群馬県と長野県にまたがる浅間山をぐるっと1周するロングライドイベントが、「グランフォンド軽井沢」。高原地帯を走り、素晴らしい景観の広がるこのグランフォンドに参加した編集部 磯部のレポートをお届けします。

およそ700名が参加した グランフォンド軽井沢2012およそ700名が参加した グランフォンド軽井沢2012

CWに入社してはや半年が経ち、イベントの実走取材も5・6を数える私だが、この日はスペシャルな気分で臨んだ。何を隠そう今回はイベント前日に納車したばかりの新車を持ち込んでの取材となったからだ!オイルのシミ一つ無いピッカピカの車体は世界で一番カッコ良く(誰にも経験あるはずですよね!)思える。

さて、グランフォンド軽井沢は、今年で3年目を迎えるファンライドイベントだ。浅間山周辺の別荘地や高原地帯の景観を楽しみながら走ることのできる大会として人気を呼び、今年の大会には約700名がエントリーするに至った。

前日に納車したばかりのニューバイクで走ります!前日に納車したばかりのニューバイクで走ります! 風格のある旧三笠ホテル前を通過風格のある旧三笠ホテル前を通過


2日間に渡って3つのライドが行われ、土曜日はファミリーやビギナーさんでも楽しめる「グルメフォンド」と、日本で唯一2人乗り自転車の走行が許可されている土地柄を活かした「タンデムフォンド」、そして日曜日にはメインの125kmを走る「グランフォンド」が用意され、こちらに実走取材をさせて頂いた。

今までほとんど全てのイベント取材で雨に降られている私。この日もやっぱり誰かの行いが悪いせいで(?)降水確率は80%。今にも降り出しそうな重たい雲の下は気温約10℃ほどと肌寒く、雨装備に加えてしっかりとした防寒対策を進めた。ニューバイクを晴天の下でデビューさせたかったのに、ちょっぴり残念だ。

スタートしてすぐに白糸ハイランドウェイへと入っていくスタートしてすぐに白糸ハイランドウェイへと入っていく 道の由来となった「白糸の滝」もコースに近く、自然を感じることができる道の由来となった「白糸の滝」もコースに近く、自然を感じることができる


「グランフォンド」のコースは125kmながら、コースはほとんどが長めのアップダウンで構成され、その獲得標高は2300mを数える。天気に加え、主催者サイドが前年大会よりも「心を折るコースにした」というスタートを前に、ちょっと皆さんは緊張の面持ちに見える。でもこの大会には地元ライダーさん達がサポートとして走ってくれるので、トラブルの際にも心強い。

7時を迎えると、20人ずつほどの小グループに分かれて順次スタートを切っていく。国の重要文化財となっている旧三笠ホテルを脇目に見ながら、緑の木立が美しい別荘地帯をゆったりと走っていくと、すぐにこの大会最初のハイライト「白糸ハイランドウェイ」が現れる。

白糸ハイランドウェイ途中の雰囲気あるお土産屋さん白糸ハイランドウェイ途中の雰囲気あるお土産屋さん 途中の天然エイドステーションで水を補給途中の天然エイドステーションで水を補給


ここは普段は自動車専用道だが、この日はイベントのために特別開放が行われ、開通以来始めて自転車が通行したという。ハイランドウェイというと爽快な眺めが広がるイメージだが、入口付近からおよそ15%ほどの激坂が鋭いカーブを描きながら頂上を目指す厳しい線形だ。

押しの入るライダーもちらほらと見えたけれど、数百メートルの一番厳しい区間を抜ければ勾配も落ち着き、道の横を流れる渓流と、深い緑の静謐な雰囲気の中で森林ライドを楽しむことができた。

見渡す限りの丘陵地帯を走る 勾配はなかなかキツい!見渡す限りの丘陵地帯を走る 勾配はなかなかキツい!

ここから下りに入り、第1エイドステーションの休憩を経て標高は一気におよそ1400mから900mへと急降下。そして再び10kmをかけて下った分を取り返すコースとなる。

なかなかにキツい勾配が続き、思いのほか脚を削られる中、コースは途中からキャベツ畑が連なる丘陵地帯へと入っていく。道は農道ほどの道幅しか無いものの、往来するクルマといえば地元の軽トラやトラクターくらい。遠くまで続く畑と牧草地帯が高原ライドの気分を高めてくれる、絶好のロケーションだ。

ずっと続く高原野菜の畑を横目に走るずっと続く高原野菜の畑を横目に走る キャベツ畑の広がる高原地帯を行くキャベツ畑の広がる高原地帯を行く


10kmのヒルクライムを終えると時間はちょうどお昼時。45km地点に設定された第2エイドステーションでのランチへとなだれ込んだ。

グランフォンド軽井沢では、地元産の食材を使った食べ物が多く振舞われるのが特徴だ。こちらでは地物のサラダやお漬物、ふき味噌おにぎりなどをバイキング形式で楽しむことができるし、途中のエイドでも「はちみつ梅」や「塩麹きゅうり」、野沢菜などが並び、その適度な塩っぱさと美味しさは本当に格別!軽井沢を走りでも、味覚でもいっぱいに楽しむことができる。

トマトの味が濃くて美味しかったです!トマトの味が濃くて美味しかったです! 疲れた身体に嬉しいはちみつ梅干疲れた身体に嬉しいはちみつ梅干


定番の野沢菜も美味しい!定番の野沢菜も美味しい! 最後のエイドで振舞われたはちみつ漬けレモン 甘酸っぱくてもう最高最後のエイドで振舞われたはちみつ漬けレモン 甘酸っぱくてもう最高


エネルギーをフル充電したら、ここからは「つまごいパノラマライン」や「愛妻の丘」など、観光ガイドにも載るような見晴らし区間が広がる道を走る。群馬と長野の県境を隔てる鳥居峠も控えるが、勾配も一定かつ緩やかなのでさほど苦にはならない。

そして県境を超えると、13kmをかけて標高差700mのダウンヒルへと突入する。せっかく稼いだ標高を下りきってしまうのは登坂が苦手な方は若干厳しいかと思うけれど、この大会に出場しているライダーさんを見ていると、全体的に"走れる"方が割と多い。けっこうイイペースで峠越えもこなしていくなぁ、という印象。

素晴らしい景観に思わずにっこり笑顔素晴らしい景観に思わずにっこり笑顔 群馬と長野県境を隔てる鳥居峠。勾配も少なく走りやすい群馬と長野県境を隔てる鳥居峠。勾配も少なく走りやすい


ふと気づけばスタート時には重く垂れ込めていた雨雲もどこかに無くなって、アームウォーマーも必要のない最高の天気へとなっていた。ただしそれに代わって風が強く吹き始め、微妙な上り勾配と相まってバイクが進んでくれない。交通量も多かったので、しばらくは隊列を組んでの我慢の走りが続いたものの、向きを変えて山道へと入ると風も遮られて幾分か走りやすくなった。

そしてこの標高差約400mの上りの最後に控えていたのが、菱野温泉常盤館前のイン側20%はあろうかという急峻な激坂S字コーナー。脚をついてしまう人も多かったけれど、ここが最後の難関。超えてしまえばあとは下り基調の林道がゴールまで続く。

戦国武将ゆかりの地を走る戦国武将ゆかりの地を走る パンク修理中だけど、すっごく楽しそう(笑)パンク修理中だけど、すっごく楽しそう(笑)


沿道には多くの花が咲いていたけれど、見る余裕はなかったかも?沿道には多くの花が咲いていたけれど、見る余裕はなかったかも? 地元のおばあちゃんが応援してくれました地元のおばあちゃんが応援してくれました


と、その前にここで最後の第4エイド。こちらで特に嬉しかったのはレモンのはちみつ漬け。疲れた身体にしみる甘酸っぱさは補給食のジェルなどでは絶対にない味で、本当に美味しくて、ついつい手が進んでしまうほどだった。

そして最後のエイド出れば、そこは新緑の森の中をずっと進む尾根道の林道。なだらかに下る細く曲がりくねった道は、ルート上の良いアクセントになっていて、走っていてとても楽しく感じる。やがて道は軽井沢の別荘地を経由して、街中へ。下ってきた勢いのまま、午後4時前にフィニッシュを迎えた。

菱野温泉前の急坂S字コーナー。激坂マニアの私には良い勾配でした(エヘン)菱野温泉前の急坂S字コーナー。激坂マニアの私には良い勾配でした(エヘン) 貸切状態の長閑な林道を行く貸切状態の長閑な林道を行く


125kmという、センチュリーライド(160km)には距離として及ばないものの、獲得標高2300mをもたらすアップダウンは非常に走りごたえもあり、バリバリレース志向の方でもバッチリ楽しめる。とはいえ、"激"坂区間は距離としては短いので、脱ロングライドビギナーを目指す人にも最適だと思うし、エイドステーションなどホスピタリティも充実し、ロングライド初心者でも完走を目指すことができるはずだ。

コースの面白さ、食の充実、そして軽井沢の景勝地を巡ることのできる「軽井沢グランフォンド」。まだ開催3回目と非常に新しい大会ながら、総勢700名という大きな人数を集めるその理由を、走りながら見つけることができたと感じる。

信州は田植えの季節を少し過ぎた頃信州は田植えの季節を少し過ぎた頃

昨年も同イベントを走破した参加者によれば、白糸ハイランドウェイに加えて、後半のコースの印象も大きく変わったとのこと。クルマの多い幹線道路を避け、山麓の細い山道に変更されたようで、クルマの交通量が少ない緑の道が、とても気持ちが良かった。ただ、獲得標高は増したのでは?という方が多かった。坂の厳しさに自転車を押す人も多く見受けられた。

そして主催者の方にお話を伺ったところ、来年以降コースへさらなる変化を付けた面白い企画を練っている最中とのこと。これからますます軽井沢グランフォンドに注目したい。




引き続き、グルメフォンド、メタボ会長の参加レポートも掲載予定です!お楽しみに。

フォトギャラリー2(Google Picasaウェブアルバム)


text:So.Isobe
Photo:Makoto.Ayano,So,Isobe

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