2013/02/16(土) - 21:43
ロードバイクにおいて主流となるカーボンフレームのカウンターカルチャーとして、ここ数年人気を集めているクロモリフレームだが、その余波によってマニアックなサイクリストの間でこれまで以上に注目を集める存在がチタンフレームだ。そんなニーズを察してか、エヴァディオでは初のチタンモデル「ペガサス」をラインナップに加えている。
エヴァディオ ペガサス
チタン素材は鉄に対して4.5ほどの比重しかない軽量性のほかに、比強度が実用金属のなかで最高クラスにあり、さらにさびないという特性を持つ。しかし素材自体が高額なことと、専用の溶接設備を必要とするため製造コストは高く、結果として高価な製品となってしまう。その弱みを克服できない間にアルミやカーボンフレームが進化を果たし、チタンフレームは、ロードバイクのなかでも希少な存在となってしまった。
リベッド式の多いボトル台座だが、Tig溶接で取り付けられる。手間のかかる仕事だ
フォークはフレームの繊細なシルエットに合わせて細身のタイプがセットされる
天使をモチーフにしたメタル製のバッジをヘッドチューブに装備する。粋な演出だ
しかしチタンフレームの持つ高級感、剛性と軽さのバランス、なおかつシルキーと称されるライディングフィールは、ほかの素材では実現できない固有の魅力を持っており、「いつかはチタン」と考えるマニアックなサイクリストは少なくない。そんなチタンフレームの魅力を、存分に体験できるのがこのペガサスといえるだろう。
主にロードバイクに使用されるチタンチューブといえば、3AL-2.5Vまたは6AL-4Vという合金のほか、100%チタンの通称“純チタン”と呼ばれるものだが、ペガサスでは3AL-2.5Vを採用する。
強度的には6AL-4Vが最強ともいわれるものの、3AL-2.5Vは加工性に優れており、価格と性能のバランスに長けているため、実際のところ多くのブランドがこのタイプを使用する。そしてペガサスでは、必要な強度と剛性を見極めつつチューブにバテッド加工を施して軽量化を図っている。
シートステーはねじれ剛性を確保しやすい、オーソドックスな2本タイプを採用する
フレーム形状は丸断面のチュービングを多用したホリゾンタルスタイル(500㎜サイズ以上)を基本とし、オーセンティックなロードバイクの美しさを追求しているのも魅力的だ。しかしペガサスは決して懐古的なモデルはなく、レースを走るための性能も追求している。
前三角のチューブ外径をオーバーサイズ化するのもそうだが、現代のレースバイクに欠かせないインテグラルタイプのヘッド構造も装備する。フロントフォークは295gという軽さのウルトラライトフォークの搭載によって、軽量化と正確性の高いハンドリングの両立を追求している。また、フレーム単体重量も1200g(500mm)に抑えられており、実用面の軽さに不足はない。
シートステーは振動吸収性を高め、必要な剛性を両立するためにベンド加工が施される
チタンフレームではクロモリと同じく、溶接の仕上げや小物の形状など、細部の美しさにこだわるユーザーも多いのも事実。そうした面においてもペガサスは抜かりない。Tig溶接のビードも細かく均一に仕上げられており、熟練した職人によって作られているのを察することができる。またミニマルに設計されたリヤエンドやワイヤリードは、チタンフレームが持つラグジュアリーな雰囲気に見合ったものといえるだろう。
チタン素材の地色を出したサンドブラスト仕上げで28万1400円というのは、チタンフレームとして決して高い価格ではない。そしてベーシックなペイントモデル(31万2900円)以外にも、エヴァディオ独自のカラーオーダー(システムワン/ツー)にも対応しているので、とことんマニアックなモデルを追求することができる。そんな注目のチタンバイク、ペガサスの走りの魅力を探ってみよう。
このペガサスはその点においても口をはさむサイクリストはそう多くないだろう。Tig溶接のビードは細かく規則的に美しく並べられている。繊細なフレームワークを邪魔しない小ぶりなワイヤストッパーやリヤエンドなど、細かな各部の作りも高級品としての相応しさを持っている。
いつまでも乗っていたいと思わせる、そんな心地のよさがある
さて、ペガサスの乗り味の方はというと、オーバーサイズのダブルバテッドチュービングの効果もあり、チタンフレームのなかでも剛性は比較的高めの部類のモデルといえる。とはいえそこはチタンなので、カーボンのような固さや、アルミのようながっちりとした感覚はないものの、絶妙な剛性レベルによってチタンのシルキーさを持ちながら、軽快さも楽しめる気持ちのいいライディングフィールに仕上げられている。
踏み出しはカーボンのような乾いた感覚とは毛色こそ違うものの、軽い感覚が魅力だ。肉薄な金属チューブを使ったフレームのような軽快感でバイクが楽に前に出る。大きなトルクを加えればダウンチューブからチェーンステーにかけてのしなりもあるが、ネガティブなものではない。
エヴァディオ ペガサス しなりはするもののもチューブに芯が一本通ったような強さがあり、いい具合にしなやかさの歩留まりが効いている。そして、ひとしきりしなったあとにパーンと弾かれるように戻ってくるのでペダリングの持続性に優れている。
とくにある程度のトルクをかけ続けるような平地の巡航や緩斜面などの走りは、実にリズミカルなペダリングを続けることができ、バイクがなめらかに走ってゆく。脚への負担も少ないペダリングは、ロングライドなどでもうってつけといえるだろう。こうしたスムーズなペダリングフィールはチタン素材ならではで、くせのないしなりの感覚は剛性バランスもあるが、溶接をはじめとするフレームビルドの絶妙さもあるだろう。
ペガサスはダンシングでの加速や上りの走りも軽快だ。フロントフォークは軽い重量を考えると十分な剛性が与えられており、なおかつフレームとのバランスがちょうどいいのでダンシングなどにおけるバイクの切り返しがスムーズだ。したがって加速の良さにつなげられるし、上りでのダンシングはフレームの適度なバネ感と相まって、リズミカルで小気味良い走りが楽しめる。車重以上の軽快さを持っている。
高剛性のカーボンフレームを好むようなパワーライダーは、ペガサスの剛性感に物足りなさを覚えるかもしれないが、一般的なライダーならまず問題はなく、レースにも問題なく対応できるだろう。
むしろチタン素材の特徴であるしなやかさを生かしつつ、適度な軽快感を与えたペガサスの走りは、ペダリングの気持よさを強く実感することができ、ロードバイクに乗ることがさらに楽しくなるはずだ。そして、とくにロングライドやグランフォンド、エンデューロなど、距離が長くなるほどに走りのアドバンテージを与えてくれるだろう。
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チタン素材は鉄に対して4.5ほどの比重しかない軽量性のほかに、比強度が実用金属のなかで最高クラスにあり、さらにさびないという特性を持つ。しかし素材自体が高額なことと、専用の溶接設備を必要とするため製造コストは高く、結果として高価な製品となってしまう。その弱みを克服できない間にアルミやカーボンフレームが進化を果たし、チタンフレームは、ロードバイクのなかでも希少な存在となってしまった。
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しかしチタンフレームの持つ高級感、剛性と軽さのバランス、なおかつシルキーと称されるライディングフィールは、ほかの素材では実現できない固有の魅力を持っており、「いつかはチタン」と考えるマニアックなサイクリストは少なくない。そんなチタンフレームの魅力を、存分に体験できるのがこのペガサスといえるだろう。
主にロードバイクに使用されるチタンチューブといえば、3AL-2.5Vまたは6AL-4Vという合金のほか、100%チタンの通称“純チタン”と呼ばれるものだが、ペガサスでは3AL-2.5Vを採用する。
強度的には6AL-4Vが最強ともいわれるものの、3AL-2.5Vは加工性に優れており、価格と性能のバランスに長けているため、実際のところ多くのブランドがこのタイプを使用する。そしてペガサスでは、必要な強度と剛性を見極めつつチューブにバテッド加工を施して軽量化を図っている。
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フレーム形状は丸断面のチュービングを多用したホリゾンタルスタイル(500㎜サイズ以上)を基本とし、オーセンティックなロードバイクの美しさを追求しているのも魅力的だ。しかしペガサスは決して懐古的なモデルはなく、レースを走るための性能も追求している。
前三角のチューブ外径をオーバーサイズ化するのもそうだが、現代のレースバイクに欠かせないインテグラルタイプのヘッド構造も装備する。フロントフォークは295gという軽さのウルトラライトフォークの搭載によって、軽量化と正確性の高いハンドリングの両立を追求している。また、フレーム単体重量も1200g(500mm)に抑えられており、実用面の軽さに不足はない。
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チタンフレームではクロモリと同じく、溶接の仕上げや小物の形状など、細部の美しさにこだわるユーザーも多いのも事実。そうした面においてもペガサスは抜かりない。Tig溶接のビードも細かく均一に仕上げられており、熟練した職人によって作られているのを察することができる。またミニマルに設計されたリヤエンドやワイヤリードは、チタンフレームが持つラグジュアリーな雰囲気に見合ったものといえるだろう。
チタン素材の地色を出したサンドブラスト仕上げで28万1400円というのは、チタンフレームとして決して高い価格ではない。そしてベーシックなペイントモデル(31万2900円)以外にも、エヴァディオ独自のカラーオーダー(システムワン/ツー)にも対応しているので、とことんマニアックなモデルを追求することができる。そんな注目のチタンバイク、ペガサスの走りの魅力を探ってみよう。
インプレッション
「しなやかさに走りの軽さをプラスした、絶妙なチタンフレーム」(吉本 司)
チタンフレームというと「シルキー」と評されるライディングフィールを楽しむこともさることながら、クロモリフレームと同じく手工芸品的な付加価値を見出すサイクリストも多いので、Tig溶接をはじめとするフレームワークの良さも重視される。このペガサスはその点においても口をはさむサイクリストはそう多くないだろう。Tig溶接のビードは細かく規則的に美しく並べられている。繊細なフレームワークを邪魔しない小ぶりなワイヤストッパーやリヤエンドなど、細かな各部の作りも高級品としての相応しさを持っている。
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さて、ペガサスの乗り味の方はというと、オーバーサイズのダブルバテッドチュービングの効果もあり、チタンフレームのなかでも剛性は比較的高めの部類のモデルといえる。とはいえそこはチタンなので、カーボンのような固さや、アルミのようながっちりとした感覚はないものの、絶妙な剛性レベルによってチタンのシルキーさを持ちながら、軽快さも楽しめる気持ちのいいライディングフィールに仕上げられている。
踏み出しはカーボンのような乾いた感覚とは毛色こそ違うものの、軽い感覚が魅力だ。肉薄な金属チューブを使ったフレームのような軽快感でバイクが楽に前に出る。大きなトルクを加えればダウンチューブからチェーンステーにかけてのしなりもあるが、ネガティブなものではない。
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とくにある程度のトルクをかけ続けるような平地の巡航や緩斜面などの走りは、実にリズミカルなペダリングを続けることができ、バイクがなめらかに走ってゆく。脚への負担も少ないペダリングは、ロングライドなどでもうってつけといえるだろう。こうしたスムーズなペダリングフィールはチタン素材ならではで、くせのないしなりの感覚は剛性バランスもあるが、溶接をはじめとするフレームビルドの絶妙さもあるだろう。
ペガサスはダンシングでの加速や上りの走りも軽快だ。フロントフォークは軽い重量を考えると十分な剛性が与えられており、なおかつフレームとのバランスがちょうどいいのでダンシングなどにおけるバイクの切り返しがスムーズだ。したがって加速の良さにつなげられるし、上りでのダンシングはフレームの適度なバネ感と相まって、リズミカルで小気味良い走りが楽しめる。車重以上の軽快さを持っている。
高剛性のカーボンフレームを好むようなパワーライダーは、ペガサスの剛性感に物足りなさを覚えるかもしれないが、一般的なライダーならまず問題はなく、レースにも問題なく対応できるだろう。
むしろチタン素材の特徴であるしなやかさを生かしつつ、適度な軽快感を与えたペガサスの走りは、ペダリングの気持よさを強く実感することができ、ロードバイクに乗ることがさらに楽しくなるはずだ。そして、とくにロングライドやグランフォンド、エンデューロなど、距離が長くなるほどに走りのアドバンテージを与えてくれるだろう。
編集:シクロワイアード 提供:エヴァディオ