本項ではいよいよ新型DEFYのインプレッションをお届けする。テストライダーはSPORTS CYCLE SHOP Swacchiの宗吉貞幸さん、湘南ベルマーレの橘田脩平さんという2名。油圧ディスクブレーキを装備したセカンドモデルの「DEFY ADVANCED PRO」と、その弟分である「DEFY ADVANCED」という2台を交互に乗り比べてもらった。

インプレッション

「脚に優しいのによく進む。とても驚かされた」
(宗吉貞幸 SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)

宗吉:「エンデュランスロード=ヤワい」という先入観を打ち崩してくれるような走りを見せてくれました。素直に良く進んでくれるバイクですね。乗り心地は良いのに、ロスが少ない。脚にも上半身にも優しさがあって、とても驚かされてしまいました。

「乗り心地は良いのに、ロスが少ない。脚にも上半身にも優しさがありとても驚かされた」「乗り心地は良いのに、ロスが少ない。脚にも上半身にも優しさがありとても驚かされた」
橘田:確かにそうですね。エンデュランスロードの重くダルい印象という印象を払拭してくれました。ザクっと言うと、縦に柔らかく横に硬いんです。シートステーの扁平形状が効いているので突き上げカットが素晴しいし、ペダリング時も適度なウィップがあるので脚に対して優しい。でも横方向にはしっかりと硬さが与えられているので、バイクを振った時にロスが出ないんです。

前のDEFYは重心がリア側にありましたが、それが少々前に移動している感じ。パイプ形状が変わった影響かもしれませんが、TCRと同じようなバランスですね。

宗吉:乗り心地が良いバイクは必ずと言って良いほど、登りはじめで引きずられるような重たさを感じていたのですが、DEFYにはそれがありません。ピュアレーシングバイクのような鮮烈な加速こそ無いものの、独特でスムーズな身のこなしを見せてくれました。特にシートステーに起因するサドルへの突き上げは段違いに改善されています。コースには段差のある溝が横切っていたりしたのですが、お尻をサドルから浮かすこと無くクリアできましたね。

「油圧ブレーキの制動力にも一切負けていない」「油圧ブレーキの制動力にも一切負けていない」 「普段行かないような道にも連れ出したくなるバイク」「普段行かないような道にも連れ出したくなるバイク」

—乗り心地と進みの良さはなぜ両立できているのでしょうか?

橘田:縦方向に柔らかいと言いましたが、もっと細かく言うとフレーム上側(トップチューブ〜シートステー)が積極的に動く一方で、BBを中心としたフレーム下側は強い。だから伝達ロスが少ないんでしょうね。

宗吉:今回油圧ディスクブレーキを搭載したモデルも試しましたが、急ブレーキを掛けてもフォークが負けていませんね。ギュッと減速してギュワッと曲がってもハンドリングは安定していましたし、優秀です。前作は高剛性に由来するクイックさが低速域で目立つように感じていたのですが、新型にはそれを感じません。乗ってすぐに手放しできるほど安定感に優れていました。

ヒラヒラとしたバイクは走り出しこそ軽快に感じるのですが、距離を重ねるにつれてどうしても疲れてしまいます。でもこのDEFYならばシビアな動作を求めてこないうえ振動吸収性能もずば抜けています。ロングライドで距離を重ねるほどにアドバンテージを得られるでしょう。

「BB周りの硬さゆえダンシングでの加速がとても優秀」
(橘田脩平・湘南ベルマーレ)

「横方向にはしっかりと硬さが与えられているので、バイクを振った時にロスが出ない」「横方向にはしっかりと硬さが与えられているので、バイクを振った時にロスが出ない」 橘田:レーサー目線で言うと、D-fuseポストが前後にしなるため、短い登りを強くシッティングで踏む場面はあまり得意としていません。一方で前述したようにダンシングでの加速は優秀ですし、身体への負担が少ないことから平地をコンスタントに踏み続けるような場合にも良いんです。

—ホビーライダー目線としてはどうでしょう?ビギナーにも向いていますか?

橘田:もちろんビギナーさんにとってはベストでしょう。乗りやすい上にお尻も痛くなりにくいし、前傾姿勢も緩やかです。いわゆるロードバイクの「痛い通過儀礼」が少なくて済むでしょうね(笑)。

宗吉:グランフォンドやセンチュリーライドを楽しみたいというニーズはとても大きいですから、お客様にもお勧めしやすいですよね。他のロングライドモデルよりも圧倒的にスムースかつ軽快ですから、ライダーさんのレベルが上がって、コースに峠を組み込むようになっても十分に対応できます。

—今回はフレーム自体は同じで、フォークとコンポーネント、そしてホイールが違う2モデルを乗り比べてもらいました。どうでしたか?

橘田:フォークによる違いはそこまで大きく出ていませんでした。むしろホイールによる差は大きく、上位モデルに導入されていたP-SL0ホイールは乾いた走行感で非常に好感を持てました。しかしどちらも非常にコストパフォーマンスが高いですから、どちらを選んでも間違いないでしょう。

タイトコーナーでも安定し、不安が一切無いタイトコーナーでも安定し、不安が一切無い
宗吉:まだUCIの認可も下りていないため、生粋のロードレーサー乗りとしてはディスクブレーキ装備のロードバイクはまだ受け入れづらいところがあると思います。しかし雨天や長いダウンヒルでは絶対的なアドバンテージがありますし、今回のテストでは将来性を感じました。車体が軽いため他のエンデュランスロードと比較してもアドバンテージが確実にありますし、遠くへ行きたいというニーズを持つ方、これからロードバイクを始めたい方にはお勧めです。

橘田:日本国内の道は路面状況が良いですが、海外では普通に石畳もあれば、グラベルもあります。普段はそういった走り方をしないのですが、このDEFYならば荒れたところにも行ってみたいという気持ちになりますね。身体へのダメージも少ないですから、耐久レースや長距離レースなど、長時間走り続ける必要があるイベントにも向いているでしょう。とにかくこのコストパフォーマンスだけでも買う価値はあると感じました。

インプレライダー プロフィール


橘田脩平(左、湘南ベルマーレ)、宗吉貞幸(右、SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)橘田脩平(左、湘南ベルマーレ)、宗吉貞幸(右、SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)

橘田脩平(湘南ベルマーレ)

1990年1月12日生まれ。湘南ベルマーレに所属し2011年実業団TTチャンピオンシップE1で3位入賞。2012年シーズンからJPTに参戦中。

レース外ではホノルルセンチュリーライドの実走サポートスタッフやキッズスクールを通じてサイクルスポーツの普及に努めている。大学院生として学業と並行してレース活動を続けることが目標。普段はTCR SLに乗る。

宗吉貞幸(SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)

千葉県流山市にある「SPORTS CYCLE SHOP Swacchi」のスタッフ。自転車歴は95年からはじめて、2014年で19年目を迎える。2013年の実業団in群馬でE2カテゴリ6位入賞するなど、アップダウンのあるスピードコースを得意とする。日本体育協会自転車公認コーチの資格も有し、ロードバイクスクール開催に熱心。ショップ店員としてのモットーはお客様に確かなものをオススメすること。

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提供:ジャイアント・ジャパン 編集:シクロワイアード編集部