2014/07/31(木) - 10:57
7月28日、3週間に及ぶ激闘を終えた選手達がパリへと凱旋し、ツール・ド・フランス2014は閉幕した。序盤で有力選手が相次いでレースを去る波乱の展開の中で、シマノサポートチームはステージ5勝、そして新人賞&総合3位獲得に貢献した。今回はシマノ・PROが支えた選手達の第3週での活躍を振り返ると共に、スポーツカメラCM-1000、PRO製品についても触れていく。
フランス人として17年ぶりの総合表彰台&新人賞を獲得したティボー・ピノ
生まれ故郷の近くを通る第10ステージを2位でフィニッシュし総合争いに名乗りを上げて以降、パリでの表彰台と新人賞を掛けて熾烈な戦いを繰り広げてきたティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)。第3週ではピレネー山脈3連戦に加え、今大会唯一となる個人タイムトライアルで快進の走りを見せた。
休息日開けながら今大会最長のタフな1日となった第16ステージから果敢な走りを見せたピノ。ゴール前に設けられた超級バレ峠でアタックを仕掛け、念願のマイヨブランを奪取すると共に表彰台圏内の総合3位へと順位を1つ上げることに成功。翌第17ステージでは一転して苦しみながらもライバルとのタイム差を最小限に抑え、総合3位をキープする。
そして大会最後の山岳決戦となった第18ステージでは再びアグレッシブな走りを見せ新人賞のリードを拡大すると同時に総合順位でも2位に。総合成績を決する第20ステージは苦手とするTTながら、自己ベストの走りを見せ総合順位を1つ落としたもののマイヨブランを堅守。総合3位でパリに凱旋しフランス人として17年ぶりに表彰台に登ると共に、新人賞を獲得するという好成績で今ツールを締めくくった。
そんなピノの走りをサポートしたのが、シマノが持つ技術の粋を結集し究極のストレスフリーを実現したロードコンポーネントの最高峰、9070系デュラエースDi2だ。組み合わせられるホイールには、コースプロフィールに関わらず軽量性とエアロを両立した35mmハイトのWH-9000-C35-TUを好んでチョイスした。
キッテルが2年連続シャンゼリゼゴールを制覇 今大会最多のステージ4勝をマーク
3大グランツールの中でも数多くの強豪スプリンターが集結するのがツール・ド・フランス。昨年の第100回大会でステージ4勝を達成し、最強スプリンターの名を確固たるものとしたのがマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)だ。今ツールでも多くの期待を背にスタートラインについた。
ゴール前の登りで多くのスプリンターが遅れをとった第1ステージでは、188cm/82kgという屈強な体躯から繰り出される爆発的なパワーに加え、持ち前の粘り強さを発揮し僅差で開幕スプリントを制しマイヨジョーヌ獲得に成功する。イギリスの首都ロンドンにゴールする第3ステージではトレインの強力な牽引から先頭でスプリントをスタートし、他を寄せ付けない圧倒的な走りで2勝目をマーク。
フランス本土に舞台を移した第4ステージは前日と対象的に混戦のスプリントとなったものの、再びキッテルはトップでゴールラインを駆け抜ける。そして、最終第21ステージではシャンゼリゼ大通りでの大集団スプリントを制覇。大会を通した安定的な走りで昨年に続く大会4勝を成し遂げた。また、「エスケープ・キラー」として一躍名を挙げた中国初のツール出場選手であるジ・チェンをはじめ、アシスト陣の懸命な走りがキッテルの勝利を大きく貢献していたことも忘れてはならない。
そんな、現代最強のスプリントチームの走りを支えるのもシマノの9070系デュラエースDi2とそのホイールラインアップ、そしてPROコンポーネントだ。中でもキッテルは全体的に剛性を重視したパーツを好んで使用し、ホイールにはエアロダイナミクスにも優れる50mmハイトのWH-9000-C50を、ハンドルまわりには特別仕様のカーボンステムを含むVIBEシリーズをアッセンブルしている。
シマノ・スポーツカメラCM-1000が捉えた ツール・ド・フランスの内側
昨今、世界的にアクションカメラ市場が盛り上がりを見せる中で、今大会から選手のバイクにオンボードカメラを取り付けることが許可された。もちろん、国内では今年始めにデビューを果たし好評を博しているシマノのスポーツカメラ「CM-1000」も実戦投入され、クリアな画質と軽さからその評価をさらに高めている。
改めてスペックを確認すると、CM-1000はサイズ7cm×4.4cm×3cmと多機能サイクルコンピューター並にコンパクトかつ86gと軽量なことが大きな特徴である。しかしながら、フルHD撮影機能、そしてハウジング無しで水深10mまで耐える密封構造と防水機能など、多数の機能を搭載している。
最大撮影サイズは1920×1080と標準的ながら、F2.0と他社製品よりも明るい撮影レンズや、暗所に強いバックライト付き1600万画素CMOSイメージセンサーを搭載。これによって曇りや雨の日、森の中など様々なシチュエーションで高画質な撮影を可能とした。その性能はシマノがYouTube上に公開している動画から確認できる(なお、チームスカイがシマノ・スポーツカメラCM-1000を用いて撮影し、YouTube上に公開している迫力のオンボード映像がこちらだ。是非見てみよう)。
また、ツール以外のUCIワールドツアーレースでも試験的にアクションカムの使用を認可しており、5月のツアー・オブ・カリフォルニアではジャイアント・シマノが使用。以下の動画のほか、迫力あるムービーの数々が公開され注目を集めている。是非こちらもチェックしてみて欲しい。
また、CM-1000だけの特徴としてあげられるが、Di2コンポーネント及びワイヤレスユニットとの組み合わせることでスピード、ケイデンス、パワー、心拍、ギアポジションを同時に記録できること。9月にリリースされる予定の専用編集ソフトをPCにダウンロードすれば、これらの情報と一緒に動画を編集することが可能だ。プロロードレース界におけるアクションカメラの活用法については手探りの状態だが、ジャイアント・シマノなどスプリントを得意とするチームは動画と測定データを組み合わせてトレインやライディングの高効率化への情報ツールとして、今後役立っていくかもしれない。
プロライダーからの様々なニーズに対応する豊富なバリエーションが揃うPRO
シマノがプロデュースし、ハンドルやステム、シートポスト、ディスクホイールなど多岐に渡る製品ラインナップを誇るコンポーネントブランド「PRO」。今回のツールではシマノがサポートする6チームのうち、ジャイアント・シマノ、FDJ.fr、ベルキン(ホイールのみ)、チームスカイ、オリカ・グリーンエッジの5チームがPROのプロダクトを使用し、激闘の3週間を戦い抜いた。その最大の特徴は、好みや体型が異なる多くのプロライダーからの様々なニーズに対応する豊富なバリエーションとユニークなアイテムの数々といえるだろう。その最たる例が、サポートライダーの中でも一際大きな活躍を見せたピノとキッテルが共に使用するハンドルバー「VIBE」シリーズだ。
フラットバーのグリップ部分をクランプ部分とほぼ同等の直径とするという独自の方法で、プロが求める剛性レベルを実現。ドロップ部分の形状もユニークで、シェアの高いコンパクト、キッテルが愛用するアナトミックに加え、横から見ると「コ」の字型のトラディショナルかつユニークな「ラウンド」の3種類を揃えている。
また、ステムを例に取ると、キッテルら屈強なスピードマンを揃えるジャイアント・シマノには剛性を追求した特別仕様の「Vibe Sprintカーボン」を、チームスカイには1mm刻みで長さを揃える未発売の特別モデルを供給。ホイールでは一部選手から要望があるというバトンホイールのプロトタイプを実戦投入している。
総じて、PRO製品はプロ選手の意見を積極的に取り入れた、まさに”PRO”スペックコンポーネントなのである。そのフィードバックは選手のみならず、ホビーレーサーも享受できる。様々なラインナップの中から、競技レベルの違いはもちろん、予算、性別や体格に合わせて最適な商品をチョイスすれば、個々のライダーの能力を更に引き出してくれるだろう。
次の100年へと新たな一歩を踏み出した第101回ツール・ド・フランスにおいて、シマノのコンポーネントはサポートチームにステージ5勝、新人賞及び総合3位表彰台をもたらし、その性能の高さを改めて証明した。ブエルタ・ア・エスパーニャや世界選手権などビッグレースが続くシーズン終盤戦もシマノコンポーネントの活躍に注目だ。
提供:シマノ 企画/制作:シクロワイアード