。クレーターの縁の部分だけがインナーに触れ、内側はインナーに接触しないようにすることで、インナーに触れた部分で吸水し、触れない部分は通気性を確保できるのだという。
この生地の吸水性と通気性の高さは、長時間ハードに走っても感じられる。インプレ時はスキンフォイル・サマーと組み合わせて走ったが、汗をかいても走っているうちに短時間に気化してしまうので、ウェアが汗で重くなりにくかった。ドライな着心地が長時間持続するのも印象的だった。
一方、少し涼しい日、特に曇っている日の木陰、峠の下りなどでは肌寒く感じてしまうこともあった。ウインドブレーカーやベストでマメに温度調整することが他のジャージ以上に大切かもしれない。
バックポケットは大きなスマホが十分収まるレベルの十分な深さがある。ポケットの生地そのものに伸縮性があり、目立たないがマチも設けられているので、かさばるレインジャケットも十分収納できる容量もある。ジッパーつきの収納スペースはないが、普通に使う分にはカギや貴重品を落としてしまう不安は感じなかった。
用途としては、レース志向が強いサイクリストが春から秋口にかけて日ごろの練習で使うのに向いている。特に高強度で走ることが多い人にはおすすめだ。
上位モデルの技術を継承したロングライド向けモデル、SS.チェントジャージ
SS.チェントジャージ_evo8は、主に長距離ライドでの快適性を重視して作られたモデル。レギュラーフィットを採用し、ややリラックスした着心地になっているのが特徴だ。フロントパネルには2種類の異なる素材を使っており、iJ.ファルケンツァーンベストのように胸の下あたりで切り替えられている。胸部にはSS.ラリートレッキングジャージに採用されたしなやかなギャザー構造の高耐久素材を採用。横方向には伸びやすく、縦方向には伸びにくい独自の素材となっており、ライディング時に体の動きが安定する働きをもたらしてくれる。
また、腹部には全方向に伸縮する別素材を使用。どの方向にも生地が伸縮することで、着用時のストレスを軽減し、フィット感の向上と呼吸のしやすさを追求している。
カッティングもこのモデル専用に開発され、優れた着心地を実現。首まわりはワンピース構造、袖口は切りっぱなしとすることで縫い目を減らして肌触りをよくし、快適な着心地を実現。また、お腹まわりもふくよかな体型の人でも快適に着られるように考慮され、アップライトなフォームでの乗ってもお腹が出にくくなっている。
背面のメインファブリックは、カンピオニッシモジャージにも採用されるTYPE.220。極薄でさらっとした肌触りで、通気性に優れ、汗を効果的に発散させる。一方で、縦方向の伸縮を抑え、ポケットに荷物を入れた際にジャージが伸びるのを防ぐ。
バックポケットにはやや厚みのある新素材が使われ、重い荷物を収納しても十分に耐えられる強度と伸縮性兼ね備えている。パンチングメッシュ加工を施ことで蒸れ対策も万全。ジャケットやウォーマー類など荷物が多くなりがちなロングライドを想定し、バックポケットは従来のものより深さを増ている。これにより、十分な容量を確保しながら、重い荷物を入れたときにジャージが引っ張られるのを防いでいる。さらに走りながらアクセスすることが多い左右のポケットも十分な容量を実現している。
このほか、背面には大型のリフレクターを設けるなど、後続車からの視認性を高める対策もなされている。長時間走ることの多いロングライドや普段使いも安心だ。
インプレッション
長時間快適に着続けられるチェントジャージ
アソスのチェントシリーズといえば、ややゆったりめのレギュラーフィットを採用したロングライド向けのシリーズ。袖を通した第一印象では「縫い目が少なく、肌あたりがいい」と感じたが、これも長時間着続けることを想定したものだろう。フィット感についてはゆったりめで、胸回りやお腹周りは、レーシングフィットのモデルと比べると少し余裕がある。また、伸縮性の高い素材を使っているので、ふくよかな体型の人でも適度なフィット感を得られそうだ。一方、わきから腕にかけては比較的フィット感が高い。これまでのジャージより袖が数センチ長いのとも相まって、とりわけ上腕部はかなり密着感がある。とはいえ、こちらも伸縮性の高い生地が採用されているので、圧迫感なく快適に着られるだろう。
サイズ感に関しては、よほど上半身ががっしりしたタイプでなければ、通常のアソスのサイズよりワンサイズ小さいものを選ぶほうがいいように思う。自分はアソスのジャージはSサイズを着ることが多いのだが、Sサイズでは胸回りやお腹周りが若干大きいからか、乗車姿勢を取ったときにジッパーの回りが体にフィットしなかった。もちろんサイズ選びの際は、アソスのウェアに造詣の深いスタッフがいるお店で試着の上で選ぶのが理想だ。
実際にチェントジャージを着て走った印象では、長時間着続けたときのストレスがかなり少ないと感じた。特に縫い目が当たってチクチクするようなストレスとは皆無だった。首回りが胸のパネルと一体になっていたり、袖口がレーザーカットになってたりと、縫い目を減らす工夫がされているため、非常に肌あたりがよい。長めの袖も、日焼けによる疲労低減効果を期待できそうだ。
通気性も良好だ。背面にはカンピオニッシモジャージに使われる通気性の高い素材が使われており、アンダーウェアが吸い上げた汗をうまく気化し、からっとした着心地が比較的長く持続するのは印象的だった。バックポケットにもパンチ加工が施されていて、背中に荷物を満載しなければさらに通気性が高まる。今回は吸水性に優れるアソスのアンダーウェア・スキンフォイルのサマーと組み合わせたが、アンダーウェアは、吸水性の高いものと組み合わせるのが良さそうだ。
個人的に感心したのはポケットの使いやすさ。左右と中央の計3つあり、中央のポケットがやや幅広になっているが、いずれも深め。カバー付きの5.2インチディスプレイのスマートフォンが余裕を持って収まるほか、かさばるレインジャケットやアーマー類を収納する十分な容量がある。さらにカギやコインケースは左ポケットの外側に独立して設けられたジップ付きのスペースに入れられるため安心だ。
用途としてはやはりロングライドがふさわしいが、長距離のトレーニングライドにも良さそうだ。そういう意味では後述のSS.エキップジャージともかぶる部分があるが、チェントはより快適志向・ロングライドで荷物が多くなるケースを想定しているため、トレーニングに重きを置くか、ロングライドに重きを置くかによって選ぶのがよいと思う。
BMCチームジャージのベースモデル、SS.エキップジャージ
SS.エキップジャージ_evo8は、最上級のレーシングモデル・SSカンピオニッシモジャージのノウハウをデイリーユースに対応させたエントリーグレードモデル。アソスが今季からサポートを行うBMCレーシングのウェアのベースとなっていることからもうかがえるように、全体的にタイトなレーシングフィットを採用する。デザイン面では、ASSOSロゴのモノグラムを左袖に配した新デザインを採用している点も目を引く。メインファブリックには、非常に伸縮性が高く、優れた着心地とをもたらす新素材TYPE176を採用。肌と触れる表面積を増やす立体的なハニカム構造のメッシュ地となっており、効率的に汗を吸収し走行風による速乾性を高めている。また、ボディーラインにぴったりとフィットする3D構造や、クロノスーツと同様の裾まで一体となったVシェイプデザイン、縫い目を無くした折り返しの接着構造の裾など、細部までエアロ効果を高めるデザインとなっている。
背面には、SSカンピオニッシモジャージと同じ薄くて通気性に優れた素材を配置。スキンフォイルが吸い上げた汗を効果的に発散させる。この素材は縦方向にはあまり伸縮せず、ポケットに荷物を入れた際にジャージが伸びるのを防ぐ。バックポケットは大きく深めだ。
一方、ウエスト部分には伸縮性の高い別素材を配置し、フィット感を向上。生地のだぶつきをなくしてエアロ効果を高めながら、快適な着心地も両立している。
インプレッション
タイトフィットが心地いい、毎日使えるレーシングモデル
続いてSS.エキップジャージ_evo8。レーシングジャージのエントリーモデルという位置づけで、持った瞬間に薄さと軽さを感じる。レーシングジャージのハイエンド・カンピオニッシモジャージも相当軽量だったが、エキップジャージには前面パネルの裏にスキンフォイルの生地が縫い合わされていないため、ジャージ単体なら明らかにエキップの方が軽いし、スキンフォイル・サマーのノースリーブと組み合わせても十分軽い。デザインにも新鮮みがある。目を引くのは袖のアシンメトリックなデザインだ。右袖はフロントパネルと同じ色、左袖は素材は同じながらアソスロゴのモノグラムをモノクロで配し、かなり個性的なデザインになっている。フロントは首まで1枚のパネルでできており、イエローやレッドのカラーモデルではどーんと前面にカラーが押し出されて大胆なイメージだ。
フィットはレーシングフィットとなっており、適度なタイト感がある。アソスのジャージを選ぶ際のいつものサイズを選べばいいだろう。ちょっとふくよかな体型の場合は、ワンサイズ上げてこのジャージを着るよりは、レギュラーフィットのSS.チェントジャージを選ぶ方がよいと思う。
前面パネルや袖に使われているメインファブリックはTYPE176という素材。よく見ると小さな多角形のクレーターがたくさん集まったような立体的な生地で、クレーターの縁の部分が周囲よりやや高くなっている。これは生地全体の表面積を増やし、吸水性と速乾性を高めるためのもの。クレーターの縁の部分だけがインナーに触れ、内側はインナーに接触しないようにすることで、インナーに触れた部分で吸水し、触れない部分は通気性を確保できるのだという。
この生地の吸水性と通気性の高さは、長時間ハードに走っても感じられる。インプレ時はスキンフォイル・サマーと組み合わせて走ったが、汗をかいても走っているうちに短時間に気化してしまうので、ウェアが汗で重くなりにくかった。ドライな着心地が長時間持続するのも印象的だった。
一方、少し涼しい日、特に曇っている日の木陰、峠の下りなどでは肌寒く感じてしまうこともあった。ウインドブレーカーやベストでマメに温度調整することが他のジャージ以上に大切かもしれない。
バックポケットは大きなスマホが十分収まるレベルの十分な深さがある。ポケットの生地そのものに伸縮性があり、目立たないがマチも設けられているので、かさばるレインジャケットも十分収納できる容量もある。ジッパーつきの収納スペースはないが、普通に使う分にはカギや貴重品を落としてしまう不安は感じなかった。
用途としては、レース志向が強いサイクリストが春から秋口にかけて日ごろの練習で使うのに向いている。特に高強度で走ることが多い人にはおすすめだ。
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