Selle Royal社のハイエンドモデルブランドとして、1996年に誕生したフィジーク。登場以降大ブレイクし、今もサドルラインナップの中心となっているアリオネや、軽量化しつつ広い座面やパッド量を誇るアンタレスなど、エポックメイキングな製品を次々と世に送り出してきた。

今年のツール・ド・フランスでは実に10チームがフィジークサドルを使用した今年のツール・ド・フランスでは実に10チームがフィジークサドルを使用した
フィジーク製のサドルは多くのトッププロチームに採用され、これまでにクラシックレースやグランツールでの、幾多の勝利獲得に貢献してきた。特に2013年は8つのプロツアーチームに採用され、ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア)のジロ・デ・イタリア優勝、クリス・フルーム(イギリス)のツール・ド・フランス優勝などに貢献。スペシャルカラーにあしらわれた特別製のサドルも脚光を浴びたのだ。

ジロ・デ・イタリアを制したヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア)ジロ・デ・イタリアを制したヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア) ツール・ド・フランスを制したクリス・フルーム(イギリス)ツール・ド・フランスを制したクリス・フルーム(イギリス)



そんなフィジークのサドルラインナップは、2014年モデルで大きな進化を遂げた。ここでは特に注目すべき4モデルをピックアップして紹介する。まずは奇抜なデザインを採用し、話題を巻き起こしているVOLTA(ヴォルタ)から説明しよう。

VOLTA 断面形状に着目したネオクラシックサドル

2014年サドルラインナップ中、最も注目を集めるヴォルタ2014年サドルラインナップ中、最も注目を集めるヴォルタ
フィジークは本スペシャルコンテンツvol.1でも紹介した通り、骨盤の柔軟性に応じたスパインコンセプトを導入している。しかし、このヴォルタはそれには当てはまらず、全く新しいアプローチで考えられたサドルだ。

サドルの長さや幅、面積にとらわれず、断面形状に着目して作られたことがヴォルタ最大の特徴だ。開発にあたっては、メーカーを問わず過去の名作サドルをCTスキャンしてデータの集積を行い、最新の解釈に基づいてデザインされている。かなり前衛的なスタイルながら、実際はクラシック。それがヴォルタだ。

前衛的なデザインながら、クラシックサドル派に向けたアイテムだ前衛的なデザインながら、クラシックサドル派に向けたアイテムだ R1にはメビウスレールを採用するヴォルタ(写真はサンプル。ホワイトxグレーxブルーは、実際にはR3(k:iumレール)のみのカラー)R1にはメビウスレールを採用するヴォルタ(写真はサンプル。ホワイトxグレーxブルーは、実際にはR3(k:iumレール)のみのカラー)

サドル長はアリオネとほぼ同じながら、断面形状はラウンド(かまぼこ)形状を採用。これによって前後はもちろん左右への骨盤の動きを妨げず、通じて腰痛の発生を軽減する効果があるという。コーナリング時にサドルに内股をあてて曲がるスタイルにも対応した、長めのサイド形状も特徴的だ。最新フォーム成型技術とカーボンコンポジットシェルの採用により165gと超軽量に仕上げられた「R1」と、ガラス繊維コンポジット&キウムレールを採用したエントリーモデル「R3」の2タイプがラインナップされる。

フィジーク VOLTA R1
シェルカーボン・サーモプラスチック・ツインフレックス
レールメビウス・カーボンブレイデッド 7×9mm
カラーブラック、ホワイト
重量165g
価格30,730円
フィジーク VOLTA R3
シェルグラスファイバー/サーモプラスチック・コンポジット
レールキウム
カラーホワイトxグレーxブルー、ブラックxグレーxレッド
重量205g
価格18,780円(税込)



VERSUS Xシリーズ より深くなったチャンネルで、更なる快適性を目指す

穴を空けることなく溝(チャンネル)を設けることで剛性低下を防ぎつつ、圧迫を回避するというコンセプトに則ってラインナップされるVERSUS(バーサス)シリーズ。更なるダイナミックな圧力分散をテーマとして開発されたバーサスの進化版が、このVERSUS Xだ。
AntaresVSX braidedAntaresVSX braided
20mmと深いチャンネルを設けたARIONE VSX20mmと深いチャンネルを設けたARIONE VSX 新開発フォームとベースにウイングフレックスを備えることで快適性を高めている新開発フォームとベースにウイングフレックスを備えることで快適性を高めている

チャンネル部分は最大20mmと、バーサスと比較してより深くなり、新開発フォームとベースにウイングフレックスを備えることで、体重移動を容易にするとともにロングライドでのストレスを軽減。アッパーは両サイドとセンターで異なる性質のマイクロテックスを熱圧着成型し、軽量かつ滑り防止に貢献している。ナイロン・カーボンのシェルとカーボンレールを備え軽量なトップモデルに加え、キウムレールを採用したモデルも用意されている。アリオネ、アンタレス、アリアンテの3モデルがラインナップ。

VERSUS X BRAIDED
シェルナイロン・カーボン
レールカーボンブレイデッド 7×9mm
カラーブラック×ブラック
重量ARIONE 220g、ANTARES 210g、ALIANTE 229g
価格22,980円
VERSUS X k:ium
シェルナイロン・カーボン
レールキウム
カラーブラック×レッド
重量ARIONE 250g、ANTARES 240g、ARIANTE 259g
価格16,510円



THAR レールを延長し、29erMTBのポジションに最適化

レールを延長し、29erMTBのポジションに最適なTHAR K:IUMレールを延長し、29erMTBのポジションに最適なTHAR K:IUM THAR(タール)は、29erバイク向けに開発された世界で唯一のMTBサドル。ホイールベースの長い29erMTBはシートチューブ角がやや寝ているため、サドル自体がどうしても後ろに位置してしまうという問題があった。これを解消すべく誕生したタールは、テール付近までレールを延長したことで、従来モデルに対してサドル位置を25mmも前にすることを可能としている。

またクーヴァ同様に硬度の異なる「チューナー」が付属しているため、これを交換することでサドルのテンションを好みに応じて調整することができるのだ。さらにレールは交換可能となっており、激しいライディングやクラッシュしてしまった場合でも心配要らず。ナイロン・カーボンベースに、キウムレール採用モデル(重量195g)と、マンガネーゼレール採用モデル(重量225g)の2モデルあり。

THAR 29er k:ium
シェルナイロン・カーボン
レールキウム
カラーブラック×ブラック, ブラック×レッド
重量195g
価格14,240円
THAR 29er Manganese
シェルカーボン強化ナイロン
レールマンガネーゼ
カラーブラック/ホワイト
重量225g
価格10,840円



TORITONE BRAIDED フィジークが開発したノーズレスサドル

TORITONE BRAIDED(トライトーン・ブレイデット)は、昨今トライアスロン界でブームとなっているノーズレスタイプのトライアスロン/タイムトライアル用サドル。先割れタイプと異なりベース自体が一体であることから型くずれに強く、中央部にはチャンネルを設けることで前乗り時の圧迫を最小限にとどめていることが特徴だ。

TRITONE k:iumTRITONE k:ium 中央にはチャンネルを用意し、前乗り時の圧迫を最小限にとどめる中央にはチャンネルを用意し、前乗り時の圧迫を最小限にとどめる

サドル長は24cmであることから、UCIの公認レースでの使用が可能。後部にボトルケージ2本とスペアチューブ、そしてCo2カートリッジを搭載できるステーが付属する。シェルはナイロンカーボン、レールはカーボンブレイデットを採用し、重量は220g。キウムレール搭載モデルも用意されている。TORITONE BRAIDEDの登場により、更にフィジ−クのラインナップが拡充したと言えよう。

TRITONE braided
シェルナイロン・カーボン
レールカーボンブレイデッド 7×9mm
カラーブラック×ブラック
重量220g(カートリッジキット含まず)
価格31,050円
TRITONE k:ium
シェルナイロン・カーボン
レールキウム
カラーブラック/レッド、ブラック/ホワイト
重量250g
価格20,070円

提供:カワシマサイクルサプライ text:シクロワイアード編集部