2016/11/10(木) - 08:52
多様なライディングシチュエーションにフィットする新型DURA-ACE。プロメカニックの視点でその神髄に迫った前回に続き、今回はブリヂストンアンカーから井上和郎と鈴木龍の2人の選手が、レースを戦うコンポーネントとして新型DURA-ACEの実力に迫ったインプレッションをお届けする。
ーさて、新型DURA-ACEを実際に乗ってみた感想はいかがでしたか?
鈴木:一番大きな変化があると感じたのはブラケットの形状ですね。手の大きさに関わらず握りやすい大きさとカタチになっていると感じました。
井上:ブラケットは太さでいうと前作よりも多少太くなった印象ですね。リーチも伸びているので、手の大きな人でも握りこみやすくなっています。先端部分にもボリュームが与えられているので、エアロポジションも取りやすいのは、レーサー目線で好印象です。
鈴木:レバーの上部の凹みがちょうど指を置くのにいい塩梅で、巡航時にも具合が良い。レバー形状で言えば、下の方が広がっていくような設計になっているため、手の小さな人でもシフト操作に力が入れやすいようになっていますよね。
井上:実際、細い方が好きだという人もいるでしょう。そこは好みの問題なので一概に言い切ることはできませんが、新しいブラケットの方が多様な持ち方ができますし、フィットする人の幅は広がっていると思います。
鈴木:そうですね。適度な太さになったことでホールド感が良くなり、ダンシング時にもより大きな力を掛けることが出来るようになっているとも感じました。レーサーにとっては嬉しい進化でしょう。
ーブラケット以外で印象的な部分はありましたか?
井上:やはりブレーキ性能に関しては「流石デュラエース!」の一言ですね。シューの質も大きいのでしょうが、粘りのある制動力で、非常に安心してブレーキングできるのはDURA-ACEの大きなメリットです。
鈴木:9000で大幅に構造が変わったので、そこまで大きく進化していることは無いだろう、と油断していました。今までと同じ感覚でブレーキを掛けたら、リアが滑ってしまいました(笑)。制動力が増しています。しかしコントロールしやい。キャリパーの性能向上はもちろんですが、新しいブレーキレバーの力の掛けやすさも大きく影響しています。
井上:補強プレートのおかげか、よりカッチリとしたフィーリングになっていますね。キャリパー剛性の強化は実際に感じ取ることができます。また、開放レバーの形状が変更され、外への突起がなくなり、すっきりとした見た目になっているのもグッドです。
鈴木:ホイール着脱のためのクイックレバーは以前までのようにラチェットが効いていませんので、ワイヤーのアジャスター代わりに使うことは出来ません。レバーを中間位置で止めるという間違った使い方はやめましょう。
ー大幅に手を加えられた変速系統については?
井上:普段レースではDi2を使用しているのですが、変速の動きの正確さや速さという点においては全く引けを取らないレベルです。機械式であるが故のレバーストロークの大きさではDi2には敵いませんが、変速のフィーリングや信頼性という意味では、まったく遜色ありません。
鈴木:見た目が大幅に変わったので、フィーリングもかなり変わるのかな? と予想していたのですが、そんなことは無かったですね。安心のDURA-ACEクオリティーでスパスパッとギアが切り替わっていきます。特にフロントディレイラーの作動感の良さが驚きでしたね。
9000シリーズではアームを延長することでテコ比を大きくし、引きを軽くしていたわけですが、このコンパクトさで同じフィーリングを実現していることはにわかには信じがたいほどです。エアロダイナミクスにも貢献するでしょうし、メリットは大きいでしょうね。
井上:リアディレイラーもチェーンがバタつかなくなって良いですね。やっぱり路面が荒れていると変速しづらくなりますし、フロントのチェーン落ちのリスクも増えます。安心感につながる良い進化ではないでしょうか。今年のリオオリンピックのコースでもかなり石畳が多かったので、この新型メカを使いたかった選手は沢山いたのではないでしょうか。
鈴木:リアに関しては、シフトアップがより軽くなったように感じましたね。エンド周りのアウターワイヤーの出代も短くなっているので、最近のフレームでもワイヤリングしやすいように思えます。そういった点も軽い動きに繋がっているのではないでしょうか。
ークランクはかなりボリューミーになりましたが
井上:前作の時点で相当剛性は高かったので、なかなか差が分かりづらいですが、それでも確かに硬くなっているな、という印象はあります。9000シリーズがデビューした4年前に比べると、各社のレースバイクのフレーム剛性も上がっているので、昨今のフレームとのマッチングは良くなっているでしょう。
鈴木:ペダリングした時の軽さが増しているように感じたのですが、新しいクランクが果たしている役割は大きいと思います。全体的に硬く、軽くなっているように感じますね。回転部という意味ではペダルの軽量化も影響していると思います。
井上:シマノのペダルはカーボン化した時に、かなりフィーリングが変わりました。以前のアルミモデルが好みだという選手も依然としているほどですが、新モデルでは軽くなりながらもアルミ時代のカッチリしたフィーリングに回帰しているような印象を受けました。
井上和郎と鈴木龍が語る新型DURA-ACE
ーさて、新型DURA-ACEを実際に乗ってみた感想はいかがでしたか?
鈴木:一番大きな変化があると感じたのはブラケットの形状ですね。手の大きさに関わらず握りやすい大きさとカタチになっていると感じました。
井上:ブラケットは太さでいうと前作よりも多少太くなった印象ですね。リーチも伸びているので、手の大きな人でも握りこみやすくなっています。先端部分にもボリュームが与えられているので、エアロポジションも取りやすいのは、レーサー目線で好印象です。
鈴木:レバーの上部の凹みがちょうど指を置くのにいい塩梅で、巡航時にも具合が良い。レバー形状で言えば、下の方が広がっていくような設計になっているため、手の小さな人でもシフト操作に力が入れやすいようになっていますよね。
井上:実際、細い方が好きだという人もいるでしょう。そこは好みの問題なので一概に言い切ることはできませんが、新しいブラケットの方が多様な持ち方ができますし、フィットする人の幅は広がっていると思います。
鈴木:そうですね。適度な太さになったことでホールド感が良くなり、ダンシング時にもより大きな力を掛けることが出来るようになっているとも感じました。レーサーにとっては嬉しい進化でしょう。
ーブラケット以外で印象的な部分はありましたか?
井上:やはりブレーキ性能に関しては「流石デュラエース!」の一言ですね。シューの質も大きいのでしょうが、粘りのある制動力で、非常に安心してブレーキングできるのはDURA-ACEの大きなメリットです。
鈴木:9000で大幅に構造が変わったので、そこまで大きく進化していることは無いだろう、と油断していました。今までと同じ感覚でブレーキを掛けたら、リアが滑ってしまいました(笑)。制動力が増しています。しかしコントロールしやい。キャリパーの性能向上はもちろんですが、新しいブレーキレバーの力の掛けやすさも大きく影響しています。
井上:補強プレートのおかげか、よりカッチリとしたフィーリングになっていますね。キャリパー剛性の強化は実際に感じ取ることができます。また、開放レバーの形状が変更され、外への突起がなくなり、すっきりとした見た目になっているのもグッドです。
鈴木:ホイール着脱のためのクイックレバーは以前までのようにラチェットが効いていませんので、ワイヤーのアジャスター代わりに使うことは出来ません。レバーを中間位置で止めるという間違った使い方はやめましょう。
ー大幅に手を加えられた変速系統については?
井上:普段レースではDi2を使用しているのですが、変速の動きの正確さや速さという点においては全く引けを取らないレベルです。機械式であるが故のレバーストロークの大きさではDi2には敵いませんが、変速のフィーリングや信頼性という意味では、まったく遜色ありません。
鈴木:見た目が大幅に変わったので、フィーリングもかなり変わるのかな? と予想していたのですが、そんなことは無かったですね。安心のDURA-ACEクオリティーでスパスパッとギアが切り替わっていきます。特にフロントディレイラーの作動感の良さが驚きでしたね。
9000シリーズではアームを延長することでテコ比を大きくし、引きを軽くしていたわけですが、このコンパクトさで同じフィーリングを実現していることはにわかには信じがたいほどです。エアロダイナミクスにも貢献するでしょうし、メリットは大きいでしょうね。
井上:リアディレイラーもチェーンがバタつかなくなって良いですね。やっぱり路面が荒れていると変速しづらくなりますし、フロントのチェーン落ちのリスクも増えます。安心感につながる良い進化ではないでしょうか。今年のリオオリンピックのコースでもかなり石畳が多かったので、この新型メカを使いたかった選手は沢山いたのではないでしょうか。
鈴木:リアに関しては、シフトアップがより軽くなったように感じましたね。エンド周りのアウターワイヤーの出代も短くなっているので、最近のフレームでもワイヤリングしやすいように思えます。そういった点も軽い動きに繋がっているのではないでしょうか。
ークランクはかなりボリューミーになりましたが
井上:前作の時点で相当剛性は高かったので、なかなか差が分かりづらいですが、それでも確かに硬くなっているな、という印象はあります。9000シリーズがデビューした4年前に比べると、各社のレースバイクのフレーム剛性も上がっているので、昨今のフレームとのマッチングは良くなっているでしょう。
鈴木:ペダリングした時の軽さが増しているように感じたのですが、新しいクランクが果たしている役割は大きいと思います。全体的に硬く、軽くなっているように感じますね。回転部という意味ではペダルの軽量化も影響していると思います。
井上:シマノのペダルはカーボン化した時に、かなりフィーリングが変わりました。以前のアルミモデルが好みだという選手も依然としているほどですが、新モデルでは軽くなりながらもアルミ時代のカッチリしたフィーリングに回帰しているような印象を受けました。
鈴木龍:2016年に那須ブラーゼンからブリヂストンアンカーへ移籍。明治学院大学在学中にはチームユーラシアでヨーロッパを走った経験を持ち、2016年はツール・ド・フィリピン第3ステージで5位、ツール・ド・熊野第1ステージで3位に入りUCIポイントを獲得するなど、近年の成長ぶりに期待が集まる選手だ。
井上和郎:福井県福井市出身。1981年2月17日生まれ。2011年にTeamNIPPOからブリヂストンアンカーへ移籍。2008年全日本ロード2位、2006年から2008年国体ロード3連覇、2009年東アジア大会チームロード優勝、2011年国体ポイントレース優勝、2012年国体ロード優勝など。スピードを備えるオールラウンダータイプ。
提供:シマノ 制作:シクロワイアード編集部