2015/10/21(水) - 12:06
ハイエンドモデル・ドグマF8のデビューから1年、そのテクノロジーを踏襲した待望の弟分「GAN」がデビューを飾った。カーボン素材別に3グレードが用意され、レディース用ジオメトリーのEZ-fitやディスクブレーキ仕様もラインアップされるバリューモデルを一挙乗り比べてみた。
これまでピナレロのセカンドモデルといえば、トップモデルと同じモールド(金型)をそのまま使用し、カーボン素材を変更して市場に受け入れやすい価格を狙ったモデルが歴代を張ってきた。最新の技術や性能をハイエンドのものだけにせず、値段は安くともルックスはハイエンドと瓜二つ!という様式は、ホビーライダーに広く受け入れられていたのだ。
そういった意味でも待ち望まれていたセカンドモデルの刷新は、GANシリーズのデビューという形で成し遂げられた。身にまとうアグレッシブなエアロフォルムはほぼドグマF8と同様で、これまでの通りカーボンのグレードを落としたことでコストパフォーマンスに繋げている。
F8の最たる技術的特徴であり、卵形断面の後ろ半分を切り落としたようなチューブ形状とすることでUCIの「3:1」ルールをクリアしながら、高い整流効果を発揮する「Flatback」をフレーム各所やシートポストに採用。前後ブレーキキャリパーやボトルが生む空気抵抗を最小限に留めるようなフレーム形状はそのままだ。
もちろんエアロだけではなく、アグレッシブなヘッドチューブやBB形状などはそのままで、左右バランスを均等化するアシンメトリックデザインや、イタリアン規格のスレッド式BBなどの堅実的な各部の仕様などピナレロイズムは全く薄れることが無い。
ドグマF8と非常に似通ったフォルムを持つGANだが、フレームそのものは新設計であり、フロントフォークやリアバックは微妙な形状変更が加えられている。それは購入するであろうサイクリストのレベルに応じた性能を実現するためであり、整備や調整を行いやすくするため、F8とは異なりシートクランプが臼式に変更されたことも見逃せない。
GANには上位グレードから順に「GAN RS」「GAN S」「GAN」という3グレードが用意されており、それぞれカーボン素材はT900、T700、T600。いずれもカーボン素材としてクラス最高レベルの性能を誇っており、実質上のピュアレーシングモデルに当たる「GAN RS」はリアルレーシングモデルとして必要十分以上の仕上がり、とピナレロは自信を見せる。ノーマルの「GAN」についてはシマノ105完成車で325,000円(税抜)とコストパフォーマンスに優れ、すでに世界規模で好調なセールスを記録しているという。
しかも3モデルはいずれもレディース仕様の「42EZ-fit」を加えた全11サイズという豊富なバリエーションが用意されており、サイズ選びで購入を断念することとは無縁だ。さらにGANをベースにしたディスクブレーキモデルも展開されており、多種多様なラインナップの中から好みの1台をチョイスできる。
今回インプレッションに用いたのは、GAN RSのアルテグラ完成車(560,000円、税抜)とGAN Sの105完成車(365,000円、税抜)、そしてGAN(105完成車のみ325,000円、税抜)という3種類だ。
三宅:3車種ともに分かりやすいほど乗り味の差が与えられていますよね。廉価版のGANは柔らかめでツーリング用途にバッチリで、GAN RSはドグマF8に近いほど硬さや反応性が与えられています。そしてGAN Sに関してはちょうどその中間。レースにも、ツーリングにも使うことのできるちょうど良いバランス感でした。
しかしどのモデルも高速走行時の風の抜けだったり、ハンドリングのキレの良さと安定感といった「ドグマらしさ」はそのままですし、同価格帯のライバル製品に対してもアドバンテージがあると感じました。
鈴木:GANとGAN Sは比較的性能は似通っているように思いました。GAN RSはその他2モデルから頭一つ抜け出してハイスペックです。たまには競技もやってみたいというスタンスの方にはGAN S、頑張って競技に打ち込みたい方にはGAN RSを性能面からオススメしたいですね。でもGANには不可能ということでは決してありませんよ。
3モデルとも共通しているのは、どんな動作をしても全く不安感が存在しないことですね。直進安定とクセの無いハンドリングは下りでのリラックスにつながりますし、ダンシングが軽すぎることも無い。3モデルがそれぞれのターゲットユーザーに対してちょうど良い性能をまとっていると思います。そしてルックスの良さ!ドグマと全くと言って良いほどに同じ見た目ですし、ピナレロ新世代を感じますよね。
そしてノーマルのGANでも価格に対して性能が落ちていないんです。GAN RSと比べてしまえば部が悪いものの、スッと脚を下せばスピードが伸びていく。だからツーリングにも最適です。S、RSとグレードが上がるにつれて機敏になりますから、レースでアタックに対応するとき、集団の加速に食らいつくときといった場面で活きてきます。RSともなるとかなり硬めで、ピュアレーシングバイクとして十分に使えますね。
三宅:GANとGAN Sに関しては、素性が良い分ホイールとタイヤが少し残念。購入してしばらく乗った後にはもう少しシャキッと走るホイールと高級タイヤに交換することをオススメします。きっとガラッと変わりますよ。例えばデュラエースC24やカンパニョーロのユーラスなど、軽く硬いアルミホイールが良いでしょうね。
鈴木:確かにその通り。マヴィックのキシリウムエリートやフルクラムのレーシング3を入れれば走りはもちろん、自転車の雰囲気も変わりますよね。10万円クラスのホイールなら必要にして十分でしょう。
三宅:GAN RSは比較的硬めですから、乗り心地が良くしなやかで軽いホイールですと全体のバランスが良くなりそう。対してGANと GAN Sはフレーム自体がソフトなので、硬めのホイールがマッチするでしょうね。
鈴木:ドグマの性能が抜け出ていることは確かですが、いちユーザーとしてはいかんせん高価ですよね。でもGAN RSならF8のフレームセットよりはるかに安くアルテグラ完成車が手に入ってしまうんです。でもルックスはドグマF8とほとんど一緒。ツール・ド・おきなわ市民210kmを目指すような方だって満足できるでしょう。
三宅:ドグマF8とGAN RSの差は、GAN RSとGAN S/GANの差よりも小さく感じました。だからそう言った意味でもGAN RSの価値は高いですね。GAN SはノーマルのGANに対して塗装も凝ってますし、所有欲は少なくないはずですね。
ドグマF8直系 ピナレロイズムを引き継ぐバリューモデル
これまでピナレロのセカンドモデルといえば、トップモデルと同じモールド(金型)をそのまま使用し、カーボン素材を変更して市場に受け入れやすい価格を狙ったモデルが歴代を張ってきた。最新の技術や性能をハイエンドのものだけにせず、値段は安くともルックスはハイエンドと瓜二つ!という様式は、ホビーライダーに広く受け入れられていたのだ。
そういった意味でも待ち望まれていたセカンドモデルの刷新は、GANシリーズのデビューという形で成し遂げられた。身にまとうアグレッシブなエアロフォルムはほぼドグマF8と同様で、これまでの通りカーボンのグレードを落としたことでコストパフォーマンスに繋げている。
F8の最たる技術的特徴であり、卵形断面の後ろ半分を切り落としたようなチューブ形状とすることでUCIの「3:1」ルールをクリアしながら、高い整流効果を発揮する「Flatback」をフレーム各所やシートポストに採用。前後ブレーキキャリパーやボトルが生む空気抵抗を最小限に留めるようなフレーム形状はそのままだ。
もちろんエアロだけではなく、アグレッシブなヘッドチューブやBB形状などはそのままで、左右バランスを均等化するアシンメトリックデザインや、イタリアン規格のスレッド式BBなどの堅実的な各部の仕様などピナレロイズムは全く薄れることが無い。
ドグマF8と非常に似通ったフォルムを持つGANだが、フレームそのものは新設計であり、フロントフォークやリアバックは微妙な形状変更が加えられている。それは購入するであろうサイクリストのレベルに応じた性能を実現するためであり、整備や調整を行いやすくするため、F8とは異なりシートクランプが臼式に変更されたことも見逃せない。
GANには上位グレードから順に「GAN RS」「GAN S」「GAN」という3グレードが用意されており、それぞれカーボン素材はT900、T700、T600。いずれもカーボン素材としてクラス最高レベルの性能を誇っており、実質上のピュアレーシングモデルに当たる「GAN RS」はリアルレーシングモデルとして必要十分以上の仕上がり、とピナレロは自信を見せる。ノーマルの「GAN」についてはシマノ105完成車で325,000円(税抜)とコストパフォーマンスに優れ、すでに世界規模で好調なセールスを記録しているという。
しかも3モデルはいずれもレディース仕様の「42EZ-fit」を加えた全11サイズという豊富なバリエーションが用意されており、サイズ選びで購入を断念することとは無縁だ。さらにGANをベースにしたディスクブレーキモデルも展開されており、多種多様なラインナップの中から好みの1台をチョイスできる。
今回インプレッションに用いたのは、GAN RSのアルテグラ完成車(560,000円、税抜)とGAN Sの105完成車(365,000円、税抜)、そしてGAN(105完成車のみ325,000円、税抜)という3種類だ。
インプレッション
使い方に合わせて選べる3つのラインナップ
三宅:3車種ともに分かりやすいほど乗り味の差が与えられていますよね。廉価版のGANは柔らかめでツーリング用途にバッチリで、GAN RSはドグマF8に近いほど硬さや反応性が与えられています。そしてGAN Sに関してはちょうどその中間。レースにも、ツーリングにも使うことのできるちょうど良いバランス感でした。
しかしどのモデルも高速走行時の風の抜けだったり、ハンドリングのキレの良さと安定感といった「ドグマらしさ」はそのままですし、同価格帯のライバル製品に対してもアドバンテージがあると感じました。
鈴木:GANとGAN Sは比較的性能は似通っているように思いました。GAN RSはその他2モデルから頭一つ抜け出してハイスペックです。たまには競技もやってみたいというスタンスの方にはGAN S、頑張って競技に打ち込みたい方にはGAN RSを性能面からオススメしたいですね。でもGANには不可能ということでは決してありませんよ。
3モデルとも共通しているのは、どんな動作をしても全く不安感が存在しないことですね。直進安定とクセの無いハンドリングは下りでのリラックスにつながりますし、ダンシングが軽すぎることも無い。3モデルがそれぞれのターゲットユーザーに対してちょうど良い性能をまとっていると思います。そしてルックスの良さ!ドグマと全くと言って良いほどに同じ見た目ですし、ピナレロ新世代を感じますよね。
そしてノーマルのGANでも価格に対して性能が落ちていないんです。GAN RSと比べてしまえば部が悪いものの、スッと脚を下せばスピードが伸びていく。だからツーリングにも最適です。S、RSとグレードが上がるにつれて機敏になりますから、レースでアタックに対応するとき、集団の加速に食らいつくときといった場面で活きてきます。RSともなるとかなり硬めで、ピュアレーシングバイクとして十分に使えますね。
三宅:GANとGAN Sに関しては、素性が良い分ホイールとタイヤが少し残念。購入してしばらく乗った後にはもう少しシャキッと走るホイールと高級タイヤに交換することをオススメします。きっとガラッと変わりますよ。例えばデュラエースC24やカンパニョーロのユーラスなど、軽く硬いアルミホイールが良いでしょうね。
鈴木:確かにその通り。マヴィックのキシリウムエリートやフルクラムのレーシング3を入れれば走りはもちろん、自転車の雰囲気も変わりますよね。10万円クラスのホイールなら必要にして十分でしょう。
三宅:GAN RSは比較的硬めですから、乗り心地が良くしなやかで軽いホイールですと全体のバランスが良くなりそう。対してGANと GAN Sはフレーム自体がソフトなので、硬めのホイールがマッチするでしょうね。
鈴木:ドグマの性能が抜け出ていることは確かですが、いちユーザーとしてはいかんせん高価ですよね。でもGAN RSならF8のフレームセットよりはるかに安くアルテグラ完成車が手に入ってしまうんです。でもルックスはドグマF8とほとんど一緒。ツール・ド・おきなわ市民210kmを目指すような方だって満足できるでしょう。
三宅:ドグマF8とGAN RSの差は、GAN RSとGAN S/GANの差よりも小さく感じました。だからそう言った意味でもGAN RSの価値は高いですね。GAN SはノーマルのGANに対して塗装も凝ってますし、所有欲は少なくないはずですね。
提供:カワシマサイクルサプライ 編集:シクロワイアード アパレル&ヘルメット協力:rh+