2016/04/27(水) - 10:20
用途に応じて3つのモデルが用意される、Formula PRO TUBELESS。今回は軽快な走行感を追求した「Light」、耐パンク性能に特化した「X-Guard」の2モデルのインプレッションをお届けしよう。
最高のグリップ力を発揮する「RBCC」の他に、新型Formula PROは2つのモデルをラインアップしている。一つは走行抵抗と重量を低減することで徹底的に軽快さを追い求めた「Formula PRO TUBELESS Light」。もう一つは、耐パンクメッシュをタイヤ全面に張り巡らすことによって、飛躍的な耐久性を手に入れた「Formula PRO TUBELESS X-Guard」だ。
この2つのモデルと「RBCC」との最大の違いはRBCコンパウンドとは異なるカーボンコンパウンドを使用していること。使用されるコンパウンドは、IRCのハイエンドクリンチャータイヤ「ASPITE PRO」に採用された実績を持つものだ。
軽い走行性能と、確かなグリップ力を兼ね備えた「オールラウンド」なタイヤを実現すべく開発されたカーボンコンパウンドは、従来の低転がり性能を重視したコンパウンドと比較して4%、グリップ力重視のコンパウンドと比較すると実に9%も走行抵抗を抑えることに成功した。
グリップ力についても、低転がり性能を重視したコンパウンドから7%の向上を果たし、ハイグリップコンパウンドに迫るグリップ力を手に入れた。バランス良く進化した新開発コンパウンドを採用することで、「Light」と「X-guard」は共に前作を上回る動的性能を持つタイヤへと進化を果たしたのである。
「X-Guard」では、「Cross Guard++」というテクノロジーを採用。これは強度の高い40×40tpiのナイロン繊維クロス織りメッシュで、ビードからビードまでタイヤ全面を補強するというもの。これにより、サイドカットへの抵抗値が約40%向上している。
軽量性を求める「Light」にはこの耐パンクメッシュは配置されないが、その代わりに23cで245g、25cでも265gという重量を実現している。いわゆる超軽量チューブが60g弱、一般的なチューブが90g程度ということを考えると、170g~200gのクリンチャータイヤと同等といえるだろう。それでいて、パンクに強く、乗り心地に優れるというチューブレスタイヤならではのアドバンテージを持っている「Formula PRO TUBELESS Light」は軽量タイヤ特有の脆さを克服したといえるだろう。
軽快さの「Formula PRO TUBELESS Light」と、堅牢さの「Formula PRO TUBELESS X-Guard」。異なるキャラクターを持った2つのタイヤを宮澤崇史さんのインプレッションでお届けしよう。
Formula PRO TUBELESS Lightはその名の通りの軽さを感じるタイヤですね。RBCCと比べると50gくらい軽いのでは?と思ってしまうほどに軽快な走行感を味わえます。コンパウンドが異なるためでしょうか、乗り味もかなり違う方向ですね。RBCCがしっとりとしていたのに対して、かなり乾いた印象を受けました。
正直、舗装が良くないヨーロッパのレースで走る選手の目線であれば、使いたいのはRBCCとなるでしょう。トレッドが柔らかく、快適性とグリップ感に優れているからです。しかし、舗装の綺麗な日本で使うのであれば、僕ならLightを選びたいですね。
なんといっても、振りが軽い。ホイール以上に軽量化の恩恵が大きいタイヤですが、少し驚いてしまうほどキレのある走りが味わえます。発進時の加速でも、巡航時でも感じられる軽さがこのタイヤのエッセンスですが、中でも登りではまるで羽が生えたかのように際立った軽さを発揮します。
それは、重量の軽さと転がり抵抗の低さが相乗効果を生み出しているからこその特長なのでしょう。路面に接した部分の変形をタイヤ全体で受け止めるような、チューブレスならではの走行感が非常に上手く演出されていると感じます。
グリップ感はRBCCに比べると、少し落ちますね。それでも、一般的なレーシングタイヤの中では平均よりも高いグリップ力を持っているのは間違いありません。コーナーに自信があって走りの軽さを求めるレーサーにとっては心強い武器となるでしょう。
一方のFormula PRO TUBELESS X-Guardはかなり硬めの乗り味です。チューブレスらしさは3つのモデルの中では一番薄いように感じます。クリンチャータイヤ寄りの味付けで、しっかりとした存在感があるタイヤですね。
絶対的なグリップ力はLightと同等レベルですが、「グリップ感」はすこし薄くなりますね。耐パンクメッシュが入ったためにケーシングの剛性が上がり、タイヤの変形量が少なくなったためでしょう。ですので、他の2モデルよりは空気圧を落とすと良いでしょう。
とはいえ、このタイヤの本質は「パンクしない」という点です。それは、短時間のテストでは評価しきれない項目ですが、レーサーにとって最も大切な要素です。私がヨーロッパでレースを走っていて、常に感じていたのは「何があってもパンクしないタイヤが欲しい」ということでしたから。
その上で、レースを戦うに足る性能があるのかと言われれば、X-Guardは間違いなく及第点をつけることができるタイヤです。RBCCとLightの2モデルと比べると、少し重いことは事実ですが、その差は大きくない。少なくとも、パンクでレースを失うリスクよりも大きな違いがあるとは思いません。
実力以外の要素でレースを失うリスクを減らしたいストイックなレーサーや、なるべくトラブルを避けたいブルベなどの長距離ライドを楽しむ方こそが選ぶべきタイヤでしょう。
低転がり抵抗とグリップ力を両立した新開発のカーボンコンパウンド
最高のグリップ力を発揮する「RBCC」の他に、新型Formula PROは2つのモデルをラインアップしている。一つは走行抵抗と重量を低減することで徹底的に軽快さを追い求めた「Formula PRO TUBELESS Light」。もう一つは、耐パンクメッシュをタイヤ全面に張り巡らすことによって、飛躍的な耐久性を手に入れた「Formula PRO TUBELESS X-Guard」だ。
この2つのモデルと「RBCC」との最大の違いはRBCコンパウンドとは異なるカーボンコンパウンドを使用していること。使用されるコンパウンドは、IRCのハイエンドクリンチャータイヤ「ASPITE PRO」に採用された実績を持つものだ。
軽い走行性能と、確かなグリップ力を兼ね備えた「オールラウンド」なタイヤを実現すべく開発されたカーボンコンパウンドは、従来の低転がり性能を重視したコンパウンドと比較して4%、グリップ力重視のコンパウンドと比較すると実に9%も走行抵抗を抑えることに成功した。
グリップ力についても、低転がり性能を重視したコンパウンドから7%の向上を果たし、ハイグリップコンパウンドに迫るグリップ力を手に入れた。バランス良く進化した新開発コンパウンドを採用することで、「Light」と「X-guard」は共に前作を上回る動的性能を持つタイヤへと進化を果たしたのである。
軽さの「Light」、信頼性の「X-Guard」
「X-Guard」では、「Cross Guard++」というテクノロジーを採用。これは強度の高い40×40tpiのナイロン繊維クロス織りメッシュで、ビードからビードまでタイヤ全面を補強するというもの。これにより、サイドカットへの抵抗値が約40%向上している。
軽量性を求める「Light」にはこの耐パンクメッシュは配置されないが、その代わりに23cで245g、25cでも265gという重量を実現している。いわゆる超軽量チューブが60g弱、一般的なチューブが90g程度ということを考えると、170g~200gのクリンチャータイヤと同等といえるだろう。それでいて、パンクに強く、乗り心地に優れるというチューブレスタイヤならではのアドバンテージを持っている「Formula PRO TUBELESS Light」は軽量タイヤ特有の脆さを克服したといえるだろう。
軽快さの「Formula PRO TUBELESS Light」と、堅牢さの「Formula PRO TUBELESS X-Guard」。異なるキャラクターを持った2つのタイヤを宮澤崇史さんのインプレッションでお届けしよう。
インプレッション BY 宮澤崇史
Formula PRO TUBELESS Light 「羽が生えたかの如き走りの軽さが魅力」
Formula PRO TUBELESS Lightはその名の通りの軽さを感じるタイヤですね。RBCCと比べると50gくらい軽いのでは?と思ってしまうほどに軽快な走行感を味わえます。コンパウンドが異なるためでしょうか、乗り味もかなり違う方向ですね。RBCCがしっとりとしていたのに対して、かなり乾いた印象を受けました。
正直、舗装が良くないヨーロッパのレースで走る選手の目線であれば、使いたいのはRBCCとなるでしょう。トレッドが柔らかく、快適性とグリップ感に優れているからです。しかし、舗装の綺麗な日本で使うのであれば、僕ならLightを選びたいですね。
なんといっても、振りが軽い。ホイール以上に軽量化の恩恵が大きいタイヤですが、少し驚いてしまうほどキレのある走りが味わえます。発進時の加速でも、巡航時でも感じられる軽さがこのタイヤのエッセンスですが、中でも登りではまるで羽が生えたかのように際立った軽さを発揮します。
それは、重量の軽さと転がり抵抗の低さが相乗効果を生み出しているからこその特長なのでしょう。路面に接した部分の変形をタイヤ全体で受け止めるような、チューブレスならではの走行感が非常に上手く演出されていると感じます。
グリップ感はRBCCに比べると、少し落ちますね。それでも、一般的なレーシングタイヤの中では平均よりも高いグリップ力を持っているのは間違いありません。コーナーに自信があって走りの軽さを求めるレーサーにとっては心強い武器となるでしょう。
Formula PRO TUBELESS X-Guard 「運不運に左右されない安心感を与えてくれる」
一方のFormula PRO TUBELESS X-Guardはかなり硬めの乗り味です。チューブレスらしさは3つのモデルの中では一番薄いように感じます。クリンチャータイヤ寄りの味付けで、しっかりとした存在感があるタイヤですね。
絶対的なグリップ力はLightと同等レベルですが、「グリップ感」はすこし薄くなりますね。耐パンクメッシュが入ったためにケーシングの剛性が上がり、タイヤの変形量が少なくなったためでしょう。ですので、他の2モデルよりは空気圧を落とすと良いでしょう。
とはいえ、このタイヤの本質は「パンクしない」という点です。それは、短時間のテストでは評価しきれない項目ですが、レーサーにとって最も大切な要素です。私がヨーロッパでレースを走っていて、常に感じていたのは「何があってもパンクしないタイヤが欲しい」ということでしたから。
その上で、レースを戦うに足る性能があるのかと言われれば、X-Guardは間違いなく及第点をつけることができるタイヤです。RBCCとLightの2モデルと比べると、少し重いことは事実ですが、その差は大きくない。少なくとも、パンクでレースを失うリスクよりも大きな違いがあるとは思いません。
実力以外の要素でレースを失うリスクを減らしたいストイックなレーサーや、なるべくトラブルを避けたいブルベなどの長距離ライドを楽しむ方こそが選ぶべきタイヤでしょう。
提供:IRC 制作:シクロワイアード編集部