2013/11/22(金) - 19:17
アージェードゥーゼルとの共同開発で生まれたコックピットシステム
2012年秋の終わりからスタートしたコックピットシステムの開発は、フランスに籍を置くUCIプロツアーチーム、アージェードゥーゼルと共に行なわれた。
「彼らを選んだ理由は3つある。」と語るのは、ブランド・ディレクターのアルベルト・フォンテ氏。「1つは今年から我々と関係が深いフォーカスのバイクを使用していること。2つめはタイプの異なるレーサーが在籍していて、それぞれが成長過程にあると言うこと。そして最後に、メディアが追いかけ回すようなスーパースターがいないことだよ(=開発がリークされることなく、スムーズに進められる)」と笑う。
アージェードゥーゼルへとコックピットシステムのテストサンプルが供給されたのは、2013年の初旬のこと。それ以降様々なテストが精力的に行われ、2月のツアー・ダウンアンダーでの実戦デビューを果たすこととなった。
「最初は慣れ親しんだパーツを変えることに抵抗がある選手もいたようだけど、乗り込んでいくうちに納得してもらえたようだ。特にハンドルバーは、スプリントに強い選手から、”フィットしたものに変えたことでバイクとの一体感が得られた” と評価してもらえたよ。」とはフォンテ氏。
以降、悪路で名高い春のクラシックレースやグランツールを経て、遂にこの度製品版のデビューを迎えた。フィジークのコックピットシステムは、まさにレースの現場で鍛えられた100%プロスペックなのである。
開発チームに聞くフィジークの進化
「フィッティングスタジオと連携しデザインした」
ルカ・ヴィアーノ氏(プロダクトマネジャー)
コックピットパーツの開発にあたり、最も苦心したのはハンドルのリーチとドロップの設定ですね。2年以上前から北米のフィッティングスタジオとタッグを組み、体格にフィットしてパフォーマンスを引き出せるポジションについての研究を続けました。そうして完成したのがシラノ・ハンドルバーの数値なのです。どのアニマル(=フィジークの提唱する柔軟度のチャート)でも、シッティングでブラケットを握った際、ヒジの角度が自然になるよう設計しました。更にバーのどの位置を握っても、首の後傾がきつくなったり、上体の前傾が大きくならないようデザインしたことも大きな特徴です。
また、サドルに関しては「今回は特に体重のあるユーザーからのリクエストに応じて、従来モデルよりもチャンネル(溝)を深く取ったVERSUS Xを開発しました。これは新しい構造のフォームを取り入れたことで荷重を分散し圧迫を和らげるとともに、スムーズな体重移動を可能にしています。
スパインコンセプトからは少し外れますが、「ボルタ」にも注目して欲しい。これは最新のレースバイクに今もビンテージもののサドルを付けてる50~60歳代のサイクリストに向けたサドルです。コンセプトはアリオネに近く、腰に痛みを抱えているサイクリストのため、スムーズにペダリングできるようデザインしているのです。フィジークらしい製品と言えるでしょうね。」
「今までなかったフィッティングへの提案 」
マルコ・アーレンズ氏(エリアマネジャー)
新しいスパインコンセプトは、今までになかったコックピットシステムの選択方法なんです。これまでハンドルバーのシェイプやリーチ、ドロップは、ほとんどライダー個人やプロショップの経験則を基準に選ばれていました。バイクやウエアと違ってカスタマーがテストできる機会は限られている上、"プロレーサーが使っている"というトレンドも加わってくると、最初からベストなものに出会える確率は宝くじみたいなものだったはずです。
そこで、我々がこれまでに積み重ねてきたプロレーサーとの製品開発プロセスや、ラボでの研究から得られた数値を元に生まれたのが、3アニマルサドルに対応するシラノ・ハンドルバーとシラノ・ステム。これにはあなたの理想のポジションを見つけるための近道となるでしょう。近い将来にはサドル同様テストキットも考えているから、ショップで試してもらうこともできるはずです。
提供:カワシマサイクルサプライ text:シクロワイアード編集部