2016/08/06(土) - 17:55
スラム RED eTapの魅力に迫るスペシャルコンテンツ。最終回は、カミハギサイクルの上萩店長とライドワークスの生駒店長によるインプレッションをお届けしよう。
―さて、最後発の電動コンポーネントにして初のフルワイヤレス変速機となるRED eTapですが、どのような印象ですか?
上萩:思っていた以上にコンポーネントとして、しっかりとしたプロダクトに仕上げてきたな、というのが第一印象ですね。
生駒:完成度が高いですね。やっぱりワイヤレスコンポーネントと聞いて、昔マヴィックが出していたメカトロニックを思い出してしまい、無意識に身構えるというか、疑う部分はあったのですが、その予想は良い意味で裏切られました。
上萩:少し疑いのまなざしを向けていたのは私も同じです(笑)プロレースの現場でしっかり活躍している事を考えると、完成度が高いのは当たり前なのかもしれません。逆説的に言えば、それほど「ワイヤレス」というのは画期的な進化なのではないでしょうか。
―ワイヤレス化によるメリットとは?
上萩:そうですね、やはり最初に思い浮かぶのは、見た目がスッキリするというポイントでしょう。ケーブルの有無で際立った性能差がなければ、やはり無い方が良いですから。
例えば、サイクルコンピューターはもはやワイヤレスが大半のシェアを持っている。数年前までは有線式のコンピューターをつけている人もいましたが、今ではめっきり減りましたよね。多少高くとも、ルックスも良くなる、取り付けも楽となれば、ワイヤレスを選ばない理由がありません。これはコンポーネントにも当てはまることだと思います。
生駒:自転車の性能をより引き出すという意味でも、ワイヤレス化は歓迎するべきでしょう。小さいサイズのフレームでは、ケーブルの取り回しが厳しく、ハンドリングに影響が出ているバイクも少なくありませんから、そういったバイクにとってはまさに福音となるでしょうね。力が要らない電動コンポーネントという意味でも、小柄な女性にとってはかなり扱いやすいのではないでしょうか。
―どの既存のコンポーネントとも異なる新しい操作方法ですが?
生駒:正直なところ、今までのコンポーネントの操作方法に慣れきっている私たちにしてみると、少し慣れるまで違和感があるとは思います。ですが、各レバーにスイッチが一つずつしか付いていない訳ですから、押し間違えるようなことは少ないでしょうし、冬場で厚手のグローブをしていても変速しやすいはずです。
上萩:私も慣れが必要だというのは同感ですね。やはり右手がリア、左手がフロントという動きが染みついているので、乗り始めてすぐは少し頭がこんがらがる時もありました。でも、何度か操作していると意外とすぐに順応することができますし、操作方法自体はとても理に適っているとも感じます。
生駒:そもそも、機械式の変速方式がややこしいんですよね(笑)右手と左手で重くする動きと軽くする動きが逆になっているというのは、ビギナーにとっては理解し難いでしょう。初めてスポーツバイクを触る人に、従来のコンポーネントとeTap、どちらが説明しやすいか、納得してもらいやすいかといえば、それは断然eTapだと思います。
上萩:欲を言うと、フロントの変速を自動で行ってくれると、分かりやすさではこれ以上ないコンポーネントになるだろうね。左を押せば軽く、右を押せば重くなる。説明終わり!となれば単純明快じゃないですか(笑)
生駒:実際シマノもその方向性に来ていますから、技術的には不可能ではないと思います。ファームウェアのアップデートなどで対応してくれると、とても嬉しいですね。そういった意味では、シクロクロスなどシングルスピードのバイクにも相性は良いでしょうね。
上萩:そうですね。シクロクロスもですが、トライアスロンでもシングル化の流れは起きつつあるので、そういった方々にとってはより魅力的なコンポーネントではないでしょうか。
上萩:変速ミスが起きるとか、変速しないというようなことは全くないです。スラムらしい変速フィーリングを機械式のREDからそのまま受け継いでいると感じました。
生駒:比較対象となると、価格帯としても似通っている電動デュラエースになると思います。滑らかに変速する電動デュラエースに対して、REDeTapはよりはっきりとした変速フィーリングになっていますね。それはシフトレバーのタッチや、操作音によって演出されている面も大きいと思います。
上萩:変速のスピードという面で両者を比べると、リア変速については遜色ありません。ただ、フロント変速についてはもう少し速くなっても良いでしょう。この辺りは、モーターのパワーが足りないというわけではなく、羽根の動く速度や動き方の問題だと感じました。
生駒:そうですね。ハードウェアの基本的な性能については申し分ないので、今後のソフトウェアのアップデートなどで改善されていくことは大いに期待できると思います。
―メンテナンス性などはいかがでしょう?
上萩:既に購入されたお客さんのバイクに組み付けた経験からすると、「こんなに速く終わっていいの?」というくらい、アッセンブルにかかる時間は減りましたね。メカニックからすると最高です(笑)
生駒:最近流行りのエアロ系のフレームだと、ケーブルの長さや取り回しを決めるのはとても時間がかかるものですが、その時間が圧倒的に短縮されるのは嬉しいですよ。どんどん増えてほしいですね(笑)
上萩:飛行機輪行などでもメリットは大きそうですね。飛行機に乗せる時は、リアディレイラーを外して、チェーンステーなどにくくるような処理をしますよね。eTapなら、チェーンのコネクトリンクを外してしまえば、リアディレイラーは完全にフレームから別で持っていくことができるようになります。リアエンド周りの心配をほとんどしなくて良いのは魅力的ですよ。
―様々なメリットがあるeTapですが、どんな方に向いていますか?
上萩:こういったハイエンドの機材というとやっぱりレース向けという目で見られがちですが、私はどんな人にでもオススメできるコンポーネントだと思います。もちろん、レースでも使えますし、人とは違う機材を使いたいという方にもいいでしょう。実際に購入されるかは別として、操作方法が単純なので初心者の方にだってメリットは大きいと感じます。
生駒:そうですね。特に女性にはオススメしやすいのではないでしょうか。ブラケットも細くて握りこみやすいですし、リーチアジャストの幅も広く、かなりブレーキレバーを寄せられるので手の小さな女性にとっても扱いやすいでしょう。
また、機械式REDに比べると全体の重量では重くなってしまうのですが、ハンドル回りがかなり軽くなるため、eTapのほうがバイクを振った時やハンドリングなどは軽やかに感じますね。重量を気にするヒルクライマーにとっても、魅力的でしょうね。
上萩:好みが分かれる部分ではありますが、スイッチを操作した時の、「カチッ」「カチッ」という音は、ついつい意味もなく触りたくような気持ちのいいフィーリングですし、そういったはっきりとした操作感を求める人にはぴったりでしょうね。
生駒:あとは、意外にトラブルに強そうというイメージもあります。電池を前後入れ替えることができるので、電池切れによって完全に変速できないという状況に陥ることも少ないでしょうし、電池自体が小さいので予備を持ち歩いておくことも容易ですから、ロングライド派にも安心して使ってもらえるのではないでしょうか。
スラム RED eTapの真価を問う
「想像以上の完成度を持つコンポーネント」
―さて、最後発の電動コンポーネントにして初のフルワイヤレス変速機となるRED eTapですが、どのような印象ですか?
上萩:思っていた以上にコンポーネントとして、しっかりとしたプロダクトに仕上げてきたな、というのが第一印象ですね。
生駒:完成度が高いですね。やっぱりワイヤレスコンポーネントと聞いて、昔マヴィックが出していたメカトロニックを思い出してしまい、無意識に身構えるというか、疑う部分はあったのですが、その予想は良い意味で裏切られました。
上萩:少し疑いのまなざしを向けていたのは私も同じです(笑)プロレースの現場でしっかり活躍している事を考えると、完成度が高いのは当たり前なのかもしれません。逆説的に言えば、それほど「ワイヤレス」というのは画期的な進化なのではないでしょうか。
―ワイヤレス化によるメリットとは?
上萩:そうですね、やはり最初に思い浮かぶのは、見た目がスッキリするというポイントでしょう。ケーブルの有無で際立った性能差がなければ、やはり無い方が良いですから。
例えば、サイクルコンピューターはもはやワイヤレスが大半のシェアを持っている。数年前までは有線式のコンピューターをつけている人もいましたが、今ではめっきり減りましたよね。多少高くとも、ルックスも良くなる、取り付けも楽となれば、ワイヤレスを選ばない理由がありません。これはコンポーネントにも当てはまることだと思います。
生駒:自転車の性能をより引き出すという意味でも、ワイヤレス化は歓迎するべきでしょう。小さいサイズのフレームでは、ケーブルの取り回しが厳しく、ハンドリングに影響が出ているバイクも少なくありませんから、そういったバイクにとってはまさに福音となるでしょうね。力が要らない電動コンポーネントという意味でも、小柄な女性にとってはかなり扱いやすいのではないでしょうか。
―どの既存のコンポーネントとも異なる新しい操作方法ですが?
生駒:正直なところ、今までのコンポーネントの操作方法に慣れきっている私たちにしてみると、少し慣れるまで違和感があるとは思います。ですが、各レバーにスイッチが一つずつしか付いていない訳ですから、押し間違えるようなことは少ないでしょうし、冬場で厚手のグローブをしていても変速しやすいはずです。
上萩:私も慣れが必要だというのは同感ですね。やはり右手がリア、左手がフロントという動きが染みついているので、乗り始めてすぐは少し頭がこんがらがる時もありました。でも、何度か操作していると意外とすぐに順応することができますし、操作方法自体はとても理に適っているとも感じます。
生駒:そもそも、機械式の変速方式がややこしいんですよね(笑)右手と左手で重くする動きと軽くする動きが逆になっているというのは、ビギナーにとっては理解し難いでしょう。初めてスポーツバイクを触る人に、従来のコンポーネントとeTap、どちらが説明しやすいか、納得してもらいやすいかといえば、それは断然eTapだと思います。
上萩:欲を言うと、フロントの変速を自動で行ってくれると、分かりやすさではこれ以上ないコンポーネントになるだろうね。左を押せば軽く、右を押せば重くなる。説明終わり!となれば単純明快じゃないですか(笑)
生駒:実際シマノもその方向性に来ていますから、技術的には不可能ではないと思います。ファームウェアのアップデートなどで対応してくれると、とても嬉しいですね。そういった意味では、シクロクロスなどシングルスピードのバイクにも相性は良いでしょうね。
上萩:そうですね。シクロクロスもですが、トライアスロンでもシングル化の流れは起きつつあるので、そういった方々にとってはより魅力的なコンポーネントではないでしょうか。
確実な変速性能、はっきりとした変速フィーリング
―変速性能についてはどうでしょうか?上萩:変速ミスが起きるとか、変速しないというようなことは全くないです。スラムらしい変速フィーリングを機械式のREDからそのまま受け継いでいると感じました。
生駒:比較対象となると、価格帯としても似通っている電動デュラエースになると思います。滑らかに変速する電動デュラエースに対して、REDeTapはよりはっきりとした変速フィーリングになっていますね。それはシフトレバーのタッチや、操作音によって演出されている面も大きいと思います。
上萩:変速のスピードという面で両者を比べると、リア変速については遜色ありません。ただ、フロント変速についてはもう少し速くなっても良いでしょう。この辺りは、モーターのパワーが足りないというわけではなく、羽根の動く速度や動き方の問題だと感じました。
生駒:そうですね。ハードウェアの基本的な性能については申し分ないので、今後のソフトウェアのアップデートなどで改善されていくことは大いに期待できると思います。
―メンテナンス性などはいかがでしょう?
上萩:既に購入されたお客さんのバイクに組み付けた経験からすると、「こんなに速く終わっていいの?」というくらい、アッセンブルにかかる時間は減りましたね。メカニックからすると最高です(笑)
生駒:最近流行りのエアロ系のフレームだと、ケーブルの長さや取り回しを決めるのはとても時間がかかるものですが、その時間が圧倒的に短縮されるのは嬉しいですよ。どんどん増えてほしいですね(笑)
上萩:飛行機輪行などでもメリットは大きそうですね。飛行機に乗せる時は、リアディレイラーを外して、チェーンステーなどにくくるような処理をしますよね。eTapなら、チェーンのコネクトリンクを外してしまえば、リアディレイラーは完全にフレームから別で持っていくことができるようになります。リアエンド周りの心配をほとんどしなくて良いのは魅力的ですよ。
―様々なメリットがあるeTapですが、どんな方に向いていますか?
上萩:こういったハイエンドの機材というとやっぱりレース向けという目で見られがちですが、私はどんな人にでもオススメできるコンポーネントだと思います。もちろん、レースでも使えますし、人とは違う機材を使いたいという方にもいいでしょう。実際に購入されるかは別として、操作方法が単純なので初心者の方にだってメリットは大きいと感じます。
生駒:そうですね。特に女性にはオススメしやすいのではないでしょうか。ブラケットも細くて握りこみやすいですし、リーチアジャストの幅も広く、かなりブレーキレバーを寄せられるので手の小さな女性にとっても扱いやすいでしょう。
また、機械式REDに比べると全体の重量では重くなってしまうのですが、ハンドル回りがかなり軽くなるため、eTapのほうがバイクを振った時やハンドリングなどは軽やかに感じますね。重量を気にするヒルクライマーにとっても、魅力的でしょうね。
上萩:好みが分かれる部分ではありますが、スイッチを操作した時の、「カチッ」「カチッ」という音は、ついつい意味もなく触りたくような気持ちのいいフィーリングですし、そういったはっきりとした操作感を求める人にはぴったりでしょうね。
生駒:あとは、意外にトラブルに強そうというイメージもあります。電池を前後入れ替えることができるので、電池切れによって完全に変速できないという状況に陥ることも少ないでしょうし、電池自体が小さいので予備を持ち歩いておくことも容易ですから、ロングライド派にも安心して使ってもらえるのではないでしょうか。
インプレッションライダーのプロフィール
上萩泰司(カミハギサイクル )
愛知県下に3店舗を展開するカミハギサイクルの代表取締役を務める。20年以上のショップ歴を持つベテラン店長だ。ロードバイクのみならず、MTBやシクロクロスなど様々な自転車の楽しみ方をエンジョイしている。中でも最近はトライアスロンに没頭しているとのことで、フランクフルトのアイアンマンレースで完走するなど、その走力は折り紙つき。ショップのテーマは"RIDE with Us"。お客さんと共に自転車を楽しむことができるお店づくりがモットー。
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カミハギサイクル
生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)
兵庫県芦屋市に店舗を構えるbicycle store RIDEWORKSの店長を務める。スポーツバイク歴は30年。ショップスタッフ歴は16年ほどで、2010年3月より現職に。普段はお客さんと共にトライアスロンやロングライドなどの各イベントに参加し、自転車の楽しさを伝えている。ショップとしてのモットーは「機材にもサイクリストにも愛情を持って接すること」。愛車はスペシャライズドVenge ViasやシーポCATANA、シエロのMTB、ズッロなど、マスプロ系からハンドメイドまで。
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bicycle store RIDEWORKS
愛知県下に3店舗を展開するカミハギサイクルの代表取締役を務める。20年以上のショップ歴を持つベテラン店長だ。ロードバイクのみならず、MTBやシクロクロスなど様々な自転車の楽しみ方をエンジョイしている。中でも最近はトライアスロンに没頭しているとのことで、フランクフルトのアイアンマンレースで完走するなど、その走力は折り紙つき。ショップのテーマは"RIDE with Us"。お客さんと共に自転車を楽しむことができるお店づくりがモットー。
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カミハギサイクル
生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)
兵庫県芦屋市に店舗を構えるbicycle store RIDEWORKSの店長を務める。スポーツバイク歴は30年。ショップスタッフ歴は16年ほどで、2010年3月より現職に。普段はお客さんと共にトライアスロンやロングライドなどの各イベントに参加し、自転車の楽しさを伝えている。ショップとしてのモットーは「機材にもサイクリストにも愛情を持って接すること」。愛車はスペシャライズドVenge ViasやシーポCATANA、シエロのMTB、ズッロなど、マスプロ系からハンドメイドまで。
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bicycle store RIDEWORKS
提供:インターマックス 編集:シクロワイアード