2013/09/13(金) - 21:09
2014年トレックのロードバイクでは、フラッグシップモデルであるマドン7のマイナーチェンジと、人気の高い4シリーズ、そして1シリーズのフルモデルチェンジがトピックスである。更に視野を広げると、タイムトライアルバイク「スピードコンセプト」のフルモデルチェンジも行われている。上位モデルから順に紹介していこう。
また、今回は普段からマイバイクとして現行のマドン7に乗る元プロロードマンの阿部良之さん(Bicicorsa AVEL店長)に、新型のマドン7、マドン4、スピードコンセプトの3台をそれぞれインプレッションしてもらった。
レディオシャック・レオパードの選手達が実際に今ツールで駆った新生マドン7の特徴は、より軽量化されたフレームと、よりボリュームを増したチェーンステーの2カ所。2013年モデルですらフレーム750gを達成するなど"超軽量"にふさわしい重量であったが、新生マドン7は更に25gを削り取り、56cmのフレームサイズ+U5 Vapor Cortカラー仕様車ではフレーム725gという、600g台を目前に控えるレベルにまで載せてきた。
チェーンステーは、一度前モデルを観察した方ならば、すぐに気づくほど大きく形状を変えた。特に前半、つまりBBに近い部分がよりボリュームを増し、縦に幅広い断面形状とされている。これはつまり、フロントエンドとの剛性バランスを最適化し、ライドクオリティーやパワー伝達効率、そしてリアブレーキの制動力をより増すことに繋げているのだ。
もちろん翼断面の後端を切り落としたようなKVF形状のチューブデザインなど、基本設計は受け継いでいるため、グランツールでの活躍に見られるような高い運動性能はそのまま引き継がれている。当然プロジェクトワンに対応しているため、レディオシャック・レオパードの選手達と全く同じ仕様のバイクを手に入れることが可能だ。
ハイエンドモデルながらクセが無く、とても乗りこなしやすいことが従来マドン7の特徴でした。新生マドン7もその特徴を引き継いでおり、とても安定しています。変更点はチェーンステーのみと聞いていましたが、一部分では無く、全体的に剛性感が増したように思いました。ハンドリングに関しては、倒し込んだら倒し込んだほどに素直に曲がってくれます。あまり直進安定志向とは感じません。峠の下りが好きな方には向いているしょう。
とにかく走りの軽さ、そして重量の軽さを求める方には最適なマシンだと思います。デュラエースクラスのコンポーネントで組めば簡単に超軽量マシンが完成しますし、ヒルクライムに注力したい方には特におすすめしたいと思います。登録系ピュアレーサーはもちろん、快適性も高いため、本気でエンデューロに取り組む方にもおすすめです。
しなやかさと剛性・強度を兼ね備えるOCLV400カーボンはそのままに、生まれ変わったマドン4最大の特徴は、上位モデルと同じKVFシステムを取り入れたことだろう。翼断面の後端を切り落としかのようなフォルムはあらゆる方向からの風に対処し、ライダーの疲労をより少なくさせ、目的地へとより早く到達できることだろう。
差異もある。マドン7〜マドン5でBB下に設置されるリアブレーキは、従来と同じくシートステーにブリッジを設けて取り付ける形だ。(BB下ダイレクトマウント方式に比べて)エアロ性能とシートステーをしならせることに対しては不利ではあるが、整備性の高さははむしろマドン4をチョイスするホビーライダーにとっては他に勝るメリットとも言えるだろう。
また、2014年モデルよりマドン4とドマーネ4がプロジェクトワン対応となったことも大きなトピックスだ。従来ハイエンドモデルに限定され敷居の高かったオーダーシステムは、より身近な存在となった。サービスの開始は9月中となっており、詳細なプライスは未発表ではあるものの、安価なプライスで好みのバイクを仕立てることができる。
乗りやすさがあるため、初心者の方はもちろんのこと、エンデューロ系のイベントやレベルには特に向いていると言えます。一方で走り性能も高いため、例えばJBCFのE3やE2カテゴリーのレースならば充分に、かつ問題無く対応してくれるでしょう。
私は現在マドン7に乗っていますが、それと比較した場合には加速に関してやや鈍さが否めません。しかし値段が倍以上するバイクと比べるのは酷ですし、価格以上の性能は保証できます。リアブレーキも上側ですので、コンポの乗せ替えも余計なコストが発生せずお財布に優しいですね。
遂に人気の4シリーズも上位モデルと同じKVF形状のフレームを採用しました。更にプロジェクトワンに対応したため、とてもバリュー感あるモデルとなりましたね。
大出力でスプリントをかけた場面では流石にロードバイクには及びませんが、縦方向に加えしっかりと横方向の剛性も確保されています。速度が乗れば乗るほどにフィーリングが高まり、直進安定志向ながら操作性も悪く感じませんでした。カーボンディープリムのホイールで試しましたが、ロープロファイルのアルミホイールなど、様々なホイールを入れ替えて試してみたいところですね。
様々なストレージが用意されていますが、特にシートチューブ後ろのボックスは容量が大きくなり、使いやすくなりました。予備のチューブラータイヤが入るため、実戦仕様でより気軽に練習に出かけることができます。ハンドル部分はねじ類が少なく、かつ調整幅も広く取られているため、飛行機輪行などでもストレスが少なく済みそうです。
また、今回は普段からマイバイクとして現行のマドン7に乗る元プロロードマンの阿部良之さん(Bicicorsa AVEL店長)に、新型のマドン7、マドン4、スピードコンセプトの3台をそれぞれインプレッションしてもらった。
Madone7&6 マイナーチェンジを遂げたフラッグシップモデル
2012年の序盤に、全く新しいハイエンドロードとして産声を上げたマドン7。しかし日進月歩の開発競争の中、早くも1年でマイナーチェンジを受けることとなり、2013年のツール・ド・フランス開催を前に2014年モデルの発表が行われていた。レディオシャック・レオパードの選手達が実際に今ツールで駆った新生マドン7の特徴は、より軽量化されたフレームと、よりボリュームを増したチェーンステーの2カ所。2013年モデルですらフレーム750gを達成するなど"超軽量"にふさわしい重量であったが、新生マドン7は更に25gを削り取り、56cmのフレームサイズ+U5 Vapor Cortカラー仕様車ではフレーム725gという、600g台を目前に控えるレベルにまで載せてきた。
チェーンステーは、一度前モデルを観察した方ならば、すぐに気づくほど大きく形状を変えた。特に前半、つまりBBに近い部分がよりボリュームを増し、縦に幅広い断面形状とされている。これはつまり、フロントエンドとの剛性バランスを最適化し、ライドクオリティーやパワー伝達効率、そしてリアブレーキの制動力をより増すことに繋げているのだ。
もちろん翼断面の後端を切り落としたようなKVF形状のチューブデザインなど、基本設計は受け継いでいるため、グランツールでの活躍に見られるような高い運動性能はそのまま引き継がれている。当然プロジェクトワンに対応しているため、レディオシャック・レオパードの選手達と全く同じ仕様のバイクを手に入れることが可能だ。
インプレッション by 阿部良之(Bicicorsa AVEL)
従来モデルの7に現在乗っていますが、それと比較してより硬く、そして踏み込みに対する反応速度が増したと感じました。従来モデルでも軽さが際立っていましたが、その部分は全く変わっておらず、むしろ硬さと相まって余計に走りの軽さを感じます。ハイエンドモデルながらクセが無く、とても乗りこなしやすいことが従来マドン7の特徴でした。新生マドン7もその特徴を引き継いでおり、とても安定しています。変更点はチェーンステーのみと聞いていましたが、一部分では無く、全体的に剛性感が増したように思いました。ハンドリングに関しては、倒し込んだら倒し込んだほどに素直に曲がってくれます。あまり直進安定志向とは感じません。峠の下りが好きな方には向いているしょう。
とにかく走りの軽さ、そして重量の軽さを求める方には最適なマシンだと思います。デュラエースクラスのコンポーネントで組めば簡単に超軽量マシンが完成しますし、ヒルクライムに注力したい方には特におすすめしたいと思います。登録系ピュアレーサーはもちろん、快適性も高いため、本気でエンデューロに取り組む方にもおすすめです。
Madone4 上位モデル同様のエアロフレームにモデルチェンジ
比較的買い求めやすいリーズナブルな値段設定と、それを凌駕する走行性能で高い人気を誇るバイクがマドン4だ。マドン7〜5がモデルチェンジを経た2013年では「4」は従来モデルより継続であったが、2014年モデルで遂に新しいフレームへと生まれ変わった。しなやかさと剛性・強度を兼ね備えるOCLV400カーボンはそのままに、生まれ変わったマドン4最大の特徴は、上位モデルと同じKVFシステムを取り入れたことだろう。翼断面の後端を切り落としかのようなフォルムはあらゆる方向からの風に対処し、ライダーの疲労をより少なくさせ、目的地へとより早く到達できることだろう。
差異もある。マドン7〜マドン5でBB下に設置されるリアブレーキは、従来と同じくシートステーにブリッジを設けて取り付ける形だ。(BB下ダイレクトマウント方式に比べて)エアロ性能とシートステーをしならせることに対しては不利ではあるが、整備性の高さははむしろマドン4をチョイスするホビーライダーにとっては他に勝るメリットとも言えるだろう。
また、2014年モデルよりマドン4とドマーネ4がプロジェクトワン対応となったことも大きなトピックスだ。従来ハイエンドモデルに限定され敷居の高かったオーダーシステムは、より身近な存在となった。サービスの開始は9月中となっており、詳細なプライスは未発表ではあるものの、安価なプライスで好みのバイクを仕立てることができる。
インプレッション by 阿部良之(Bicicorsa AVEL)
一言で言うと、非常に乗りやすい自転車です。ガチガチ過ぎず、コントローラブル、そして価格以上の走りと重量の軽さを兼ね備えていると感じました。硬さと柔らかさのバランスに優れているためでしょうか、とても扱いやすく、すぐに馴染むことができました。乗りやすさがあるため、初心者の方はもちろんのこと、エンデューロ系のイベントやレベルには特に向いていると言えます。一方で走り性能も高いため、例えばJBCFのE3やE2カテゴリーのレースならば充分に、かつ問題無く対応してくれるでしょう。
私は現在マドン7に乗っていますが、それと比較した場合には加速に関してやや鈍さが否めません。しかし値段が倍以上するバイクと比べるのは酷ですし、価格以上の性能は保証できます。リアブレーキも上側ですので、コンポの乗せ替えも余計なコストが発生せずお財布に優しいですね。
遂に人気の4シリーズも上位モデルと同じKVF形状のフレームを採用しました。更にプロジェクトワンに対応したため、とてもバリュー感あるモデルとなりましたね。
より軽く、より速く 進化したスピードコンセプト
2014年ラインナップの中で大きな注目を集める存在が、タイムトライアルバイクであるスピードコンセプトだ。詳しい解説については発表時の紹介記事を参照頂きたいが、より空力性能を増したフレーム形状や400g以上の軽量化、そして専用ストレージの増設など、まさに「最速バイク」としてふさわしい存在となった。インプレッション by 阿部良之(Bicicorsa AVEL)
久しぶりにTTバイクに乗りましたが、"進化"に非常に驚きました。とにかくスピードが落ちず、脚を使わずして速度を維持できる性格を感じました。ゴリゴリ踏むより奇麗なペダリングで回した方が進みます。実戦で使ってみないことには断言できませんが、アイアンマンや長距離TTなど究極の場面では大きな力となってくれることでしょう。大出力でスプリントをかけた場面では流石にロードバイクには及びませんが、縦方向に加えしっかりと横方向の剛性も確保されています。速度が乗れば乗るほどにフィーリングが高まり、直進安定志向ながら操作性も悪く感じませんでした。カーボンディープリムのホイールで試しましたが、ロープロファイルのアルミホイールなど、様々なホイールを入れ替えて試してみたいところですね。
様々なストレージが用意されていますが、特にシートチューブ後ろのボックスは容量が大きくなり、使いやすくなりました。予備のチューブラータイヤが入るため、実戦仕様でより気軽に練習に出かけることができます。ハンドル部分はねじ類が少なく、かつ調整幅も広く取られているため、飛行機輪行などでもストレスが少なく済みそうです。
ライダープロフィール
阿部良之(Bicicorsa AVEL)
シマノレーシングにてプロデビューし、1997年より当時世界最強プロチームと謳われたマペイへと加入。ワールドメンバーの一員としてヨーロッパの第1線で活躍した。その後スキル・シマノへと加入し、アジア各国を転戦。2回の全日本選手権優勝や、ジャパンカップ優勝など輝かしい戦績を誇る。現在はビチコルサ・アヴェルの店長として手腕を振るっている。
Bicicorsa AVEL
シマノレーシングにてプロデビューし、1997年より当時世界最強プロチームと謳われたマペイへと加入。ワールドメンバーの一員としてヨーロッパの第1線で活躍した。その後スキル・シマノへと加入し、アジア各国を転戦。2回の全日本選手権優勝や、ジャパンカップ優勝など輝かしい戦績を誇る。現在はビチコルサ・アヴェルの店長として手腕を振るっている。
Bicicorsa AVEL
提供:トレック・ジャパン 企画/制作:シクロワイアード