2017/04/07(金) - 17:54
UCIワールドツアー初戦サントス・ツアー・ダウンアンダーの開催地アデレードで、世界中から集まった報道陣を前にS-PHYRE(エスファイア)が発表された。
シマノがリリースしたS-PHYRE(エスファイア)。すでにリリースされているシューズは実際にプロ選手たちが使用し、勝利を挙げていることで注目を集めていたが、今回はレーシングジャージやビブショーツ、グローブなどアパレル類までを含めたトータルなラインアップとして発表されたのだ。
S-PHYREの製品開発において最も重要視されたのが「チームと一緒に協力して良いものを作るというポリシー」だった。「選手たちと密接に話し合いながら製品開発を行なった」と語るのは、シマノヨーロッパのスポーツマーケティングマネージャーで、S-PHYRE開発にあたってプロ選手のフィードバックを開発陣に伝達する役割を担ったバス・スタムスナイデル氏。なお、スタムスナイデル氏の父親ヘニーは元シクロクロス世界王者で、兄トムはチームサンウェブで走る現役選手。
「シマノヨーロッパの拠点がオランダにあることもあり、チームロットNLユンボとの連携は抜群でした。スポンサーとチームという関係ではなく、もはや家族のような関係を築くことができています。つまり、ただ単に選手に製品を渡して使ってもらうのではなく、選手を巻き込んだ一体となっての製品開発。実際に選手たちの要望が数多く製品に反映されています」と、スタムスナイデル氏は開発の流れを説明する。
「より具体的に言うと、選手たちから上がってきたフィードバックを開発陣に伝え、彼らがすぐ製品に反映する。そうすると2ヶ月もしないうちに新しい製品が選手たちの手元に届き、再びテストを行う。それでもダメな場合は再びフィードバックを送って作り直す作業の繰り返しでした。例えば選手たちがジャージの袖口にシリコンのストッパーを付けて欲しいといえば、それを実際に作ってテストを行いました。より少ない力でより速く、より快適に走るために、彼らが実際に何を求めているのかを長い時間をかけて研究しました」。
スタムスナイデル氏によると、S-PHYREの開発開始から製品化までに4年間かかったという。
スタムスナイデル氏から得たフィードバックを日本で製品に落とし込む作業を担った担当者は、「シマノ史上最も速いジャージが完成しました。従来製品であるACCU-3Dの流れを汲み、長い時間をかけて開発を行った集大成です」と自信を込める。
「S-PHYREは製品名というよりも、選手の声をフィードバックし、エンドユーザーにも役立つと判断したものをバランスよく製品に取り入れるというコンセプトです。例えば選手たちから『もっとスプリントで速いソックスが欲しい』と言われれば開発し、製品化することは考えられます」。あくまでも選手との製品開発というポリシーが貫かれている。
選手のフィードバックの中で最も印象的だったことを問うと、「要望の中で一番大きかったのがエアロでしたね。プロ選手にとってとにかくエアロは正義。空力的に優れているのであれば、少しぐらいデメリットがあっても許される」というプロ選手ならではの意見も取り入れ、バランスを取りながら製品に反映した。
選手が求めるエアロを追求するために、風洞実験を繰り返したと説明する。「素材の風洞実験だけでなく、ジャージにした上での風洞実験も繰り返しました。新しく採用した素材は従来の編み物ではなく、ウィンドブレーカーなどの素材に近い織り物でできています。とても薄くて伸縮性があり、そして汗を拡散する。もちろん従来のジャージとACCU3Dのジャージ、S-PHYREジャージを比較するためにそれぞれ風洞に入れてテスト。『S-PHYREはこれだけ速い』という証拠がなければプロ選手は納得してくれませんから」。
気温が40度まで上昇するサントス・ツアー・ダウンアンダーでは、メッシュ生地のチームジャージがロットNLユンボに用意された。「選手によっても体感気温の違いや好みがあるので、メッシュだったり防風だったりと、半袖ジャージだけで4種類用意して使い分けてもらっています。またタイムトライアルで使用するスキンスーツも開発を進め、これまでの製品を上回る速いものが実現しています」。
「チームの意見とコンシューマー(消費者)の意見を並行してフィードバックして完成させた」というS-PHYREシリーズ。2017年はロットNLユンボがS-PHYREジャージを身にまとってシーズンを戦う。
「チームと一緒に協力して良いものを作る」というポリシーを貫き、選手たちと密接に話し合いながら製品開発を行いました。ただ単に選手に製品を渡して使ってもらうのではなく、選手を巻き込んでの製品開発。実際に選手たちの要望が製品に反映されています。より少ない力でより速く、より快適に走るために、彼らが実際に何を求めているのかを4年という長い時間をかけて研究しました。
自分の役割はチームとの橋渡し。実際に選手たちから上がってきたフィードバックを開発に伝え、彼らがすぐ製品に反映する。そうすると2ヶ月もしないうちに新しい製品が選手たちの手元に届き、再びテストする。それでもダメな場合は再びフィードバックを送るの繰り返し。例えば選手たちがジャージの袖口にシリコンのストッパーを付けて欲しいといえば、それを実際に作ってテストを行いました。
シマノヨーロッパの拠点がオランダにあることもあり、ロットNLユンボとの連携は抜群でした。スポンサーとチームという関係ではなくもはや家族のような関係です。
選手に供給するものはメッシュだったり防風だったりと、半袖ジャージだけで4種類用意しています。選手によっても体感気温の違いや好みがあるので、使い分けてもらっています。チームの意見とコンシューマー(消費者)の意見を並行してフィードバックし、製品版を完成させました。シューズは2016年からロゴ無しの真っ白な製品を選手たちにテストしてもらっていました。
やはりプロ選手の要望の中で一番大きかったのがエアロですね。とにかくエアロは正義。空力的に優れているのであれば、少しぐらいデメリットがあっても許容されるというプロ選手の意見も多く。材料の風洞実験だけでなく、ジャージにした上での風洞実験も繰り返しました。新しく採用した素材は従来の編み物ではなく、ウィンドブレーカーなどの素材に近い織り物でできています。とても薄くて伸縮性があり、そして汗を拡散する。
シマノ史上最も速いジャージが完成しました。これまでのACCU3Dの流れを汲み、長い時間をかけて開発を行った集大成です。スピードスーツと呼ばれるポケット付きの一体型ジャージも開発。やはり上下が繋がっているもののほうが速い。タイムトライアルで使用するスキンスーツも開発し、これまでの製品を上回る速いものが実現しています。
実際に従来のジャージとACCU3Dのジャージ、S-PHYREジャージを比較するためにそれぞれ風洞に入れてテストを行いました。「S-PHYREはこれだけ速い」という証拠があるからこそチームが使ってくれる。
チームに供給されるものの中には、より速く走るために耐久性をある程度無視して作ったりしますが、量産品は長く使っていただけるような耐久性になっています。
S-PHYREは製品というよりも、選手の声をフィードバックし、エンドユーザーにも役立つと判断したものをバランスよく製品に取り入れるというコンセプト。例えば選手たちから「もっとスプリントで速いソックスが欲しい」と言われれば開発し、製品化することは考えられます。
サントス・ツアー・ダウンアンダーでシマノの集大成アパレル「S-PHYRE」がデビュー
チームプレゼンテーションが行われたヴィクトリア広場に設置されたスポンサーブースで行われた発表会。実際に新製品を手にとってその感触を確かめるとともに、報道陣には製品開発に携わった開発者たちに直接話を聞く機会が与えられた。シマノがリリースしたS-PHYRE(エスファイア)。すでにリリースされているシューズは実際にプロ選手たちが使用し、勝利を挙げていることで注目を集めていたが、今回はレーシングジャージやビブショーツ、グローブなどアパレル類までを含めたトータルなラインアップとして発表されたのだ。
S-PHYREの製品開発において最も重要視されたのが「チームと一緒に協力して良いものを作るというポリシー」だった。「選手たちと密接に話し合いながら製品開発を行なった」と語るのは、シマノヨーロッパのスポーツマーケティングマネージャーで、S-PHYRE開発にあたってプロ選手のフィードバックを開発陣に伝達する役割を担ったバス・スタムスナイデル氏。なお、スタムスナイデル氏の父親ヘニーは元シクロクロス世界王者で、兄トムはチームサンウェブで走る現役選手。
「シマノヨーロッパの拠点がオランダにあることもあり、チームロットNLユンボとの連携は抜群でした。スポンサーとチームという関係ではなく、もはや家族のような関係を築くことができています。つまり、ただ単に選手に製品を渡して使ってもらうのではなく、選手を巻き込んだ一体となっての製品開発。実際に選手たちの要望が数多く製品に反映されています」と、スタムスナイデル氏は開発の流れを説明する。
「より具体的に言うと、選手たちから上がってきたフィードバックを開発陣に伝え、彼らがすぐ製品に反映する。そうすると2ヶ月もしないうちに新しい製品が選手たちの手元に届き、再びテストを行う。それでもダメな場合は再びフィードバックを送って作り直す作業の繰り返しでした。例えば選手たちがジャージの袖口にシリコンのストッパーを付けて欲しいといえば、それを実際に作ってテストを行いました。より少ない力でより速く、より快適に走るために、彼らが実際に何を求めているのかを長い時間をかけて研究しました」。
スタムスナイデル氏によると、S-PHYREの開発開始から製品化までに4年間かかったという。
スタムスナイデル氏から得たフィードバックを日本で製品に落とし込む作業を担った担当者は、「シマノ史上最も速いジャージが完成しました。従来製品であるACCU-3Dの流れを汲み、長い時間をかけて開発を行った集大成です」と自信を込める。
「S-PHYREは製品名というよりも、選手の声をフィードバックし、エンドユーザーにも役立つと判断したものをバランスよく製品に取り入れるというコンセプトです。例えば選手たちから『もっとスプリントで速いソックスが欲しい』と言われれば開発し、製品化することは考えられます」。あくまでも選手との製品開発というポリシーが貫かれている。
選手のフィードバックの中で最も印象的だったことを問うと、「要望の中で一番大きかったのがエアロでしたね。プロ選手にとってとにかくエアロは正義。空力的に優れているのであれば、少しぐらいデメリットがあっても許される」というプロ選手ならではの意見も取り入れ、バランスを取りながら製品に反映した。
選手が求めるエアロを追求するために、風洞実験を繰り返したと説明する。「素材の風洞実験だけでなく、ジャージにした上での風洞実験も繰り返しました。新しく採用した素材は従来の編み物ではなく、ウィンドブレーカーなどの素材に近い織り物でできています。とても薄くて伸縮性があり、そして汗を拡散する。もちろん従来のジャージとACCU3Dのジャージ、S-PHYREジャージを比較するためにそれぞれ風洞に入れてテスト。『S-PHYREはこれだけ速い』という証拠がなければプロ選手は納得してくれませんから」。
気温が40度まで上昇するサントス・ツアー・ダウンアンダーでは、メッシュ生地のチームジャージがロットNLユンボに用意された。「選手によっても体感気温の違いや好みがあるので、メッシュだったり防風だったりと、半袖ジャージだけで4種類用意して使い分けてもらっています。またタイムトライアルで使用するスキンスーツも開発を進め、これまでの製品を上回る速いものが実現しています」。
「チームの意見とコンシューマー(消費者)の意見を並行してフィードバックして完成させた」というS-PHYREシリーズ。2017年はロットNLユンボがS-PHYREジャージを身にまとってシーズンを戦う。
S-PHYRE 開発インタビュー
「空気を乱さずより速く走りたいという選手たちの要望をカタチに」
ロットNLユンボとの架け橋となりS-PHYRE開発を進めたシマノのバス・スタムスナイデル氏と、実際に開発担当チームの一員としてプロダクトを作り上げた開発担当者にインタビューを行った。チームが最も強く要望したことや、開発のプロセスとは?バス・スタムスナイデル氏(スポーツマーケティング)「ロットNLユンボの選手たちと開発を重ねた」
「チームと一緒に協力して良いものを作る」というポリシーを貫き、選手たちと密接に話し合いながら製品開発を行いました。ただ単に選手に製品を渡して使ってもらうのではなく、選手を巻き込んでの製品開発。実際に選手たちの要望が製品に反映されています。より少ない力でより速く、より快適に走るために、彼らが実際に何を求めているのかを4年という長い時間をかけて研究しました。
自分の役割はチームとの橋渡し。実際に選手たちから上がってきたフィードバックを開発に伝え、彼らがすぐ製品に反映する。そうすると2ヶ月もしないうちに新しい製品が選手たちの手元に届き、再びテストする。それでもダメな場合は再びフィードバックを送るの繰り返し。例えば選手たちがジャージの袖口にシリコンのストッパーを付けて欲しいといえば、それを実際に作ってテストを行いました。
シマノヨーロッパの拠点がオランダにあることもあり、ロットNLユンボとの連携は抜群でした。スポンサーとチームという関係ではなくもはや家族のような関係です。
「エアロが正義というレーサーたちの要望に応えた」
選手に供給するものはメッシュだったり防風だったりと、半袖ジャージだけで4種類用意しています。選手によっても体感気温の違いや好みがあるので、使い分けてもらっています。チームの意見とコンシューマー(消費者)の意見を並行してフィードバックし、製品版を完成させました。シューズは2016年からロゴ無しの真っ白な製品を選手たちにテストしてもらっていました。
やはりプロ選手の要望の中で一番大きかったのがエアロですね。とにかくエアロは正義。空力的に優れているのであれば、少しぐらいデメリットがあっても許容されるというプロ選手の意見も多く。材料の風洞実験だけでなく、ジャージにした上での風洞実験も繰り返しました。新しく採用した素材は従来の編み物ではなく、ウィンドブレーカーなどの素材に近い織り物でできています。とても薄くて伸縮性があり、そして汗を拡散する。
シマノ史上最も速いジャージが完成しました。これまでのACCU3Dの流れを汲み、長い時間をかけて開発を行った集大成です。スピードスーツと呼ばれるポケット付きの一体型ジャージも開発。やはり上下が繋がっているもののほうが速い。タイムトライアルで使用するスキンスーツも開発し、これまでの製品を上回る速いものが実現しています。
実際に従来のジャージとACCU3Dのジャージ、S-PHYREジャージを比較するためにそれぞれ風洞に入れてテストを行いました。「S-PHYREはこれだけ速い」という証拠があるからこそチームが使ってくれる。
チームに供給されるものの中には、より速く走るために耐久性をある程度無視して作ったりしますが、量産品は長く使っていただけるような耐久性になっています。
S-PHYREは製品というよりも、選手の声をフィードバックし、エンドユーザーにも役立つと判断したものをバランスよく製品に取り入れるというコンセプト。例えば選手たちから「もっとスプリントで速いソックスが欲しい」と言われれば開発し、製品化することは考えられます。
提供:シマノ photo&report:Kei Tsuji in Adelaide,Austraria