2015/07/14(火) - 20:27
7月4日からオランダ・ユトレヒトで開幕したツール・ド・フランス2015年大会。世界中のサイクリストの頂点に位置する22チーム、全198人が最強の座をかけて、今年もパリ・シャンゼリゼを目指していく。そのプロトンの中でも大きな存在感を見せるのが、シマノのコンポーネント「デュラエース」だ。
熱狂と共にオランダ・ユトレヒトで開幕したツール・ド・フランス。クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が群衆の中を駆け抜ける photo:Kei Tsuji
自転車利用に関して世界でも先進的な取り組みを見せるオランダ第4の都市、ユトレヒトをスタートし、21日間で3,350㎞を走破する今年のツール・ド・フランス。21ステージ中9ステージが平坦、3ステージが丘陵、7ステージが山岳(そのうち山頂フィニッシュは5ステージ)で、個人TTとチームTTが1ステージずつという構成は例年から大きく外れてはいないが、昨年から復活したパヴェステージは今年も設定され、各チームのメカニックを悩ませてくれる。
1ステージで8000kcalを消費するとも言われる日々を21日間戦い抜く選手たちにとって、厳しいトレーニングによって鍛え上げられた己の肉体こそが最も大きな武器となるのは間違いない。だが、自転車競技において機材がパフォーマンスに影響を与えることもまた事実。極限まで絞られたフィジカルを持つプロ選手たちが集うツールで使用される機材には、選手たちと同様に世界でも最高の性能と信頼性が求められているのは言をまたない。
いよいよ迎えたグランデパール。デュラエースとPROがその走りをサポート photo:Makoto.AYANO
ロットNLユンボのバイクに装着されたFC-9000。4アームクランクは今やスタンダードとなった photo:Makoto.AYANO
現在のレースシーンでは、Di2コンポーネントはプロトンに欠かせない存在となった photo:Makoto.AYANO
過酷とも言える高水準の要求を満たし、選手やメカニックをはじめとしたチームから最も高い信頼を得ているコンポーネントのひとつが、ものづくり大国日本が誇る世界最大の自転車パーツメーカー・シマノの最上級グレード「デュラエース」である。
どれだけデュラエースがプロレースの現場で信頼されているかは、採用するチーム数が示している。ツール参加全22チーム中、なんと17チームがデュラエースを使用しレースを戦っているのだ。昨年・一昨年も14チームが採用していたが、今年はさらにプロトンの中でも存在感を強めた。
その中でもシマノがスポンサードし機材供給を行うのは7チーム。ジャイアント・アルペシン、ロットNLユンボ、チームスカイ、オリカ・グリーンエッジ、FDJ.fr、BMCレーシングチーム、そしてトレック・ファクトリーレーシングという強豪チームだ。
TTバイクの整備に余念がない。Di2のメンテナンス性は現場からも高く評価されている photo:Makoto.AYANO
チームスカイのカールーフに積載されたバイクたち。チーム設立当初からデュラエースを愛用し続けている photo:Makoto.AYANO
プロ選手からの高い評価を得るPRO製品。多くのチームが認めるのには理由があるのだ photo:Makoto.AYANO
様々なバリエーションを誇るデュラエースホイールを使用するのは全6チーム。そして、熱成形でぴったりと選手個々人の足にフィットするカスタムフィットシューズや、トップスプリンターのパワーを受け止める、卓抜した剛性をもつPROのハンドルやステムといった製品もシマノはカバーしているのだ。世界中のレースシーンを見るにシマノに対する信頼度は際立って高いものがある。
長い旅路に駆け出すジャイアント・アルペシンの選手。前輪は高い空力性能を誇るWH-9000-C75 photo:Makoto.AYANO
TTでトップタイムを叩き出したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Tim de Waele
マイヨジョーヌに袖を通したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji
今大会唯一の個人タイムトライアルステージとなった第1ステージ。運河の張り巡らされたユトレヒトの街中を駆け抜ける13.8kmのフラットコースが用意され、スピードキングの座を争った第1ステージを制したのはBMCレーシングのローハン・デニス(オーストラリア)だった。元アワーレコード保持者の意地を見せつけ、マイヨジョーヌに袖を通した。
特に機材性能が結果に大きく左右するTT、それも開幕初日の勝利とあらばその高性能ぶり、信頼ぶりは言わずもがなであろう。そしてローハンの握るDHハンドルの先端には、デュラエースDi2のTTスイッチがあった。今や電動コンポーネントは珍しいものでは無くなったが、その先鞭をつけたのがシマノである。Di2コンポーネントの登場時、最高の集中力が求められるTTでのアドバンテージは特に多く語られたものだ。
マイヨジョーヌのローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)がイエローバイクを披露。ホイールはデュラエースWH-9000-C50チューブラー photo:Tim de Waele
第2ステージをスタートするロットNLユンボの選手たち photo:CorVos
ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)が念願のマイヨジョーヌを獲得 photo:Tim de Waele
爆風に見舞われた第2ステージ。チームスカイが集団ペースアップを開始する photo:Tim de Waele
落車リタイアになってしまったものの、第3ステージまでトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)がマイヨブランをキープした photo:CorVos
オランダファンの熱狂ぶりは、ジーランドへと至る第2ステージに暴風雨をもたらした。集団は木っ端微塵に粉砕され、その様子はさながら今年のヘント〜ウェベルヘムかのような。そこで機械式デュラエースをこよなく愛するファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)がスプリントで3着に入り、念願のマイヨジョーヌを獲得。
トラディショナルな方式ながらも、Di2を使うライバルに対して互角に戦えるだけの基本性能を持つ9000系デュラエースは、ワイヤー式コンポーネントの最高傑作と呼ぶにふさわしいクオリティに仕上がっていることをカンチェラーラは証明してみせたのだ。
チーム総合成績トップを堅持するBMCレーシング photo:Kei Tsuji
3級山岳ミュール・ド・ユイを先頭で登るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
マイヨジョーヌのクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が第4ステージのパヴェを走る photo:Tim de Waele
マイヨジョーヌに袖を通すクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
パヴェで果敢に動くワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) photo:Tim de Waele
アルデンヌクラシックを彷彿とさせるアップダウンコースで行われた第3ステージでは、フレーシュ・ワロンヌに登場する急坂を越えた後に、名高い「ミュール・ド・ユイ(ユイの壁)」の激坂フィニッシュが登場。残念ながらカンチェラーラは落車リタイアに遭ってしまったものの、またもデュラエースがマイヨジョーヌを受け取ることに。
幾多の名勝負を歴史に刻むユイの壁において、2年ぶりのマイヨジョーヌを目指すクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)は多くのライバル勢を後方に置き去りにし、2位でフィニッシュ。そして今大会に用意されたもう1つの壁「ミュール・ド・ブルターニュ」にフィニッシュが設けられた第8ステージでも好走し、マイヨジョーヌ最右翼としての存在感を示している。
アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)やサイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)が終盤を湧かせた第8ステージ photo:Kei Tsuji
第9ステージのチームTTで2位に入ったチームスカイ photo:Tim de Waele
下馬評通りの強さでチームTTを制したBMCレーシング photo:Tim de Waele
休息日前日に設けられたチームタイムトライアルでは、シマノサポートチームが1・2フィニッシュを果たす。一番時計を叩き出したのは第1ステージ優勝のローハン・デニス(オーストラリア)や総合優勝争いにおいて存在感が高まってきたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)らを擁すBMCレーシング。0.77秒差の2着はマイヨジョーヌが積極的に牽引したチームスカイ。またしてもデュラエースDi2やPROホイールはTTにおける大きなアドバンテージを見せつけたのであった。
シマノのハイエンドレーシングコンポーネント「デュラエース」はここまでの9戦中6勝、さらにはマイヨジョーヌをここまでの全日程でキープするという活躍ぶりを見せている。
シマノデュラエース9000/9070シリーズ (c)Shimano
正確無比な変速を支えるDi2のリアディレーラー、チェーン、スプロケット
豊富に用意されるDi2拡張用オプションスイッチ。STI以外での容易な変速を可能とした画期的なパーツだ
デビューから3年の月日が経過した9000系デュラエース。発表時には大きな話題となったリア11段変速や特徴的な4アームクランクは、すっかりプロトンに馴染み、今では欠かせない存在として定着している。今年、採用チームが増加したのも過去3年間で積み重ねてきた信頼によるものではないだろうか。
なかでも選手から圧倒的な支持を集めるのが、電動変速を採用するDi2コンポーネント。今から5年前に先代の7970系がツール・ド・フランスに投入されて以降、確実な変速、圧倒的に軽やかな操作感、雨や泥をものともしない堅牢性に、優れたメンテナンス性と、過酷なプロレースの現場で求められる性能を全て備えたコンポーネントとして選手たちに受け入れられ、急速に普及。今年も先に紹介したシマノサポートチームのライダー達のほとんどが電動デュラエースを使用している。
ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)がマイヨジョーヌを手に入れたバイク photo:Makoto.AYANO
TTバイクをセッティングするメカニシャン。チェーンリングはTT用の選手供給用のようだ photo:Makoto.AYANO
ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)のバイクに取り付けられれたTTスイッチ
更にオプションで設定されている「スプリンタースイッチ」や「サテライトスイッチ」「TTスイッチ」などはDi2コンポーネントの大きな魅力。デュラエース9070系では5つの接続ポートを持つSM-EW90-Bを組み合わせることで全てのスイッチを1台のバイクに組み込むこともできる。上ハンドルをもったリラックスポジションから下ハンドルを握りしめたスプリントポジションまで、どんなシチュエーションでもストレス無く変速できることは、コンマ1秒を争うトップライダーのみならず、ホビーレーサーにも間違いなくアドバンテージになるはずだ。今ツールでもTTやスプリントステージはもちろん、振動を抑えるべく上ハンドルポジションを強いられるパヴェステージでも、きっとこれらが選手達の走りを影で支えた事は間違いない。
また、従来のメカニカルタイプもDi2とそん色のない性能を持っていることも、デュラエース9000シリーズの大きな魅力である。事実カンチェラーラはブラケット形状の好みなどからあえて機械式を選択しているという。残念ながら「スパルタカス」はリタイアを強いられてしまったが、前述の通り自らの活躍で機械式9000系デュラエースの性能の高さを証明してみせた。
チームバス前に並べられたトレックファクトリーレーシングのバイクたち photo:Makoto.AYANO
PROのバトンホイール(プロトタイプ)が実戦テストを受けている。市販化が待ち遠しいアイテムだ photo:Makoto.AYANO
デュラエースとPRO製品をフル投入しているFDJ。同チームも長くデュラエースを採用している photo:Makoto.AYANO
チームスカイのバイクに搭載されたダイレクトマウントブレーキ photo:Makoto.AYANO
こちらはオリカ・グリーンエッジのTTバイク。バイク設計にも大きな変革を与えた photo:Makoto.AYANO
空力に配慮したダイレクトマウントブレーキも、その登場時には大きな話題を巻き起こした。今やダイレクトマウントブレーキありきで開発されたバイクが徐々に数を増しており、その姿はプロトンの中で既に一般的となってきた。
更にデビューから3年がたったこともあり、デュラエースに対応するパーツも充実してきたこともユーザーにとってはうれしいところ。特に4アーム対応のパワーメーターが各ブランドから用意されたことは特筆したい部分。高性能のシマノチェーンリングを使いつつ、パワーデータを計測することが出来るようになったのはストイックなアスリートにとっては大きなメリットとなるはずだ。
次回も引き続きシマノサポートチームの活躍をレポートしつつ、ツールで使用されているデュラエースホイールWH-9000系などに焦点を当てて紹介していく。また、最新機材についての情報も入り次第、紹介する予定だ。
プロトンの信頼を一身に受けるデュラエース

自転車利用に関して世界でも先進的な取り組みを見せるオランダ第4の都市、ユトレヒトをスタートし、21日間で3,350㎞を走破する今年のツール・ド・フランス。21ステージ中9ステージが平坦、3ステージが丘陵、7ステージが山岳(そのうち山頂フィニッシュは5ステージ)で、個人TTとチームTTが1ステージずつという構成は例年から大きく外れてはいないが、昨年から復活したパヴェステージは今年も設定され、各チームのメカニックを悩ませてくれる。
1ステージで8000kcalを消費するとも言われる日々を21日間戦い抜く選手たちにとって、厳しいトレーニングによって鍛え上げられた己の肉体こそが最も大きな武器となるのは間違いない。だが、自転車競技において機材がパフォーマンスに影響を与えることもまた事実。極限まで絞られたフィジカルを持つプロ選手たちが集うツールで使用される機材には、選手たちと同様に世界でも最高の性能と信頼性が求められているのは言をまたない。



過酷とも言える高水準の要求を満たし、選手やメカニックをはじめとしたチームから最も高い信頼を得ているコンポーネントのひとつが、ものづくり大国日本が誇る世界最大の自転車パーツメーカー・シマノの最上級グレード「デュラエース」である。
どれだけデュラエースがプロレースの現場で信頼されているかは、採用するチーム数が示している。ツール参加全22チーム中、なんと17チームがデュラエースを使用しレースを戦っているのだ。昨年・一昨年も14チームが採用していたが、今年はさらにプロトンの中でも存在感を強めた。
その中でもシマノがスポンサードし機材供給を行うのは7チーム。ジャイアント・アルペシン、ロットNLユンボ、チームスカイ、オリカ・グリーンエッジ、FDJ.fr、BMCレーシングチーム、そしてトレック・ファクトリーレーシングという強豪チームだ。



様々なバリエーションを誇るデュラエースホイールを使用するのは全6チーム。そして、熱成形でぴったりと選手個々人の足にフィットするカスタムフィットシューズや、トップスプリンターのパワーを受け止める、卓抜した剛性をもつPROのハンドルやステムといった製品もシマノはカバーしているのだ。世界中のレースシーンを見るにシマノに対する信頼度は際立って高いものがある。
開幕からマイヨジョーヌを手放さないデュラエース 9ステージ中6ステージを手中に収める
個人TTで幕あけたオランダでの2日間と、パヴェを含むクラシックレースさながらのステージが続いた含むベルギー/北フランスを駆け抜けた7日間を終えたツール・ド・フランス2015。デュラエースを使う選手は9ステージ中6勝を獲得するとともに、開幕からマイヨジョーヌを一度たりとも手放さず圧倒的な存在感を見せつけている。


今大会唯一の個人タイムトライアルステージとなった第1ステージ。運河の張り巡らされたユトレヒトの街中を駆け抜ける13.8kmのフラットコースが用意され、スピードキングの座を争った第1ステージを制したのはBMCレーシングのローハン・デニス(オーストラリア)だった。元アワーレコード保持者の意地を見せつけ、マイヨジョーヌに袖を通した。
特に機材性能が結果に大きく左右するTT、それも開幕初日の勝利とあらばその高性能ぶり、信頼ぶりは言わずもがなであろう。そしてローハンの握るDHハンドルの先端には、デュラエースDi2のTTスイッチがあった。今や電動コンポーネントは珍しいものでは無くなったが、その先鞭をつけたのがシマノである。Di2コンポーネントの登場時、最高の集中力が求められるTTでのアドバンテージは特に多く語られたものだ。





オランダファンの熱狂ぶりは、ジーランドへと至る第2ステージに暴風雨をもたらした。集団は木っ端微塵に粉砕され、その様子はさながら今年のヘント〜ウェベルヘムかのような。そこで機械式デュラエースをこよなく愛するファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)がスプリントで3着に入り、念願のマイヨジョーヌを獲得。
トラディショナルな方式ながらも、Di2を使うライバルに対して互角に戦えるだけの基本性能を持つ9000系デュラエースは、ワイヤー式コンポーネントの最高傑作と呼ぶにふさわしいクオリティに仕上がっていることをカンチェラーラは証明してみせたのだ。





アルデンヌクラシックを彷彿とさせるアップダウンコースで行われた第3ステージでは、フレーシュ・ワロンヌに登場する急坂を越えた後に、名高い「ミュール・ド・ユイ(ユイの壁)」の激坂フィニッシュが登場。残念ながらカンチェラーラは落車リタイアに遭ってしまったものの、またもデュラエースがマイヨジョーヌを受け取ることに。
幾多の名勝負を歴史に刻むユイの壁において、2年ぶりのマイヨジョーヌを目指すクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)は多くのライバル勢を後方に置き去りにし、2位でフィニッシュ。そして今大会に用意されたもう1つの壁「ミュール・ド・ブルターニュ」にフィニッシュが設けられた第8ステージでも好走し、マイヨジョーヌ最右翼としての存在感を示している。



休息日前日に設けられたチームタイムトライアルでは、シマノサポートチームが1・2フィニッシュを果たす。一番時計を叩き出したのは第1ステージ優勝のローハン・デニス(オーストラリア)や総合優勝争いにおいて存在感が高まってきたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)らを擁すBMCレーシング。0.77秒差の2着はマイヨジョーヌが積極的に牽引したチームスカイ。またしてもデュラエースDi2やPROホイールはTTにおける大きなアドバンテージを見せつけたのであった。
シマノのハイエンドレーシングコンポーネント「デュラエース」はここまでの9戦中6勝、さらにはマイヨジョーヌをここまでの全日程でキープするという活躍ぶりを見せている。
極限の攻防を支えるメインコンポーネント デュラエース9000シリーズ



デビューから3年の月日が経過した9000系デュラエース。発表時には大きな話題となったリア11段変速や特徴的な4アームクランクは、すっかりプロトンに馴染み、今では欠かせない存在として定着している。今年、採用チームが増加したのも過去3年間で積み重ねてきた信頼によるものではないだろうか。
なかでも選手から圧倒的な支持を集めるのが、電動変速を採用するDi2コンポーネント。今から5年前に先代の7970系がツール・ド・フランスに投入されて以降、確実な変速、圧倒的に軽やかな操作感、雨や泥をものともしない堅牢性に、優れたメンテナンス性と、過酷なプロレースの現場で求められる性能を全て備えたコンポーネントとして選手たちに受け入れられ、急速に普及。今年も先に紹介したシマノサポートチームのライダー達のほとんどが電動デュラエースを使用している。



更にオプションで設定されている「スプリンタースイッチ」や「サテライトスイッチ」「TTスイッチ」などはDi2コンポーネントの大きな魅力。デュラエース9070系では5つの接続ポートを持つSM-EW90-Bを組み合わせることで全てのスイッチを1台のバイクに組み込むこともできる。上ハンドルをもったリラックスポジションから下ハンドルを握りしめたスプリントポジションまで、どんなシチュエーションでもストレス無く変速できることは、コンマ1秒を争うトップライダーのみならず、ホビーレーサーにも間違いなくアドバンテージになるはずだ。今ツールでもTTやスプリントステージはもちろん、振動を抑えるべく上ハンドルポジションを強いられるパヴェステージでも、きっとこれらが選手達の走りを影で支えた事は間違いない。
また、従来のメカニカルタイプもDi2とそん色のない性能を持っていることも、デュラエース9000シリーズの大きな魅力である。事実カンチェラーラはブラケット形状の好みなどからあえて機械式を選択しているという。残念ながら「スパルタカス」はリタイアを強いられてしまったが、前述の通り自らの活躍で機械式9000系デュラエースの性能の高さを証明してみせた。





空力に配慮したダイレクトマウントブレーキも、その登場時には大きな話題を巻き起こした。今やダイレクトマウントブレーキありきで開発されたバイクが徐々に数を増しており、その姿はプロトンの中で既に一般的となってきた。
更にデビューから3年がたったこともあり、デュラエースに対応するパーツも充実してきたこともユーザーにとってはうれしいところ。特に4アーム対応のパワーメーターが各ブランドから用意されたことは特筆したい部分。高性能のシマノチェーンリングを使いつつ、パワーデータを計測することが出来るようになったのはストイックなアスリートにとっては大きなメリットとなるはずだ。
次回も引き続きシマノサポートチームの活躍をレポートしつつ、ツールで使用されているデュラエースホイールWH-9000系などに焦点を当てて紹介していく。また、最新機材についての情報も入り次第、紹介する予定だ。
提供:シマノ 企画/制作:シクロワイアード