2016/10/25(火) - 21:55
シマノが誇るロードコンポーネントの最高峰「DURA-ACE」がフルモデルチェンジを果たす。本特集コンテンツでは、勝利の数々に彩られた40年以上の歴史を振り返ると同時に、油圧ディスクブレーキやパワーメーターと共に新たな一歩を踏み出す9代目「R9100」シリーズのディテールに迫っていく。
初代が登場して以来、世界最高峰のロードレースシーンを支えてきたシマノの最高峰ロードコンポーネント「DURA-ACE(デュラエース)」。その43年の歴史は数々の栄光に満ちており、ツール・ド・フランスを始めとした3大グランツールや、世界選手権、オリンピック、モニュメントと呼ばれる格式あるクラシックレースといった数々のビッグレースで、サポートライダーの勝利に貢献してきた。
まずは、ネーミングについて解説しておくと、歴代モデルでメイン素材の1つとして使用されてきたアルミ合金「Duralumin(ジュラルミン)」と、耐久性を意味する英単語「Durability」に、「DURA」は由来。「ACE」には「最高峰のレーシングパーツを創る」という想いが込められている。
フランスでのローンチには輝かしい戦績を残してきた歴代DURA-ACEが一堂に会した photo:Makoto.AYANO
3代目の「DURA-ACE AX」は空気抵抗を抑えた形状や、スタックハイトを最小限に抑えたDDペダルなど、意欲的な設計が話題に photo:Makoto.AYANO
ブレーキレバーに変速レバーを一体化した「STI」。ロードレースの歴史を大きく塗り替えたエポックメイキングなプロダクトだ photo:Makoto.AYANO
DURA-ACE 7700シリーズでは、ホイールがラインアップに加わった photo:Makoto.AYANO
BB軸をクランクアームに一体化した「ホローテックII」デザインは、他社が一斉に追従した photo:Makoto.AYANO
初代DURA-ACEのデビューは1973年のこと。本場ヨーロッパで通用するレース機材の開発を目標に開発され、変速機・ブレーキ&レバー・ハブ・クランクセット・チェーンを統括的に設計する「コンポーネント」と言う概念に先鞭をつける。1980年に誕生した3代目の「DURA-ACE AX」は空気抵抗を抑えた形状や、スタックハイトを最小限に抑えたDDペダルなど、意欲的な設計が話題となった。
シマノがロードコンポーネントの覇権を握るキッカケとなる4代目の「DURA-ACE 7400シリーズ」が登場したのは1984年のこと。シフトレバーに位置決め機構(インデックス・システム/SIS)を組み込み、変速操作の正確性と容易性を飛躍的に向上させると、1990年にはブレーキレバーに変速レバーを一体化した「STI(シマノ・トータル・インテグレーション)レバー」が登場する。今でこそ当たり前となったが、それまでのシフトレバーはダウンチューブに位置しており、ブレーキレバーから手を離さずに変速操作ができるということは当時極めて革新的であった。それだけに、STIはロードレースの歴史を大きく塗り替えたと言っても過言ではない。
2012年のツール・ド・フランスでは、DURA-ACE 電動変速システム Di2を使用するブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)が個人総合優勝に輝いた (c)Makoto AYANO
圧倒的なアドバンテージをもたらしたDi2のTT用変速スイッチ photo:Makoto Ayano
Di2の確実でタッチの軽い変速はレースの歴史を再び塗り変えた (c)Makoto AYANO
1996年に誕生した「DURA-ACE 7700シリーズ」は、現在にまで続く「ストレスフリー・コンセプト」を元に開発された。リアスプロケットの枚数を1枚増やした9段としながらも、先代の7410シリーズに対して500gもの軽量化を実現。同時に、DURA-ACEの名を冠したホイールがラインアップに加わる。
現在もファンの多い2004年発表の「DURA-ACE 7800シリーズ」は、「100%パワー・トランスミッション」をコンセプトに、BB軸をクランクアームに一体化した「ホローテックII」デザインによりクランク剛性を昇華させ、ライダーのパワーをくまなく推進力へ変換することを可能とした。
シマノのロードコンポとしては初となる4アームデザインを採用したFC-9000 photo:Kei Tsuji
FDJのバイクに取り付けられたダイレクトマウントブレーキ photo:Makoto.AYANO
DURA-ACEと共にマイヨジョーヌを3度獲得したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
2008年登場の「DURA-ACE7900シリーズ」は、電動変速システム「Di2(デジタル・インテグレイテッド・インテリジェンス)」と共に、ロードコンポーネントの歴史を再び塗り替える。その圧倒的なストレスフリーはプロライダーに歓迎を持って受け入れられると、2012年のツール・ド・フランスでは個人総合表彰台を独占するという快挙を達成する。
2012年登場の「DURA-ACE9000シリーズ」は、各所を徹底的にブラッシュアップすることでストレスフリーを推し進めると同時に、ダイレクトマウントブレーキや4アームデザインのクランクといった既存の規格にとらわれない独自設計で、高性能化を追求した。
シマノR9100系DURA-ACE (c)シマノ
DURA-ACEのフルモデルチェンジは、いつだって大きな話題になる。9000系の登場から4年が経つことに加え、ロード用ディスクブレーキ普及の動きが活発化してきたこともあり、今年は年初から噂が絶えなかった。今回の新型登場について言えば、好意的な意見が多い一方で、不安視する声も少なからずあった。なぜならば、9000系の完成度が高かったからだ。
プロトタイプの目撃情報が全くもって無いままに迎えた、新型「DURA-ACE R9100シリーズ」発表の時。これまでに8回行われたフルモデルチェンジの中でも、特に変化の幅が大きく、STIの登場時に匹敵するようなインパクトを、世界中のサイクリストに与えたに違いない。
ロードバイクの使用環境に最適化したディスクブレーキ photo:Makoto.AYANO
リムブレーキ用キャリパーも着実な進化を遂げた photo:Makoto.AYANO
パワーメーターを搭載したFC-R9100-Pクランク 9代目のDURA-ACEとなるR9100シリーズが目指したのは「SYSTEM SUPREMACY(至高のシステム)」。ライダーの出力を余すことなく推進力に変えることを最優先に、ライダーとバイクの更なるシナジー(相乗効果)を目指して人車の一体感にも着目したという。
最大のトピックの一つは、史上初めてDURA-ACEに組み込まれたディスクブレーキだ。MTBで培かわれた技術やノウハウを基盤に、R9100シリーズではじっくりとロードならではの競技/機材環境に最適化。高い評価を得てきたリムブレーキのコントロール性を再現し、グランツールに登場する長距離ダウンヒルに対応するべくローターの放熱性を高め、トッププロが求めるブレーキング性能を実現するに至った。また、リムブレーキ用キャリパーも着実な進化を遂げている。
そして、ディスクブレーキと同じく注目を集めるのが、クランク式パワーメーターの登場だ。多くのメーカーが多機能化や低価格を謳って参入するなかで、目指したものはパフォーマンスを管理するツールとしての絶対的な計測精度と信頼性。シマノが展開するフィッティングサービス「BikeFitting」のテクノロジーを応用することで、それを実現している。加えて、BB下取付タイプのダイレクトマウントブレーキと干渉しないように設計されるなど、細部も煮詰められている。
バイクの顔であり、パワーメーターベースとなるクランク本体も着実に進化している。4アームデザインを前作より踏襲しながらも、不要な変形を更に抑え、より高効率な走りを可能に。クランクアーム内側のクリアランスを拡げることで、ディスクブレーキ用フレームへの取り付けに対応した。
油圧+Di2のSTIレバーは、既存のST-R785よりも大幅な小型化を果たした。また、油圧+メカニカルシフトのSTIレバーも同様の大きさとなる photo:Makoto.AYANO
シマノが他に先んじて実用化した電動変速システムDi2は、「より直感的でシンプルな操作方法」をコンセプトに、ギア比の自動調整でより高効率なライディングを可能とする「シンクロシフト」をMTBより導入。片側レバーのみで前後変速機を司る「フルシンクロモード」、フロント変速にあわせてリアを1~2段変速させることでギア比を維持する「セミシンクロモード」、前後を左右それぞれのスイッチで変速する「マルチシフトモード」から、好みに合わせて選択可能となった。なお、TT用の変速スイッチは、「フルシンクロモード」のみに対応するという割り切った仕様に。
シンクロシフトの変速順序や変速スピードなど、Di2の設定を行う「E-Tube Project」は専用アプリがインストールされたタブレットやスマートフォンとのBluetooth無線接続にも対応。フレーム設計のトレンドにあわせて、ジャンクションAは3タイプを新たにラインアップする。Di2に対応するPRO製品も用意されており、昨今のエアロロードに呼応して電動ケーブルのフル内装が可能となっている。
MTB譲りのShadowデザインを採用するリアディレイラー photo:Makoto.AYANO
構造を一新した機械式のフロントディレイラーFD-R9100 photo:Makoto.AYANOレバーについては、Di2とメカニカルの変速方式に関わらず、ディスクブレーキ用とリムブレーキ用でブラケットがほぼ同形状となることがトピック。これは、ブレーキ方式の異なるバイクに乗り換える際に違和感なく移行できる様に配慮したもの。ブラケットの握りが太いことから、ロード用ディスクブレーキに手をこまねいていたという方には、朗報と言えよう。また、小型化とエルゴノミック化を進めることで、ホールド感を更に向上させた。
リアディレイラーは、Di2もメカニカルもMTBのテクノロジーを取り入れることで改良されている。外側への張り出しが少ない「Shadow」デザインは落車時のダメージを軽減し、「ダイレクトマウント」はホイールの脱着性向上に貢献している。スプロケットはDURA-ACE史上最もレシオの大きな11-30Tが追加に。これに合わせてリアディレイラーが対応する最大歯数が拡張された。
フロントディレイラーについては、メカニカルシフト仕様が刷新された。9000シリーズでは、てこの原理を利用して大きなパンタグラフで変速力を高めていたが、R9100系ではDi2をモチーフとした内部構造に変更。従来はケーブルアジャスターが担っていたテンショナー機能を本体に組み込み、またフルアウターでも使用可能に。Di2仕様は小型化が進み、メカニカルシフト仕様と遜色ないサイズとなった。
シマノ WH-R9170-C60-TL (c)シマノ
28mm幅へとワイド化したカーボンリム
ディスクブレーキ対応の「WH-R9170」は、前後共に12mmスルーアクスル(E-Thru)に対応
ホイール群「WH-R9100」シリーズは、ディスクブレーキの登場によりバリエーションが増え、全9種類を揃える。リムハイトは、先代のWH-9000シリーズでラインアップされていた75mm、50mm、35mm、24mmの4種類が、60mm、40mm、24mm(リムブレーキ仕様のみ)という3種類に統合。60mmと40mmはリムの断面形状を最適化し、28mm幅にワイド化することで、空力性能を高めている。
ディスクブレーキ対応の「WH-R9170」は、前後共に12mmスルーアクスル(E-Thru)仕様のハブを搭載。フルカーボンチューブラーと、ブランド史上初となるロードディスク用フルカーボンチューブレス/クリンチャーとの2種類が用意される。リムブレーキ対応の「WH-R9100」シリーズは、チューブラー用がフルカーボンリムであるのに対し、クリンチャー用は60mmハイトモデルではカーボン/アルミのコンポジットリムを採用。一方40mmハイトモデルおよび、リムブレーキ仕様のみにラインアップされる24mmハイトモデルは、定評あるアルミ/カーボンラミネートリムを搭載する。
開発ライダーを務めた元選手のカルステン・クローン。大学で機械工学を学んだ経歴を持つという photo:Makoto.AYANO
サポートチームの1つであるBMCレーシングと意見を交わすチームシマノのバルト・ルセムス氏(元プロ選手) photo:Makoto.AYANO
開発陣「チームシマノ」が開発の経緯を語る photo:Makoto.AYANO
最先端のテクノロジーや、良質な素材の数々はもちろんのこと、プロが絶大な信頼を寄せる「DURA-ACE品質」を創り上げるためには、実走テストが欠かせない。DURA-ACEの名を冠したディスクブレーキが登場するとあり、R9100シリーズの開発では、歴代モデル以上に徹底した実走テストが行われた。
シマノは、4年に渡る新型DURA-ACE開発の最終ステップとして、ジロ・デ・イタリアの難関山岳であるステルヴィオ峠と、シマノ・ヨーロッパが拠点の1つを置くスペイン・マドリード近郊の山岳地帯で、実走テストを実施。そして、テストライダーには、かつてチームCSCやティンコフでプロとして走ったカルステン・クローンを招聘した。機械工学の学士号を持つクローンは、使用感という結果だけではなく、構造や素材などの技術面という要因にも言及できる、まさにこれ以上ない適任者なのである。
リムブレーキ用のプロトタイプ。形状は製品版とよく似ている
アルミ削り出しのパーツで構成されるプロトタイプのリアディレイラー
シマノレーシングによってテストが進められてきたクランク式パワーメーターのプロト
切削痕がプロトタイプであることを感じさせる
ツール・ド・フランスに投入されたWH-R9100-C40-TU photo:Makoto.AYANO
WH-R9100-C40-TUをいち早く実戦投入したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
当然のことながら、ブレーキの性能や信頼性はダウンヒルスピードに深く関係する。シマノの開発スタッフによれば、ディスクブレーキモデルを使用しての山岳ダウンヒルテストで、クローンが見せたスピードは驚くべきものだったそうで、同時にディスクブレーキの優位性を確信したという。
対するクローン自身もディスクブレーキに好意的であり「リムブレーキも高性能だが、ディスクブレーキは更にその上を行く。ステルヴィオ峠の下りでテストした際、路面は濡れていたが、ディスクブレーキならいつもよりブレーキングを遅らせても充分に減速することができたんだ」とコメントしている。
ムービーで観るデュラエースR9100ローンチイベント in フランス
現在のUCIルールではレースで実戦テストができないディスクブレーキ以外は、プロチームによって実際のレースに投入されている。5月のジロ・デ・イタリアではチームスカイの数選手が使用。7月のツール・ド・フランスではWH-R9100-C40-TUホイールを使用したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が個人総合に輝き、その高性能を早くも実証する結果となった。
次章では、先行してデビューを果たすメカニカルシフト/リムブレーキ仕様にフォーカス。ブリヂストン・アンカーの中山メカニックの解説と共に、進化の詳細に迫っていく。
栄光に満ちたDURA-ACEの歴史 進化の系譜をたどる
初代が登場して以来、世界最高峰のロードレースシーンを支えてきたシマノの最高峰ロードコンポーネント「DURA-ACE(デュラエース)」。その43年の歴史は数々の栄光に満ちており、ツール・ド・フランスを始めとした3大グランツールや、世界選手権、オリンピック、モニュメントと呼ばれる格式あるクラシックレースといった数々のビッグレースで、サポートライダーの勝利に貢献してきた。
まずは、ネーミングについて解説しておくと、歴代モデルでメイン素材の1つとして使用されてきたアルミ合金「Duralumin(ジュラルミン)」と、耐久性を意味する英単語「Durability」に、「DURA」は由来。「ACE」には「最高峰のレーシングパーツを創る」という想いが込められている。
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シマノがロードコンポーネントの覇権を握るキッカケとなる4代目の「DURA-ACE 7400シリーズ」が登場したのは1984年のこと。シフトレバーに位置決め機構(インデックス・システム/SIS)を組み込み、変速操作の正確性と容易性を飛躍的に向上させると、1990年にはブレーキレバーに変速レバーを一体化した「STI(シマノ・トータル・インテグレーション)レバー」が登場する。今でこそ当たり前となったが、それまでのシフトレバーはダウンチューブに位置しており、ブレーキレバーから手を離さずに変速操作ができるということは当時極めて革新的であった。それだけに、STIはロードレースの歴史を大きく塗り替えたと言っても過言ではない。
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現在もファンの多い2004年発表の「DURA-ACE 7800シリーズ」は、「100%パワー・トランスミッション」をコンセプトに、BB軸をクランクアームに一体化した「ホローテックII」デザインによりクランク剛性を昇華させ、ライダーのパワーをくまなく推進力へ変換することを可能とした。
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2012年登場の「DURA-ACE9000シリーズ」は、各所を徹底的にブラッシュアップすることでストレスフリーを推し進めると同時に、ダイレクトマウントブレーキや4アームデザインのクランクといった既存の規格にとらわれない独自設計で、高性能化を追求した。
ライダーの出力を余すことなく推進力に変換する「至高のシステム」
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プロトタイプの目撃情報が全くもって無いままに迎えた、新型「DURA-ACE R9100シリーズ」発表の時。これまでに8回行われたフルモデルチェンジの中でも、特に変化の幅が大きく、STIの登場時に匹敵するようなインパクトを、世界中のサイクリストに与えたに違いない。
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バイクの顔であり、パワーメーターベースとなるクランク本体も着実に進化している。4アームデザインを前作より踏襲しながらも、不要な変形を更に抑え、より高効率な走りを可能に。クランクアーム内側のクリアランスを拡げることで、ディスクブレーキ用フレームへの取り付けに対応した。
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シンクロシフトの変速順序や変速スピードなど、Di2の設定を行う「E-Tube Project」は専用アプリがインストールされたタブレットやスマートフォンとのBluetooth無線接続にも対応。フレーム設計のトレンドにあわせて、ジャンクションAは3タイプを新たにラインアップする。Di2に対応するPRO製品も用意されており、昨今のエアロロードに呼応して電動ケーブルのフル内装が可能となっている。
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フロントディレイラーについては、メカニカルシフト仕様が刷新された。9000シリーズでは、てこの原理を利用して大きなパンタグラフで変速力を高めていたが、R9100系ではDi2をモチーフとした内部構造に変更。従来はケーブルアジャスターが担っていたテンショナー機能を本体に組み込み、またフルアウターでも使用可能に。Di2仕様は小型化が進み、メカニカルシフト仕様と遜色ないサイズとなった。
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ホイール群「WH-R9100」シリーズは、ディスクブレーキの登場によりバリエーションが増え、全9種類を揃える。リムハイトは、先代のWH-9000シリーズでラインアップされていた75mm、50mm、35mm、24mmの4種類が、60mm、40mm、24mm(リムブレーキ仕様のみ)という3種類に統合。60mmと40mmはリムの断面形状を最適化し、28mm幅にワイド化することで、空力性能を高めている。
ディスクブレーキ対応の「WH-R9170」は、前後共に12mmスルーアクスル(E-Thru)仕様のハブを搭載。フルカーボンチューブラーと、ブランド史上初となるロードディスク用フルカーボンチューブレス/クリンチャーとの2種類が用意される。リムブレーキ対応の「WH-R9100」シリーズは、チューブラー用がフルカーボンリムであるのに対し、クリンチャー用は60mmハイトモデルではカーボン/アルミのコンポジットリムを採用。一方40mmハイトモデルおよび、リムブレーキ仕様のみにラインアップされる24mmハイトモデルは、定評あるアルミ/カーボンラミネートリムを搭載する。
信頼の「DURA-ACE品質」を実現する、徹底した実走テスト
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最先端のテクノロジーや、良質な素材の数々はもちろんのこと、プロが絶大な信頼を寄せる「DURA-ACE品質」を創り上げるためには、実走テストが欠かせない。DURA-ACEの名を冠したディスクブレーキが登場するとあり、R9100シリーズの開発では、歴代モデル以上に徹底した実走テストが行われた。
シマノは、4年に渡る新型DURA-ACE開発の最終ステップとして、ジロ・デ・イタリアの難関山岳であるステルヴィオ峠と、シマノ・ヨーロッパが拠点の1つを置くスペイン・マドリード近郊の山岳地帯で、実走テストを実施。そして、テストライダーには、かつてチームCSCやティンコフでプロとして走ったカルステン・クローンを招聘した。機械工学の学士号を持つクローンは、使用感という結果だけではなく、構造や素材などの技術面という要因にも言及できる、まさにこれ以上ない適任者なのである。
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

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
当然のことながら、ブレーキの性能や信頼性はダウンヒルスピードに深く関係する。シマノの開発スタッフによれば、ディスクブレーキモデルを使用しての山岳ダウンヒルテストで、クローンが見せたスピードは驚くべきものだったそうで、同時にディスクブレーキの優位性を確信したという。
対するクローン自身もディスクブレーキに好意的であり「リムブレーキも高性能だが、ディスクブレーキは更にその上を行く。ステルヴィオ峠の下りでテストした際、路面は濡れていたが、ディスクブレーキならいつもよりブレーキングを遅らせても充分に減速することができたんだ」とコメントしている。
ムービーで観るデュラエースR9100ローンチイベント in フランス
現在のUCIルールではレースで実戦テストができないディスクブレーキ以外は、プロチームによって実際のレースに投入されている。5月のジロ・デ・イタリアではチームスカイの数選手が使用。7月のツール・ド・フランスではWH-R9100-C40-TUホイールを使用したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が個人総合に輝き、その高性能を早くも実証する結果となった。
次章では、先行してデビューを果たすメカニカルシフト/リムブレーキ仕様にフォーカス。ブリヂストン・アンカーの中山メカニックの解説と共に、進化の詳細に迫っていく。
提供:シマノ 制作:シクロワイアード編集部